インド太平洋関連

パキスタンが導入したJ-10Cを公開、力の不均衡を是正するの役立つ

パキスタンは中国から導入したJ-10Cを11日に公開、式典で演説を行なったカーン首相は「力の不均衡を是正するの役立つ」と語りJ-10Cの導入がインドのラファール導入に対応したものであることを明かした。

参考:Pakistan Air Force inducts new batch of Chinese fighter jets

パキスタンはJ-10C+PL-15を導入することでインド空軍に傾いた力のバランスを元に戻す

インドはフランスに発注していた36機のラファール受け取りが完了、特に今年2月に到着したラファール3機は独自改良や機能追加が行われた「特別仕様機」で関係者は詳細を明かしていないが、現地メディアは「低周波帯の妨害システム、非常に高度な通信システム、高地でのエンジン始動、合成開口レーダーの能力強化、地上を移動する目標の追跡能力、ミーティア統合などに関連するものが含まれ、これをインド国内でテストしてから他のラファールにも同じ機能が追加される」と述べている。

出典:public domain インド空軍のラファール

このような高度な戦闘機をインドが導入することに危機感を感じているがパキスタンで、中国と共同開発してJF-17の最新モデルBlock3の調達(計50機発注)を始めていたが、アーメド内務相は昨年末に突然「来年の建国記念日(3月23日)に予定されている式典に25機で編成されたJ-10C装備の飛行隊が姿を見せる、我々のJ-10C導入はインドのラファール導入に対する回答である」と発表して注目を集めていた。

内務相が言及したJ-10Cは中国の成都飛機工業公司(CAIG)が開発したJ-10シリーズの最新モデルで、機体に使用された複合材料の適用範囲を増やし新開発のステルスコーティング(レーダー反射を抑制する塗料)と併用することでRCS値を大幅に減少させることに成功、さらに国産AESAレーダーやJ-10Bで採用を見送った国産エンジン「WS-10B(A/B使用時14.6トン)」を装備しており、西側製のシングルエンジン戦闘機と比較しても遜色のない戦闘性能を備えているというのが一般的な評判だ。

最大速度、戦闘機半径、最大離陸重量、ペイロード、エンジン性能といった主要性能でJF-17/Block3を上回るJ-10Cは米空軍も警戒している「PL-15」に対応しており、カーン首相が言及した「力の不均衡を是正する」とはJ-10C+PL-15を導入することでインド空軍(ラファール+ミーティア)に傾いた力のバランスを元に戻すという意味が込められているのだろう。

因みに11日の式典に登場したJ-10Cは5機だが、建国記念日のパレードに一体J-10Cは何機登場(たった数ヶ月で25機も引き渡されるのかという意味)するのだろうか?

追記:同タイミングでパキスタン空軍が発表した空軍のテーマソング、特筆すべきは「非常に和むメロディライン」である点で映像させ見なければ空軍のテーマソングとは誰も気づかない。

追記:インド陸軍は今月9日、メンテナンス中の技術的な不備でブラモスをパキスタン方向に誤射、このブラモスは国境を越えてパキスタン領内に着弾した。

関連記事:インドのラファール導入に対するパキスタンの回答、中国からJ-10Cを25機導入
関連記事:JF-17Block3調達が始まったばかりのパキスタン、年内に中国からJ-10Cを36機導入?
関連記事:中国の戦闘機「JF-17 Block3」に対して仏製戦闘機「ラファール」は優位性を失う
関連記事:中国、米空軍も恐れるPL-15を搭載する第4.5世代戦闘機「J-10C」に国産エンジン統合

 

※アイキャッチ画像の出典:Pakistan Air Force

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コメント

    • 折口
    • 2022年 3月 14日

    中国からいくらで買ったのか分かりませんが、パキスタンよくそんな資金がポッと出てくるなぁ。
    ロシア製兵器の購入や納品が当面ストップしてしまうインドと差が縮まりますね。

    4
    • STIH
    • 2022年 3月 14日

    よりによって誤射したのブラモスだったんだな。今パキスタン揉め事が起きたとき不利なのはインドでしょうから、本当に誤射なんでしょう。
    しかし破片類が中国に渡りかねないのは痛いんじゃないんでしょうか。

    14
    • zerotester
    • 2022年 3月 14日

    テーマ曲は曲調も和むし、オケが生バンドではなく安いカラオケ音源みたいなのもまた味があります。

    8
    • AH-X
    • 2022年 3月 14日

    価格が気になりますな。憶測ですが、1機あたり50億くらいかな?

    • APFS
    • 2022年 3月 14日

    中国製エンジンの実際の性能と寿命が気になるところ。
    そういえば、今回は射出座席も中国製なのかな。

    7
      • k.ziro
      • 2022年 3月 14日

      機体が錆び易く雨天だと飛ばせないと言う話もあったけど、ちゃんと対策できたんですかねえ?
      気になるところです。

      1
        • Naoki
        • 2022年 3月 14日

        すみません、雨天だと飛べない飛行機ってこの世に存在するんですか?どこからの情報ですか?
        さすがに中国軍舐めすぎ、さては未だに遼寧はディーゼルエンジンで20ノットも出ないみたいな情報を信じちゃったりして。
        そして中国は今ほとんどの機種で国産エンジンへの載せ替えを始めています。少なくとも旧型のロシア製よりも自信がある現れでしょう。

        10
        • hki
        • 2022年 3月 14日

        雨の日でも飛んでいるJ-10の動画がありますけどね。
        F-15Jは機体の洗浄をする時に、機体に水が入って電子機器を壊さないように、
        継ぎ目をテープで目張りして洗浄しますけど、F-15Jは雨天でも飛べますよね。

        6
    • あばばばば
    • 2022年 3月 14日

    J-10Cって右上から見るとかっこいいよね

    正面下から見ると、ダッs……、ガンダムのドップ戦闘機みたいな見た目してるが

    7
    • G
    • 2022年 3月 14日

    >インド陸軍は今月9日、メンテナンス中の技術的な不備でブラモスをパキスタン方向に誤射、このブラモスは国境を越えてパキスタン領内に着弾した。

    核弾頭搭載可能なブラモスを、同じく核保有国であるパキスタンに誤射というのは非常に恐ろしいですね
    恐らく即落ちたためにすぐ核ではないと判明し、パキスタンは報復攻撃をしなかったのでしょうが、ブラモスの飛行時間が長かった場合、下手すれば着弾前(無弾頭と判明する前)に報復核攻撃を行っていた可能性があり、そうなれば緊張下にある今の世界において取り返しのつかないWW3(核戦争)が起こっていた可能性が無きにしも非ずというのが……

    13
      • STIH
      • 2022年 3月 14日

      多分なんだけど、中印パは揃って国連決議に棄権してるところを見るに、今この3カ国で揉め事を起こすととても面倒なことになる、という点で見解が一致してるんじゃないんですかね。だから今回はさっさと手打ちしたんじゃないかと。

      5
    • 諦観
    • 2022年 3月 14日

    もう航空自衛隊はパキスタン空軍にも勝てないな…

    1
    • hki
    • 2022年 3月 14日

    J-10CEの輸出価格は1機4,000万ドルとのこと(インドのラファールは1機2.5億ドル)。
    3月11日に中国はパキスタンに6機のJ-10Cを納入していますね。
    第4.5世代機を短期間で数十機用意できる中国が恐ろしい。

    4
    • 名無し
    • 2022年 3月 14日

    ロシアのスホーイもそうなんだけど、機体前部の角度が上向きなのって何か意味があるの?

    • 名無志野
    • 2022年 3月 14日

    WS-10Bいつの間にか海外に輸出できるほど信頼性上がっていたんですね

    出だしは普通に勇ましいと思ったのにこのBGMは…
    MVの作りが新旧入り混じってて独特で爆発音SEがでかい!
    なかなか趣深い

    5
    • hcj
    • 2022年 3月 15日

    実戦の機会は訪れる、J-10C+PL-15の射程は200kmで、ラファールは不利だ。

    3
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