インド太平洋関連

JF-17Block3調達が始まったばかりのパキスタン、年内に中国からJ-10Cを36機導入?

パキスタンのシンクタンク「House for Strategic&International Affairs/HSIA」は5日、2021年中に36機のJ-10Cを受け取る予定だと明かして注目を集めている。

参考:HSIA-House for Strategic & International Affairs

JF-17Block3の調達が始まったばかりのパキスタンにJ-10Cを同時導入するだけの余裕はあるのだろうか?

中国の成都飛機工業公司(CAIG)が開発したJ-10の最新モデル「J-10C」はAESAレーダーを搭載、機体を構成する複合材料も使用範囲が増やされ新開発のステルスコーティングと併用することでレーダー反射断面積(RCS)の値を大幅に抑えることに成功、さらにロシア製エンジンの推力を上回る国産エンジン「WS-10B(A/B使用時14.6トン)」を搭載した機体の実戦配備が確認されており、西側製のシングルエンジン戦闘機と比較しても遜色のない戦闘性能を備えているというのが一般的な評判だ。

これをパキスタンのシンクタンクが36機導入すると主張しているのが、パキスタン空軍は中国と共同開発したJF-17の最新モデルBlock3の調達を進めている途中(計50機発注)なので同時にJ-10Cを36機も導入するという話は俄には信じがたい。

2020年にパキスタンと中国はJ-10C導入に関して協議を行ったらしいのだが、中国はJ-10CだけでなくJ-11Bもパキスタンに提案しているという情報もあるのでインドにとっては不気味だろう。

特にJ-10CやJ-11BにはAIM-120よりも長射程が長い空対空ミサイル「PL-15(最低でも150km以上/180km~200kmと推定する情報源もある)」が統合されているのでパキスタンが導入に踏み切れば、ラファール+ミーティアの組み合わせによる優位性が色褪せることになるのでインドもラファール追加導入や国産空対空ミサイル「アストラ」の射程延長などに動くかもしれない。

まぁパキスタンがJ-10Cを本当に導入するかは暫く様子を見てみないと何とも言えないが、JF-17Block3の調達が始まったばかりのパキスタンにJ-10Cを同時導入するだけの余裕は無いのではないかと管理人は思っている。

関連記事:中国、米空軍も恐れるPL-15を搭載する第4.5世代戦闘機「J-10C」に国産エンジンを統合

 

※アイキャッチ画像の出典:L.G. Images / Public domain J-10B

UAV技術の拡散阻止は不可能、日本企業が不正輸出した部品は中東で無人機に化ける前のページ

仏独の新型哨戒機開発の行方、フランス人はP-8Aを導入したドイツを誰も信じていない次のページ

関連記事

  1. インド太平洋関連

    台湾、生産設備を拡張してミサイル年間生産量を2倍以上に引き上げ

    Taiwan Newsは13日、台湾は生産設備の拡張を行い空対空ミサイ…

  2. インド太平洋関連

    オーストラリア、韓国製自走砲「K-9サンダー」導入を事実上決定

    韓国のハンファディフェンスは2日、オーストラリアが進めている次世代自走…

  3. インド太平洋関連

    タイがMQ-1CクラスのDP-20Aを発表、BZK-005のライセンス生産か

    タイ企業がバンコクで開幕した防衛装備の見本市で国産UCAV「DP-20…

  4. インド太平洋関連

    摘発が続く機密漏洩事件、台湾軍の現役・退役将兵に浸透する中国のスパイ網

    台湾の英文台灣日報は21日、中国に対する数々の機密漏洩事件を取り上げ「…

  5. インド太平洋関連

    豪企業、ローエンドの小型UAVを約10ドルで無力化することに成功

    カナダ国防省は高まる小型UAVの脅威に対応するためカウンタードローン技…

  6. インド太平洋関連

    韓国、RCS値0.01㎡未満のドローンを8km先で検出できるアンチドローンシステムを開発

    アンチドローンシステムの国産化と調達に挑戦中の韓国は世界最高水準の性能…

コメント

    • 匿名
    • 2021年 7月 07日

    その為のJF-17
    あとその為のJ-10?

    ハイ!ロー!ミックス!ハイ!ロー!ミックス!って感じ?

    2
      • 匿名
      • 2021年 7月 08日

      西側に置き換えると、グリペンE/Fを調達中にF-16Vにも触手を伸ばす感じかな?

      1
        • 匿名
        • 2021年 7月 08日

        触手を伸ばしてどうする。伸ばすなら食指にしろ

        13
          • 匿名
          • 2021年 7月 08日

          インドネシア辺りは触手伸ばしそう。

          4
    • 匿名
    • 2021年 7月 07日

    中国の空対空ミサイルの射程が伸び続けているため西側の長射程ミサイルの多くがオワコン化して来ている。
    こうなるとJNAAMの早期実用化が望まれる、ダクテッドロケットによる高速・長射程と高性能AESAシーカーの組み合わせには当分追いつけないだろう。
    通常の固体ロケットでは決して超えることのできないダクテッドロケットの性能で、イギリスは西側の長距離空対空ミサイル市場をかっさらうことになるのかな。

    1
      • 匿名
      • 2021年 7月 07日

      >高速・長射程と高性能AESAシーカーの組み合わせには当分追いつけないだろう。

      中国のPL-15はデュアルパルス固体ロケットブースターを搭載して、ミサイルの高速・長射程化を実現しAESAシーカーも搭載しているけどね。

      4
        • 匿名
        • 2021年 7月 07日

        とりあえずPL-15は米AMRAAMと日AAM-4にメタ張った性能というのはわかる
        追い付け追い越せのシーソーゲームだから次はこっちが追い越す側になったと言うこと

        1
          • 匿名
          • 2021年 7月 07日

          中国軍もPL-15の後継ミサイルを開発中だし、短いスパンでシーソーゲームは繰り返されますな。

          9
      • 匿名
      • 2021年 7月 07日

      米国でも長射程AAMの開発は進んでいて、既にLM社が開発中のAIM-260 JATMは完成まであと一息の段階まで来ているから、JNAAMが簡単に西側の長射程AAMの覇権を握れるとは限らない状況だよ

      2
      • 匿名
      • 2021年 7月 07日

      いやいやAAMは射程の長さが全てなら
      フェニックスミサイルが世界征服してないとオカシイから

      11
        • 匿名
        • 2021年 7月 07日

        フェニックスミサイルはイラン・イラク戦争で大活躍したぞ。
        湾岸戦争では米海軍のF-14のレーダー警報音を聞くと一目散に逃げ去るほど恐れていた。

        ミサイル自体が大きくて高価でありF-14のレーダーによる中間誘導に最適化されていたので、F-14の退役とともに廃止された。

        4
        • 匿名
        • 2021年 7月 07日

        どっちが先に探知できるか、レーダーや情報ネットワーク、ステルス性能まで加味しないとミサイルの射程も生きてこないしね。
        フェニックスはあの時代には画期的な存在で、対するソ連側はその高性能を疑ってすらいたそうだ

        8
    • 匿名
    • 2021年 7月 07日

    恐らくだけど、今回パキスタン空軍が導入すると言うJ-10Cは、現在同空軍が運用中のF-16A/Bブロック15の代替機かも知れない
    パキスタン空軍のF-16A/Bブロック15は初期に引き渡された機体の使用年数が35年以上経っているので退役機も出ているはずだから、その後継機と言う意味でなら辻褄が合う
    (Wikipediaの英語版によると、JF-17Block3は中国製のF-7PGの後継機だとされている)

    更に言うならば、今回引き渡されると言うJ-10Cはインドが進めている軍備強化策への対抗策として、中国側が無償供与する可能性も否定出来ないと思う

    13
    • 匿名
    • 2021年 7月 07日

    PL-15パキスタンに売るんか
    日本にも売ってくれんかのう

    3
      • 匿名
      • 2021年 7月 07日

      まず大使館に問い合わせしてみ?
      中国人にもユーモアくらいあるだろうw

      5
      • 匿名
      • 2021年 7月 07日

      ロシアが兵器売ってくれる方がまだ現実味が有るぞw

      3
        • 匿名
        • 2021年 7月 08日

        実際に、Su-27の購入検討については過去にあった様です。
        アグレッサー部隊用として検討され、1997年に空自のテストパイロットが試験搭乗したとの事です。
        ﹙防衛技術ジャーナル2021年4月号より﹚

        話しが流れずに実現していたら、と思わずにはいられません。

        3
          • 匿名
          • 2021年 7月 08日

          パーツなければどうしようもないし、維持するためにどれくらいのリソース使っても良いと思ってるのか。得られる成果にたいしてリターンは少ないとしか思えない。ただでさえ空自の整備班カツカツなのに、負担増やして整備不良出たらどうするの?

          空自が導入して維持する価値ってのは単なるアグレッサー用途だけ?例え機体を持っていたとしても新型ミサイルはアップグレードしなければ使えないなら、それが出来るか問題だし素直に使用に値する性能を持つミサイルを売ってくれるかも怪しいもんだ。空自に渡したのが最後、そのまま米国に情報流れるだけだからな。

            • 匿名
            • 2021年 7月 08日

            >空自に渡したのが最後、そのまま米国に情報流れるだけだからな。

            旧ソ連だけど、先方から日本に売り込み掛けて来たので、検討された話しだよ。

            9
            • 匿名
            • 2021年 7月 08日

            堅すぎるよ、サラリと笑えば?

            1
          • 匿名
          • 2021年 7月 08日

          フランカー導入国に導入させて日本が自由に使える時間を買い取った方がマシでは?

            • 匿名
            • 2021年 7月 09日

            実際には、東側の機体に触れるのは良い機会、とばかりに
            Mの技術者なども含めて経験値稼ぎに利用した風です。

    • 匿名
    • 2021年 7月 07日

    インドっていうかそれ、先にアフガニスタン侵攻のオプションを準備してる気が・・・。
    アメリカのアフガン撤退に合わせてタリバン支援する形で後方の安全と、傭兵戦力の確保目指すんじゃないか。

    2
      • 匿名
      • 2021年 7月 07日

      侵略なんてやったら国際社会から袋叩きだよ

      3
      • 匿名
      • 2021年 7月 07日

      そうすると中国がタリバンに支援して、インドが泥沼に陥るように企むよ
      そんな罠に引っかかるほどインドは愚かでない

      4
      • 匿名
      • 2021年 7月 08日

      インドはイスラムとは険悪であることは念頭にな

      6
    • 匿名
    • 2021年 7月 07日

    WS-10Bエンジンが実用化出来たたなら最初はJ-20に載せるべきじゃないのか?

      • 匿名
      • 2021年 7月 07日

      J20に搭載予定はWS10ではなくてWS15だよ。

      3
      • 匿名
      • 2021年 7月 08日

      2017年時点でWS-10Bを搭載したJ-20の画像は出回ってますよ

      WS-10Bはすでに量産体制に入っています

      3
    • 匿名
    • 2021年 7月 07日

    現在量産中のJ-20にはすでにWS-10B(WS-10C?)が搭載されている。
    また、WS-15(推力18t)を搭載したJ-20が初飛行に先日成功した。

    5
    • 匿名
    • 2021年 7月 08日

    PL-15って200km推進するかも知れんが
    ミサイルの小型レーダーで100km先のF-15を補足できるかね?
    対大型機用みたいだから戦闘機相手には無駄撃ちになりそうだな

    2
      • 匿名
      • 2021年 7月 08日

      F-15に限れば、10㎡というそこらの4.5世代機比で
      10倍以上のRCS≒1.8倍以上の被探知距離なので
      うっかり前に出れば割と余裕で狩られそう。

      4
    • 匿名
    • 2021年 7月 08日

    PL-15は戦闘機や早期警戒機等と双方向にデータリンクが可能で、飛翔中に進路や目標を変更することも可能。
    また、PL-15の小型レーダーはAESAなので、ECCM能力が高くステルス機等に対する探知能力も高い。
    なので、中間誘導時は戦闘機や早期警戒機等から目標の位置データを受信し、終末誘導時はミサイルのレーダーを使って仕留めるという流れ。

    3
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. インド太平洋関連

    米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を…
  2. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  3. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
  4. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  5. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
PAGE TOP