インド太平洋関連

総額300億円規模! 韓国、米空軍「A-10サンダーボルトⅡ」主翼スペア製造契約を獲得

韓国の韓国航空宇宙産業(KAI)は11月25日、ボーイングから米空軍の攻撃機「A-10」の主翼構造物の製造を受注したと発表した。

参考:KAI, 보잉 A-10 3300억원 규모 공급 계약 체결

韓国、A-10サンダーボルトⅡの主翼を製造する300億円規模の契約を受注

米空軍の攻撃機「A-10サンダーボルトⅡ」は、フェアチャイルド・リパブリック社の開発した単座型の近接航空支援専用機で、別名「タンクキラー」と呼ばれている攻撃機だが、機体寿命を延長するため新しい主翼に交換するプログラムが今年の8月に完了したばかりだ。

出典:public domain A-10サンダーボルトⅡ

この主翼交換によりA-10は、2030年代後半まで飛行することが可能になる。

ボーイング社は受注したA-10主翼交換プログラム終了後、米空軍からA-10の維持についての契約(最大で9億9,000万ドル分、112機分の交換用スペアウィングを製造する契約)を与え、まずは27機分の交換用「スペアウィング」を発注した。

韓国の韓国航空宇宙産業(KAI)は、ボーイングからA-10の主翼の外翼パネル(Outer Wing Panel:OWP)と、中央翼パネル(Center Wing Panel:CWP)を受注し、契約規模は3,300億ウォン(約306億円)規模で2027年まで納入する予定だ。

出典:public domain A-10サンダーボルトⅡ

韓国航空宇宙産業の担当者は、この契約について「顧客に世界レベルの生産技術と品質が認められたことが、今回の契約に繋がった」と語り、今後も新規契約を受注するため努力を継続すると話した。

今回、ボーイングから契約を受注した韓国航空宇宙産業は、韓国空軍は発注した第4.5世代戦闘機「KFX」を開発している韓国を代表する航空機製造企業で、前回のA-10主翼交換プログラムの際、173機分の主翼外翼パネル(OWP)の生産を受注し納入した実績を持つ。

但し、主翼交換プログラムが終了したばかりのA-10は、米空軍の予算削減対象の候補に挙がっていると噂されている。

米空軍は今後5年間の予算から約300億ドル(約3兆2,000億円)を削減し、将来の新しいプログラムへ投資する予定で、その為には旧式化した航空機を廃止するのが最も簡単な方法だ。

米空軍はA-10を含む8つの航空機を2023年までに廃止して、約300億ドルの予算を捻出しようと検討中だが、米国のシンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」は、米空軍が廃止の候補に挙げた航空機を代替手段を用意せず失えば、作戦に支障が出ると警告している。

補足:廃止候補にはA-10の他に、空中給油機 KC-10、爆撃機 B-1B、爆撃機 B-2、対地版早期警戒管制機 E-8、情報収集機 RC-135、早期警戒管制機 E-3、偵察機 U-2が挙げられている。

 

※アイキャッチ画像の出典:Photo by Munnaf Joarder

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コメント

    • ハヤタ
    • 2019年 11月 29日

    やはり退役は先ですね
    F4やB52並みの長生きだわ

    • 匿名
    • 2019年 11月 29日

    アメリカ側のニュースがでてこない事には真偽はなんとも・・・
    韓国は政府さえウソニュースを流す国だから(最近のGSOMIA関連だけでは無く、東芝が、三菱が韓国に工場を建てるとか、ユニバーサル・スタジオ、ディズニーがアミューズメント・パークを建てるとかもね)
     このニュースが「真」に近いとして、
    韓国お得意の「MOU:交渉事で、その時点までの合意内容の確認書」を交わしたレベルだと思います。 100%  契約では無い。

    • 匿名
    • 2019年 11月 29日

    調べてみたらA-10って輸出もしてないんですね。どういう理由なのか興味がありますが、思った以上に大事にされている印象を受けました。廃止はしないのかも。

      • 匿名
      • 2019年 11月 29日

      A10って対地攻撃専用のため、多くの兵器が搭載できて、かなり低速でも安定して飛行が出来るように設計されているため、逆に対空戦闘が極端に苦手な機体になってるんです。

      基本的に、完全に制空権を取っておかないと運用できないので、アメリカみたいに高性能の戦闘機を大量投入して一気に制空権獲得出来るなら必要かもですが、そこまでの軍事力を持ってて、対地攻撃しかできない航空機を運用出来る予算を捻出を出来る国がアメリカ以外にあるかと言われると、正直無いのが現状です。

      同じ理由でガンシップなども運用できてるのはアメリカだけですね。

      • 匿名
      • 2019年 11月 29日

      米軍以外に需要がないんですよ。

      • 匿名
      • 2019年 11月 29日

      A-10は一応、輸出型が提案された事があったけど興味を示す国が無く、後に中古機を買いたいと意思表示した国(はっきり覚えていないが、確か90年代のトルコ等があったと思う)はあったが、余りに攻撃力が高い事ので米国が承認しなかった。
      特殊任務機と言える機体だし、後継機も存在しない為、米空軍内部でも大事に使いたい機体であると思っている人が多いのは確かだよ。

        • 匿名
        • 2019年 12月 01日

        軍事のワークシェアリング考えると韓国軍が配備するのは面白いと思うんですよね。本来なら。北朝鮮相手にするのに必要なのは正面戦力を考えるとメインは戦車だから攻撃機が便利。
        とにかく頑丈で最新鋭機に比べればメンテも楽。お寒い限りの韓国の整備力でも整備出来るだろうし(多分)、技術を蓄積も出来るし寧ろKFXの予算で製造工場誘致していいんじゃないかと思うレベル。アメリカには売れるし。必ず最新鋭機が必要な戦場ばかりじゃないですし。
        国連軍で部隊を抽出する時にじゃあウチ(韓国)はAー10、五十機出しますわー。って言えると超強い。米軍しか使えないなら米軍指揮下で使えばいい。アメリカも攻撃機に予算使わなくていいし、韓国もウチ(韓国)は攻撃機なら最強だー!! ってホルホル出来る。結構ありな選択だと思うんですよ、韓国がマトモな西側諸国なら。

    • 匿名
    • 2019年 11月 29日

    墜落待った無し

    • 匿名
    • 2019年 11月 29日

    なら廃止で良いな。

    • 匿名
    • 2019年 11月 29日

    そんな技術があいつらにあったか?
    いつもの勘違いじゃね。

    • 匿名
    • 2019年 11月 30日

    悪いことは言わないから止めとけ。また北朝鮮に技術横流しされるぞ。

    • 匿名
    • 2019年 11月 30日

    設計じゃないからねぇ
    ボーイングが開発して、設計図通りに作るだけのお仕事でしょ
    しかも、複合材じゃなくて、金属素材だろうから、簡単とは言わないけど、難しくもないんじゃ?

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