インド太平洋関連

インド、52口径155mm榴弾砲を搭載するトラック搭載型自走砲を発表

印カリャニグループの防衛部門は52口径155mm榴弾砲を搭載する「MGS 8X8HMV」を発表、海外市場で需要が高まっているトラック搭載型自走砲にインドが進出してきた格好だ。

参考:India unveils new MGS 155mm 8×8 truck-mounted artillery gun system
参考:Kalyani Group’s Mounting Artillery Gun System 8X8 HMV unveiled by Defence Research and Development Organisation (DRDO).

インド陸軍がMGSを採用しても不思議ではなく、運用実績さえ確保できれば必ず海外市場にMGSを投入してくるはずだ

ウクライナ軍に提供された自走砲(PzH2000、KRAB、M109、Caesar、Zuzana2)がロシア軍相手に活躍したため海外市場では自走砲への注目が高まっており、装軌車両タイプは韓国のK9が市場を席巻しているが、トラックタイプはフランスのCaesar(8ヶ国採用)、イスラエルのATMOS(9ヶ国採用)、セルビアのノーラB-52(5ヶ国採用)、チェコのDANA(7ヶ国採用)、スロバキアのZuzana2(3ヶ国採用)などに人気が分散している。

出典:public domain Caesar6×6

ドイツのラインメタルもトラックタイプのHX3や装輪式のRCH155を市場に投入、米国やブラジルでもトラックタイプの自走砲開発に乗り出す動きを見せているが、競争が激しいトラックタイプの自走砲市場にインドが本格的に進出してきた。

印バーラト・フォージの防衛部門は世界で初めて4x4HMVに38口径155mm榴弾砲を搭載した「MArG 155-BR」を発表、シュート・アンド・スクート運用(停車後90秒~120秒で射撃開始が可能)に対応して重量も18トンと比較的軽量なため山岳地帯での運用に適しており、米陸軍とAMゼネラルが試作した簡易自走砲「ブルータス(中型戦術トラックに155mm榴弾砲を搭載しただけ)」と同じように構造がシンプルなので、整備性や調達性が優れている。

出典:Kalyani Strategic Systems Limited

しかしCaesarやATMOSなどの競合と比較するとMArG 155-BRの性能は控えめで、競争が激しいトラックタイプの自走砲市場に食い込むには些か力不足だったが、印カリャニグループの防衛部門は155mm榴弾砲を搭載する本格的なトラックタイプの「MGS 8X8HMV」を発表した。

MGSは国産の52口径155mm榴弾砲(ERFB弾使用時の射程は45km)を採用、停車後80秒以内に射撃開始が可能で85秒内に射点から離れることができ、30秒以内に3発のバースト射撃にも対応しているらしい。

出典:Insightful Geopolitics

因みには52口径155mm榴弾砲はインド陸軍の更新ニーズに対応するため防衛研究開発機構(DRDO)が開発したものだが、MGSは印カリャニグループが独自に開発したものなのでインド陸軍の採用は決まっていない。

ただDRDOはMGSの開発を後押ししているのでインド陸軍が採用しても不思議ではなく、運用実績さえ確保できれば必ず海外市場にMGSを投入してくるはずだ。

関連記事:インド、155mm榴弾砲を4x4HMVに搭載した自走砲「MArG/155-BR」を発表

※アイキャッチ画像の出典:Vayu Aerospace Review

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コメント

    • 774rr
    • 2022年 10月 28日

    トラックタイプの自走砲
    やっぱり便利なのか何処の国でも作ってるね

    インドのは本邦の奴みたいに自動装填のついてないタイプ?っぽいけど
    既に実績のあるカエサルより売れるかな?

    6
      • G
      • 2022年 10月 29日

      基本的に自走砲は敵火砲の射程外から打つ運用ケースが多い以上、移動速度・展開速度・撤退速度が重視されやすいですからね
      装軌式より単価も燃費も整備性も良く、市場規模も大きいですし

      2
    • 折口
    • 2022年 10月 29日

    トラックタイプの自走砲、基本的に砲兵を持ってる殆ど全ての国が顧客になりうるという意味で、インドにとっての参入意義は非常に大きそうですよね。
    トラック型自走榴弾砲は既に先進国で配備が始まっていますが、機械化部隊に随伴する装甲化された装軌式の自走榴弾砲とは別の牽引式野砲の置き換えが中心ですから、それまで資金力の都合で装軌式の自走榴弾砲を取得してこなかった第3世界の軍隊にもニーズがあるでしょう。フランスやスウェーデンは前からこのジャンルの自走砲売っていましたが、第3世界の中には必ずしも欧米諸国と関係が良好でない国もあります。そのニーズをロシアよりインドが先に埋めるというのは結構象徴的なのかなと。

    6
      • 2022年 10月 29日

      非同盟中立国でパキスタン以外からは恨まれてないから、性能良い兵器なら売れそうだね。
      ただバカ売れしたとして、インドみたいな大きな国で経済インパクトはあるのかしらん?

      1
    • 名無しさん
    • 2022年 10月 29日

    アージュンを始めとする陸上戦闘車両やデジャスなどの数多の醜聞せいで、
    「DRDO」の名前を聞くとつい身構えてしまう自分がいる。

    5
    • nachteule
    • 2022年 10月 29日

     後発故に高性能な部分もあるしインドの地形に合わせたガラパゴスな面もあるが地形対応に関してはガラパゴスでもないか。

     装輪?で世界で唯一のZONE7(モジュラー装薬7個)対応らしいからアメリカのERCA並の長射程期待出来るんじゃないだろうか。装輪カテゴリーで世界最高の射程を達成とあるならV-LAP使用したら80km超えそうなポテンシャルはあるな。25リットル チャンバー自体は他の装輪自走砲でもあるのでモジュラー装薬7個装填が射程に効いている感じかね。

    1
    • さめ
    • 2022年 10月 29日

    キャビンが装甲化されててええどすなぁ

    1
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