インド太平洋関連

高まる無人機需要、インド陸軍が2,200機以上のUAV緊急調達計画を発表

インド陸軍は2,200機以上の無人機調達に関する緊急入札を発表、インド以外でも戦場認識力の拡張や兵站の無人化へのニーズが高まっており、このまま行くと限られた無人機の製造能力を奪い合う形に発展するかもしれない。

参考:Indian Army seeks more than 2,200 drones

無人機調達で出遅れると金があってもモノが手に入らない=納品まで時間がかかる可能性がある

インド陸軍は前線部隊が戦術用途の偵察・監視に使用する小型UAV(インド陸軍はRPASと呼称)の調達をまもなく開始する予定で、RPASは中国と対立するラダックの山岳地帯で運用され、搭載されたEO/IRセンサーで障害物に隠れた目標の検出、砲兵戦力(M777、K9、Pinakaなど)の射撃調整、攻撃効果の評価判定に使用すると説明していたが、次々と新しい緊急入札を発表したためインド陸軍の無人機調達数は2,200機以上になる見込みだ。

出典:Ministry of Defence Pinaka rocket

インド陸軍は高高度を飛行可能な兵站向け無人機を163機、中高度をを飛行可能な兵站向け無人機を200機、偵察向け無人ヘリコプターを1,000機、固定翼の無人機を750機、小型の無人機を80機、滑走を必要としない無人機を10機調達する予定で、空軍や海軍も独自の無人機調達を計画している。

フィンランド国防軍も戦場認識力を大幅に改善するため兵士が携行可能なドローンを1,000機~2,000機調達すると発表しており、もはや数千機単位で無人機導入は珍しくなく、各国が保有する無人機の量も数千機~1万機レベル(アジア圏だとフィリピン軍とオーストラリア軍が1,000機以上の無人機を既に保有)に達しているはずだが、ウクライナでの戦いを見て各国はさらに無人機導入を加速しているため、このまま行くと限られた無人機(ミリタリーモデル)の製造能力を奪い合う形に発展するかもしれない。

関連記事:砲兵戦力と無人機を組み合わせた縦深射撃、インド軍も戦術用途の小型UAV導入

 

※アイキャッチ画像の出典:ManuelaAnzengruber/CC BY-SA 4.0

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コメント

    • 戦略眼
    • 2022年 11月 04日

    日本は構成要素は持っているのだから、構想次第だと思うが、これが一番不得手なんだよね。

    15
      • 幽霊
      • 2022年 11月 05日

      だけど下手に構成要素を企業が提供したら民間での輸出が難しくなるから提供しないと判断する企業が出てくる可能性もありますね。

      1
      • 2022年 11月 05日

      アメリカやイギリスと組めば良いと思う。
      グランドデザインは得意だろうし同盟国で割と近い関係でもある。
      日本はこの手の話しにしゃしゃり出て戦前も戦後も目も当てられない位の失敗をしてる。

      2
        • 通りすがり
        • 2022年 11月 05日

        アメリカやイギリスと組めば良いって言うけど、日本と組んだアメリカやイギリスのメリットは何かある?

        別に日本と組まなくてもUAV開発で困ることはないし、日本と組まなければ日本は輸入してくれるだけだから、どこにメリットがあるのかわからん。

        日本にもUAVに関連した技術があるかもしれないけど、それと同じレベルの技術は日本以外にもあるから日本とわざわざ組む必要がある?

        14
          • 2022年 11月 05日

          開発資金確保。
          工業力水準。
          非敵対国。

          4
            • 通りすがり
            • 2022年 11月 05日

            莫大な予算がかかるなら開発資金を分担するメリットがあるけど、小型無人機なんて各メーカーが独自に次々と開発してる現状からかけ離れてるよ。

            単純に日本の技術を使って開発に1枚噛ませてくれる都合の良い相手が居ないかって言われても場違いとしか言いようがない。

            1
              • 2022年 11月 05日

              現状が黎明期なら個々に開発も珍しい事では無いと思う。
              AIなどやオモチャ様でない無人機開発などあるし、現状にこだわる必要あるかな?
              現状はドローン役立たず論の結果だろうし。

              まだ限定的で低レベルな例だけど、アメリカのアベンジャー(プレデターC)とか開発費かかってるのでは?

              1
              • 2022年 11月 05日

              カウンタードローンなんて開発費かかりそう?
              シャヘドキャッチャー絶賛開発中。

              2
              • 匿名11号
              • 2022年 11月 05日

              製造を日本側に任せてしまえば、生産ラインを自社内で新たに設けることのリスクが減る。
              リターンも減るがね。

              ただ、地産地消のトレンドは、別に自動車や半導体に限るまい。

              5
          • ブルーピーコック
          • 2022年 11月 05日

          作戦時の情報共有の単純化、プラットフォームの共通化、量産効果、輸出実績、部品の融通、開発費低減。ぱっと思いつくのはこれぐらいですかね。プラットフォームに関しては機体サイズにもよるでしょうけど。

          5
      • G
      • 2022年 11月 05日

      成功しても大した実績とは見なされず、それでいて失敗すれば結果論で叩く政党や人たちが少なくないですからね
      日本に限らずハイリスク・ローリターンのことを積極的に推し進める人も組織もそうありません

      肝心なのは日本の構想ではなく、成功したら実績として評価され、失敗しても叩くだけではなくある程度は理解も示される風潮が形成されることではないでしょうか
      どんな構想や予算があってもそういった風潮が形成されない限りは変わりようがないかと

      16
      • 匿名さん
      • 2022年 11月 05日

      モーターも小型エンジンも、センサー類も大得意
      産業用ロボットの輸出実績も世界トップレベル、
      ついでに円安と、これで何で輸出向けドローンが
      創れないのか?一体何が足りないのか?

      6
        • 匿名
        • 2022年 11月 05日

        純粋にコストでは?
        民間機ではなくミリタリーモデルで、と考えると国産装備品の悪い癖出して独自規格の部品採用したりして他国の同等品の1.5倍〜2倍くらいしそう
        数千機規模で導入するのがデフォなのに高コストになってしまったらそれだけで失敗だから

        2
    • 2022年 11月 04日

    インドが調達する無人機て、インド製なのかな? 
    高高度を飛行可能なのって結構高度な機体だと思うけど、そんなに一気に作れるのかなぁ。

    4
    • 無印
    • 2022年 11月 04日

    デカい国だけあって、買い物のスケールがデカい
    2030年までに新型戦車1000輌以上欲しい、って言う国だけある

    8
    • 航空太郎
    • 2022年 11月 05日

    どの軍でも無人機を大量導入していってますが、無力化するための技術もばんばん開発されてきているから、大量導入したのはいいけど、陳腐化しかねない点はリスクですね。数が多いから、配備した無人機を無力化に対抗するために改修しようとすると、それだけでも軍事費を圧迫しそう。
    ただ、せめて相手と拮抗するだけの無人機を抱えないと、そもそも勝負にならないのが恐ろしいところ。
    案外、あちこちで米ソ冷戦構造崩壊の時のような財政破綻を招くことになるかもしれませんね。

    15
      • 2022年 11月 06日

      一機あたりの安さにとらわれて、気づけば財政オーバーか。

      1
    • HY
    • 2022年 11月 05日

     この分だとLAWSが世界中で飛び回るのも時間の問題ですね。コロナにおびえてマスクをし続けるように、ドローンにおびえてヘルメットを被ったり、地下に潜ったりする時代が来そうです。

    • アクアス
    • 2022年 11月 05日

    日本の初動の遅れがもはや看過し難いところまで悪影響を及ぼしつつある気がする。

    決定のどこに問題があったのか、徹底的に調査して再発防止策を早急に導入しないと、ツケを国民の命で払う事になる。

    5
    • ブルーピーコック
    • 2022年 11月 05日

    湾岸戦争で活躍したRQ-2パイオニアを見たのにも関わらずシーガーディアンのような機体を早期に自主開発しなかったことや、DASH以後の消極的な予算投入、UCAVの導入の遅れ、民間機器の軍事利用への産学民の忌避感かな。今の日本の問題は。
    産業用ドローンに関しては1980年代から生産や使用実績はあるが、軍事用に転用して使おうとは思わなかった模様。まあ先んじて使った場合は、どういった報道がされていたかは想像に難くないけど。

    シリアやリビア、ナゴルノ・カラバフでの活躍まではどこもバイラクタルTB2クラスの機体が使えるのか疑問があったものの、それ以後の流れに乗り遅れたのはひとえに『中国やロシアなどの正規軍に通用するのか』分からなかったから仕方がない部分はある。その点はウクライナでのロシア軍を見るまで不明確だったし。

    6
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