インド太平洋関連

インドネシア空軍、戦闘機の導入候補はラファールとF-15EXに絞られている

インドネシア空軍の総参謀長は22日、Su-35調達計画を正式に破棄してラファールとF-15EXのどちらかを導入すると述べた。

参考:Indonesia excludes Su-35 from fighter aircraft acquisition plans
参考:Indonesia gives up on Russian aircraft purchase, instead turning to US and French options

インドネシアが調達する戦闘機の最終候補はラファールとF-15EXに絞られている?

東ティモール問題に関連して武器禁輸措置(欧州は2000年解除/米国は2005年解除)を課されたインドネシアはロシア、トルコ、韓国といった国に装備調達先を分散させており、新たにロシアからSu-35導入を計画していたもののトランプ政権が対ロシア制裁(敵対者に対する制裁措置法/CAATSA)発動を匂わせた圧力を加えたためインドネシアは導入を断念、しかしロシア側は「米国のやり方は不当でSu-35の提案を継続する」と主張していたがインドネシア空軍の総参謀長は「Su-35調達計画を正式に破棄する」と22日に発表した。

出典:public domain Su-35

総参謀長はSu-35調達計画の破棄に米国の対ロシア制裁が影響を及ぼしたのかについては明言を避けたが、代わりに導入する戦闘機について「ラファールとF-15EXに絞られており2~3個飛行隊分を調達するつもりだ」と明かしたため注目を集めている。

インドネシアはSu-35の代わりに導入する戦闘機についてオーストリア空軍の中古タイフーン、ダッソーのラファール、ロッキード・マーティンのF-16V、ボーイングのF-15EXなどを挙げていたが、最終候補に残っているのはラファールとF-15EXだけで、仏メディアも最近「ダッソーは今年最後となるラファールの契約をまだ諦めておらずインドネシアとの交渉が現在も続いている」と報じていた。

ただボーイングがインドネシアにF-15EXを正式に提案したり交渉を行っているのかほぼ情報がなく、インドネシアは昨年末に一度ラファール導入に関する契約を締結(条件を満たせなかったため発効に至っていない)しているので空軍の本命はF-15EXではなくラファールだと思われるが、インドネシアの戦闘機調達が遅々として進まないのは調達資金の確保に目処がつかないためだ。

出典:U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Alexander Cook AtlanticTrident21に参加中のラファール

インドネシア軍の装備調達資金の大半は調達先政府から融資もしくは政府発行の債務保証による海外金融機関からの調達で賄われており、前者の場合は比較的スムーズに話が進むが後者の場合はインドネシア財務省が債務保証の発行をゴネるので中々話が先に進まないケースが多い。

因みにラファールの契約は後者の方式で進められているため昨年末に締結した契約は紙屑になっており、一体いつ正式な契約に辿りつけるのか謎だ。

関連記事:仏メディア、ダッソーは今年最後となるラファール受注契約を諦めていない

お知らせ:読者の方にとって煩わしいとは思いますが、今後コメント欄に書き込むためには投稿者の名前(ニックネームでOK)とメールアドレスの入力が必須になります。

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Ethan Wagner

実戦配備が遅れていた米空母フォード、遂に兵器運搬用エレベーター問題が解決前のページ

海警法で武器使用を容認した中国、中国海軍の056型コルベットを中国海警局へ移管次のページ

関連記事

  1. インド太平洋関連

    ADEX 2023、現代ロテムが新型装甲車やK2のアップグレードを披露

    現代ロテムはADEX 2023で30トン級装輪装甲車、海外輸出を狙った…

  2. インド太平洋関連

    大鉈を振るう可能性、豪政府が次期歩兵戦闘車の結果発表を来年に延期

    豪政府は発表が遅れていた次期歩兵戦闘車の最終選定結果について「現在進め…

  3. インド太平洋関連

    豪州が詳細な原潜調達計画を2023年に発表、暫定的な潜水艦導入の是非も

    オーストラリアのマールズ国防相は15日、米国と英国のどちらから原子力潜…

  4. インド太平洋関連

    タイ海軍、中国製潜水艦の調達をキャンセルしてフリゲート艦を発注予定

    Bangkok Post紙は「タイ政府は海軍が要請していた中国製エンジ…

  5. インド太平洋関連

    ロシアと韓国が軽戦車で競合、インド陸軍は125mm滑腔砲搭載のスプルートSDを希望か

    インド陸軍が発行した軽戦車のRFI(情報提供依頼書)回答期限が迫る中、…

コメント

    • 新・にわかミリオタ
    • 2021年 12月 24日

    >オーストリア空軍の中古タイフーン
    >後者の場合はインドネシア財務省が債務保証の発行をゴネるので中々話が先に進まないケースが多い。
    >昨年末に締結した契約は紙屑

    そういえばオーストリアのタイフーンが気になるって言ったりしてたこともあったなぁ。
    記事とは関係ないけど、日本は大丈夫なのだろうか。
    もがみ型を現地生産するってなっても、一悶着ありそうな雰囲気がする。
    せっかく契約したのに、紙屑になるなんてことにも、、、

    18
      • 尾翼
      • 2021年 12月 26日

      流石に新幹線で散々やられて、国民からも叩かれたんだし、備えてると思いたい。

      4
        • 新・にわかミリオタ
        • 2021年 12月 26日

        同感です

        2
    • もり
    • 2021年 12月 24日

    やはり欧州機こそがアジアを救う

    3
    • 山中あそぶ
    • 2021年 12月 24日

    韓国のF-Xで最終審査がラファール対F-15Kでしたね。総合評価はラファールが高かったが、採用はF-15。
    あれはきっと日本がF-15を運用していたのを長年妬んでいて、実より名を取ったんだろうと思ってました。
    採用後早速F-15Kで竹島上空を飛んでましたね。

    インドネシアの場合はフランスに価格などで譲歩させるためのブラフにF-15EXを挙げたような気がします。
    とは言え譲歩が無かったらあっさりF-15に乗換える位の無節操をやりかねない、あの国なら。

    3
      • 幽霊
      • 2021年 12月 24日

      単純に米軍と共同作戦を取るからでは?
      韓国も日本もそうですが、アメリカ軍と共同で戦うことを前提に装備を整えているのですから装備を整えるならアメリカに合わせるのは仕方ないと思います。

      16
        • 名無し
        • 2021年 12月 25日

        ただインドネシアの場合、韓国と違ってオージーとバチバチの恐れありますからね。
        アメリカが間違いなくオージー取る事を考えたらラファールの方が供給的には安全かも

        16
        • 山中あそぶ
        • 2021年 12月 25日

        それなら最初から

        >インドネシアはロシア、トルコ、韓国といった国に装備調達先を分散させており

        という事はしないだろうし、F-15(EXかどうかはともかく)も候補にしてたはずだけど、今月(ラファール契約の期限)になって急にですからね。ましてSu-35は対米共同作戦を重視するなら最初から検討しないでしょうし。

      • 名無し
      • 2021年 12月 25日

      あの時期のラファールってレーダーとか弱いって言われてタイフーン以下の評価だったような

      5
    • tarota
    • 2021年 12月 24日

    この二機はどちらもカッコイイから悩むよな
    性能はともかく政治的には反中の烙印を押されかねないからフランスの方がやりやすいのかな

    8
      • 名無し
      • 2021年 12月 25日

      オーストラリアとの関係考えると今からF15FX買っても、アフターサービスどの位されるか疑問な点はあると思いますよ。B21とかが全て中国向けで終わるとも思えない

      5
    • KAMO
    • 2021年 12月 24日

    F-15EXって搭載する電子部品の枯渇があった筈ですが、インドネシア的には導入が後回しになっても良いのか、何か別の代用品を搭載するんでしょうかね?
    米軍向けのF-15EXを融通するんですかね。

    2
      • もり
      • 2021年 12月 25日

      だからこそラファール本命なのでは

      9
    • 334
    • 2021年 12月 25日

    米帝戦闘機はオワコン
    時代は””ラファール””なんだよなぁ

    1
    • ブルーピーコック
    • 2021年 12月 25日

    有利な条件を得るための駆け引きなのか、記事にあるように財務省が首を縦に振らないだけなのか分からんな

    1
      • 無無
      • 2021年 12月 25日

      島国インドネシアにとって、実のところ軍備の問題は緊急ではない、
      近代国家として立ち上がる前提としてのインフラ整備や教育など、取り組むべき課題はいくらもある、こちらも、江戸時代から文明開化の明治に移行するときに財源に苦しんだのはよく知られてる、今も世界のスピードはあの当時と変わらず速い、次々と投資すべき軍以外の課題が生まれる
      中国やオーストラリアを無視は出来ないが、今は小競り合い以上の問題に発展する状況でないことはインドネシア本人が判ってるよ
      面積が日本の五倍、人口が二倍強、石油も出る。あとは国土を生かし人間を育てたらとんでもない大国になると思わないか、
      軍備を最優先した国の結果は、敗北した大日本帝国とか、最貧国の北朝鮮しか見当たらないんだがね

      1
  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  2. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  3. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
  4. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  5. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
PAGE TOP