無人航空機(UAV)の開発・製造大手のイスラエル航空宇宙産業(IAI)は今月1日、アジア地域の異なる2ヶ国に徘徊型無人航空機「ハロップ」を提供すると発表した。
参考:IAI to Provide Loitering Munitions Systems to Asian Countries in Deals Worth Over $100 Million USD
ついにアジアの海にもイスラエル製徘徊型UAVハロップが持ち込まれる
イスラエル航空宇宙産業のプレスリリースによれば今回の契約は徘徊型無人航空機「ハロップ」をアジア地域の異なる2ヶ国に陸上発射型と海上発射型をそれぞれ供給するという内容で、契約総額は1億ドルを超えると説明している。
この無人航空機は自爆型またはカミカゼドーロンとも呼ばれているタイプで、戦場の上空を長時間うろつくように飛行して戦場環境の認識力を向上させる情報収集を行いながら標的を捜索して自爆攻撃を仕掛ける比較的小型のUAV(最大速度416km/最大高度4,500m/通信距離200km/滞空時間9時間=航続距離換算で約1,000km/RCS0.5㎡/弾頭重量16kg/着弾誤差1m以下)だが、同機は異なる2つの誘導方式は備えているのが最大の特徴だ。

出典:Julian Herzog / CC BY 4.0 徘徊型UAV「ハロップ」
1つは一般的な電子光学センサーで捕捉した目標への誘導方式で、2つ目は対レーダーミサイルにも採用されている敵レーダーが輻射しているレーダー送信波や通信信号を受信して発信源にUAVを誘導する方式だ。特に後者の誘導方式は敵防空システムのレーダー破壊に効果的と言われており、同種の兵器をアゼルバイジャン軍がナゴルノ・カラバフ紛争で使用してアルメニア軍の防空システム破壊に効果的だったと言われている。
IAIによれば海上発射型のハロップは艦艇の指揮官に独立した情報収集、目標の脅威評価、攻撃手段を提供することが可能で艦艇の主要兵器である対艦ミサイルを補完する要素になるだろうと主張しており、ついにアジアの海にも徘徊型無人航空機が持ち込まれるという意味で非常に注目度が高い。
恐らく陸上発射型ハロップはインド向けだと推測(2019年にインドはハロップ54機の調達を決定している)されるが、問題は海上発射型ハロップをアジアのどの国に売ったのかだ。今のところ全く情報はないが恐らく管理人予想ではIAIから兵器調達実績のある韓国、インドネシア、フィリピンあたりが海上発射型ハロップを調達したのではないかと予想している。
因みに米海軍は艦艇が海上で無人航空機による攻撃やスウォーム攻撃を受ける可能性を想定して、新たに開発した外付け用の電子戦モジュール「AN/SLQ-59」を優先的に日本を拠点として活動する第7艦隊所属艦艇に装備(中国のUAVを警戒している)させており、アジアの海にも徘徊型無人航空機が持ち込まれ始めたため海上自衛隊も艦艇の無人航空機対策を急ぐ必要があるだろう。
※アイキャッチ画像の出典:Israel Aerospace Industries
これ、ナゴルノ=カラバフがそうだったように、先進国クラスの国には通用しないやつでは?
クソ鈍足な時点でCIWSに打ち落とされて終わりっていう
なんでそんなに単純に割り切るの?ハロップVSイージス艦で考えるんじゃなくて戦術の選択肢を増やす意義が重要なんだよ。
CIWSに打ち落とされて終わりなら米軍がわざわざ新しい電子妨害システムを優先的に第7艦隊になぜ配備してるのか説明がつかない。
回収して使い回しの出来ないハロップなんて鈍足なミサイルでしかないんだから選択肢は増えないってかむしろハロップ積む分他のミサイルを積めなくなるんだから邪魔でしかないと思うぞ
米軍の電子戦システムは沿岸で地上から撃たれるのを警戒してんじゃないかな?
イージス艦以外でもCIWSなんて普通に装備されてるんですがそれは
CIWSなんて1艦あたり2、3基ていどの搭載数でしょ。
搭載数の倍以上のドローンが、同じタイミング、異なる軌道で
体当たり攻撃を仕掛けてきたら、さすがに撃ち漏らすと思う。
それわざわざ鈍足で迎撃容易なドローンなんかでやるより対艦ミサイルでやった方が効果的だと思うぞ
確かに対艦ミサイルの方が効果的でしょう。
UAV有利なのはまず安価というところでしょう。
しかも自立で徘徊するっていうところが利点なんでしょうね。
でも弾頭が16㎏ってのは対艦用としてどんなもんなのかな?
手こずる海賊への対策とか、支那の人工島への嫌がらせとかには使えるかな
ヘルファイアを対舟艇用で使うことがあるけど、あれが弾頭8kgだから、2倍くらいかな。
ただ、ヘルファイアは成形炸薬弾で舟艇自体の撃破が目的だけど、こいつはHEで破片散らして薄く広範囲に破壊をもたらすタイプだろうから、船に命中しても全然沈められないと思うよ。
船を沈める能力ないけど、代わりに船のレーダーアンテナを損傷させる。
船を沈めるのは、第二波の対艦ミサイル。
レーダー損傷してる場合、ステュクスとかシルクワームとかの骨董品級第一世代対艦ミサイルですら、本当に深刻な脅威になる。
第一波は目つぶしに専念して、本格的に掃討するのは第二波というパターン、みんなナゴルノ・カラバフで散々見た(聞いた)でしょ。
ハロップじゃ戦闘艦の防空システムを突破できんだろうからレーダー破壊なんて無理でしょ
艦に積める武装には限りがあるのにわざわざミサイルの代わりにハロップを積むメリットがあるようには思えん
そもそもハロップは地上のレーダーサイトを徘徊する目的で作られたアンチレーダードローンなんだが
それが?
低高度を亜音速で飛行するミサイルと中高度をプロペラで低速で飛ぶハロップとどっちが迎撃が簡単かなんて考えずともわかるだろ
ミサイルよりデカくて嵩張る上に対艦ミサイルと対して値段の変わらないハロップをわざわざ艦船に積んで海戦に持っていくメリットはまず無いと思うね
まさかゲーム感覚でレーダーで捉えた目標はモニター上で恒常的に追跡出来るとか思ってんのか?
大雑把に言えばミサイルを当てるためには相手のミサイルも受ける覚悟がいる。
相手の行動予定範囲内にハロップ撒いて逃げる分にはそのリスクはない。
性格的にはミサイルよりも機雷に近くかつ機雷よりははるかに効果範囲の広い兵器、だと思った方がいいよ。
「ベタベタのシースキミングで待機して、『見えた』瞬間突っ込んでくる」だけで
「下手な鉄砲」とは呼べないくらいの脅威でなおかつ数も撃てる訳で艦の規模を問わず十分にいやらしいと思うけどねぇ。
P-1やあさひ型は露頂した潜望鏡を監視するXバンドAESAを装備しており、低速で徘徊するドローンを発見するのがそれほど難しい事とは思えません。
ベタベタのシースキミングと言っても、波浪の高さプラスアルファの高度が必要です。
海中に潜む機雷の方がずっと発見が困難で、かつ炸薬量も桁違いであり、はるかに危険で厄介な相手です。
船にとって機雷が一番厄介なのは自明でしょ。
ただ機雷は副作用も大きいから使い難いけど、海上ハロップならまともに運用すればその心配はほぼ皆無な訳で、両者は比較できる類のものではありません。
つかここでの話題は「海上ハロップが兵器として値段なりに有用か?」という話であって本邦に限定した話ですらないのに、
「本邦が世界に誇る最新鋭艦・哨戒機を投入すれば対応できますよ」ってそれに何の意味が?
しかもそれだけの装備を振り回させられる時点でUAVの戦果としては十分なんですよ。
その間にそれらが本来対応すべき潜水艦が好き勝手できる訳ですから。
しかも、同量の炸薬でも、空中より水中の方が威力が上だし。
アゼルバイジャンはイスラエルがバックについてた上に産油国で金もあったって特殊条件だったから湯水のように使えただけで対艦ミサイルとたいて変わらない値段の上に発射したら回収再利用もできないハロップを適当に大量にばら撒くなんて使い方出来るわけないだろ
しかもやったところで9時間しか飛んでられないだぞ。たった9時間特定の海域を封鎖するために1発1億円以上するハロップを使い捨てにするのか。
なんで「まんま機雷の代わり」をさせようとするのか…
対艦ミサイルとして使うなら対艦ミサイルの方が、機雷として使うなら機雷な方が優秀なのは当たり前でしょ。
そんな高度な攻撃を出来る類の兵器じゃないよ
それは記事の最後に書かれてるスウォーム攻撃で、それを自律的に実現する無人機やミサイルはまだ存在しない
泥縄では間に合わないから開発してるだけだし、もっと言えば自分達でも開発してる兵器の対抗手段はそりゃ同時に開発するでしょって話でしかない
艦隊艦ミサイルと併用して飽和攻撃に用いるんじゃね? 何機か海域に滞空させておいて目標の艦隊に向けて一斉に突っ込ませるみたいな
あとは強襲揚陸作戦の支援要員かね、中国が所持したら台湾にとっては相当な脅威じゃねーかと
台湾海峡でしたら中国本土からカミカゼドローンを飛ばせますので、水上用は不必要だと思います。
中国は過去にハロップをリバースエンジニアリングして既に保有していますし、ハロップ以外のカミカゼドローンも開発して運用しています。
また、中国は退役した大量のJ-6を無人機化してカミカゼドローンに改造しているので、台湾有事の際は台湾海峡を大量のカミカゼドローンが飛び交うことになります。
因みに、Jー6の無人機化という情報のリソースは何処にありますか?
どうぞ。
Meet China’s new-old killer drones
リンク
ありがとうございます!
CIWSは射程距離短いし、まっすぐ突っ込んでくる飛翔体を想定しているので、速度が遅くてもバレルロールのような立体的な回避機動取られると当たらないという欠点がある。
いくら高性能でも所詮20mmガトリングだから小さいUAV相手に完璧な迎撃は不可能だね
UAVより正面投影面積を小さいものを迎撃する兵器なんですがそれは
対艦ミサイル(シースキマー)だって、迎撃回避のために機動しますよ。しかも亜音速で。
CIWSが「まっすぐ突っ込んでくる飛翔体を想定」しているなら、今の対艦ミサイルには全くお手上げと言うことになりますけど、まさかそんなはずはないでしょう。
ちゃんと記事読んでる?弾道重量から見てCIWSなど積んでない小型艦艇だの民間船への攻撃に用いるサイズだと察してよ(笑)
好き嫌いで現実を否定しないように
感情論では論理に勝てないからね
そんなサイズでも複数被弾したら戦闘能力奪われるし、それが可能な兵器だと読めますが…
軍事で根拠のない楽観論ほど無駄なものはありませんよ。
楽観じゃなくて客観だよ、
それこそマジもんの軍艦襲えば電波妨害の餌食だし、自律型で直に艦橋まで狙えるもんか、そこんとこまでわかんないだろ
弾頭重量16kgなら炸薬量は数kgといったとこでしょう。
ハープーンなら炸薬量は100kgです。
確かに多数ぶち当てればそれなりの効果はあるでしょう。
でも、それなら炸薬量は数十倍、速度も数倍の対艦ミサイルを1発当てる方が、はるかに合理的じゃないですか?
今も昔も補給線を狙われ兵站が滞ったら作戦行動できないっぺ
でもこれの本丸は捨て身の威力偵察の能力だろうけど、それは船の大小・武装の高低によらず嫌なもんでしょう
そうか!
このUAVは補給線を狙っているんだ。
教えていただいて感謝します。
>管理人予想ではIAIから兵器調達実績のある韓国、インドネシア、フィリピンあたり
韓国は色んな意味で嫌だなぁ。
韓国の場合ならば、北の工作船や舟艇による奇襲対策と見ていいし、それは納得の装備
海自相手に16キロの弾頭じゃあ威嚇にしかならんよ
着弾誤差±1mあるし艦橋なんか狙われたらお陀仏ですなあ。
艦橋は痛いけどお陀仏とか無いよ、沈むはずもない
それなりの軍艦はある程度装甲された中央指揮室でコントロールされてるし、尖閣に小型艦艇派遣はしてないだろ
艦艇にはECMもある
根拠なく危機を盛り上げないでくれ
地上型ハロップの攻撃目標はレーダーサイトなんだが
掩蔽壕に守られたレーダーサイトでも少量の炸薬でレーダー潰されたら機能喪失するように
艦橋が無事でもレーダー潰されたら艦橋機能はほぼ全滅だろ
海上発射ってだけで対艦に使わないといけないわけではない
対馬防備隊あたりには相当な脅威になる
自国の制式小銃をAKからガリルACEの7.62×39バージョンに変更し、特殊部隊向けにタボールを導入したベトナムはハロップを採用しないのかな?
ハロップって見た目がかっこいいよね
前進翼SFチック震電
我が国は、研究用にでも買わないのか?
ちゅうか国産をやって欲しいよ、これは離島防衛にも使えそう
島内の秘匿基地から発進させれば上陸舟艇なんぞ撃破できる
つ96式多目的誘導弾システム
ちなみに、現在射程延長やシステムの小型化等を施した改良型を開発中だ
ドローンは遥かに長距離からの攻撃が可能で、しかも目標を偵察し選別してから攻撃できる
ミサイルの出番はドローンのあとになるだろう
離島防衛用にゲリラ的な運用が出来るのでは…と、思う。
まぁ、イスラエルのことだからさらなる改良や発展型の開発に協力させられると思うけどね。
自衛隊は無人機に対抗する電子戦装備の研究をしてたと思うのですが、こういうドローンには対抗できないのだろうか?
管理人の推測以外にも、台湾やマレーシア等もなくはない感じ
21世紀は土地だけでなく海の争いが熾烈になること確実
UAVを操作・誘導している電波に対して強力な電波でジャミング妨害すると
今度はその電波発信源にハロップが飛んでくるわけか
対応する側にとっては嫌な仕掛けだな
妨害電波がHPM級の強烈なモノの場合、それに耐えられなければ電子回路を焼き切られて落ちますけどね
ハロップのHPM耐性は分りませんが
オーストラリアも粗大ゴミみたいな潜水艦に捨てた大金を
この分野に投資していれば良かったのにね
無人機なら、投資してるよ。
実働がボーイングさんなので、不安もありますが。
東南アジア市場であれば対ゲリラ用途として十分需要はあるかと
疑問なんですがこれを日本近海の公海上で他国の船(民間船、軍艦、公船)が射出して護衛艦(公海上)を情報収集できる距離に徘徊させた時は護衛艦はどうするんでしょうか?
この手のものはミサイル等と同等と見て迎撃するのかそれとも偵察として黙認するのか興味深いです。
平時における各国海軍でのルールに含まれてないかもな、取り決めを急がないと飛行させただけで攻撃と見なされる恐れが高い
爆弾なんだし
面倒なグレーゾーンの一つになりそうですね。
いくら低破壊力しかないとしても、命中すれば現代兵器のキモである電子装備を損傷させることはできそうなので、できることならば遠距離で徘徊している時点で撃墜したい。
しかし撃墜した時点で、中共が[非武装の偵察機を自衛隊が撃墜した]と宣伝工作をしてくるのも予想できる。非武装かどうかの裏付けが第三者では取れないので、いくらでも言い放題‥場合によっては日本が中共に宣戦布告したと誣告されかねない‥
1千万以下なら数打てるが、対艦ならSSMで十分だと思うわ。
射程 射高 近接信管。CIWSとかより30mmや40mm積んでほしい
いや、これは威嚇のための兵器なんだよ。
一般の商船や漁船・調査船などが特定の海域や島に近づかないように頭の上をうろつかせる。
腹が立って発砲でもしたら、通報したのち、カミカゼアタック。
発射した船は近くにいるけど、あえて手を出さない。
まさに中共の海警法の申し子のような兵器だな。(これはイスラエル製だが)
16㎏の爆弾が乗っかるということては携帯SAMが乗るのか。のこのこと機銃で落とそうと近づいたら横から反撃を食らう可能性が無きにしも非ずと。
売ったって言っても沿岸海軍向けでしょ
最初から対艦ミサイル防御を考えている高性能なブルーウォーターネイビーの戦闘艦と戦えると考えてはいない