Breaking Defenseは豪州のフリゲート調達について14日「日本は知的財産権の共有が受注に繋がることを期待している。しかし、豪海軍で20年以上勤務した経験をもつアナリストは『フリゲート艦を豪海軍に迅速かつ効果的に統合できる能力が重要だ』と言う」と報じている。
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SEA3000を巡る戦いの争点は以前から言われている通り、戦略的パートナーシップの優先か、リスクを最大限排除する実績の優先か
アルバニージー政権は海軍再編に関する分析結果を昨年2月に発表、この報告書は政府に「水上艦戦力を2倍に増やせ」と求めており、具体的にはハンター級フリゲートの取得数を9隻→6隻、アラフラ級哨戒艦の取得数を12隻から6隻に削減し、有人運用も可能な大型無人艦(6隻)と汎用フリゲート(11隻)を取得するよう勧告。
アンザック級フリゲートの後継艦を想定した汎用フリゲート取得は「Project Sea 3000」や「GPF Project」と呼ばれており、最終的候補に残ったのは日本が提案する令和6年度型護衛艦(新型FFM)とドイツが提案するMEKO A-200で、SEA3000の勝者はクリスマス前に決定され、ABC NEWSの取材に応じた豪シンクタンク=Strategic Analysis Australiaのヘリヤー氏は「今のところキャンベラでは日本が勝者に近いという噂が広がっているものの、まだ競争は混戦模様でドイツが勝利する可能性も否定できない」と指摘している。
Breaking Defenseも今月3日「もはや日本はフリゲート艦の輸出先としてオーストラリアを確保したいという意図を隠そとしていない」「防衛省は渡航費と宿泊費を負担し、オーストラリア人ジャーナリストを長崎に招待してもがみ型護衛艦の能力をアピールした」「保守的な日本にとっては異例の措置だ」と報じたが、14日「日本は知的財産権の共有がもがみ型の受注に繋がることを期待しており、豪州のアナリストも『日本の本気度を示している』と評価したものの、豪海軍で20年以上勤務した経験をもつ別のアナリストは知的財産権は共有ではなく『豪海軍へフリゲート艦を迅速かつ効果的に統合できる能力が重要だ』と言う」と報じた。

出典:U.S. Air Force photo by Courtesy by Kyle Larson
“日本は知的財産権の共有がもがみ型の受注に繋がることを期待している。兵器システムにおける知的財産権の共有は非常にシンプルな概念だ。例えばF-35全体の権利は国防総省に属するものの、設計に関するデータは国防総省ではなくLockheed Martinが所有しているため、国防総省はF-35の製造、運用、維持、アップグレードに関する作業をコントロールすることが出来ない。この悪習慣を改めるためF-47の技術データは政府所有し、プラットホーム開発のインテグレーターに誰を選んでも新規サプライヤーの参加を可能にするつもりだ”
“要するに日本はもがみ型の全知的財産権を解放し「オーストラリア自身に運用、維持、アップグレード作業に参加できる機会を提供する」と言っており、防衛装備庁の洲桃国際装備課長も「この方式は今後の防衛装備品輸出におけるモデルケースになるかもしれない」と強調、オーストラリア戦略政策研究所のグラハム氏も「知的財産権の提供は日本案の優位性を示すサインになるかもしれない」と、シドニー大学米国研究センターのディーン氏も「知的財産権の提供は日本の本気度を示している」「単なる商業販売ではなく長期的な戦略的パートナーシップの強調は日本にとって競争力を高める最善の方法だ」と指摘した”
“さらにグラハム氏は「SEA3000にとってもっと重要な基準は『迅速な能力発揮』だ」「1番艦の2028年引き渡しに対するコミットメントは大きな優位性になるだろう」と指摘し、これはもがみ型の納期遵守を保証している日本当局者にとって朗報だろう。防衛装備庁の西脇長官官房審議官は長崎に招待したオーストラリア人ジャーナリストに「三菱重工業が西オーストラリアの造船所にもがみ型建造を、特に最先端のデジタル建造技術を移転できると信じている」と説明している”
“しかし、ニューサウスウェールズ大学のパーカー氏(安全保障分野と海軍研究の専門家)は「SEA3000における最も重要な基準は艦艇のスペックや知的財産権の共有ではない」「水上艦艇戦力は2026年に9隻へ減少するため、豪海軍のフリゲート艦を迅速かつ効果的に統合できる能力が最優先事項だ」「もがみ型は明らかにMEKO A-200より高性能だが、日本は海外の顧客と協力して武器システムを統合した経験がないためリスクがある」と主張した”

出典:ThyssenKrupp
“パーカー氏は豪海軍で20年以上勤務した経験に基づき「装備の共通性、サプライチェーンの統合、現在の艦隊運用方法と類似した運用が可能かどうかが豪海軍とって何よりも重要だ」「その基準で考えるとTKMSはアルジェリア、南アフリカ、エジプトにMEKO A-200を供給し、艦艇輸出においても長い歴史を持っているため明確な優位性があるように思える」と述べたが、同時に「公開されている情報だけでどちらが有利かを答えるのは不可能だ」とも付け加えている”
SEA3000は納期を優先するためベース設計を変更しないつもりだが、指揮統制、武器、通信といった分野などは豪海軍が使用しているシステムへの統合が必要になるため、この分野でTKMSに挑んでも優位性がなく、長期的な戦略的パートナーシップを強調するのが日本にとって最大の競争力に繋がる。

出典:防衛省 海上自衛隊
つまりSEA3000を巡る戦いの争点は以前から言われている通り「戦略的パートナーシップの優先か」「リスクを最大限排除する実績の優先か」で、日本がもがみ型の競争力を最大限高めるには「政治的・外交的関係を通じた安全保障分野における緊密化」が重要だ。
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※アイキャッチ画像の出典:防衛省 海上自衛隊





















まさかあの日本が政治力で受注を狙うとは思わなんだ
負けてもいい経験になるみたいな後ろ向きのマインドじゃなくてなりふり構わず全力で取りに行く位じゃないとダメなんだろうからいい傾向だと思いますね
日本・豪州に共通する問題として、太平洋=欧州は、あまりにも距離が遠すぎるんですよね。
日本=豪州は、地政学的な面でも非常に連携しやすい事がメリットですから、安全保障の緊密な関係を深めたことが受注に繋がるといいですね。
独自開発能力の弱い国に対して知財利用を部分開放してもあんまり意味はないということでしょうか。
日本自身の苦い経験から出た発想ではあるのでしょうが…。
納期優先て国内向けの製造でもあれだけグダグダやってたドイツにリスクが低いみたいな言われ方は違和感しか無い
でも誰が見たって「迅速かつ効果的に統合できる能力」ってオーストラリア海軍に最も欠けてる姿勢じゃないですか
潜水艦調達のグダグダ見ても
正直これも交渉を有利に進めるためのポジショントークにしか見えませんわ
政府と軍に問題があろうがメーカーの方に問題があるF-35やKC-46とかみたいなゴタゴタでの遅延を許容せよみたいな話にはならないでしょう。
契約に基づいた納期に納めるのがメーカーの責務ではあるが途中の変更とか納入先による遅延理由にあたる物が発生するなら交渉すべき。メーカー内部の問題なら責任を持って契約上の納期で対処すべき話。
ドイツ案も、従来型では性能不足だから新型を提案してるけど、当然こいつには実績はないわけで
実績重視だと性能不足がわかりきってる従来型って事になるけど、豪州はそれでいいんだろうか?
運用実績はwindowsとLinuxくらい勝手が違う物を選ぶ時にも使う言葉だと思うよ
Windowsはアップデートで多少勝手が違っても使えるけど、初めて使うLinuxはどのバージョンでも馴染みがないでしょ?日本の06FFMは正にLinuxの立場なんだから仕方ないのでは
これぐらいの変化にすら対応できないなら原潜なんてキッパリ諦めた方が身のためだと思うがね
いまさらだけど、「たつた」の進水式の写真にユニコーンがおっ立っていないんですけど、アレって後で艤装するような装備なんですかね。
ユニコーンはドック入りの度に外す装備ですよ
記事を読んで気になったんだけど「フリーゲート艦」という表現は適切なのか?
「クルーザー艦」や「デストロイヤー艦」とは言わないのに、なぜフリーゲートだけ「艦」がつくんだろう?
「クルーザー」や「デストロイヤー」と同様に「フリーゲート」じゃないのかな?
「フリゲート艦」は日本語で「クルーザー」や「デストロイヤー」は英語という解釈で良いのでは。
日本では旧海軍の時代から「フリゲート」に対応する「○○艦」といった適切な訳語が無かったし、相当する艦種分類も無かった。
発足当時の海自では旧海軍を想起させる呼称を嫌ったのか、戦闘艦は全て防衛的な印象の「護衛艦」と呼ぶことにしたのでしょう。敢えて言えばDEが諸外国の「フリゲート」に相当するのかと思います。
艦種の和訳に熱心な明治の頃、帆走フリゲートや蒸気フリゲートは廃れつつある艦種だったから、かな?
その後、別用途でフリゲートと言う艦種が復活した頃には、カタカナ表記でも平気になってたのでフリゲートを和訳する事無く、駆逐艦や巡洋艦のノリでフリゲート艦と言うようになった、
と個人的には解釈しています。