韓国航空宇宙産業はマレーシアで開催中のLIMA2023で「マレーシア政府がFA-50の追加発注を承認した」と明かし、これでマレーシアからの発注数は18機→36機に増えるため、同機のバックオーダーは計92機に積み上がった格好だ。
参考:LIMA 2023: KAI says Malaysia keen to order 18 additional FA-50s
Phantom Strikeは本当に面倒で制約の多いFMS経由ではなくDCS経由で提供
韓国航空宇宙産業(KAI)は発注が相次ぐT-50/FA-50の生産ラインを2024年に増設する予定(月産5機)で、現地メディアは「中長期的なT-50/FA-50の受注に自信を持っている現れだ」と報じていたが、KAIの関係者はジェーンズの取材に「マレーシア政府がFA-50の追加発注(18機)を承認した。二次調達に関する契約締結も時間の問題だ」と明かし注目を集めている。
マレーシア空軍が進めていた軽戦闘機入札(FLIT/LCAプログラム)はホークやMB-339CMの更新、退役したMiG-29の穴を埋めるという2つの目的があり、調達する軽戦闘機に視界外戦闘能力、空中給油能力、超音速飛行、国産化比率30%などを要求、インドのテジャスMK.1A、ロシアのMiG-35、韓国のFA-50、イタリアのM-346FA、中国のJF-17、トルコのヒュルジェットの6社が名乗りを挙げ、最終的にFA-50がマレーシア空軍の軽戦闘機に選ばれた。
KAIは今年2月「マレーシア国防省とFA-50×18機の輸出契約(9億2,000万ドル)を締結した。2026年に引き渡しを開始する予定で、マレーシアは二次調達も計画している」と述べていたので、今回の追加発注承認でマレーシアの36機調達が確定、T-50/FA-50のバックオーダーは計92機(タイ×2機、インドネシア×6機、ポーランド×48機、マレーシア×36機)まで積み上がった格好だ。
🚨 NEWS: PhantomStrike will equip #KoreaAerospaceIndustries’ FA-50 #aircraft for @Poland_MOD!
Check out the world’s first air-cooled AESA #radar. pic.twitter.com/WbqP4dDoeJ
— Raytheon Intelligence & Space (@RaytheonIntel) May 15, 2023
因みにレイセオンのエリック・ディトマーズ氏はポーランドメディアの取材に「Phantom Strikeの販売にはFMSの手続きが不要で、他のAESAレーダーでは到底不可能な技術移転や現地生産にも対応している」と述べていたが、レイセオンは15日「韓国航空宇宙産業が製造するFA-50向けにPhantom Strikeの直接商業売却(DCS)が承認された」と発表、面倒で制約の多いFMS経由ではなくDCS経由での提供が可能になったという意味で、KAIの関係者は「マレーシア向けのBlock20にもPhantom Strikeが搭載される」と述べている。
KAIは2028年までにFA-50の単座バージョン=F-50を開発、このF-50にKF-21輸出型の長所を加えたTF-50を開発し、ロッキード・マーティンと共に米空軍の高等戦術訓練機、米海軍の戦術的代替航空機、ゴスホークの後継機プログラムに挑戦する予定(需要規模は最大1,000機)で、最大のライバルと目されるT-7Aは実用化に向けた開発が難航、2022年後半に予定されていたマイルストーンCは2025年2月以降にずれ込み、初期作戦能力の宣言は2027年以降になる予定だ。
T-7Aの登場が遅れれば遅れるほどTF-50は有利なボジションを獲得するため、欧州進出を果たした韓国製航空機の米国進出も「壮大な夢物語」とは言えなくなってきた。
余談:マレーシアの防衛展示会「LIMA2023」には日本の防衛装備庁も参加している。
#LIMA_2023 の #防衛装備庁 ブースが完成しました!いよいよ本日開幕です。今回のテーマ「響」をイメージした、波や音が響き合い、広がっていく様をブースに表現しました。我が国の防衛装備品と高い技術力をアピールしてきます! pic.twitter.com/joEIQMuivn
— 防衛装備庁 (@atla_kouhou_jp) May 23, 2023
#LIMA_2023 の #防衛装備庁 ブースでは、最新ヘリコプターの #UHー2 を紹介しています。最新鋭のグラスコクピットや、偵察バイク2台が載る大容量が特徴です。既に多くの来場者にご覧いただいております。
PVも是非!https://t.co/hGYQq92iGP pic.twitter.com/7zALofTv2J
— 防衛装備庁 (@atla_kouhou_jp) May 23, 2023
#LIMA_2023 の #防衛装備庁 ブースから、#沿岸レーダー装置 をご紹介!小型軽量、長距離探知、迅速展開という3拍子が揃った防衛装備品です。我が国のような長大な海岸線を持つ東南アジア諸国に移転できたら、大いに活躍が期待できます。 pic.twitter.com/BvsVnWXMXA
— 防衛装備庁 (@atla_kouhou_jp) May 24, 2023
#LIMA_2023 の #防衛装備庁 ブースでは、海上自衛隊向けで培った高い造船技術と経験を基に、艦艇共同開発・生産の可能性も含め我が国の高い造船能力を発信します! pic.twitter.com/aEDY8fzEdz
— 防衛装備庁 (@atla_kouhou_jp) May 24, 2023
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※アイキャッチ画像の出典:Kementerian Pertahanan Malaysia
ソフトウェア関連の記事の影響かロッキード・マーティンが絡んでるだけで、不穏な気配が漂う気がする
海軍のほうとってくれるとネタ的にはおいしい>T-50
さすがに空軍は無理だろう(KCの方を見つつ)
このままポーランド曰くのF-16に等しい位置におさまっていくのかなぁ…
TwitterリンクのUH-2の紹介動画改めて見たけど、しんどかったわ
Shinuchi!じゃねーよ
市場における新規プレイヤーがメイドインジャパンのブランド力を誇示するのはミスマッチにも程がある
現実には、日本の防衛装備海外移転は当方都合による制約が多すぎで、武器輸出三原則廃止のニュースが流れた当時の海外からの期待感や警戒感は薄れてしまっていますね。
日本に対する海外認識は、現在では高度な工業技術力を有する国というより、独特の伝統文化に対する興味が(インテリ層ほど)より強いと思われます。
PV製作企業スタッフはそこに着目してしまったんでしょう。掴みとしての日本刀はまだしも、侍や幕の内弁当は突っ込まずにいられません。
伝統文化の精神性を日本の防衛装備技術力が高いというアピールに強引に結び付けてるのが違和感ありありです。
追加発注という事は使ってみて好評だったんだな。
T-50が出てきた時は嫌韓の人達が「T-50は価格が高価で性能が中途半端な機体だから絶対に売れない」 と言い張ってたが現実は大ヒット。
韓国は綿密に計算して各国が求めるニーズが高く売れる航空機を狙って開発してのがよく分かる。
T-50→ FA-50からのKF-21までは1つのパッケージとしてのが上手いわ。
KF-21は売れないと言う人がいるがT-50、FA-50ユーザーがそのままKF-21にスライドするだろうな。
T-50(FA-50)が綿密な計算でヒットしてんの?
T-7の開発遅延してるけど、それにも負けてるんだよ。
それにKF-21の登場により、機体のアップデートがないと心配されてたし。
でも転換点はPhantom strike、AIM-120の採用でしょーね。
あれでやっと一線級の現代的な戦闘機になったんだし、ポーランドでのライセンス生産でEU加盟国なら手を出しやすくなった。
T-7の開発遅延もあるし。
他の高等練習機としてはお値段高目でスペックもモリモリだったけど
肝心のF16もお値段上がり過ぎて、手軽な軽戦闘機ってポジションに
収まった感じ
自主技術では無い場合、技術移転の関係で中庸な性能に収まる事あ多い
韓国だけど陸戦も含めて他所が価格上がり過ぎってのも有るし良い位置
に収まった感じ
T-7とT-50シリーズ、何処で差がついたのか
慢心、環境の違い…