台湾の国産潜水艦1番艦は2023年9月に進水したものの海上試験を始めることが出来ない状況で、現地メディアは「多くの問題を抱えているため引き渡しスケジュールが守られるか怪しい」と報じていたが、台湾海軍は6日「予定通り11月までに引き渡される」と発表した。
9月末までに海上試験を終えるためには一刻も早く港から離れる必要があり、その姿だけがメディアと郭熙氏の否定的な見方を覆すことが出来る
台湾の蔡英文総統は2023年9月「我が国で潜水艦を建造するのは不可能と思われていたが、目の前には潜水艦があり、我々は国を守るためそれをやり遂げた。今日という日は歴に刻まれるだろう」と述べ、国産潜水艦の1番艦を「海鯤號(Hai Kun=ハイクン)」と命名、2024年4月までに湾内試験を終えて海上試験を開始し「2024年末までに海軍への引き渡しを行う」とアナウンスされていたが、1番艦の引き渡しスケジュールは1年遅れており、現地メディアは新たに設定された引き渡しスケジュールが守られるのか怪しんでいる。

出典:Taiwan Presidential Office/CC BY 2.0
現地メディア=上報は昨年9月「湾内試験項目の多くが合格せず海上試験が延期された」「湾内試験の完了は最も楽観的な予測でも2025年3月末になる見込み」と、今年2月には「湾内試験で使用されていた陸上電源の電圧サージによって潜水艦の部品が破損した」「2025年4月の開始を予定していた海上試験が延期されるかもしれない」と報じ、潜水艦計画に顧問として関与していた元台湾海軍の大佐=郭熙氏も「1番艦の艦内配管が繰り返し破裂して主機が浸水し、システム統合の進捗率も予定の1/10にも満たないため6月までに海上試験を実施するのは困難だ」と指摘。
台湾国防部も4月末「1番艦のスケジュールが遅れているのではないか」という記者の質問に「海上試験の開始は4月を予定していたものの、現在も海上試験に必要な条件を満たすよう改良と調整に取り組んでいる」と回答、国防部が約束を守れていないと指摘されると「当初スケジュールの遵守ではなく、潜水艦が出港に必要な準備レベルに到達することを優先している」と説明していたが、台湾海軍の邱俊栄参謀長は6日「1番艦は予定通り2025年11月までに引き渡される」と発表した。
海軍参謀長は1番艦の状況について「海上試験に向けた最終準備段階に入った」「試験手順を遵守して海上試験の安全条件を確認したのち(海上試験のための)出港日が決定される」「海上試験を9月末までに終了して11月までに引き渡される」「郭熙氏の言及にはコメントしない」「1番艦の状況は海上試験を実施できないほど酷いものではない」「海上試験の条件を満たすことだけに全力を尽くしている」と説明し、1番艦への懸念を完全に否定した格好だが、現地メディアは「海軍が示した認識は郭熙氏のものと大きく食い違っている」と報じている。
1番艦の戦力化遅延は当初「幾つかのコンポーネントの納品が遅れているため」と言われていたが、建造を請け負っている台湾国際造船は2025年11月までに1番艦を引き渡さなければ罰金が課されるため、軍に調達責任があるコンポーネント類の供給は完了していると解釈するのが妥当で、野党は海上試験が完了するまで潜水艦プログラムに投資される資金の半分を凍結しているためハイクン級量産=計8建造に向けた動きにも支障が出ているだろう。
9月末までに海上試験を終えるためには一刻も早く港から離れる必要があり、その姿だけがメディアと郭熙氏の否定的な見方を覆すことが出来る。
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※アイキャッチ画像の出典:Taiwan Presidential Office/CC BY 2.0
日本のEEZは世界有数で、潜水艦24隻ですから、台湾が8隻も揃えられれば強力な抑止力になります。
スケジュールがどうなるのか、しばらく注目かもしれませんね。
追記です。
ドイツで、メルツ次期首相の基盤が、既に危うくなり始めています。
新首相になりそうですが、就任前から求心力低下が露呈しているのは、かなりの痛手かもしれませんね。
>新首相候補が最初の投票で議会の支持を得られなかったのは、第2次世界大戦以来初めてで、ドイツ政界に動揺が広がっている。
(2025年5月6日 ドイツ議会の首相指名投票、メルツ氏は1回目で過半数獲得できず bloomberg)
この追記が、台湾の潜水艦にどのように関係するんだい?
なぜ、この記事でドイツの首相の話を投稿する必要があるのかサッパリわからない。
無理やり関連させるなら台湾の潜水艦には韓国の協力もあるんだが、韓国の潜水艦の大元はドイツ
なのでドイツ系の技術はどんな形かはわからないが間違いなく入ってる
もしドイツが技術提供に完全に否定的だったら韓国は技術渡したか分からん
技術渡すかどうかは政治家が決める
欧州情勢は複雑怪奇
問題がある状態で就役させるのかしら。
台湾海軍の上層部は満足しそうね。
実は前回の記事をベースにChatGPTちゃんに台湾をめぐる潜水艦小説書いてもらってたんだけど、国産一号艦は国家威信のために未完成のまま出航してたw
すでにAIは侮れないレベルに到達したのかもしれない
1番艦だと色々問題起きて当然なんだからそんなに急がなくてもいいのに・・・
習近平が在任中の成果を求めて仕掛けてくる可能性があるので・・・
引きずり降ろされるか翠(隠語)するのを待つほど、日米ともども楽観的にはなれんでしょう。
単純に1番艦でも実績ある潜水艦改良型のたいげい型の1番とゼロベースの台湾国産1番艦とじゃ重みが違う気がする。有人の国産初だから慎重に行くべきで沈没すれば元も子もない。
建造中の”海鯤級”潜水艦は、比較的に大型なので、どこで使うのかな?。
バシー海峡/南シナ海/太平洋のあたりなのかな?。
澎湖諸島の大陸側の水深は50m程度ですから、大きすぎるような?。
別のミゼットサブ(≒100t)の話もあったけれど、そちらはどうなのだろう?。
全くと言って良いほどに話が出てこないけれど。
一説では「慧龍」と言うそうな。無人艦と言う話もあったけれど、流石に無理かな。
中共側の上陸部隊は、補給距離を考えれば、多分、福建省から来ると思うのだけど。
台湾側はどのように考えているのかな?。