インド太平洋関連

KC-46AとA330MRTTが競合か? インドネシア政府が空中給油機導入に必要な資金調達を承認

インドネシア空軍は以前から本格的な空中給油機の調達を計画していると噂されていたが、英国のジェーンズはインドネシア財務省が空軍に対して空中給油機を調達するため最大7億ドルまでの海外融資取得を承認したと報じて注目を集めている。

参考:Indonesia approves USD700 million in foreign loans for aerial tanker buy

本格的な空中給油機の調達承認は最近確認された軍の近代化に13兆円を投資する計画の一部である可能性が高い

インドネシア空軍にはプローブ・アンド・ドローグ方式の空中給油に対応したKC-130Bを運用しているのだが保有するF-16が採用するフライングブーム方式に対応しておらず、F-15EXやF-16Vなどフライングブーム方式にしか対応していない航空機材の導入も噂されているため両方の方式に対応した本格的な空中給油機の調達を検討していると言われてきた。

しかし調達資金の確保に成功したとの情報がなかったためインドネシア空軍の空中給油機調達は忘れ去られていたのだが英国のジェーンズは21日、インドネシア政府から財務省と国家開発計画省が発行した文書の提供を受けて空中給油機調達に必要な融資(最大7億ドル/771億円)の取得を承認をしたと報じており、ボーイングのKC-46AとエアバスのA330MRTTがインドネシア空軍の空中給油機需要を巡って争うことになると見られている。

出典:U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. Abigail Klein KC-46A

こういった案件の場合は性能や調達コストよりも資金調達のプランが優れている方に軍配が上がることが多いでボーイングとエアバスのどちらが受注を獲得することになるのかは謎だが、流石にKC-46Aは不具合続きでお世辞にも評判が良いとは口が裂けても言えない状況で、一方のA330MRTTは特に不具合に関する問題もなく世界初となる自動空中給油システム「A3R」の実用化も控えており調達機種の選定が早く始まればA330MRTTの方が優位(数年後に機種選定が行なわれるならKC-46Aの不具合も完治しているかもしれない)に立つのではないだろうか?

関連記事:米空軍が新しい空中給油機の調達方針を発表、KC-46AとA330MRTTが再び競合か
関連記事:KC-46Aに新しいカテゴリー1の欠陥が発覚、ボーイングの累計負担額は5,500億円を突破
関連記事:国防予算が約1兆円のインドネシア、今後3年間で13.7兆円を軍の近代化に投資か

告知:軍事関係や安全保障に関するニュースが急増して記事化できないものはTwitterの方で情報を発信します。興味のある方は@grandfleet_infoをフォローしてチェックしてみてください。

 

※アイキャッチ画像の出典:AIRBUS

HGV迎撃で最も重要なのはセンサー、米ミサイル防衛局が極超音速滑空体の迎撃コンセプトを公開前のページ

米海兵隊、水陸両用戦闘車や無人水上艇にイスラエル製のカミカゼドローンを統合次のページ

関連記事

  1. インド太平洋関連

    F-22の設計に携わった天才韓国人、米軍事技術を不正流出させた罪で起訴

    米国の第5世代戦闘機F-22Aの武器制御システムの設計責任者を務め「天…

  2. インド太平洋関連

    香港メディア、北朝鮮の弾道ミサイルは慣性誘導以外にロシアのGLONASSを使用

    サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)紙は18日、北朝鮮の弾道…

  3. インド太平洋関連

    タリバン、アフガニスタンからの撤退期限8月31日はレッドラインで延長は認めない

    英国は米国にアフガニスタンからの撤退期限を延長するよう要請しているが、…

  4. インド太平洋関連

    韓国、A-10 サンダーボルトⅡ主翼製造に続き「機体整備」を約231億円で受注

    米国防総省は12月9日、在韓米軍に配備されている攻撃機「A-10 サン…

  5. インド太平洋関連

    クアッド同盟の布石、インドが日米印3ヶ国の共同演習に豪州招待を発表

    インド国防省は19日、米国が提唱するクアッド(QUAD)同盟の布石にな…

  6. インド太平洋関連

    タリバン支配に北部同盟が立ち上がる、旧政府軍や治安部隊をパンジシール渓谷に集めて抵抗を宣言

    憲法の規定に則り正当な暫定大統領だと主張するアムルッラー・サレー氏(元…

コメント

    • 匿名
    • 2021年 6月 22日

    インドネシアの財務省って、予算をくれるんでなくて借金の承認をする役所なんですか
    オイラには謎すぎて

    1
      • 匿名
      • 2021年 6月 22日

      インドネシアは資源も豊富で、足りない資源は隣のオーストラリアが持ってるってあたりはインドより優位かな
      人口も多いし人件費も安く、実は欧州企業の工場が結構進出してる

      将来的には結構有望視されてるお国
      資源や製品が供給過剰でもあるし、盛大にコケるかも知れんけど

      1
    • 匿名
    • 2021年 6月 22日

    仮にKC46の不具合が全くなかったとしても、インドネシア最大のエアラインで毎年のように墜落事故で機体を大破させているライオンエアと国営で賄賂や密輸が趣味でCEOが犯罪者ばかりのガルーダインドネシアもA330ファミリーを採用しているから、普通に考えてA330MRTTになるが、
    ボーイングが数億ドルぐらいインドネシアに落とせばワンチャンあるかもしれんが、今の経営状態的にたった数機の契約のためにそこまでする余裕なさそうだからA330で確定じゃないですかね。

    13
    • 匿名
    • 2021年 6月 22日

    KC-46Aがいいと思うよ!(道連れを探す目)

    13
      • 匿名
      • 2021年 6月 22日

      不良品つかまさせると大騒ぎするお客には売らないんじゃないかなあ

      1
        • 匿名
        • 2021年 6月 22日

        その辺は大臣に山吹色の菓子を送ればどうとでもなるんじゃないかな

        2
        • 匿名
        • 2021年 6月 22日

        優秀なエアバスを導入しても同じ結果になりそうな予感
        だってインドネシアだもん

        10
    • 匿名
    • 2021年 6月 22日

    不具合云々を置いておいても、インドネシア国内キャリアに、A330を運用するキャリアはいてもB767を運用するキャリアがいないので、普通に考えればA330MRTTを採用するであろうという結論になる

    8
    • 匿名
    • 2021年 6月 22日

    小さな改良程度ならともかく
    新しい兵器の購入はアメリカで制式採用されるまで手を出すべきではない
    うちの国は改めて教訓にすべきだな
    逆にF35のような共同開発は
    最悪完成に至らなくても金と人だしとく方が良い
    1つの案件で長く関係するから外交的には購入より案外おいしい

    7
    • 匿名
    • 2021年 6月 22日

    KAI「KC-Xの出番だ」

    3
      • A
      • 2021年 6月 22日

      意外とワンチャンあるかもよ。

      6
        • 匿名
        • 2021年 6月 22日

        量産開始時期が2033年頃な上、今はまだ形すらもない輸送機の派生型なんて、開発国関係なくノーチャンだよ

        3
    • 匿名
    • 2021年 6月 22日

    A330にKC-46Aが勝てる要素が見つからない

    6
    • 匿名
    • 2021年 6月 22日

    インドネシア「資金は調達したが、払うとは言ってない」

    7
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  2. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
  3. インド太平洋関連

    米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を…
  4. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
  5. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
PAGE TOP