インド太平洋関連

印ヒンドスタン航空機、テジャスMK.1Aの製造は順調でMK.2も2024年に空を飛ぶ

ヒンドスタン航空機のマドハヴァン最高経営責任者は「テジャスMK.1Aの製造は予定通り順調に進んでおり、2024年の初飛行に向けて開発とプロトタイプ製造が進んでいるテジャスMK.2も予定を若干前倒しできるはずだ」と語り注目を集めている。

参考:‘Light Combat Aircraft MK-1A to take flight in June’

グリペンが失った安価な調達性をテジャスMK.2が維持していれば軽戦闘機分野のマーケットリーダーとして君臨することも可能

インドの航空宇宙産業を主導するヒンドスタン航空機(HAL)の会長と最高経営責任者を兼任するマドハヴァン氏は現地メディアに対して「テジャスMK.1Aの製造は予定通り順調に進んでおり、2023年の初飛行に向けて開発とプロトタイプ製造が進んでいるテジャスMK.2も予定を若干前倒しできるはずだ」と語り注目を集めている。

出典:Ministry of Defence / GODL-India テジャスMK.1

インドの国産戦闘機テジャス開発は1980年代に始まり政治的問題や技術的問題で紆余曲折を経験した影響で計画は大幅に遅延、普通なら中止に追い込まれてもおかしくはない状況を忍耐強く乗り切り、開発から約40年後の2021年1月に完全作戦能力を獲得したテジャスMK.1の実戦配備が始まったが、MK.1と開発中のMK.2との中間に位置する「テジャスMK.1A」の実用化に目処がついたためインド空軍は旧ソ連製戦闘機MiG-21の更新用に83機(単座73機+複座10機)の製造契約をヒンドスタン航空機に与えた。

このテジャスMK.1A製造についてマドハヴァン氏は「今年の6月から飛行テスト(20ヶ月~24ヶ月)に取り組み2024年の引き渡しに間に合わせるが、新型コロナウイルスの感染状況が悪化していることやイスラエルから納品されるシステムの到着状況にも左右されるため多少の遅れが生じるかもしれない」と述べたが、2024年の引き渡し開始に備えて最終組立ラインの増設(年間16機納入)やMK.1Aのコンポーネント供給を担当するサプライヤーの製造能力引き上げなどにも取り組んでいると語っているので着々と量産開始に向けた準備が進んでいるのだろう。

出典:Dipjyotimitra14 / CC BY-SA 4.0 テジャスMK.2の完成イメージ

特に興味深いのはテジャスMK.2の開発状況についてで基本設計の最終段階にあたるクリティカル・デザイン・レビュー(CDR)が予定通り2021年中に完了、マドハヴァン氏は「MK.2のプロトタイプ製造が始まっており、2023年初頭にロールアウトが行われ1年後の2024年には空を飛んでいるはずだ」と述べたが、この予定は若干前倒し可能で2022年末にMK.2のプロトタイプがロールアウトするかもしれないと言っている。

MK.1やMK.1Aよりも全長が延長(1.35m)されたテジャスMK.2はカナード翼追加による失速特性と燃費の改善、S字ダクトやステルスコーティングを採用することで正面方向のレーダー波反射率を抑制、推進力と燃費が改善されたF414INS6(最大推力IN20/85kN→INS6/98kN)や国産AESAレーダー、デジタルレーダー警告受信機、電子妨害ポッドなどの統合が予定されており、特に国産AESAレーダー「UttamAESA」はEL/M-2052を上回る検出レンジと同時追尾能力に加え敵の電子妨害に対する耐性も備えているらしい。

因みにEL/M-2052の検出レンジは200km以上で同時追尾能力は最大64と言われおり、UttamAESAは最大100の同時追尾能力を備えているとインドは主張している。

出典:GAGAN / CC BY-SA 4.0 Warrior

さらにコックピットもタッチ入力に対応した大型ディスプレイを中心にしたものに変更されるため収集した複数のデータを統合して分かりやすく表示できるようになり、通信関係もネットワーク中心の戦いに要求される大容量の通信に対応した国産の戦術データリンクを備え、HALが開発を進めている無人戦闘機「Warrior(数年以内にプロトタイプが初飛行すると言われている)」とのエア・チーミングを行うことが予定されているため、能力的に見ると将来の第4.5世代機=非ステルス戦闘機で必要とされるものを機能を一通り抑えた軽戦闘機(?)と言えるだろう。

インドのEurAsian TimesはテジャスMK.2が軽戦闘機分野のマーケットリーダーとして君臨するグリペンを打ち負かせるかは今のところ不明だが、少なくともコスト面ではグリペンよりも安価で中国が提供する軽戦闘機より支持を集めることになるだろうと予想しているのが非常に興味深い。

機体サイズを拡張したグリペンの最新モデルE/Fは兵器搭載量や作戦半径の面で大きな能力向上を果たしたが、グリペンのセールスポイントだった調達コスト(ロシア国営のイタルタス通信は約6,000万ドル/タイ空軍のナパデージ司令官は8,500万ドルと言及)が色褪せしまい海外市場で支持を急速に失いつつあるが、テジャスMK.2(推定17,5トン)は最大離陸重量でグリペンE/F(推定16,5トン)とほぼ互角のサイズでグリペンが失った安価な調達性(テジャスMK.1Aの調達コストは4,000万ドル台)を本当に維持していれば軽戦闘機分野のマーケットリーダーとして君臨することも可能だろう。

関連記事:8,200万ドルなら手が届く、タイ空軍がF-5Eの後継機としてF-35A調達を検討中
関連記事:インドが開発を進めるテジャスMK.2、グリペンやJF-17といった競合機よりも支持を集めるか

 

※アイキャッチ画像の出典:Ministry of Defence / GODL-India テジャスMK.1

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コメント

    • ブルーピーコック
    • 2022年 1月 10日

    HF-24マルート以来の国産機はどんな評価になるのか楽しみですな。
    マルートはエンジンに泣かされて戦闘機運用できなかったが、こいつはどうなるか

    7
    • そら
    • 2022年 1月 10日

    なぜデルタ翼機体はこんなに美しいんだろう。

    11
    • もり
    • 2022年 1月 10日

    J-20の技術がフィードバックされたJF-17に絶対性能では負けてそうだが、コスト面では勝ててるのかな?

    4
    • 匿名
    • 2022年 1月 10日

    エンジンがGE製だからそのあたりがネックになりそう

    1
    • バーナーキング
    • 2022年 1月 10日

    > コックピットもタッチ入力に対応した大型ディスプレイ

    戦闘機の音声認識とタッチパネルは頼りにならんって死んだばーちゃんが言ってた。

    真面目な話わざわざHOTASから手を離してパネルで操作するメリットが思いつかん。
    飛行前に画面配置とかのカスタマイズをパネル操作でサクサク出来る、とかそーゆー話?

    3
      • 無無
      • 2022年 1月 11日

      そうかぁ、ばーちゃんは戦闘機乗りか、
      たしかに、戦闘中にどうタッチパネルを扱うのかはワシにも分からんが、
      タッチパネル導入の本質はそこではないのだろう
      メンテナンス簡易性の向上とか、おそらくは現代では操作すべきスイッチが増えすぎて配置が難しく、パイロットが操作しにくくなっていた現状への対処ではないか

      2
        • バーナーキング
        • 2022年 1月 11日

        >メンテナンス簡易性の向上とか、おそらくは現代では操作すべきスイッチが増えすぎて配置が難しく、パイロットが操作しにくくなっていた現状への対処

        これは↓の「とか」には収まらん話なのかな?

        >飛行前に画面配置とかのカスタマイズをパネル操作でサクサク出来る、とかそーゆー話?

        ともあればーちゃんの遺言拾ってくれた事には礼を言っておこう。

    • くらうん
    • 2022年 1月 10日

    インドはちょっと戦闘機の種類増やしすぎじゃないか?
    退役する旧型機を抜かしても、今後はテジャス系だけで2ないし3種類、ラファール、Su-30MKI、MMRCA、さらにFGFAの焼き直しで第5世代機も調達するんだっけ?
    10年後は現場が混乱して憤死するレベルのカオスだぞ。
    いいぞもっとやれ。

    13
    • おわふ
    • 2022年 1月 11日

    財務省や一部の政治家が言うのは、こういう戦闘機を開発して輸出しろという言葉だと思う。
    でも、これは日本の国防には使えないなあ。

    6
      • きっど
      • 2022年 1月 11日

      まずは自国の国防最優先よね
      予算の制限が取っ払われてGDP比2%を目指しているのだし、国内防衛産業の保護は自国への発注を増やしてやれば良いかと

      1
      • ルイ16世
      • 2022年 1月 12日

      上はカッコいい兵器を売りたがってるけど現場ではトラックの方がありがたいんだよなぁ。トヨタ車は世界で大人気だし。いっそトラックに最初から機関銃や迫撃砲を付けて売った方が参入し易いのでは?アジア、アフリカ、中南米なら十分戦力になるだろうし。

      1
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