インド太平洋関連

最大潜航深度はそうりゅう型並?韓国、3000トン級潜水艦にHY-130相当を使用

韓国海軍にとって、初の国産潜水艦「島山安昌浩」が最大潜航深度試験をパスしたという報告があがってきた。

韓国の3,000トン級潜水艦「島山安昌浩」に使用した高張力鋼はHY-130相当?

韓国が初めて国内で設計し建造した3,000トン級潜水艦「島山安昌浩」は、2018年9月14日に進水式を行い港に係留されたまま各種試験を行い、2019年6月、試験航海のため初めて出港した。

出典:Facebookの公開グループ「大韓民国潜水艦連盟」にキム氏が投稿したスクリーンショット

8月23日、韓国の潜水艦連盟の会長キム・ヒョクス氏は自身のFacebookに、島山安昌浩が最大潜航深度試験に無事パスしたと報告し、最大潜航深度を明らかにすることは出来ないが、韓国海軍がドイツから導入した209級潜水艦(排水量1,800トン)は船体に「HY-90」の高張力鋼を使用していたが、島山安昌浩はHY-130相当品を使用しているので、209級潜水艦よりも深く潜る事ができると言及した。

潜水艦連盟とは、韓国海軍潜水艦部隊出身者の予備役数百人で組織された民間安全保障団体で、現在会長を務めているキム・ヒョクス氏(予備役海軍准将)は、潜水艦戦団(現在は改編され海軍潜水艦司令部となっている)初代団長(司令官相当)を務めた人物だ。

そのため海軍の事情に明るいと見られ、島山安昌浩が最大潜航深度試験をパスしたという情報も韓国海軍の関係者から入手した情報だと思われる。

キム氏が漏らした島山安昌浩に使用されている高張力鋼「HY-130(相当品)」とは、米国が開発した潜水艦用の高張力鋼で、シーウルフ級は「HY-100」を使用していたが、コストダウンを図るため現在建造されているバージニア級はロサンゼルス級と同じ「HY-80」を使用しており、開発はしたものの実際に米海軍の潜水艦に「HY-130」は使用されていない。

出典:public domain バージニア級原子力潜水艦

日本は独自に、NS規格の高張力鋼を開発し海上自衛隊の潜水艦に使用しており、「HY-80」相当の「NS-63」はうずしお級に使用され、「HY-100」相当の「NS-80」はゆうしお級以降の潜水艦に使用されてきた。

おやしお級以降は「HY-130」の耐力値を大きく上回る「NS-110」が採用(構造材の一部のみで使用されているとのこと)され始め、謎が多いロシア製を除けば、西側が使用する高張力鋼の中で「NS-110」はトップクラスの性能を誇っている。

では、韓国はHY-130相当の高張力鋼をどこから調達したのか?

韓国がドイツからライセンス生産権を取得し、国内で建造した214型潜水艦には、韓国産のHY-100相当の高張力鋼が使用されており、HY-130相当の高張力鋼も国内で製造した可能性が高いが、価格の問題から、HY-130相当の高張力鋼のみで潜水艦を建造したとは考えにくく、恐らく日本と同じく、HY-130相当の高張力鋼は構造材など一部に採用にとどまるだろう。

韓国産のHY-130相当の高張力鋼がどれほどの性能を持っているのか謎だが、HY-130と名乗っているので日本の「NS-90」相当の性能があるのかもしれない。

HY-100を使用し建造されたシーウルフ級の最大潜航深度は約600mと言われ、HY-80にスペックダウンしたバージニア級の最大潜航深度は約480mなので、HY-130相当の高張力鋼をどの程度の範囲で使用しているのか不明だが、韓国の島山安昌浩の最大潜航深度は500m以上だと思われる。

出典: 대한민국 국군 Republic of Korea Armed Forces / CC BY-SA 2.0 214型潜水艦「安重根」

韓国産のHY-100相当の高張力鋼が使用された214型潜水艦の最大潜航深度は400mだと言われている。

もし島山安昌浩の最大潜航深度が500m以上となれば、日本のそうりゅう型潜水艦と同レベル、もしくはそれに近い最大潜航深度性能をもっていると言えるだろう。

ただし、潜水艦連盟会長の話が正しければの話だ。

予備役海軍准将であるキム・ヒョクス氏の経歴を考えれば、信ぴょう性が無いとも言えず、逆を言えば、潜水艦戦団の団長の地位にいた人物が、軍が発表もしていない情報を、誰が見ているか分からないFacebookに乗せるだろうかという疑問も湧いてくる。

ここまで書いておいてなんだが、とりあえずは話半分で聞き流しておくのが賢明かもしれない。

 

※アイキャッチ画像の出典:韓国大統領府 青瓦台

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コメント

    • 匿名
    • 2019年 8月 28日

    オチが無慈悲wwwww

    1
    • 匿名
    • 2019年 8月 28日

    仮にこれが事実とすると、逆に(韓国にとって)深刻な事態でしょう。
    部材としてのHY-130相当の鋼材を調達できたとしても、それ以上に問題になるのは溶接技術です。
    そんな匠の技を持つ工員が韓国造船界にいるとは、到底思えません。
    潜水艦喪失の大事故に繋がる危険性が大です。

    2
      • 匿名
      • 2019年 8月 28日

      なんだ、南朝鮮のお笑い劇場か。

      2
      • 匿名
      • 2020年 3月 22日

      >そんな匠の技を持つ工員が韓国造船界にいるとは、到底思えません。

      それは、残念ながら投稿者さんの願望交じりの憶測だよね。

      古くから、造船で世界最大の売り上げを誇る国なのだから、彼らの技術を侮ってはいけない。

      3
    • 匿名
    • 2019年 8月 28日

    最大深度が深くても、それに見合う魚雷がなければ脅威度は下がりそうです。

    4
    • 匿名
    • 2019年 8月 28日

    でもそれを活かす海がねー

    2
      • 匿名
      • 2019年 8月 28日

      目下、深度500m以深で発射可能な深々度魚雷は
      日本しか開発、保有出来ていません。

      しかしながらあの国のことです。
      どこから情報を盗み出すか分かりません。
      自国で運用出来るとは思えませんが、
      この国から発信された情報である、という事が
      非常に引っ掛かります。

      3
    • 匿名
    • 2019年 8月 28日

    韓国がそんなものを開発できるわけが無い、支那がそんなものを開発できるわけが無い
    という解釈は優先順位としては低い。
    一番の優先順位は、こういう情報が韓国側から出た場合、韓国や支那に西側の技術が漏れていないか?
    そして何故漏れるのか?漏れないような体制作りは、過去5年間でどれだけ進んで今後どのように強化されていくか?
    の部分。
    韓国や支那が開発出来ないのは分かってる。でも作り方は日本から漏れてきた。
    現にだから韓国は電気や半導体で日本メーカーを駆逐した。
    今回も漏れていないかどうか?が一番の論点。
    開発能力が無くても、今後も継続的に日本の技術が漏れ出ていく仕組みがあるのなら韓国・支那に開発能力があるのと同じ話。

    6
      • 匿名
      • 2019年 8月 28日

      家電と軍需産業一緒くたにしてありもしない妄想するのもどうかと思うけどね
      もしパクられてたら今頃韓国産ロケットは飛んでるだろうし潜水艦や戦車開発でトラブらす
      航空機開発すら独自で成し遂げられてるんじゃないかね?
      アメリカすら完璧な防諜体勢が出来てない以上100%シャットダウンできてるとは言わないが
      技術体系として形になるほどの流出は無いと言い切れると思う

    • 匿名
    • 2019年 8月 28日

    まあ、実現勢を問うなら、まずは今の潜水艦が正常に運行できるようになってからだよな。
    潜水艦ならぬ軸折れ浸水艦とか、ギャグでしかないわ。

    まあでも計画して公表するだけなら『3000m航行可能な潜水艦を造るニダ!』ってのもありな訳だし、好きにすればいいさ。
    その後に日本が造った新型艦に『それはウリが作った設計図をパクったニダー』とか言い出さないならね。

    2
    • 匿名
    • 2019年 8月 28日

    この潜水艦は英国バブコック社の設計。

    3
    • 匿名
    • 2019年 8月 28日

    朝鮮の連中の話は、ハッタリだらけで信用ならん。

    1
    • 匿名
    • 2019年 8月 28日

    彼らなら日本よりも深く潜るだろう

    だが二度と浮上は出来ないだろうけどな

    3
      • 匿名
      • 2019年 8月 29日

      韓国のDSRVは400mまでしか対応できないんだけど、もっといいのは買えたのかねえ。
      日本のちよだのは安心の1000m対応。

      2
    • 匿名
    • 2019年 8月 28日

    前回は何度目かの試験でボルトが破断しまくって原因は高張力鋼に原因だったよなぁ。
    一般に韓国の鉄鋼は同じ材質でも明らかに日本の鉄鋼より軟らかい。
    まぁいつもの試験不合格で納品時に罰金の名目で若干の値引きでシャンシャンだろうね。

    2
    • 匿名
    • 2019年 8月 28日

    ないない。
    材質だけじゃ意味ないし。
    そもそもその材質だって使用に耐える品質とは思えない。
    とはいえ潜るだけなら問題ない。潜るだけならなw

    2
    • 匿名
    • 2019年 8月 28日

    こんなのでもドイツの潜水艦よりもマシ

    2
    • 匿名
    • 2019年 8月 28日

    南朝様、圧壊すればもっと深く潜行出来るよ!

    • 匿名
    • 2019年 8月 28日

    読んで無いけど、そうりゅう並み?
    笑かすなw
    今までまともな兵器すら造れたためし無いのに
    脅威?胸囲の間違いじゃね?
    もし本当に出来てても、もうすぐ国が終わるじゃんw
    文の脱出用か? 最後に圧壊すりゃもっと笑えるんだけどなぁw

    1
    • 匿名
    • 2019年 8月 28日

    子供がおもちゃを自慢する姿に似ているのは気のせい?

    • 匿名
    • 2019年 8月 29日

    潜航したら後は浮上するだけ。

    ね?簡単でしょ?

    • 元中の人
    • 2019年 8月 29日

    まず品質の安定した超高張力鋼を量産出来るのか。
    次に張高張力鋼を強度を落とさずに溶接出来るのか。
    今までドイツから潜水艦買ってもまともに運用できず、
    修理も儘ならない韓国の技術力を考えると大いに疑問。

    2
    • 匿名
    • 2019年 8月 29日

    ついに潜水艦も韓国に抜かれたか…
    落ち目の日本ではもう軍拡競争なんてついて行けない
    無駄な軍事費を1/3にして残りは国民の社会福祉の為に使おう

    2
    • 匿名
    • 2019年 8月 29日

    ご冥福を御祈り申し上げます

    • 匿名
    • 2019年 8月 29日

    溶接技術は持ってるのか、単に溶接するだけじゃなくて溶接で高熱を加えた後でも鋼の特性が変改しないことが重要なんだが。

    2
    • 匿名
    • 2019年 8月 29日

    深く潜れるって、予備浮力のなさを正当化するためのいいわけでは?

    • 匿名
    • 2019年 8月 30日

    海上での基準排水量と水中での満水排水量の差があまりに少ない。これはダメージコントロールの余力が無い事を端的に表している。つまり、攻撃を受けた際に小さなダメージでも沈没に至ると言う事。韓国の潜水艦は攻撃されるともろい。

    3
    • 名無し
    • 2019年 8月 30日

    マリアナ海溝に潜航じゃなく、マリファナやってhighになったか?ワラ

    • 匿名
    • 2019年 8月 30日

    韓国産潜水艦なら深度1000mでもイケルよ!
    とっくに圧壊して二度と浮いてこないけど。

    1
    • 匿名
    • 2019年 8月 31日

    海の底まで沈むニダ

    1
    • 不老有死
    • 2019年 9月 12日

    材料のみで決まるわけではない。
    そんな基本的なことも解らないのなら記事は上げるべきではない。
    削除するべきだと思います、こんなくだらん記事は。

    2
      • 匿名
      • 2019年 9月 29日

      具体的な指摘もできないなら黙ってろよ。
      くだらんのはオマエだ。

      3
    • 匿名
    • 2020年 7月 08日

    >ただし、潜水艦連盟会長の話が正しければ・・

    これが全て(ゲラゲラ)

    4
    • とおりすがり
    • 2020年 7月 13日

    浸水・・じゃなくって進水した後のニュースってあまり聞かないよね、この潜水艦。
    目だった成果があれば、思いきり脚色してホルホルするのが、丁4の性癖だというのにどうしたことだ?
    いずれにしても、日本並に数をそろえるのだいぶ先になるだろう。
    なにしろ、経済失速にナンプクトンイルにと、潜水艦どころじゃないものいりが控えているもんな。

    1
    • 匿名
    • 2020年 11月 13日

    そこいらからかき集めて組んでも浮かばんぞ!深く潜れるだけでは通用しない、静音性や練度、運用、稼働率が伴わないと戦力化出来ない。3隻作っても共食いで1隻だけが観艦式程度のパレードに浮上航行でしょうな。パレー中のトラブルに気をつけてね〜!

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