パキスタン政府は「シャリフ首相が中国からJ-35、KJ-500 AEW&C、HQ-19の提供など幾つかの外交成果を達成した」と発表、Bloombergは「パキスタンが当該兵器の導入を発表した」と報じたが、Janesは「中国が当該兵器の提供をパキスタン側に提案した」と報じた。
参考:Chinese Defense Companies Soar as Pakistan Touts Arms Purchase
参考:Pakistan announces Chinese J-35 aircraft offer
参考:Pakistan says China offered 40 J-35 stealth aircraft, among others
インドが先月末「第5世代戦闘機=Advanced Medium Combat Aircraft開発の枠組みを承認した」と発表したことへの対抗措置と解釈するのが妥当
パキスタンはインドのラファール導入に危機感を感じ、中国と共同開発したJF-17の最新バージョン=Block3の調達(計50機発注)を始めていたが、当時のアーメド内務相が突然「2022年の建国記念日に予定されている式典に25機で編成されたJ-10C装備の飛行隊が姿を見せる」「我々のJ-10C導入はインドのラファール導入に対する回答である」と発表し、パキスタン空軍も予告通りにJ-10Cを公開、当時のカーン首相もJ-10C導入意義について「力の不均衡を是正するの役立つ」と強調した。
さらにパキスタン軍は中国が開発を進めている第5世代機=J-35取得を示唆、中国も2024年の珠海航空ショーで正式にJ-35Aを公開し、今月21日にはWeibo上に「グリーン塗装のJ-35A量産機が飛んでいる」と投稿されたのだが、Defence Security Asiaは22日「北京がパキスタンへのJ-35A納入を迅速に進めている」「初回バッチの引き渡しスケジュールは2026年後半から2026年前半に前倒しされた」「北京が納入を6ヶ月早めたことでパキスタンは2026年初頭に第5世代戦闘機を受け取れるだろう」と報告。
これを引用したNewsweekも23日「パキスタンへのJ-35A納入が2026年初頭に早めれられた」「パキスタン空軍のファンと思われるXカウントもテスト飛行の様子(21日にWeiboで登場した写真)が投稿された」「同機の導入が間近に迫っているという期待感が高まっている」と報じたが、中国人らは「またいつものデタラメと嘘の拡散だ。元投稿=WeiboではJ-35A量産機だと示唆しているが、これがパキスタン空軍向けだと主張している者はいない。なぜいつも大げさな嘘を広めるのか? クリック稼ぎのためか? それとも自己満足か?」と指摘して噂を否定。
وزیراعظم محمد شہباز شریف {@CMShehbaz } کی زیرِ صدارت پاکستان نے کئی عظیم سفارتی کامیابیاں حاصل کیں، جن میں چین کی جانب سے 40 ففتھ جنریشن J-35 اسٹیلتھ طیارے، KJ-500 اواکس، HQ-19 ڈیفنس سسٹم کی پیشکش اور 3.7 بلین ڈالر قرض کی مؤخر ادائیگی شامل ہے، ہواوے کے تعاون سے 100,000 پاکستانیوں… pic.twitter.com/xEvJ0LSQRT
— Government of Pakistan (@GovtofPakistan) June 6, 2025
パキスタン政府も6日「シャリフ首相が中国から第5世代戦闘機のJ-35×40機、早期警戒管制機のKJ-500 AEW&C、地対空システムのHQ-19の提供、37億ドルの債務延期など幾つかの外交成果を達成した」と発表したが、この外交成果についてBloombergは「パキスタンがJ-35、KJ-500、HQ-19の導入を発表した」と、Janesは「パキスタン政府の公式のXアカウントで『中国がJ-35、KJ-500、HQ-19の提供をパキスタン側に提案した』と発表した」と報じており、微妙にニュアンスが異なっている。
そもそもパキスタン政府も具体的なことに一切触れておらず「導入を発表したのか」「中国側から購入を提案されたのか」が不明で、特にBloombergは「関連企業の株価が上昇した理由」として「パキスタンのJ-35、KJ-500、HQ-19の導入を発表した」と報じているため、もはやBloombergとJanesのニュアンス違いは「解釈の違い」としか言いようがない。

出典:FlyingDaggers45SQUADRON/CC BY-SA 4.0
仮にJ-35を導入するにしても開発状況が実戦配備に到達していないため、今年中や来年中といったレベルの話ではないと思われるが、この曖昧な公式発表は「インドが保有していない第5世代機をパキスタンが入手する可能性」を示唆し、インドのシン国防相が先月末「第5世代戦闘機=Advanced Medium Combat Aircraft開発の枠組みを承認した」と発表したことへの対抗措置と解釈するのが妥当なところだろう。
流石にJ-35の実用化はAMCAよりも早いと思われるため、インドの空軍近代化計画はスケジュールの調整や変更を余儀なくされるかもしれない。
追記:Breaking Defenseも10日「中国がJ-35、KJ-500、HQ-19の売却をパキスタン側に申し出た」と報じているため、パキスタン政府の発表は「導入する」ではなく「売却の提案を受けた」というのが正しいのかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:中国航空工業集団
J-35は今月に中国空軍への配備が確認されたので、パキスタン向けのJ-35は当分先の話でしょう。
インドが第5世代戦闘機を配備したらパキスタンにJ-35を売るかもしれません。
インドの新型機が完成するよりF-35が完全体になる方が早そうですね…
ステルス戦闘機の必要性自体、疑わしいと思うけどね。
ウクライナの戦いを見る限り戦闘機は対レーダーミサイルを使用しても
SAMを排除できないので、接近拒否を解除できない。
つまり制空権を定義しているのは地上防空であって戦闘機じゃない。
インパの小競り合いでラファールが撃墜されたって大騒ぎしてるけど
それだって何か大局に影響しただろうか?
結局地上防空によって行動範囲が制限された戦闘機が遠くからちまちま
ミサイルを投げあっただけで、その結果は制空権には全く影響してない。
過剰に戦闘機に投資すること自体無意味に見える。
便利なミサイルの再利用キャリアとしてのみ運用し続ければ良いと思う。
ミサイルの投げ合いをする時、出来るだけ自分は投げて、相手には投げさせない様にしますよね?
対地ミサイル持った敵の戦闘攻撃機を落とすための味方戦闘機は、やっぱりステルス性能があったほうがいいと思います。
出来れば対地ミサイル持った味方戦闘攻撃機もステルス性能があったほうが成功率も生還率も上がると思います。
問題は、唯一の西側のステルス戦闘機のウェポンベイが小さいのと各種ミサイルの統合ができてない事で…
仕方なく、F-15やF-16をミサイルキャリアにして、F-35を護衛にするだけで、ホントは全部ステルス機にしたいと思います。
制空権確保の重要要素に対空ミサイルがあるのは疑う余地はないです
ウクライナの戦場で、そもそもステルス戦闘機はまともに運用されていないので、仰られているような戦訓は得られていないですね。
判明したのは非ステルス機では、強固に構築された対空コンプレックスを抜くことはできないという点だけであり、これ自体は半世紀前の第四次中東戦争ですでに証明されています。
逆にステルス性能の向上により、敵に探知され辛くなることはすでに証明されており
これはスタンドオフ攻撃能力の向上、あるいはスタンドオフ攻撃対策に直結する能力です。
むしろステルス能力を持たない航空機は、敵に近づくことができず、かといってドローンのように人的損害の抑制にもつながらないことから、今後正面装備からは緩やかに消えていくんじゃないですかね。
CSISの台湾想定図上演習では、長射程兵器による基地攻撃が頻発して航空戦力に多大な損害が出るため、消耗を許容できる安価な作戦機も重要だと提言されています
スタンドオフ兵器を主に運用すればパイロットが搭乗中に機体が破壊されることは減るため人的損害は抑制可能です
そして長射程兵器が枯渇すれば、ステルス機を前進させてスタンドイン攻撃で畳み掛けます
何事もバランスということです
ステルス機を持っていない、もしくはごく僅かしか持っていない国同士の戦闘を引き合いに出したらステルス機が活躍していないのは当然では?
ステルスはSAM相手にもキルチェーンの各フェイズで普通に機能しますので「制空権を定義しているのは地上防空」はステルスの有用性を否定する材料にはなりませんね。
自分はF35クラスのステルス性を懐疑的に見てて結構見えてるんじゃないかと思ってる
ステルスの理論は冷戦時代のものだし湾岸戦争からもはや35年
いまだに対策がとられてないとは思えない
レーダーの発展はさることながら、解析技術が大幅に延びてるような気がする
深層学習とか向いてんじゃないかな
旋回中のF35と比較するなら目標に真っ直ぐ突っ込んで来るストーム・シャドウの方がRCSは低そう。
不用意に側面を曝さない飛行テクニックなんかもステルス機の運用技術なんじゃないかと。
捜索レーダーで瞬間的あるいは一時的な探知はできると思います。
ただし、対象をロックオンしミサイルを誘導するには持続的探知が必要なので、100%ではありませんがステルス性の高い航空機の生存率は非ステルス機に比して段違いに高くなります。
断片的な探知情報から航跡を予測することは可能でしょうが、ステルス機側でもレーダー波を受けた時点でそれを察知できるので、不規則飛行によって航跡予測を外す等の対策を採ることも可能かと思います。
ウクライナの戦場で、そもそもステルス戦闘機はまともに運用されていないので、仰られているような戦訓は得られていないですね。
判明したのは非ステルス機では、強固に構築された対空コンプレックスを抜くことはできないという点だけであり、これ自体は半世紀前の第四次中東戦争ですでに証明されています。
逆にステルス性能の向上により、敵に探知され辛くなることはすでに証明されており
これはスタンドオフ攻撃能力の向上、あるいはスタンドオフ攻撃対策に直結する能力です。
むしろステルス能力を持たない航空機は、敵に近づくことができず、かといってドローンのように人的損害の抑制にもつながらないことから、今後正面装備からは緩やかに消えていくんじゃないですかね。
インドがF-35に並びそう