インド北部とパキスタン北東部のカシミール地方で26人が死亡するテロ事件が発生、両国とも軍事衝突の可能性に備え始めており、War Zoneも「世界は中東、欧州、太平洋の情勢を巡って緊張状態にある中、核兵器保有国の間で新たな紛争の可能性が高まっている」と報じている。
参考：‘Act of war’: What happened in Kashmir attack that killed 26 tourists?
参考：‘Will identify, track and punish every terrorist and their backers’: PM Modi’s big message after Pahalgam terror attack
参考：India-Pakistan Tensions On Verge Of Erupting After Deadly Terror Attack
両国の指導者が対応の強度やアプローチを間違えれば取り返しのつかない衝突＝本格的で大規模な戦争に発展するかもしれない
インド北部とパキスタン北東部の国境付近に広がる山岳地帯のカシミール地方で22日、インド連邦直轄領のシュリーナガルから約50km離れたパハルガムで38人以上の観光客が死傷する大規模なテロ事件が発生、Al Jazeeraの取材に応じた目撃者は「22日午後2時45分頃、森から突然現れた襲撃犯が観光客で賑わっていたバイサラン牧草地に向けて無差別に発砲した。最初は風船が破裂したかと思ったが、直ぐに人々が押し合いながら逃げ始め、自分も神の名を唱えながら逃げた」と証言。
シン国防相は「今回のテロ事件によって観光客を含む28人が死亡した（負傷者は12人以上）」と発表、カシミール地方の分離独立を主張する武装集団＝Resistance Frontも犯行声明をTelegram上に投稿し、サウジアラビア訪問を切り上げて緊急帰国したモディ首相も24日「28人の命を奪った犯人を特定し、追跡し、処罰する」「処罰は重大かつ厳重なものになる」「これはテロリストらに想像も出来ない規模になる」と述べ、インドとパキスタンの軍事的緊張が一気に高まり、両国の武力衝突に発展する可能性も懸念されている。
インド側はインダス川水資源条約への参加停止、パキスタン国境における主要検問所の即時閉鎖、パキスタン人に対するビザ免除の即時停止、ビザ免除や有効なビザで入国したパキスタン人に対する48時間以内の退去勧告、両国が高等弁務官事務所に派遣していた武官や支援要員の退去、高等弁務官事務所の人員削減を発表し、パキスタン側も報復措置として同様の措置を講じた上、シムラー協定に対する参加停止の警告、インドとの全面的な貿易停止、インド機の領空通過禁止を発表。
India will identify, track and punish every terrorist, their handlers and their backers.
We will pursue them to the ends of the earth.
India’s spirit will never be broken by terrorism. pic.twitter.com/sV3zk8gM94
— Narendra Modi (@narendramodi) April 24, 2025
印シンクタンク＝Centre for Land Warfare Studiesの代表はAl Jazeeraの取材に「これは戦争だと受け止めている」「テロ事件はパキスタン陸軍司令官がヒンドゥーとイスラムの二国民論への支持を表明した数日後に起こった」「パキスタンがテロ攻撃を最も強い言葉で非難し、今後48時間以内に事件を引き起こしたテロリストへの対応を約束した場合にのみ、今回の深刻な危機を回避可能だ」と述べたが、パキスタン側の対応はインド側の期待を裏切るものだった。
パキスタン外務省は「インドが不法に占拠するカシミールで発生した襲撃で観光客が命を落としたことを憂慮している」「死亡者の親族に哀悼の意を表し、負傷者の一日も早い回復を祈る」としか反応せず、Al Jazeeraも「この声明はインド国内の感情を鎮めるのに全く役立たなかった」と指摘しており、米War Zoneも「中東、欧州、太平洋の情勢を巡って世界は緊張状態にある中、核兵器保有国のインドとパキスタンの間で新たな紛争の可能性が高まっている」と報じている。
Imagery taken yesterday shows the Indian Navy Aircraft Carrier – INS Vikrant underway in the Arabian Sea Region off the coast of Karwar pic.twitter.com/ZfrgOub2fx
— Damien Symon (@detresfa_) April 24, 2025
“両国とも相手国へのビザをキャンセルし、パキスタンはインド機の領空通過を禁止した。さらにパキスタンはアラビア海域にNOTAMを発令して海軍による実弾射撃を開始した。インドも軍事的対応の可能性に備えて軍を完全警戒体制に移行させ、アラビア海に配備した空母も本国に回航している。複数の印メディアやアナリストらは「本格的な戦争に至らない規模での軍事的選択肢が検討されている」「事態のエスカレーションリスクは高い」「もし戦争が勃発しても限定的なものになる」と指摘している”
“インダス川水資源条約への参加停止も戦争勃発に繋がるリスクを高めている。世界銀行の仲介で1960年に成立した条約はパキスタン農業にとっての生命線だ。パキスタン最高の意思決定機関＝国家安全保障委員会も「インドによる水供給中断は戦争行為と見なす」と警告し「国家を総動員して全力で対応する用意がある」と付け加えた”
出典：Pakistan Air Force
War Zoneは今回の事態について「インドとパキスタンのカシミール地方を巡る比較的平穏な状態は破られた。一部のアナリストは両国の武力行使が精密攻撃に限定されると考えているものの、インドとパキスタンが核兵器を保有しているという事実が事態をより憂慮すべきものにしている」と指摘し、両国の指導者が対応の強度やアプローチを間違えれば取り返しのつかない衝突＝本格的で大規模な戦争に発展するかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典：U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Samantha White
互いに武力行使せずに我慢すると国民感情のフラストレーションが溜まって内政的に大変だろうから、プロレス目的で局地紛争ぐらいしてガス抜きを図ったほうがむしろ全面戦争の危機は遠のくのではないだろうか。
お互い本音は局地紛争で終わらせたいでしょうけどどういう展開になりますかね。中印だとお互いに素手やら棍棒で集団戦して引き分けとして帰るということやってたみたいですが、印パは宿敵同士ということでやや激しめのプロレスは必要なのかなとは思います。
中露がまた水面下で調整して終わりかしら。
2019年の印パ衝突以上のことにはならないと思うけど。
今のロシアに仲介する余力があるとは到底…
アメリカはあの様だし、中国はインドと敵対的関係にあるしでブレーキがないのでは…？
特に水資源遮断のカードは2019年の時ですら切らなかったカードだし
中国はインドと完全に敵対していませんし最近は関係改善に向かっています。
また中国は南アジアの安定を望んでいるので水面下で動くと思います。
日本人の生活目線で見れば、ウクライナ戦争・ガザ戦争よりも、切実な問題ですね。
中東からのシーレーンを直撃しますから、今日明日の生活に直結してくるわけで、早く鎮静化し欲しいなと思います。
石油・天然ガスなどの資源価格暴騰だけでなく、船舶が戦争保険の対象になれば、大きなインフレ要因になるリスクがあるからです。
インダス川水資源条約への参加停止を本気でやるとパキスタンの農業が文字通り干上がるので、存亡をかけた争いに発展しかねませんね
インドがどこまで本気なのかがわからない
紛争地で観光事業を実行する側の意図はわかりますが、なんでそんな厄いところにうかうかと観光に出かける「市民」がいるのかは謎。まあ「市民」も用意されていたのかな。
莫大な金かけてタイタニック見学する連中すらいますからそりゃいるでしょうよ
そういえばあの時死んだのもパキスタンの富豪だった
竹島やDMZに観光する韓国人や今のクリミアにバカンスするロシア人もいる訳で、カシミール地方で観光する人は普通にいる。
グーグルで調べればカシミールの観光ツアーやブログも出るし、変じゃない
そうじゃなくても福一周辺や他国の危ない場所に好んで入る人もいるし
少なくとも、実際に陰謀があったとしても直ぐに陰謀の可能性を用意するのは止めとけ
自分の用意した陰謀は自分に都合が良い可能性しか提示しないから
クリミアだってロシアからすると観光地ですし（カシミール問題とクリミア併合を同列に考える意図はない）
実行支配が安定して成立してる風光明媚な場所ならそりゃ観光地になりますよ
そう。観光地化を進める側の理屈は当然なんですけど、その意図に乗っかってしまう側の問題。
市民が害されたら国が軍をあげて保護してくれるような米国市民のように、無邪気に国外に行くような心持ちではインドの社会では生きていけないでしょう。
こういう空気を読むのは非民主主義国家や貧困国の市民の方が感性が鋭いはずなのです。
まあインド市民が害されればインドが軍をあげて報復してくれると期待する人もいるのでしょうけど、間違っても害される観光客の中にはいないでしょう
どうもカシミールにシヴァ神の巡礼地があるみたいなんですよ
なのでエルサレム巡礼的なノリで行くんでしょうね
近年は治安も改善されてたので大きな事件は起こってなかったはず
インパ戦が始まったたら、アメリカはどうするのだろ？
パキスタンは一応アメリカの同盟国だが、インドは同盟国で無くとも中国を抑えるのに必要な国だし。
そして台湾、朝鮮まで飛び火したら、
アメリカはウクライナ、イスラエル、インパ、台湾、朝鮮と5方面に支援する事になる。
そりゃアメリカも北米に引きこもりたくなる、ソ連が居ればユーラシア大陸の管理者として
途中送信してしまった。
ソ連が残ってればユーラシア大陸の管理者として、アメリカの負担を減らせただろが、まぁ今更な話だね。
その管理者を引き継いだロシアの国力をウクライナを使って削いだのは当のアメリカなんだから身から出た錆だね。
「第三次世界大戦は印パ国境紛争から始まる」という分析もあるが、果たして。
インドはSAARC内でのビザ免除制度(SVES)以外の全ての免除やビザも停止したのでしょうか。現状の両国間の行き来の殆どは同制度による免除やビザによるものだったはずなので、事実上ほぼ全員であることには変わりないでしょうけど。
パキスタン側のビザ停止は巡礼目的のシク教徒は除外と聞きましたが、まだ大元の発表を見てないので噂程度です。
今回どうなるかはともかく、インドが不本意ながらもアフガニスタン新政権と外交関係の再構築を始めた以上、パキスタンがインド以外の地域大国か核兵器のどちらかに頼って強硬姿勢を貫く場面は増えていきそうなのがなんとも。
パキスタンによるカシミールを国際的な(インドの国連決議無視と侵略)事件にしようとする長年の試みも上手くいきそうにはないですし。
しかしモディ政権はことあるごとに攻めた方針に出るな…
まあ今のパキスタンは貧弱な政権が続いてるし、20世紀までは最大の味方だった筈のアメリカも中立的で、もうパキ単独では全く怖くないのもあるんだろうけど、中国が…
おかしい……日本の関与してない地域から意図しない制裁喰らってる……
世界は繋がってるから連鎖はしょうがないね、ウクライナ戦のせいで肥料が爆上がりしたし。
反応が過剰すぎる
水停止はパキスタンにとって戦争するしかない。
確かに係争地でパキスタンのテロ組織による犯行なんだが、犯行声明を出したテロ組織がパキスタン政府が支援しているわけではないだろう、少なくとも表向きには、印パを戦わせたい連中がテロ支援してても驚かないし。
たかだが「数十人」の犠牲で初めていい戦争ではない
謝罪と取り締まり要求だけでよいだろう。
もしくはイランみたいにパキスタンのテロ組織の場所を爆撃するとかさ、主権無視だが表向き関係ないのだからね、代わりにインド系の組織に爆撃するとかで収めることはできないのか。