台湾議会でも「イランの弾道ミサイル、巡航ミサイル、無人機によるハイブリッド攻撃が引き起こした問題」が議論され、長距離ロケット弾と自爆型無人機の迎撃を念頭においた「安価な迎撃ミサイル」「機動射撃部隊+電子戦+迎撃ドローンで構成されるカウンタードローンシステム」の開発に乗り出した。
参考:應對共軍遠程火箭 國防部:研製低成本防空武器攔截
参考:反制中共遠火威脅 中科院明年實測低成本防空彈藥
参考:Capabilities of proposed ‘T-Dome’ touted
参考:Arms sale likely includes IBCS, PAC-3 MSE
参考:Report outlines missile defense plans
中国と対峙する台湾でもイランの反撃能力が引き起こした問題が深刻に受け止められている
イラン製の自爆型無人機=Shahed-136が米国や中東諸国に問題を引き起こしており、この問題の本質は「Shahed-136が高価な長距離攻撃兵器の代替手段になる」のではなく「Shahed-136による攻撃コストと防空システムによる迎撃コストが釣り合わない」という点にあり、この問題に一定の答えと結果を残しているのはShahed-136の攻撃を日々撃退し続けているウクライナだ。

出典:UNITED24 Media
UNITED24が説明するウクライナの多層防空網は現在「①探知システム=侵入するドローンを発見、追尾し、警報を発するセキュリティ技術」「②電子戦=侵入してきたドローンの航法を妨害して野原に墜落させるか、ロシアやベラルーシに帰還させる」「③戦闘機=有効ではあるが機数と滞空時間に制限がある」「④防空システム=主に巡航ミサイルや弾道ミサイルに対して使用される。高コストかつ供給が限られているためドローンに対して使用される頻度は低い」「⑤迎撃ドローン=最も近代的な解決策であり数百機のShahed-136を撃墜可能」「⑥機動射撃部隊=ドローンを迅速に迎撃・破壊する重機関銃を装備した小型の機動車両チーム」で構成されている。
要するに「ウクライナは2022年後半にShahed-136が登場すると、2023年後半までに探知システム、電子戦、機動射撃部隊を追加し、2024年にF-16が到着し、2025年に迎撃ドローンを実用化して防空網を6層化した」という意味で、さらに民生技術とアプリを活用した分散型の指揮統制で目標=Shahed-136を捕捉して撃墜しているらしい。

出典:Денис Шмигаль
特に去年追加された5層目の迎撃ドローンが非常に効果的で、Shahedタイプの自爆型無人機には迎撃ドローンで対処し「高価な迎撃ミサイルを本来の目的に使用する」という流れが出来上がりつつあり、Shahed-136への対処で高価な迎撃ミサイルを消耗している米国や中東諸国はウクライナに支援を要請しているのだが、この問題は中国と対峙する台湾でも深刻に受け止められており、台湾の国営通信社=中央社は16日「国家中山科学研究院(中科院)が低コストの防空兵器を独自に研究し、来年に実証試験を行う予定だ」と報じた。
台湾の頼清徳総統は2025年10月「台湾の防空資産を統合して多層式の統合型防空システム“T-Dome”を開発する」と発表し、これは現在配備されているパトリオットシステム(PAC-3形態)、天弓2型/3型システム、天剣2型地上発射バージョン、地上配備型レーダーに加え、米国製のTHAADやイスラエル製のアロー2に匹敵すると言われる天弓4型、現在開発中の艦艇向け短距離防空ミサイル(海剣羚)を車両搭載型にしたバージョン、米国が新たに売却予定のNASAMS、LTAMDSなどをNorthrop Grummanが開発した次世代統合防空向けの指揮統制システム(IBCS)で繋ぐというものだ。

出典:Northrop Grumman
IBCSは各システムのセンサーとシューターの垣根を超えて1つの統合型防空システムを作り上げる基盤技術であり、ポーランド軍も米軍に先んじる形でIBCSを導入し、ここにAN/MPQ-65、LTAMDS、ZDPSR-Soła、AN/APG-81などの全センサーと、パトリオット、NAREW、Pilica/Pilica+、F-16C/D、F-35Aなど全シューターを統合する予定で、IBCSに接続されたパトリオットシステムの初期運用能力は2023年8月に獲得している。
米陸軍でもIBCSの導入が始まっており、陸軍が保有する全センサー(AN/MPQ-53、AN/MPQ-65、LTAMDS、AN/MPQ-64、LTAMDS、GhostEye、AN /TPY-2など)とシューター(パトリオットPAC-2、PAC-3、NASAMS、THAAD、GMD、Enduring Shieldなど)に加え、海軍や空軍が保有するセンサー(AN/SPY-1、AN/SPY-6、AN/APG-81など)やシューター(アーレイ・バーク級駆逐艦やF-35など)も統合する予定だ。

出典:Ministerstwo Obrony Narodowej – Portal Gov.pl
ただし、これらの統合型防空システムには有人機が飛行する高度と地上の間に広がる“エア・リトラル=Air Littoral”の戦い、低コストの自爆型無人機による飽和攻撃に対処可能なシステムが欠落しており、ポーランド軍はドローン検出用レーダーのFIELDctrl UltraやFollow、電子光学センサー、電子戦装置、30mm/35mm機関砲、12.7mm重機関銃、APKWSロケット弾、ドローン迎撃機などで構成された国産の対無人航空機システム(SAN)を大量導入する。
台湾国防部も13日「中国が安価な兵器を大量投入して迎撃ミサイルが消耗するのを防ぐため、既存のミサイル技術を流用して長距離ロケット弾の迎撃が可能な低コストの防空兵器を開発し調達する」と表明、国防委員会も16日に顧立雄国防部長を招聘し「米国とイランの衝突を教訓とした台湾の防空・ミサイル防衛の有効性や低コストの迎撃手段および無人機対処能力の検討会」を開催し、この中で「イランの弾道ミサイル、巡航ミサイル、無人機によるハイブリッド攻撃がイスラエルや周辺国に問題を引き起こしており、ミサイル防衛や無人機対処能力が重要な課題になっている」という認識を示した。

出典:總統府/CC 表示 4.0
そして中科院も「低コストの防空兵器を独自に研究し、来年に実証試験を行う予定だ」と述べ、台湾もT-Domeに欠けている最後のピース=安価な迎撃手段の確保に乗り出した格好だが、中科院が言及した低コストの防空兵器は「長距離ロケット弾の迎撃を念頭においた安価な迎撃ミサイル」と「機動射撃部隊+電子戦+迎撃ドローンで構成されるカウンタードローンシステム」の2本立てで、台湾は自爆型無人機の対策としてウクライナの対抗策を模倣しているのかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:中華民國陸軍





















戦車には戦車、潜水艦には潜水艦と同じ、ドローンにはドローンが最適解か
台湾の場合、広大なウクライナと違い周りが海だから、
中国本土から低空飛行のドローンが飽和攻撃してきたらどうにもならない気がする。
万単位の飽和攻撃が来たらどんなシステムでも迎撃は難しいでしょう。
エリア88みたく「牙を出せ!」てな感じで瞬時にフェンスでも出せれば一網打尽にできそうですが無理かな。
寧ろ地形や建物といった遮蔽物がないので無人艇やら巡視船やらブイを散らして其処に迎撃ドローンてんこ盛りにしておけば水平線以外のレーダーの死角はないのでやり易いかもです
その水平線も観測・索敵用無人機飛ばせばある程度補完できるのでは
船は有人にせよ無人にせよ、港が必要なのが大変そうですねえ。なんらかの偶発的衝突を口実にして、米軍に介入されない程度の烈度で港に弾道ミサイルを散発的に撃ち込んでくるようなパターンも考えられます。だからといって予め漁港に分散配備とかしようとすればそりゃ地元の漁師から文句も言われますし、有事になってからだと遅いということもありえます。
もう日本は台湾の独立認めて、友邦国として対中への防衛兵器の共同開発してもいいんじゃないかな
台湾北部に橋頭堡造られたら宮古島まで400kmしかなく、中型のドローンでも飽和攻撃されるし、そことられたら沖縄本島までも同じような事になる
日本も早急に必要でしょうね、整備したとて対中国で考えればイランの比ではない数の飽和攻撃をしてくるでしょうけど、迎撃体制整備をやらないよりは全く結果変わると思うので優先的に予算配分必要でしょうか。合わせて着弾も多くあるでしょうから、避難バンカーの整備と物資の備蓄も進めたほうが良いと思いますが都市部は土地自体無いので非常に難儀ではありますね。
日本とIBCSはJディフェンスニュースの以下の記事で
『《インタビュー》統合防空ミサイル防衛の切り札「IBCS」の日本採用へ向けて』2026-3-12 15:05
リンクも貼ろうかと思ったが、スパムみたいに長かったので諦めました
日本もアルプス山脈をはじめ各地に地下要塞とドローン製造工場つくっておくべき
日産の工場とか買い取ってね。
台湾海峡は、幅の狭い場所が約130km、北側約200km、南側約400kmくらいのようです。
ペルシャ湾は、ホルムズ海峡の狭い場所は幅30kmと狭いわけですが、他は100km以上あったりするんですよね。
イランの発射地点が全て最短ではないでしょうし、UAE=カタール=バーレーンに打撃を与えている事を考えれば、台湾が危機感を抱くのは妥当でしょう。
台湾側も、『数万機以上の攻撃型ドローンを保有』しておけば、中国の防空網を貫通する可能性があるとも言えますので抑止力が高まるのかなとも感じています。
日本の国産SAMは中SAM、短SAM、近SAMの三段構えだけど、対ドローン用大量配備可能な安価なSAMが必要かもしれない
名前は安SAMか、あと迎撃ドローン
イスラエルのレーザーがイマイチ役に立たなかったって話はちょっとショックだった
何がアカンかったんだ…
おそらく射程でしょうねぇ
アイアンビームの有効射程が7kmで、実際は大気の状態に左右されるでしょうからざっと8割掛けで5.6km
艦船や特定の様にドローンが自分に突っ込んで来るなら充分に有効でしょうけど、都市の色んな場所に降ってくるならまた別ってことでしょう
射程、出力、同時目標対処能力どれも足りてない。
7kmと短い射程にも関わらず一発撃ち落とすのに照射時間が最低4秒だから飽和攻撃にはミサイルより弱い。
また中東の砂埃や爆発の煙で遮られると効果が激減するので、対空機銃のほうがマシかもしれない
そのうち「1.5Lのペットボトルを利用した対ドローンミサイルを作りました!!」とか言われても驚かないな。
日本もそうですが、国土の奥行が少ないので。
シャヘドに本土にまで来られると、対応する時間が取れないでしょう。
ですから、海上(台湾なら台湾海峡)で対処することになるのでは?。
海上と言っても、相手は飛んで来るので、飛行ルートは推定になるでしょう。
海上の固定施設や少数の艦船は回避されやすいのでは?。
艦船には、UAV対策をしてもらうことも必要ですが、他にも目標はあるのでは?
中共艦隊とか、海上民兵とか、中共潜水艦とか?。
であれば、シャヘド対応の主力は、空軍が航空接近拒否をした上で、攻撃機になるのでは?。
使うものは、記事の言う低価格のミサイル(地上と共用?)なのでしょうね。
素人の知る範囲ですと、
①APKWS:BAE製、単価💲28,000、既存のハイドラ70ポッド使用可能、量産中。
②FZ275 LGR:タレスベルギー製、単価APKWS同等と想定?、
既存70mmポッド使用可能、2026年量産開始。
③フランケンブルグMk.1:エストニア フランケンブルグ社製、
単価約💲50,000と推定、現在試験段階、新規インフラ必要。
④ミニチュア・ヒット・トゥ・キルミサイル:ロッキード・マーティン製、
単価💲1,6000推定、現在試験段階、新規インフラ必要。
くらいでしょうか。
日本もこの分野で台湾と協力を深めてほしいものですね。
似たような境遇のウクライナや台湾からの知見は多いに役立つはず。