インド太平洋関連

韓国陸軍が歩兵戦闘車「レッドバック」の試験運用を発表、但し採用するのかは不明

韓国陸軍はハンファディフェンスが豪陸軍に提案している「レッドバック/REDBACK」の試験運用を来年4月から実施する発表、レッドバックのベースとなったK21歩兵戦闘車には統合されていない各種先端技術をテストして次期歩兵戦闘車に活用できるかを見極めるらしい。

参考:한화 ‘레드백’ 장갑차 내년 4월 기계화부대서 시범 운용한다

韓国陸軍がレッドバックの試験運用を実施、但し次期歩兵戦闘車として採用するのかは不明

ハンファディフェンスが開発した新型歩兵戦闘車「レッドバック」は現在、ラインメタルのリンクスと共に豪陸軍の評価テスト(次世代歩兵戦闘車選定 Land400)を受けている最中で来年の第1四半期には結果が発表される予定なのだが、評価テストを終えた後にハンファディフェンスへ返却されるレッドバックを韓国陸軍がテストを行い次期歩兵戦闘車に活用できるかを見極めるらしい。

韓国陸軍はレッドバックに統合されたシースルー装甲の概念を実現する状況認識システム「IronVision」、対戦車ミサイルやHEAT弾等の化学エネルギー弾を無力化するアクティブ防護システム「IronFist」、鉄製履帯の半分の重量で乗り心地も向上するゴム製履帯などK21歩兵戦闘車にはない先端技術に注目していると報じられているが、レッドバックをテストして十分な性能が確認されれば次期歩兵戦闘車として採用するのかレッドバックの技術をベースの新たな歩兵戦闘車を開発するのかは不明だ。

ただレッドバック開発国の韓国がどんな形でも採用に動けば海外輸出に弾みがつくため、欧米への展開を考えているハンファディフェンスと韓国陸軍の試験運用は重要なマイルストーンとなるだろう。

因みに米国へのレッドバック売り込みは始まっており、米陸軍の次期歩兵戦闘車プログラム(OMFV)にレッドバックベースの次期歩兵戦闘車案を米企業オシュコシュと共同で提出済みで、現在各社が提出した案を米陸軍が検討中で年内にも予備設計フェーズに進む企業を発表すると見られているが、今のところ欧州への売り込みについて具体的な動きは観測されていない。

出典:Rheinmetall MAN / CC BY-SA 4.0 歩兵戦闘車「リンクス KF41」

そもそも欧州はラインメタルのお膝元でリンクス以外の欧州製歩兵戦闘車(プーマ装甲歩兵戦闘車やASCODの各種派生型など)も市場に供給されているため、現地点で採用実績のないレッドバックにとっては最もハードルが高い市場なので豪陸軍や米陸軍から前向きな結果が引き出せた後に売り込もうと考えているのだろう。

関連記事:契約総額57億ドルの行方、豪州の歩兵戦闘車と自走砲を巡ってドイツと韓国が激突
関連記事:米陸軍の次期歩兵戦闘車プログラムに韓国企業のハンファディフェンスが挑戦

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※アイキャッチ画像の出典:Australian Army

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コメント

    • 匿名
    • 2021年 7月 02日

    砲塔形状が割と好きな形
    こういう、新型兵器を(性能不明、輸出前提・採算性度外視なものの)次々と生み出せるのは羨ましい限り

    所で本邦の89式に変わる歩兵戦車や、87式に変わる対空戦車の後継はどうなったのだろう…?

    8
      • 匿名
      • 2021年 7月 02日

      個人的には、90式を引退させて兵員輸送車に改造すべきと。イスラエルが滷獲したT55戦車を再利用したように。あの重たい砲塔を外してしまえば内地走行も可能だし。
      87式の後継はコンセプトが難しいね、今までの戦闘機、ヘリコプター相手に加えてドローンやUAVへの対策も盛り込まないとなるまいし、難航しそう

      2
        • 匿名
        • 2021年 7月 02日

        内地での運用を考えるなら16式との運用を考えると結局MAVで統一した方がトータルでは安く済みそうだけどね
        改造しても戦車車体は戦車車体だし、整備運用のコストは通常の装軌装甲車より高そうな印象がある
        実際のとこどうなんですかね?

        2
          • 匿名
          • 2021年 7月 02日

          大差ないって言いたいけど、例の油圧式姿勢制御はメンテナンスが面倒で有名だからね、
          しかし兵員輸送車の重装甲化という流れからすると、新規開発よりも戦車車体の流用というのはあり得ると思います。陸自の規模からしても400両の90式から改造すれば充分かと。
          そしてもっと10式のフル装甲バージョンを増産してほしい

          2
            • 匿名
            • 2021年 7月 03日

            全くありえないですね
            アチザリットやウクライナのBMP-55は新型エンジンに換装し若干スペースを作り後部側に乗降口ハッチを作り、そのレイアウト変更の為に車体構造に大規模に手を入れている
            これらが比較的ローコストで可能だったのはそれを実現可能な基盤があったから、日本で90式ベースでやろうとすればエンジン換装だけでも幾ら掛かるかわかったものではない
            ナグマショットやBTR-Tのような上部ハッチからの乗降は論外だろうしね、あとAPCに油気圧サスとか無駄極まる、足回りも換装するなら幾ら掛かるやら、どう考えても非合理的過ぎる

            10
        • ゆう
        • 2021年 7月 03日

        90式再利用の兵員輸送車は現実味がないかと。
        ・エンジンが後部にあるので、歩兵の出入りは車体上部から。上部の出入口開閉は遠方からでも確認できる。結果、歩兵の展開・撤収が敵にすぐばれる。
        ・油圧式サスペンションは無駄な設備。整備も大変。
        エンジンが前にあり、兵員輸送車に最適なメルカバ改造ナメルも、コストの観点から少数にとどまっています。

        3
      • 匿名
      • 2021年 7月 02日

      共通装軌車体が出来上がってきたら、いろいろ話が出てくるんじゃないかと思う(令和7年度ごろの話になるらしい)

        • 匿名
        • 2021年 7月 03日

        例の第7師団専用のやつね。それ以外は施設用を除いて全国で完全装輪化だね。
        第2機動師団はMCV系のを大量装備するらしいし第7師団もこれまでより装輪装甲化率が高まるだろうに思う。
        そして安い方の装輪装甲車が電動化して日立が参入するらしいね。輸送防護車みたいなボンネットトラック形式らしいけど。

          • 匿名
          • 2021年 7月 03日

          北部方面隊と富士教導団にしか配備しないような防衛装備は税金の無駄遣いではないか?
          北海道も地盤が固くはないし(特に昔開墾して埋め立てたような場所)、戦車含めた装軌装甲車は廃止にして、全て装輪装甲車にした方が安く済むだろう

            • 匿名
            • 2021年 7月 03日

            いかに装輪車の性能が向上してても、北海道の気象を考えれば履帯廃止までは無理ね
            雪上や泥炭地での作戦やってるロシア軍の装備を眺めるとわかる

            9
              • 匿名
              • 2021年 7月 03日

              第7師団は自走機動性を重視しないし戦車連隊基幹なので補助AFVが戦場機動で戦車の足引っ張るわけにはいかず逆に進出速度が早すぎても偵察や情報斥候以外ではあまり意味ない。
              故に7偵隊は装輪化を高めてもいいだろうが11普連がMAV装備してもあまり意味がない。それだったらMAVの半額で買える73式再生産でも別にいいだろう。
              ただ今後の推移は無人機攻撃を勘定に入れる必然がありAPCも重装甲化して尚且APSも付加するならば89式車格で車体延長はせずグロス35t位にはなるだろう。
              そう考えると例の新車両はFVの設計世代的に付加装甲前提になく外装構成に手間がかかり整備性も極めて劣悪が明確なのでリンクスやレッドバックのようなまるでステルスみたいな外観に一新される可能性が高いね。

              5
                • 匿名
                • 2021年 7月 03日

                これから避けられない装甲車の重装甲化による重量増は接地圧の増加につながるし、これはタイヤやエンジンの性能向上のみでは解決しないから、やはり装軌が必要ですね、
                人類は重力からは逃れられないw

                3
    • 匿名
    • 2021年 7月 02日

    総裁選に負けても出馬し続ければアピールになるから
    これも、戦略にはなるかも。
    日本もがんばれ

    3
    • 匿名
    • 2021年 7月 02日

    砲塔はオーストラリア&イスラエル製、機関砲はアメリカ製で対戦車ミサイルはイスラエル製を搭載し、パワーパックはドイツ製を搭載か。
    車体以外は欧米の実績豊富な装備品を搭載することで、西側向けの堅実な輸出兵器となっている。
    また、オーストラリア製の装備品を搭載することでオーストラリアの企業も潤うと…韓国も売り方が上手よね。

    7
      • 匿名
      • 2021年 7月 02日

      輸出でそんなに儲けが出なくても、技術開発で自国の兵器品質を向上できるし、やっぱ他人の金で食う焼肉ほどおいしいものはないな

      12
      • 匿名
      • 2021年 7月 03日

      トルコの無人機のようなやり方だな
      いや韓国の方が先か
      軍事に限らずこういうの得意やね

      2
    • 匿名
    • 2021年 7月 02日

    そう、他人の資金で研究し技を高め、しかもコストダウンすら可能になる
    やはり輸出を念頭に入れて開発するのは大事だよ、ガラパゴスなんてムダが多い割には?な感じだし

    2
    • 匿名
    • 2021年 7月 03日

    他国のトライアルで疲労した車両でトライアルする事でより過酷な内容となり仮に壊れても脆弱な部品が判る……考えたねえ
    ただ渡河能力や登坂能力は豪より厳しいだろうからそこがネックか

    1
    • 匿名
    • 2021年 7月 03日

    ハンファが積極的に評価試験に応募するのは箔を付けるためなのは確かでしょうね
    欧州や豪州に輸出実績をつくれれば、それを足掛かりに得意のセールスで途上国や
    紛争国に売り込みをかけるという戦略でしょう

    5
    • 匿名
    • 2021年 7月 03日

    速報
    次期戦闘機
    エンジンをイギリスと共同開発へ!

    • 匿名
    • 2021年 7月 03日

    兵器なんてトータルで使えて安けりゃ部品が何処製なんてどうでも良いのに、なんで拘泥る人が出てくんのかな?

    1
      • 匿名
      • 2021年 7月 03日

      部品の国産化率が高くないと戦時にリスクが高まるって論理なんだろうが、現代にどの程度の意味があるのやら
      それこそ原料素材から輸入できないとどうしようもない部品が多いのに
      大戦時に日本の潜水艦がドイツに渡るのに、ドイツに不足な生ゴムや錫を満載して行ったって故事から感じる
      いま韓国が取り組んでる対日依存の軽減がそれに等しい無意味だしね

      • A
      • 2021年 7月 03日

      基本的にはそうなんだろうけれどいざって時に手に入らない可能性を考えて、ある程度は国内で入手できるように生産基盤を保つもの必要かと。

      5
      • 匿名
      • 2021年 7月 03日

      メンテナンスを含めるとその安けりゃが成り立たなくなることが多い。本当に露骨に部品代を値上げたりする。
      日本人が普通と感じるレベルの部品の供給体制なんて夢物語。

      2
      • 匿名
      • 2021年 7月 03日

      >兵器なんてトータルで使えて安けりゃ部品が何処製なんてどうでも良い
      それはサポート体制に全く心配のない使用者側の感想でしかないんじゃないかな。

      6
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