インド太平洋関連

台湾がアンドゥリル製の徘徊型弾薬を約2000機購入、契約額は約1350億円

台湾はドローン20万機超と無人艇1,320隻による沿岸防衛体制の構築を目指しており、現地メディアは27日「台湾軍が269億台湾ドル=約1,350億円の費用を投じて米国製ドローンを調達する」「今回の調達にはアンドゥリル製の徘徊型弾薬=アルティウス600/700Mが計2,032機が含まれる」と報じた。

参考:Kratos, NCSIST Team Successfully Test Integrated Mighty Hornet IV System
参考:中科院DIVE-LD無人載具接訓 強化水下感測維護國安
参考:台美簽署269億元軍售發價書 2032架ALTIUS-700M+600ISR準備交貨
参考:Anduril Launched Effects Inform, Expand U.S. Army Apache Capabilities

現時点で見えるのは「まだ量産規模が小さいアルティウスは安くない」という点で、米軍が本格調達を開始しているLUCASの方が遥かに安価だ

日本の防衛省はドローン数千機を活用した沿岸防衛体制SHIELD(シールド)の構築を目指しているが、台湾もドローン20万機超と無人艇1,320隻による沿岸防衛体制の構築を目指しており、米クラトスのMQM-178をベースにした多用途ジェット無人機=Mighty Hornet IV(マイティ・ホーネットIV)の開発、米アンドゥリルと低コスト巡航ミサイル=Barracuda-500(バラクーダ500)の共同生産、大型無人潜水艦=Dive-LD(ダイブLD)や自律型魚雷=Copperhead-M(コッパーヘッドM)の台湾バージョンの開発や共同生産を予定している。

出典:Kratos

米クラトスは2026年2月「台湾の中山科学研究院(中科院)が提供したペイロードやミッションシステムの検証作業が完了し、設計を変更することなくマイティ・ホーネットIVの運用能力を実証することに成功した。このマイルストーンの達成により、今年後半に実施が予定されている飛行試験のベースラインが確立された」と発表し、マイティ・ホーネットIVは年内に実施される飛行テストを経て量産化されるようだ。

米アンドゥリルとの取り組みについては特に進展はないものの、中科院がオリジナルのDive-LDを使用した吊り上げ・運用訓練を2026年6月に実施しており、台湾が商業・民生用途で購入したDive-LDが8月に納入される予定だが、台湾メディアの自由時報は27日「国防部は政府電子調達ネットワークで米国製ドローン調達(269億台湾ドル)を公告した」「国防部が以前公表した調達リストの詳細に照らせば、今回の調達にはALTIUS-700M(アルティウス700M)×1,554機とALTIUS-600(アルティウス600)×478機が含まれる」と報じている。

台湾陸軍は既にALTIUS-600M(アルティウス600M)を291機調達済みで、自由時報は「最近の演習で使用されたアルティウス600Mは海上目標に対して命中率100%という記録を打ち立て、この極めて優れたパフォーマンスが今回の特別予算による大幅な追加調達を後押しした。今回の調達により国軍の兵士はハンヴィーの車載プラットフォームからアルティウスを発射できるようになり、上陸してくる敵軍に対して極めて大きな遅滞・殲滅効果を発揮できるだろう」と指摘し、このアルティウスとはアンドゥリルが展開している多目的用途の徘徊型弾薬のことだ。

アルティウス600/700は任務に合わせてペイロード(ISR、SIGINT、EW)を切り替えることができ、アルティウス600M/700Mは弾頭を搭載した攻撃用の徘徊型弾薬で、両方ともMRZR、JLTV、UH-60、AC-130J、XQ-58といったプラットホームから運用することができる。米陸軍もアルティウスを採用して演習に使用しており、2026年2月にはAH-64Eからアルティウス700を空中発射するテストが行われ、米陸軍は「要求からAH-64Eへのアルティウス700統合まで半年しか掛からなかった」「この成果は陸軍の新たなイノベーションへの取り組みを証明するものだ」と述べている。

今回の調達費用=269億台湾ドル(約1,350億円)にアルティウス700M×1,554機とアルティウス600×478機の費用が含まれていたとしても、サポートや保守といった関連費用が含まれているため1,350億円を2,032機で割った数字=約6,640万円(約41万ドル)はアルティウスの単価ではなく1機あたりの取得費用になる。これをAGM-179 JAGM(約32万ドル)やAGM-114ヘルファイア(約20万ドル)の単価と比較するとアルティウスの方が高額に見えるが、アルティウス700MはJAGMやヘルファイアよりも大型の弾頭(33ポンド)を搭載して最大160km/滞空時間1時間以上も戦場を徘徊できるので能力に見合った金額なのかもしれない。

まだアルティウスの費用対効果を断定的に論じるには様々な情報が不足しており、仮に今回の調達費用に「他の要素」が含まれていればアルティウスの取得費用も安くなるが、現時点で見えるのは「まだ量産規模が小さいアルティウスは安くない」という点で、米軍が本格調達を開始している自爆型無人機=LUCAS(1機あたり3.5万ドル)の方が遥かに安価だ。

出典:U.S. Central Command

ちなみに台湾の国防費は2026年度にGDP比3.32%=9,495億台湾ドル(年度予算と特別予算を合わせた額)に達しており、2027年度は1兆1,225億台湾ドルを要求しているが、2027年のGDPが37.3兆台湾ドルと予想されているためGDP比は3.32%から3.01%(2026年のGDPで計算すると3.93%)に下がるものの、頼清徳総統は2030年にGDP比5.0%まで引き上げることを約束している。

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※アイキャッチ画像の出典:Anduril

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コメント

  • コメント (8)

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    • せい
    • 2026年 8月 31日

    こんなの用意されてる島国に揚陸作戦なんかやりたくないな
    まともな守りもない上陸用舟艇なんか、大戦時より簡単に沈められそうだ

    23
      • h.szu
      • 2026年 8月 31日

      上陸用舟艇の上には迎撃ドローンが傘のように覆って・・・

      2
    • たむごん
    • 2026年 8月 31日

    とてもいい防衛投資でしょうね。

    使わず無駄になった兵器にみえても、戦争がおこらなかった(抑止した)ことは、充分に効果を発揮したと言えるからです。

    27
    • リンゴ
    • 2026年 8月 31日

    島国だから無人機や徘徊型弾薬で敵の上陸や輸送が防げるのなら、理には適ってる
    安いコストで、大陸側の負担を倍増させているから、躊躇わせるには良い塩梅だ

    15
    • YF
    • 2026年 8月 31日

    自分の国を本気で守る気が無い国に、世界は誰も手を差し伸べてくれないです。
    台湾有事は一義的に台湾自身が抑止しなければいけない事ですから出来る事はなんでもやって欲しいですね。

    15
    • Mr.R
    • 2026年 8月 31日

    台湾って山地も多いし南方だから緑も生い茂っているしで発射機の隠し場所には困らないでしょうね。
    ……ここに上陸作戦やるとかどれだけ無人機に食われるか分からないですわ

    6
    • 2026年 8月 31日

    コストを考えれば平時は米軍と同じもの調達すんのが良いだろうけど、西側のミサイル供給滞りの例もあるし、有事にまとまった数を急いで用意する事を想定するなら米軍とバッティングしないのが良いのかも

    4
    • AKI
    • 2026年 9月 01日

    日本の場合、対艦用に有効な弾薬量と射程を持った自爆対艦ドローンが、なかなか無いんですよね。
    ハロップが一番合いそうですが、台湾は大丈夫でも日本ではイスラエル製は導入しずらい。
    なので艦艇攻撃用UAVが、なかなか決まらない。
    バラクーダもルーカスも、海上の動的目標を攻撃出来るか微妙だし。他は弾薬量が少ない。

    台湾の場合は、距離が近いので、選択肢が多そう。

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