台湾は2026年末までに新規発注したF-16V×66機を受け取る予定だったのだが、現時点で引き渡されたのは複座型の1機のみで、国防当局は議会に「契約上の納期が守られないなら支払いを停止し、Lockheed Martinに賠償を請求する」と説明した。
参考:Lockheed says it is working to accelerate delayed F-16 deliveries for Taiwan
参考:Lockheed seeks to speed up deliveries of F-16s to Taiwan
参考:Draft Memo Offers First Look at Pentagon Acquisition Reforms
米国製システムの納入遅延は「契約を獲得した請負業者がプログラム全体を独占できる慣行」「タイムリーな納品よりも安定した収益を優先する経営判断」に原因がる
台湾空軍の近代化は「F-16A/B Block20のアップグレード」「新規に製造されたF-16Vの取得」で構成され、2019年8月に発注したF-16Vは2023年に単座と複座を各1機、2024年には数ヶ月毎に4機~5機を引き渡し、2026年末までに66機の納入を完了する予定だったのだが、立法院は「現在までに引き渡されたのは複座の1機のみ」「納入遅延に対してどのような対策をとるのか」と指摘し、調達を担当する鍾国防副部長は「計画が予定通り完了しない場合、Lockheed Martinに賠償を請求する」と説明した。

出典:Lockheed Martin
台湾のF-16V契約は直接商業売却(DCS)ではなく対外有償軍事援助(FMS)を通じて締結したため、米国に納入遅延の賠償を請求することは出来ないが、鍾国防副部長は「F-16V契約の支払いを停止し、納入遅延による不正利益を返還するようLockheed Martinに要求する」と述べ、国防部は立法院議員に提出した3日付けの報告書の中で「2026年末までに到着予定だったF-16V全機の納入が延期された」と明かし、Lockheed Martinは4日「台湾への納入を加速させる取り組みを進めている」と発表したが具体的な納入時期は不明のままだ。
Taipei Timesは5日「台湾が1.7億ドルで購入したMk.48×24発とMk.48の訓練弾×4発は2026年までに納入される予定だったが、生産ラインの混乱が理由で納入が2026年から2028年に延期された」と報じ、国防総省も調達改革に関する草案の中で「容認できないほど遅い調達・配備スケジュールの要因」について「調達責任者の説明責任と柔軟性の欠如」「産業界向け業績インセンティブの不整合」「商業・民間セクタに対する消極的な投資」を挙げている。

出典:U.S. Navy Photo by Mass Communication Specialist 1st Class Nikita Custer
これまで国防総省はスケジュール遅延に対して金銭的なペナルティを請負業者に課してこなかったが、今後はタイムリーな納品を優先するため契約上の納期を守ればインセンティブを与え、遅延にはペナルティを課し、さらに設計と生産を分離する「拡張可能な生存戦略」も採用してサードパーティ企業を活用した生産力増強も行う予定だ。
米国製システムの納入遅延は国内産業力の低下というより「契約を獲得した請負業者がプログラム全体を独占できる慣行」「タイムリーな納品よりも安定した収益を優先する経営判断」に原因が、さらにAndurilのような新興企業がタイムリーな納品を実現してきているため「伝統的な防衛企業の遅延理由」は益々容認できなくなっており、結局のところ競争状態を作り出すことが最高の特効薬になるのだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:Lockheed Martin





















>国防総省も調達改革に関する草案の中で「容認できないほど遅い調達・配備スケジュールの要因」について「調達責任者の説明責任と柔軟性の欠如」「産業界向け業績インセンティブの不整合」「商業・民間セクタに対する消極的な投資」を挙げている。
まさに仰る通りで…
顧客の満足度ではなく株主の満足度を追求する狂った社会
狂ってませんよ当然の権利です、株主の顔色伺うのが問題なら非公開化にすれば良いだけです。
株主は資金提供しているのですから無償援助では有りません。
いえいえ。勘違いしてはいけません。
株主も株式会社も究極的な存在目的は、国民の利益のために存在するんですよ。
国益に反するようなことをする会社は、いずれは存続できなくなります。
まあそれはともかく、納期も金額も守らないのは、駄目でしょう。
実質的には債務不履行と同じで、それで浮いたお金を株主に還元してるようなものですよ。
>国民の利益のために存在するんですよ
その “国民” とは、アメリカ国民だね。
決して、顧客の国の国民じゃない。
>>株主も株式会社も究極的な存在目的は、国民の利益のために存在するんですよ。
法が規定する以上の存在目的などない
>>国益に反するようなことをする会社は、いずれは存続できなくなります。
国益に反する会社だろうが存続し得る
「自由の中には人を頃したり、物を盗んだりする自由がある」
ドナルド・ラムズフェルド
国益に反する会社は国が潰せるでしょ
全量の納期延期となれば、商慣行おかしいわけですよ。
納期を守れないくらい受注残があっても、平気で契約を積み上げていったという変な話しなわけで。
日本政府であれば日本国民に、台湾政府であれば台湾国民に、納税者に説明する必要があるので賠償請求も妥当に感じます。
次の戦闘機はノースロップグラマンに作らせようマジで。
むしろフルライセンスで直接管理が一番楽>納期管理
経国・勇鷹の次を見たくはありますが、無人機やミサイルに振っちゃったほうがいいのかなどうなんだろ
もともと米国企業には売ってやるという放漫さがありましたが、特に台湾向けとなると他の国は中国を気にしてそもそも武器売却そのものを尻込みするので、余計に足元をみられて納入を後回しにされてるのはあるのかもしれません。
競争のない独占にはまるでいいことが無いですね。
F-16Vに関しては、台湾が共同開発国よ。
単なるアップグレードプログラム実施国の一つでは?
競争原理はまあ大事かも知れないけど何にでも適用するのは難しいんじゃないか。
アメリカのごとき巨大国家ですら戦闘機の調達が一企業の独占になり競争が消える、
つまりそれくらい小さいシェアでしかないというのが現実であって…
結局軍需産業なんて儲からないので一般ビジネスマンは相手にしてくれない、必然寡占になる。
これじゃ競争を持ち込むのは難しいだろう。
戦闘機・戦車・戦闘艦といった確実に寡占が起きる伝統的兵器を捨てて、民生品で構成された
新しい兵器システムを生み出すか、もっと現実的には軍隊が自分で設計試作生産までやるべき
なんじゃないかな。
これはLM云々よりもFMSってそういうもんとしか…
というか国防総省は納期遅延を容認できなくなっているって、元々FMSの納期管理の責任はオメーらにあるんだろうがって言いたいわ
そんなん言ったら品質もサポートも悪いし納期も守らないロシア製の戦闘機なんかどうなるんだよって話だしな
どこも買わなくなりましたね
サポートも納期も守らないロッキードも同じ運命を辿るって話でしょう
多分あなたはFMSを理解していないのでは?
FMSは国家と国家の取引なので納期の責任は国にありますし、そもそも基本的に「サポートを絶対にする」って国が保証する(だから大規模・高額なシステムはFMSになる)んですけど
台湾の防衛力低下はそれだけ中国の侵攻リスクを高めるので、何とかしてもらいたいですね…
台湾単独でできる対策となると、国産の地対空ミサイルと地対艦ミサイルの充実でしょうか?
物を迅速に出すのが難しいんなら、政治でカバーするしかないかな
米英豪あたりが同時に国家承認とか
日本も混ざればいいんだけど、スパイ防止法も9条の改訂も出来てない状態では無理かなぁ
ロッキードが献金と共にトランプに泣きついて台湾へ恫喝というオチにならなければいいのですが