豪ABC NEWSは29日「日本は入札に勝利するため自国よりもオーストラリアを優先すると誓った」「日本の提案を受け入れればオーストラリア海軍は海自よりも先にもがみ型改の1番艦を入手できる」と報じ、日本は「自国発注分を潜在的な顧客に譲る」というアプローチを採用したようだ。
参考:Japan vows to prioritise Australia over its own navy with new Mogami warships
この手の武器取引において「自国発注分を潜在的な顧客に譲る」というやり方は珍しくない
アルバニージー政権は海軍再編に関する分析結果を昨年2月に発表、この報告書は政府に「水上艦戦力を2倍に増やせ」と求めており、具体的にはハンター級フリゲートの取得数を9隻→6隻、アラフラ級哨戒艦の取得数を12隻から6隻に削減し、有人運用も可能な大型無人艦(6隻)と汎用フリゲート(11隻)を取得するよう勧告。

出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Holly L. Herline
アンザック級フリゲートの後継艦を想定した汎用フリゲート取得は「Project Sea 3000」や「GPF Project」と呼ばれており、最終的候補に残ったのは日本が提案する令和6年度型護衛艦(以降はもがみ型改と表記)と、ドイツが提案するMEKO A-200、オーストラリア海軍が採用するSaab製戦闘システムと国産レーダーを統合したMEKO A-210(もしくはA-200)で、ABC NEWSは29日「統合幕僚長の吉田陸将が『もしオーストラリアがもがみ型改を選択すれば海自よりも豪海軍のニーズを優先する』と述べた」と報じている。
海自はもがみ型改を12隻取得する計画で、1番艦と2番館の就役を2028年度に予定しているが、日本は「オーストラリアがもがみ型改を選択すれば2029年までに3隻を引き渡せる」を説明しており、吉田陸将もABC NEWSの取材に「海自はもがみ型改に関するオーストラリアのニーズを優先すると明言している」「海自はもがみ型改が選択されれば配備計画を延期してオーストラリア配備を優先する」と言及。
そのためABC NEWSは「日本は入札に勝利するため自国よりもオーストラリアを優先すると誓った」「日本の提案を受け入れればオーストラリア海軍は海自よりも先にもがみ型改の1番艦を入手できる」と報じており、この手の武器取引において「自国発注分を潜在的な顧客に譲る」というやり方は珍しくなく、日本も入札に勝利するためには「これまでのやり方では難しい」「顧客のニーズに合わせる必要がある」と考えているのだろう。
但し、日本のメディアや世論は「国際的な武器輸出」や「激しい競争に晒される入札」への理解が不足しているため、自国発注分を潜在的な顧客に譲るというアプローチに否定的な感情をもつかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:Mitsubishi Heavy Industries, Ltd
自国分よりオーストラリアを優先するというは政治的に難しいのではないかと思う。
少数与党かつ連立相手の公明党はそもそも武器輸出反対派だし、野党でも立憲、共産、れいわと反対派揃い。
この状況で政治的決断が必要な事は難しいのではないかと。
統合幕僚長はどういった根拠で優先できると発言したのか気になりますね。
国内政治的には自民国民維新で余裕で過半数超えるから大丈夫だろう
統幕としては自衛隊として喫緊で配備を急がなければならない理由はないってだけかと
現在の公明党は防衛装備輸出について慎重というだけで反対ではありませんよ。GCAPについても輸出はある程度容認しています。今の国会の流れを見ると、立憲とは議論をすれば充分に折り合いはつけられそうに見えます。
個人的には是非積極的に実施して欲しいですが
既に06FFMとして2隻分の予算措置が始まっているので、これを転用し輸出するとなると法的根拠をどうするのかが問題になりそうですね
法的回避策を下手すると三菱重工業に横領だとかの嫌疑が掛かりかねない事案な気が・・・
法的には納品する前の物は三菱重工の持ち物なのだから流用して遅れても通常の納期遅れと同じでしょ
逆にどういう理屈で横領になるのか
2024年度予算でMHIがすでに契約して着工している場合、確かにMHIは契約履行中となりますが
官責による契約解除という手があるので、契約手続き的には全く問題ないですよ。
むしろMHIが着工済みの場合、補償を要求する権利が発生しますが、そこはトップの話し合いでなしとするのでしょう。
個別契約書は見れませんが、共通仕様書は装備庁や補給本部のHPで公開されています。
防衛省・MHI合意の上で仕様、納期、納入先等の契約内容を規定の手続きに従って変更すれば国内的には全く問題無しかと。
自国分には改装の過程で得られたもののフィードバックの反映が可能だし、価格も抑えられる可能性もあるので、少なくとも従来の最上型も就役している状況であれば極端に急がなければならないわけではないのだから、取引のノウハウの蓄積や上記のメリットのことを考えてさきに譲ること自体はありなのでしょうが‥政治と商売は別物ですから一悶着あるのかもしれませんね。
行政側の予算執行の裁量の範囲のことで、国会はあまり関係ないのでは?
金剛型みたいなこともできますかね
他国向けで実験
兵器輸出相手がオーストラリアなら
国内の反対はそこまでじゃないと思いますね
平和な国ですし
日本の本気度が伝わって良いニュース!
もがみ改かmekoになるか決まるのは4月だったっけ?
今から楽しみやいね
オーストラリアの契約が成功すれば武器輸出の大幅な飛躍だけでなく、日本がフリゲート分野での優位を確固たるものにできます。気になるのは豪海軍に海自より先に納入されて課題の洗い出しをスムーズに行えるかでしょうか。
すいませーんアメリカ海軍ですけども、コンステレーションまーだ時間かかりそうですかね?
素直にアーレイ・バーク級を追加生産とオーバーホールすれば良い。
このエントリで、昨今の海自の艦船調達の実績を復習してみたのですが、同型であろうと、次々に仕様を変更してアジャイル造船かよって勢いでいろんな艦を作ってんですよね。
オーストラリアのわがまま仕様・納期要求にちゃんと対応できるのって日本くらいだけなのではっていうのは思い上がりすぎですかね。
アジャイル造船(^_^;) 良いね、会社で色々使えそう。アジャイル指示とか、アジャイル会議とか💦
>>同型であろうと、次々に仕様を変更して
そんなに仕様変えてるやつ有りましたっけ?
トランプ大統領がオーストリアに、アメリカと同じコンステレーション級を導入せよ
さもなくば関税だ、と要求するのでは
トランプ政権の地理感覚なら本当にやるかも。
オーストリア?オーストラリア?どっちだよ
アメリカ合衆国からたくさん輸入し、アメリカへの輸出量の少ないほうが同盟国
オースト何とかがどこにあるかはしらんが
単年度で建造する3隻の内の1番艦がオーストラリア向けのシステムになる以外では、少なくともハード面は完全に同型艦になると思います
フィードバックが期待できるのはドック入りした時だけでしょう。既存のもがみ型12隻で変更箇所があると言う噂は聞いたことがないですね
良いね
コレくらい本気度を示さないと顧客も頷かないだろう
入札は戦争だからな
本気ですね
オーストラリアは軍備強化が日本の戦力アップにも繋がる準同盟国ですし、優先しても良いんじゃないですか
インドネシアへの護衛艦輸出協議も再開されましたし、ここは装備品輸出を軌道に乗せる為の踏ん張りどころ
もがみ型の就役ペースが早すぎて海自の海上訓練指導隊群での乗員の転換訓練が追いついてない節があるから、ぶっちゃけオーストラリアにフリゲート譲って就役計画遅らせても大して問題ないと思う。
もともと海自の艦船調達は他国に比べればハイペースだったので、建造ラインがちゃんと埋まるのであれば他国を多少優先してもゐ問題ないですからね。
日豪は外交関係が深化しているため、面白いチャレンジですね。
軍艦もネームシップ(1番艦)の採算が悪く、量産が増えれば固定費・研究開発費・設計費などが按分で軽くなるうえに、生産性が向上するため利益が大きくなりやすいです。
海事産業の育成にも繋がりますから、受注を目指して頑張って欲しいですね。
もがみ型の進水式の際に、オーストラリアの記者が書いた記事によると、艦のコントロール自体は20名で可能で、戦時には90名ではなく60名での運用を想定してるらしいので、改とは言え人員削減が有利に働かないですかね?
リンク
もがみ型改はもともと計画で1隻建造と2隻建造の年が有るので、見直せば戦力に大穴が開くことはないですね。それにしても3000トンフリゲートの代替で倍近く満載排水量が大きいもがみ型改を提案したり、日本は信頼できる筋から情報提供受けていたりするのでしょうか?
防衛産業の持続性にも繋がるし、大変良い方針かと思います
>「統合幕僚長の吉田陸将が『もしオーストラリアがもがみ型改を選択すれば海自よりも豪海軍のニーズを優先する』と述べた」
海軍としては陸軍の提案に反対である!
冗談はさておき、オーストラリア海軍と共通の艦船を装備できれば、整備拠点や資材、運用体系、場合によっては人員まで共用できるからおトクよね
今の内閣でそんな判断出来るかなあ・・・?
オーストラリアってそんなに切羽詰まっていたかな?
キャンベラ級にF-35Bを載せてくれないかな。
いずも型護衛艦に載せて見せに行かないと駄目かな。
日本は本当にそう思っているのかな?。
対中共を考えた場合、必要になるのは日本も豪州も同時期とは想像しますが。
でも、豪州の国産品優先を考えると、
”オーストラリア海軍が採用するSaab製戦闘システムと国産レーダーを統合したMEKO A-210(もしくはA-200)”
に一票かな、と思います。
この間、オーストラリアの記者がもがみ型護衛艦10番艦「ながら」の浸水式参加した際に、インタビューして、もがみ型に関して結構衝撃的な言葉判明したんですよね、実は。
もがみ型の運用人数は90人想定ですけど、実は艦のコントロール自体は20名で可能で、戦時には90名ではなく60名での運用を想定をしてると言うインタビューが出てました。もがみ型改ではありませんが、MEKO A-210の半分以下、戦時機動なら三分の一の人員で運用可能なのは大きいんじゃ無いでしょうか?
統合幕僚長がそう述べたのなら、海自艦艇更新時期や乗組員配置計画で、戦力を維持しつつ遣り繰り可能と幕僚本部が判断しているということでしょう。
輸入になる3番艦までについては納期優先で国産品の搭載に拘らないという意向だったかと。時期を見て後日改修もできるわけですし。
国内建造になる4番艦以降は国内製造品に拘る可能性が高いとは思いますが、戦闘システムやレーダーに関しても日本製がより優秀と評価されれば技術移転を希望するかもしれません。
たかだかフリゲート数隻の自国分を「後に回す」だけでオーストラリアとの準同盟関係を強化できるならそっちのプラスの方が大きいでしょう。
何なら有事には有償で借りることだってできるでしょうし、整備インフラを整えとけばバックアップにもなります。
>何なら有事には有償で借りることだってできるでしょうし、
そういえば、第一次世界大戦の際に、英国から金剛姉妹の貸与が打診された様ですね。
豪政府が今年中に「もがみ改型」を次期フリゲートに決定すればスケジュール的には可能なんでしょう。
防衛装備移転三原則運用指針の規定で、戦闘艦輸出は相手国との共同開発が原則ですが、「もがみ改型」は2025年度起工ですので、艤装設計は日豪共同という形が取れれば建造スケジュール的にも問題無いです。公明党も疑義を挟む余地は無いでしょう。
完成が2029年になったとしても、一番艦就役は2030年という豪側要求を満たします。
輸出話しで盛り上がってるみたいだけど
30年度までに16艦が除籍になるからね
あぶくま型×6、27年度までに全艦
はたかぜ型×2、24と27年度までに
あさぎり型×8、27×1と28×3と29×3と30×1
しまかぜときり型は40年使用を想定しても上記で最大
ASEV×2と哨戒艦では埋まらんと思うよ
そこら辺海自はどう考えてるんですかね。あぶくま型は順次哨戒艦に置き換えられるとしてあさぎり型の後継としてはもがみ型が入るんでしょうか。はたかぜ型練習艦の公開としてはあさぎり型の延命措置かむらさめ型の早期退役か。
海自は令和13年度に建造予定の13DDXであさぎり型護衛艦を置き換えるつもりなのではないでしょうか。
防衛装備庁が発表した13DDXはAir Defense Destroyerに分類され、大雑把な主な特徴は以下の通りです。
①国産の高速高機動目標対応レーダー(Sバンド、Xバンドなどの複数の周波数帯を併用するなど、複数の次世代技術に対応した次世代型大口径AESAレーダー)
②アクティブレーダーホーミングやサイドスラスターなど、複数の次世代技術に対応した次世代型国産艦隊防空ミサイル
③アクティブレーダーホーミングに対応した短距離対空ミサイル
④艦載レールガン(60mm級?)
⑤艦載HPM兵器
⑥100kW級の艦載レーザー兵器
⑦HGVやHCMなどへの対処能力を持つ対空ミサイル(②で紹介したミサイル)
⑧FCネットワークなどによる統合火器管制
⑨AIによる情報分析&作戦提案能力を備えた、AIベースの護衛艦用新戦闘指揮システム
⑩電力貯蔵、高電圧配電、統合電力エネルギーシステム (IPES)
⑪生存性の向上 = 低被探知性 (低RCS, 低IRなど)
⑫EMW (電磁波兵器) 能力
⑬省人化 = 自律航法、自動化されたダメージコントロール・意思決定支援
⑭将来の拡張性 = ソフトウェアの標準化、ハードウェアのモジュール化
⑮IAMD (統合防空ミサイル防衛) 能力、クロスドメイン作戦能力
⑯スタンドオフミサイルの運用能力
⑰C5ISRT (指揮・統制・通信・コンピュータ・情報・監視・偵察・ターゲティング) および情報戦能力
⑱電子機動戦への対応
⑲持続可能性と強靭性
⑳高い機動展開能力
上記のように、新技術が山盛りで、もはや艦隊防空を担うDDGと言っても過言ではないですね。
海自は艦隊防空を担うイージス艦を国産設計のシステム艦に置き換えるつもりなんですかね?
イージス艦との役割分担がどのようになるのか気になるところです。
哨戒艦はミサイル艇隊の更新・増勢です。護衛艦ではありません。
護衛艦総数は25大綱、30大綱、防衛力整備計画を通し54隻で変化ありません。
去年だったか海自の新採が予定の50%という衝撃的な数字がありましたが、もがみ型みたいな省人力艦に切り替えていかないと立ちゆかないようになるんでしょうね。
無人艦隊の実装も我が国が早かったりして。
民間の基準で考えれば一旦当たり前か。
社内やグループ会社向けに開発した商品を広く外販するとして、
リソース割くのは外販分より元々の需要が優先ですなんて言ったら、
「御宅は商売する気あるの?」と言われるに決まってるものな。
メーカとかにとってはどっちもお得意先のお客様には変わりないが、
外から見たらそんなの関係なく、一体となった”日本側”として見られるし。
本記事添付のもがみ型/もがみ改型PR動画に示されていますが、「もがみ改型」の建造計画は年度当たり2隻ないし3隻です。2032年度に12隻全艦が就役予定になっていますが、これは防衛省から示された建造計画のはずです。
豪計画では2030年に1番艦就役ですから、2030年度までに就役予定の8隻中から最低1隻を豪州向けに割り当てれば良いことになります。ですから、海自配備計画の遅れは1~2年程度に抑えられます。
>「海自はもがみ型改が選択されれば配備計画を延期してオーストラリア配備を優先する」
という統合幕僚長発言はそういう意味でしょう。
我々側の造船能力は不足してる
これを契機に日本の造船が復興して同盟が強化されれば太平洋を守れる
日本は元々製造能力維持の為に早めに船を入れ替えてる感じだから海自的には計画に余裕があるのでは?
また、近年の無人機運用の急激な進展で将来運用艦艇にも改善の余地がある話ともなっているよね?
3隻程度なら順番を優先したとしても、より先進的で販売実績により調達コストも下げられるならば悪い話ではないと思う。
というか、総合的に見ればオーストラリア海軍の能力が低い方がシーライン確保のカバーで問題があるんだよね。日本は納期をしっかりやる方だけど、海外ってここら辺いい加減だし、性能的にも協調取りにくいのは嫌だろうしさ。