インド太平洋関連

台湾、生産設備を拡張してミサイル年間生産量を2倍以上に引き上げ

Taiwan Newsは13日、台湾は生産設備の拡張を行い空対空ミサイル、地対空ミサイル、対艦ミサイル、空対地巡航ミサイルの年間製造量を207発→497発に引き上げると報じている。

参考:Taiwan manufacturer to more than double annual missile production

2023年から497発の製造が可能なのかは不明だが、中国軍と対峙する台湾に猶予はないので今直ぐ生産設備の拡張に着手する可能性も

Taiwan Newsは13日「国家中山科学研究院が国産ミサイルの年間生産量を2倍以上に引き上げるため生産設備の拡張に乗り出した」と報じており、立法院に提出された報告書によると生産量が207発から497発に増加するらしい。

出典:玄史生/CC BY-SA 3.0

国家中山科学研究院(NCSIST)が1年間に製造する国産ミサイルは207発だが、台湾国防部は立法院に提出した報告書の中で「NCSISTが生産設備を拡張して年間製造量を497発に引き上げる」と説明しており、具体的は空対空ミサイル「天剣2型」を40発→150発、地対空ミサイル「天弓3型」を48発→96発、対艦ミサイル「雄風3型」を20発→70発、対艦ミサイル「雄風1型」と「雄風2型」を計81発→計131発、空対地巡航ミサイル「万剣」を18発→50発製造する計画だ。

ただ生産設備の拡張や年間生産量の引き上げ時期については言及がなく「2023年から497発の生産が可能なのか?」は不明だが、圧倒的な軍事力を誇る中国軍と対峙しなければならない台湾に猶予はないので、今直ぐ生産設備の拡張に着手しても不思議ではない。

追記:年間製造量を207発→497発に引き上げるための新施設は幾つかが完成済みで、台湾政府はミサイル生産設備の拡張プログラムに約80億ドル=約1兆円を投資しているらしい。

関連記事:中国軍が演習を開始、台湾国防部は事実上の海上・航空封鎖だと非難
関連記事:台湾製UCAV「騰雲II型」が順調にテストを消化、2023年に量産開始
関連記事:台湾、ステルス性能を備えた次世代戦闘機の開発を2023年に開始

 

※アイキャッチ画像の出典:RudolphChen/CC BY-SA 4.0

ウクライナ軍、補給を阻害して守備的な戦いをロシア軍に強いている前のページ

エストニアとフィンランドが対艦ミサイルの運用を統合、フィンランド湾からロシア海軍を締め出す次のページ

関連記事

  1. インド太平洋関連

    豪海軍を悩ませるハンター級フリゲート、再びプログラムコストが高騰か

    豪海軍が進めるハンター級フリゲートのプログラムコストが高騰(350億豪…

  2. インド太平洋関連

    中国封じ込め戦略、日米印豪同盟の成立は豪州にとって戦略的勝利の瞬間

    豪メディアは、もう間もなくオーストラリアに外交・戦略的勝利の瞬間が訪れ…

  3. インド太平洋関連

    韓国、次世代戦闘機「KF-X」に搭載する空中発射型の極超音速ミサイルを開発

    韓国メディアは30日、韓国が開発中の次世代戦闘機「KF-X」に搭載する…

  4. インド太平洋関連

    暴走する韓国!日本の戦闘機を「敵」と見立てた軍事訓練、竹島への海兵隊配備検討

    韓国政府は、光復節(8月15日)の8月に韓国が不法占拠している日本の竹…

  5. インド太平洋関連

    UAV群制御、ステルス機、小型衛星、韓国が公開した興味深い技術や兵器

    創設50周年を迎えた韓国防衛事業庁傘下の国防科学研究所は5日、複数の無…

  6. インド太平洋関連

    現代重工業、英国と共同で韓国海軍の軽空母プログラム受注を行う協定を締結

    韓国海軍の軽空母(CVX)プログラム受注を狙う現代重工業は先月末、クイ…

コメント

    • 戦略眼
    • 2022年 8月 13日

    日本の生産量はどのくらいなのだろう。

    21
      • てつ
      • 2022年 8月 14日

      以前の調達状況等からの推測だけど、AAM-4/5が100〜150発、SAM(ペトリオットと中SAM)と各種対艦ミサイルがそれぞれ50発前後じゃないかなぁ。
      これ以外にサイドワインダーとアムラーム(F-35用)、スタンダード(イージス艦用)、ハープーン(潜水艦用)を適宜輸入している。
      12式SSM能力向上型や新艦対空誘導弾といった開発中の誘導弾が完成したらまた増えるだろうけど。

      5
      • たまねぎ
      • 2022年 8月 14日

      誰も把握してないという可能性が最も高い気しますね…
      ウクライナ戦争まで再び現代に総力戦が蘇るなんて誰も思ってなかっただろうし、ここ半世紀は非対称戦争しか実際なかったから経済体制が戦時を完全に想定してない。別に日本に限ったことではないですが…

      7
    • hogehoge
    • 2022年 8月 13日

    日本も対艦ミサイルや対空ミサイルの備蓄数を倍以上に増やすべきだね。
    というかASMの場合、中国艦の防護力は強力になっているので倍でも足りないかもと。

    22
      • ナイトアウル
      • 2022年 8月 13日

       これはそんなに単純な話ではないと思う。

       生産数増やせば済む訳でも無くて、発射プラットフォームの生存性、保管設備の整備や防護、給弾のための輸送とか諸々含めて環境整えてようやく意味をなす。
       補給する物が無いのは論外だろうけど、有事にそれを補充して撃つまでの道筋がしっかり出来てないなら無いも同じだよ。ロシアだって散々後方の補給叩かれて痛い目に遭っているのは見ての通りだし。

       それに単純に増やすにしても部品供給に問題無いのかとか、どうせ増やすなら安価に効率良く作れるような改善や改良も視野に入れるべきだろう。

      24
        • hiroさん
        • 2022年 8月 13日

        おそらく日本よりもリアリスティックで在らざるを得なく、喫緊の脅威にさらされている台湾当局は、そんなことは検討していると思いますよ。
        甘い見通しで侵攻したロシアと比べることでは無いでしょう。
        台湾も本来なら西側ミサイルの導入を図りたいのでしょうが、それもハードルが高いので最善の策を講じているのでしょう。
        日本も財務省がどうのと言っている場合では無いと思いますが、浜田防衛大臣が突破できるかとうか。
        任命早々の人事を見ても期待薄かな。

        31
          • バーナーキング
          • 2022年 8月 14日

          > 日本も対艦ミサイルや対空ミサイルの備蓄数を倍以上に増やすべきだね。

          > そんなに単純な話ではない

          という流れに対して、何で

          > 台湾当局は、そんなことは検討している

          という反応になるんだろう。
          というか当の台湾が「現状では足りない」と判断したから生産力を強化する、という記事であって、
          言い換えれば「去年までの危機感・体制では不十分になった」という話なのでは。

          10
      • 匿名さん
      • 2022年 8月 13日

      F-2とASMの組み合わせだと、中国艦隊にやられに行くようなものじゃないかな。
      非ステルスだし、射程距離短いし、中国艦の近接防空を突破できないだろうから。

      F-15とLRASMの組み合わせは見送られたから、
      現時点で中国に対抗できる日本の空対艦戦力は、F-35とJSMの組み合わせだけかと。
      それすら、JSMの納入に遅れが出てるみたいだけど。

      それもあって、地対艦ミサイルの12式改に期待しているけど、
      開発・実戦配備にはまだ時間かかりそうですが。

      というわけで、備蓄の前に、戦力を強化するのが先かなと思います。

      2
        • てつ
        • 2022年 8月 13日

        ASM-3Bの先行量産型と言えるASM-3Aは昨年度から調達を開始していますし、12式SSM能力向上型地発型も開発完了を待たず、先行量産型を来年か再来年から調達開始されますよ。
        恐らく12式SSM能力向上型の艦発型と空発型も同じようになるでしょうね。

        20
          • くらうん
          • 2022年 8月 14日

          装備品の開発完了を待たず配備というのは知っている限りでは異例中の異例で、そのようなアクションを自衛隊が起こしている事自体、かなり切迫した情報を得ている証左だと思うんですよね。

          14
          • 匿名さん
          • 2022年 8月 14日

          ASM-3Aは、ASM-3Bの一部機能追加型で、ASM-3とあまり変わらない印象です(情報がないから不明ですが)。調達数増やしても、機体やパイロットの命のリスクを負ってまで、使うものではないかと。

          >12式SSM能力向上型地発型も開発完了を待たず、先行量産型を来年か再来年から調達開始されますよ。
          これは初耳ですが、普通に考えて、量産する前に、開発完了するのが先ですよ。
          ASM-3Aと同様、性能不足の装備品を備蓄しても、実戦で使えないと意味がないんですよね。

            • てつ
            • 2022年 8月 14日

            ASM-3AはASM-3の射程延長型ですよ。
            ASM-3Bよりは射程短いかもですが、それでも射程と速度が実用に足ると判断されたので調達開始されています。

            12式SSM能力向上型地発型の話は以下参照。
            結構話題になったと思ったんですけどね。
            リンク
            嘗ての四式戦、最近だとF-35の様に量産しながら改良を加えていくことになると思われます。

            5
              • 匿名さん
              • 2022年 8月 14日

              >F-35の様に量産しながら改良を加えていくことになると思われます。

              ミサイルだと生産しながら改良していくのは、合っているかもしれませんね。

              >ASM-3AはASM-3の射程延長型ですよ。

              ASM-3が性能不足と判断されているのだから、射程を延長しても、敵の近接防空を突破できないから、補助的な戦力と思います。
              アウトレンジで攻撃できなく、非ステルスのF-2では、中国軍相手に使用するのは、リスクが大きすぎると感じます。
              持たせるミサイルがないよりはマシと思いますけど。

              >12式SSM能力向上型地発型の話は以下参照。
              >結構話題になったと思ったんですけどね。

              あまりそういう情報をウォッチしてなくて、疎いんです。
              失礼しました。

                • てつ
                • 2022年 8月 15日

                ASM-3B開発時にASM-3の射程距離では発射母機がSAM射程に入る可能性が高く、母機の安全が低いと明言されており、ASM-3Bの改良点は長射程化と低コスト化に絞られています。
                逆に言うと、少なくともASM-3の速度と誘導性能に不足を感じていないということになり、長射程化するだけで実用に足る性能になると判断していることになります。
                実際、ASM-3Aは量産に入っていますからね。

                5
        • ナイトアウル
        • 2022年 8月 14日

         ASM-3導入のゴタゴタを見てそう言っているのかな。

         中国艦隊の防空能力がどんな物なのかや自衛隊の対艦ミサイル射程が分からない事にはやられに行くかどうか何て分かるわけが無い。
         中国側がどんな対空ミサイルを使っているか早期警戒機や艦載機か陸上機を展開しているかで変わってくるし、自衛隊の対艦ミサイル射程もイマイチ良く分からないし。

         あくまで自衛隊に都合が良い環境下での話なら航空支援無し艦隊のみで大体の位置は把握してASM-2の射程が170km以上有るならアウトレンジは出来るだろう。いくら現状最新の射程200kmと言われるHHQ-9B積んでようが、レーダーは水平線より先の低空は見通せないし事前に位置把握して適切なポイントにミサイル撃てなきゃ終末のアクティブ誘導も意味は無し。

        6
          • 匿名さん
          • 2022年 8月 14日

          >ASM-3導入のゴタゴタを見てそう言っているのかな。

          まあ、そうですね。

          >ASM-2の射程が170km以上有るならアウトレンジは出来るだろう。
          >いくら現状最新の射程200kmと言われるHHQ-9B積んでようが、レーダーは水平線より先の低空は見通せないし

          ASM-2の射程170km以上を出すには、高空から発射する必要があるだろうし、低空飛行すれば、射程が短くなってアウトレンジできなくなると思います。
          どの程度変わってくるかはよく知りませんが、射程200kmでアウトレンジできるなら、急いでASM-3Aの配備をしないのではという、逆説的に考えてしまいますね。

          2
    • 折口
    • 2022年 8月 13日

    そういえば「日本に必要な弾薬備蓄は20倍」なんて記事が産経から出てましたね。実際長期戦のための備蓄や猶予率はある程度必要だと思いますが、台湾の場合は兵器体型の近代化を同時に進めないといけないんじゃないかなあと思う次第です。今の状況にしても、それまで中華民国側が持っていた質的優位が人民解放軍側に移ったため抑えが効かなくなっているという要因も少なからずある訳で、防空ミサイルやSSMをどっかから調達できると良いんですけどねえ…

    15
      • 7743
      • 2022年 8月 14日

      日本の場合、有事の際は在日米軍から直接買い付ける可能性はあると思いますが、
      日米同時に戦争に巻き込まれた場合、あるいは米軍が他の地域での紛争にかかわっていた場合、
      日本に供給できる量にも限界があるでしょうから、自前で生産・保管しておく体制は必須でしょうね。

      6
    • くらうん
    • 2022年 8月 14日

    今更ながら台湾の武器製造は一企業ではなく行政法人が担っているのか。
    国営企業のようなものだろうが、機密保護や国政反映の観点で見ればその方が色々とやりやすそうだ。

    8
      • 折口
      • 2022年 8月 14日

      中山科学研究院、そこそこ頻度で中国本土に人や気密情報を流出させて問題になっていた記憶があります…。このへんが台湾への武器供与が難しい要因の一つでもあるんでしょうね。

      4
    • 匿名
    • 2022年 8月 14日

    台湾海峡の緊張が高まりつつある中、誘導弾の生産能力を拡充するのは大変結構なことだと思いますが、生産能力や調達実績数をこんなに具体的に明らかにしちゃっていいんですかねぇ。
    平和ボケと揶揄される日本でさえ契約書上の数量欄は「1式」とか「1SE」とかぼかしてるのに・・・・・・。

    2
      • 無無
      • 2022年 8月 14日

      隠しても仕方の無い程度まで情報筒抜けなのでは
      だからハッキリ明言して、国内外への宣伝効果のほうを狙う

      3
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  2. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
  3. インド太平洋関連

    米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を…
  4. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
  5. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
PAGE TOP