インド太平洋関連

MBDA社、韓国の第4.5世代戦闘機「KFX」に対し「ミーティア」統合を許可

欧州の防衛企業MBDA社は、韓国が開発中の第4.5世代戦闘機「KFX」に長距離空対空ミサイル「ミーティア」を統合するための契約を締結したと発表した。

参考:SOUTH KOREA TO INTEGRATE MBDA’S METEOR MISSILE ONTO KF-X FIGHTER AIRCRAFT

韓国、KFXに搭載する空対空ミサイル「ミーティア」の確保に成功

欧州の防衛企業MBDA社は11月22日、韓国が開発中の第4.5世代戦闘機「KFX」に、同社が開発した長距離空対空ミサイル「ミーティア」を統合するための契約を締結したと発表、この契約にはKFXへの統合作業支援やノウハウの移転、各種試験装置の供給が含まれている。

出典: ILA-boy / CC BY-SA 3.0 MBDA社が開発した「ミーティア」空対空ミサイル

補足:長距離空対空ミサイル「ミーティア」は、ダクテッドロケットエンジン(ラムジェットの一種)を搭載することで射程が長く(100km以上)、着弾の瞬間まで速度(最高速度M4.0+)が落ちない為、ノーエスケープゾーン(回避不能ゾーン)が米国のAIM-120よりも広く、西側製の空対空ミサイルの中で最も強力だと言われている。

そもそも米国製戦闘機しか運用していない韓国が、なぜ「KFX」に長距離空対空ミサイル「ミーティア」を選んだのか?

韓国は開発当初、F-15Kや導入中のF-35A、アップグレード中のKF-16が使用する米国製空対空ミサイル「AIM-120」や「AIM-9」をKFXに搭載するため米国側と交渉したが、KFXへの統合に必要な「兵器データー開示」を拒否されたためだ。

そのため韓国は、AIM-120の代わりに英国(MBDA)製の「ミーティア」を、AIM-9の代わりにドイツ製の「IRIS-T」を採用することにしたのだが、これまで正式な発表は何一つなく、本当に「ミーティア」や「IRIS-T」の統合許可が降りるのか怪しかった。

出典:HaraF / CC BY-SA 3.0 短距離空対空ミサイル「IRIS-T」

しかしMBDA社との契約発表で、ようやくKFXは中長距離をカバーする「ミーティア」確保に成功したが、短距離をカバーする「IRIS-T」については何の音沙汰もない。

この契約についてMBDA社の最高経営責任者(CEO)は、韓国は同社にとっての戦略的市場であり、世界で最も強力な空対空能力(ミーティア)をKFXに提供できることを誇りに思っていると話した。

但し、KFXの海外輸出は「ミーティア」の採用によって、米国だけでなくMBDA社=欧州の許可が必要になるため、さらに自由が効かない機体になってしまったとも言える。

 

※アイキャッチ画像の出典:Korea-Aerospace-Industries

F-35の値下げが原因? 韓国、第4.5世代戦闘機「KFX」の海外輸出に赤信号か前のページ

韓国は不満? 欧州、F-2へ搭載可能な巡航ミサイル「KEPD350」を日本に提案次のページ

関連記事

  1. インド太平洋関連

    計画から40年後に結実!インド、国産戦闘機「テジャスMK.1」を実戦配備

    インド空軍は完全作戦能力に対応した国産戦闘機「テジャスMK.1(FOC…

  2. インド太平洋関連

    豪軍、米軍、自衛隊、韓国軍、タリスマン・セイバーで合同実弾射撃を披露

    豪米二ヶ国間演習「タリスマン・セイバー」に参加するオーストラリア軍、米…

  3. インド太平洋関連

    元豪海軍長官、プロポーズのためコリンズ級潜水艦をラブボートに変える

    複数のオーストラリアメディアは12日、元海軍長官がガールフレンドにプロ…

  4. インド太平洋関連

    また同じ箇所が故障? 韓国海軍、新型フリゲート艦「大邱」の推進システムが再び停止

    韓国メディアは、今年1月に故障した韓国海軍の最新鋭フリゲート艦「大邱(…

  5. インド太平洋関連

    国産潜水艦の建造準備が整った台湾、今月中にも1番艦建造を開始

    台湾メディア「Taiwan News」は3日、今月中に台湾初の国産潜水…

  6. インド太平洋関連

    タイ、潜水艦の仕様が守れないなら契約を破棄すると中国に警告

    中国が進めていたタイへの潜水艦輸出はドイツがディーゼルエンジンの輸出許…

コメント

    • 匿名
    • 2019年 11月 24日

    韓国には珍しく、地道ながらも話をちゃんと進めている印象です。こういう姿勢で他も行っていれば全く違った国になっていたのでしょう。せっかく日米という強力な補助エンジンがあったのに。いや、あったからこそ、今なのかもしれませんね。

      • 匿名
      • 2019年 11月 24日

      恨ばかりで恩や感謝に疎い感があるので、その「強力な補助エンジン」の有り難みが判らないのかも?
      地道で真っ当な作業を続けることで、少しは省みて欲しいですね。

      • 匿名
      • 2019年 11月 24日

      元々AMRAAM積むつもりが色々不手際が重なり米に断られたからmeteorに走っただけで堅実とは真逆だぞこの話は

      1
    • 匿名
    • 2019年 11月 24日

    現行のミーティアだけなのかな?
    日英共同開発のミーティアが開発されたらその統合作業に日本の許可もいるのでは?

    • 匿名
    • 2019年 11月 24日

    ミーティア改のシーカーは日本製だぞ、イギリスからの輸出には日本の許可が必要なはず。

      • 匿名
      • 2019年 11月 24日

      ミーテイアに日本製シェーカーを採用する改良型はJNAAM。
      今のところ採用を予定してるのは日本だけで、他のミーテイア採用国は様子見かと。
      仮にJNAAMの方が主流になった後だと、仰る様に
      許可対象に日本も加わることになるでしょうね。
      それを韓国が嫌う場合は、旧式を使い続けるか、また改めて米国かイスラエル辺りに泣きつく事に。

      1
      • 匿名
      • 2019年 11月 24日

      なので、JNAAM(シーカーが日本製)は対象外でしょう

      • 匿名
      • 2019年 11月 24日

      首輪つけただけじゃね、これ。

    • 匿名
    • 2019年 11月 24日

    数年後には北朝鮮でミーティアのコピーが運用されるのでは?

    • 匿名
    • 2019年 11月 24日

    METEORとJNAAM(f-35用ミーティア→日本製シーカー搭載かも)は違うので日本は関係ない、韓国のf-35はAMRAAM搭載するから問題ないって感じでわ。

    • 匿名
    • 2019年 11月 24日

    管理人さん批判粗探ししかしてないけど何一つ進まない日本よりいいと思うよ?

      • 匿名
      • 2019年 11月 24日

      日本でKFXに相当するプロジェクトはF-2だけど
      世界で言えばタイフーンやラファールでこいつらも後継機の開発がはじまるとこですね
      周回遅れすぎて錯覚しちゃったかな?

      • 匿名
      • 2019年 11月 24日

      そら、4.5世代機のプロジェクトなんて日本は進めてないからな
      進めてないプロジェクトは進まない

      • 匿名
      • 2019年 11月 24日

      日本も裏で進んでる
      その第一歩が後に最新戦闘機に搭載される日英共同開発の「ミーティア改」だ

      • 匿名
      • 2019年 11月 24日

      「何一つ進まない日本」と言う発言だけど、F-2後継の“将来戦闘機”の事を言っているのなら、認識不足だと言わざるを得ないよ。
      空自の将来戦闘機の開発は水面下で進んでいて、既にエンジンやレーダー等、開発に必要な各種要素の研究が形になりつつある。
      来年度予算では防衛装備庁に「将来戦闘機開発官(仮称)」とその担当部署を設ける為に必要な予算請求もされているので、来年度からは開発も本格化する。
      どう見てもF-35の劣化コピーに過ぎないKFXと将来戦闘機の開発状況を一緒くたにしないで欲しいな。

      • 匿名
      • 2019年 11月 24日

      何をもって「何一つ進まない」何ですかね。
      輸出を計算に入れられる韓国と、基本は更新需要しかない日本では物事の進め方が違うだけだろうに。中韓をさげずむのもどうかと思うけど、思い込みで日本sageしても阿呆に見えるだけ。

      • 匿名
      • 2019年 11月 24日

      将来戦闘機関連の技術開発は地味に進んでるよ。
      個人のブログだけど、関連のまとめ。
      リンク

      JNAAMでも言われてるけど、進捗の遅さが珠に傷。

      • ( ;∀;)サバ
      • 2019年 11月 26日

      ホンマにそう思うわ、ただdisりたいだけだろ?

    • 匿名
    • 2019年 11月 24日

    MBDAと契約が取れるならIRIS-TでなくてASRAAMの方が良いんじゃね?って気がする。
    MBDAならMICAもあるし、空対空ミサイルはなんとかなりそうな感じ。

    • 匿名
    • 2019年 11月 25日

    やっぱりハードポイントにミサイルや増槽を満載した機体は美しい・・・・・・なわけあるか。

    ミーティアは長射程と高速さが売りだがシーカーがダメダメで命中率が悪く、ミサイル本体の性能の良さを生かせなかった。
    多分イギリスは以前にやったF2とのDACTでF-2やAMM4Bのシーカーの優秀さを実感したのだろう、ミーティアのシーカーを日本製のAESAに変更することでミーティアを装備した戦闘機は遠距離から一発必中のゴルゴに変身できる。
    イギリスはF-35用のミサイルとして採用国に売りまくる予定のはず、買う方にしてもAMRAAMよりはこちらを選ぶはず。

      • 匿名
      • 2020年 10月 13日

      弾体は200以上飛ぶみたいですが、フランスのタレスのレーダーがポンコツみたいで、ギリギリ100km捉えられるかみたいですね。ただ、100kmが必中距離だとするのであれば優秀なミサイルであることは間違い無いですな。ラファールは大丈夫なのかとちょっと心配…
      AAM4の弱点は命中率と引き換えにデーターパスに負荷をかけまくってしまうところみたいですね。

    • 匿名
    • 2020年 10月 13日

    なんでKAIはT/A50の成功例で学ばなかったんかなぁ…

    KFXの弱点はミサイルを抱き合わせで売れないことと、現状そこまで魅力的な性能ではない事、性能強化÷コストで良い数値を出せない事。
    西から見ると今更F16クラスでAMRAAMの使えない現状非ステルスの第四世代高級機を買うよりも中古でF16、F18あたりを導入するかF35を導入する方が安く強い。
    西側の息のかかってない第三世界から見ると中距離AAMを導入できないから戦力の強化ができないし持て余す。正直Mig21やF5をイスラエルさんに頼んで改修したほうが安いし整備が楽なんだからそっちを使うわな。
    東側ならSu57かJ20,J31買った方が強いし安いわな…

    正直、現状高価な第四世代の産廃にしかなっとらん。サポート費そっち持ちなら考えるがな。海外に輸出したいならもっとニーズに合った機体にせなぁ(三菱、川崎、KAIを見ながら)

    • ウルフリック
    • 2023年 9月 24日

    ウクライナ戦争前の軍オタはこんな感じだったのか

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
  2. 中東アフリカ関連

    アラブ首長国連邦のEDGE、IDEX2023で無人戦闘機「Jeniah」を披露
  3. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
  4. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
  5. 中国関連

    中国、量産中の052DL型駆逐艦が進水間近、055型駆逐艦7番艦が初期作戦能力を…
PAGE TOP