台湾の呉外相(外交部長)は1日、米CNNの番組に出演して「ロシア軍と戦うウクライナ軍を研究して台湾が取り入れるべき教訓を探している、現在までに得た教訓は非対称の戦い方と民間防衛だ」と明かした。
参考:Taiwan learning lessons from Ukraine’s stout resistance, foreign minister says
参考:Taiwan considers alternatives after U.S. informs of howitzer delay
参考:Taiwan flags risk of Stinger missile delays, says pressing U.S.
中国は米国や他の主要国が台湾を助けるために来るのか、もしくは台湾を助けようと考えているのかを計算している
中国の軍事的脅威に晒される台湾の呉外相は米CNNの番組の中で「我々は祖国を守るためウクライナから学ぶべき教訓を研究している最中で、現在までに得た教訓は非対称の戦い方と民間防衛だ」と明かした。

出典:Defence of Ukraine
呉外相は「ウクライナ軍は大きな敵と戦うために小さな携帯用兵器を活用しており私たちが学ぶべき教訓だ。我々も小さな携帯用兵器を活用する準備を進めてきたが、この点についてはもっと投資を増やす必要がある。さらに大半のウクライナ人男性は国を守る意思と軍に入隊して交戦区域に行くことを望んでいる。こういった精神は台湾人から見て羨ましく感じる部分だ」と述べたが、台湾も戦争になればウクライナにように自分達を支援してくれる友人や同盟国が必要になるとも指摘している。
中国は米国や他の主要国が台湾を助けるために来るのか、もしくは台湾を助けようと考えているのかを計算していると主張した呉外相は「もし台湾を真剣に支援する国がいなければ侵略への青信号になる。また我々自身の防衛力が脆弱で乗っ取り易いと思われれば中国の武力統一を招く要因になりかねない。ただロシアは自分達よりも弱いと見なしたウクライナの抵抗に手こずっており、中国も小さな台湾を武力で統一するのかよく考えなければならない」と述べているのが興味深い。

出典:ВМС ЗС України
台湾とウクライナでは戦場環境、地理条件、国土面積、人的資源と言った要素が異なるので、ウクライナ軍の戦い方がそのまま台湾軍に当てはまるかは謎だが、集団もしくは2ヶ国間の安全保障がない台湾にとって有事の際に誰が助けてくれるのかは非常に重要な問題だろう。
因みに米国は2023年までに台湾へ引き渡す予定だったM109A6×40輌について「生産上の問題(詳細は伏せられているの不明)で引き渡しが2026年まで遅れる」と通知、さらに台湾国防部は発注済みのスティンガー×250発(2026年までに引き渡し完了)についても「需要が急増しているため引き渡しが遅れる可能性が高い」と発表しており、ロシアとウクライナの戦いは台湾に貴重な教訓をもたらす反面、米国からの装備調達に影響を及ぼしている格好だ。

出典:public domain M109A6
追記:米陸軍はスティンガーの在庫が減ったチャンスを活かして古臭い設計の刷新=スティンガーの後継モデルを開発して調達すべきだという声が上がっており、仮にスティンガーを止めて後継モデルの開発と量産に移行すれば時間がかかるため、スティンガー以外の携帯用防空ミサイルに注目が集まるかもしれない。
さらに米政府が国防生産法を発動→スティンガーやジャベリンの製造に半導体の優先供給を行わないと短期間で増産するのは不可能だと指摘してされており、米防衛産業界はウクライナでの戦争で急増する兵器需要のピークアウトを2024年~2025年と予測しているため「短期的な需要増」に応えるため資金を投入するのか悩んでいるらしい。

出典:U.S. Marine Corps photo by Cpl. Jennessa Davey
追記:携帯用兵器への投資を増やせという言及は「高価な対称兵器で対抗するより安価な非対称兵器=携帯用兵器の方が有能」という意味ではなく、既存の兵器と組わせて使用する携帯用兵器の在庫を増やしたり、有効性が実戦で確認された携帯用兵器の戦術研究に「もっと投資すべきだ」という意味。
関連記事:義務と協力の違い、中国との戦いに米軍派遣を期待しない台湾人が増加
関連記事:英外相、NATOは中国の脅威に晒される台湾を保護すべきと主張
※アイキャッチ画像の主張:U.S. Marine Corps photo by Lance Cpl. Rachel K. Young スティンガー
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半導体不足がウクライナ向け兵器対応の不足分生産が間に合わないとは、他の西欧諸国も似たような状況ですかまずい状況ですね。
台湾も目のM-109も、NATOが好意的な目を向けている内に新型車両に更新中の国からM-109の中古でもとりあえず確保できると良いですねと妄想してしまいます。
兵器に使われる20~10ナノ半導体および5ナノ半導体が全然たりてないですからね
これを効率的に量産できる国は、台湾、韓国、米国の三国だけ
そういえば、国会やTVなどで、半導体は足りてるとか、熊本半導体工場不要論と経産省批判を喧伝しまくる、迷惑なおじいちゃんがいますけど
10年以上現場を離れておいてなお、自分を関係者だと勘違いしてるわ、業界のことをよくわかってると錯覚してて、
日本の半導体産業再育成の邪魔をするようなお年寄りがいるんだからこまったこと
軍事用半導体を韓国が量産しているソースを教えてもらえませんか?
米当局、台湾TSMCに軍用半導体の米国生産を要請していたのは知っているのですが。
なぜナノ単位の話をしているのに、軍事用云々?
軍事用、汎用を分けることに意味はないよ
軍事用もたいていは20~10ナノ、精密誘導兵器や電子戦装備には5ナノが使われたりする。
これを前、後工程を両方できるのは、台湾、韓国、米国だけ
日本は前工程ができなかったけど、熊本に作るの前工程工場で、初めて20ナノ以上の前工程を日本国国内で行う
ミリタリースペックの半導体
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パワー半導体 シェア
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韓国の車載半導体の自給率は2%
リンク
装甲車等に使われている半導体を
韓国が量産しているソースを教えてもらえませんか?
ウクライナ国民の「国を守る意思」は誰が見ても凄いと思います。あそこまでやれる国がどれだけあるだろうか。
ウクライナの国歌「ウクライナは滅びず」にヒントがあるかもしれません。Youtubeのリンクを貼っておきますが(管理人さんお手数おかけします)、「ウクライナはまだ滅びていない。自由を守るためならば我々は魂や体を捧げる」という悲壮な歌詞です。まるで今のことのようですが、ウクライナは古くから何回も侵略されて存亡の危機があり、「国を守るより命のほうが大事だし」という人が多ければとっくにウクライナは消滅して歴史上の国になっていたはずです。
「まだ滅びていない」ということは「支配されない自由を守るためなら戦って死んでも構わない」という国歌の精神が国民に脈々と受け継がれているからなのでしょう。
リンク
まず第一にやるべきことは民間人を守ること
大敵に対する非対称の戦いは当然としても、民間防衛は紙一重だね、有効なようで戦場の穴となりかねない、とくに台湾の場合は民間人の立ち位置が微妙すぎる
我が国の場合は民間防衛となると、議論する土台すら足りない
M109A6の「引き渡しが2026年まで遅れる」というのは撤収時間の短縮化改良のためかもしれない。
wikipedia「PzH2000自走榴弾砲」によれば、
>PzH2000の特筆すべき能力は即応射撃能力で、
>M109 155mm自走榴弾砲の5倍以上と評価されている。
>例えば、陣地に進入してから砲撃までに必要な戦闘準備時間は、
>M109の2分30秒に対してPzH2000はわずか30秒に過ぎない。
>8発砲撃するのに必要な時間は、M109の約2分に対して1分。
>撤収にかかる時間は、M109の約7分に対して30秒。
>つまり、一連の砲撃ミッションにかかる時間は、
>M109の11分30秒に対してPzH2000はわずか2分で完了できる。
7分もの撤収時間は牽引式の榴弾砲M777レベル。撤収に7分もかかれば対砲レーダーで発砲地点が特定されて反撃される現代戦では残存性が大幅に低くなり役に立たない。(尚、M109自走砲でも最新のA7では撤収時間が短くなるように改良されたらしいが台湾が発注したのはA6。)
軍用規格/専用部品の半導体にこだわるよりCOTSを推進すべきでは
ハイエンドな製品は価格も高いが需要の急変に対応できないことが此度の戦争で露呈した
第三善を戦場に送れ。次善は間に合わない。最善は遂に完成しない
レーダーやセンサー関連で必須な低雑音系電源ICは、民用グレード﹙動作温度範囲が狭めなやつ﹚でもリードタイムが1~2年とか。
市場在庫で素性の怪しいやつなら入手性はあがるかもだけど、価格が正規の100倍とかも。
FPGAなども海外民需の影響で民用グレードでも入手難。
COTSは進めるべきだろうけど、今のご時世だと大きくは改善しないかも。
しかし、何で海外民需が好調なのかな?
こっちにも分けて欲しい。
軍用規格で性能に差があるわけではなく動作温度含めた対環境性能等で仕様通り性能通り動くかなのでCOTS推進とは少々ずれるとこになると思います。
軍用規格は製造側も厳しい基準に適合することを求められるため一概に民生部品の活用で切り抜けられないかと。
仰る事には異論は無いですが、
元の記述は、耐環境を緩和しても「リードタイムが1~2年」で「今のご時世だと大きくは改善しないかも」です。
スティンガーの後継モデルと言っても、人が担ぐ以上性能には限界があるのでは
性能を求めて人が持てないサイズと重さになったら意味がないし
スターストリークみたいなのを目指すのかな?
昨年から開発が開始された本邦のKBSAM改と新近SAMは、91式携SAM(改)をベースにしているらしいから、これをベースに新スティンガーを日米共同開発してしまえばいいのに、と個人的には思います。
日本も、ウクライナを見て必要な所には投資をしないといけないと思います。
例えば、上記の半導体の件。
必要な規格の半導体を複数箇所で製造するように手配する。
他には、今後退役予定の装備品を直ぐに処分しないで、
必要なメンテナンスを行いつつ、一定期間ストックする体制を作る。
さらに、全体的に弾薬類の準備を増やす。
また、ウクライナで実績を挙げている、スティンガー・スターストリーク・ジャベリン・NLAW等を準正式化して、
緊急時の友好国からの補給に備える。
他にも色々とあると思います。
定員の充足と人員補充の仕組みを作ること、地方自治体と避難計画を作ることなど。
半導体不足の問題って、車載機器の電化促進などによる市場増大と、海外民需の好調などが重なった結果生まれた需給バランスの偏りが要因ですよね。
「必要な規格の半導体を複数箇所で製造するように手配する」ですが、トヨタなどの大口な顧客でも所要を確保出来ずに生産調整を迫られているとか。
日本の防衛産業程度の小口な需要だと、後回しにされるような気がします。
昔から、ゲーム機用の半導体を回収することがあったと思います。
兵器として使い、言わば爆破処分にするならば、
そうした再生半導体を部分的に使えるかもと思います。
電源ICって、実はノイズ源なのですよ。
電源ICは、出力変動を打ち消すためフィードバックを形成していますが、
その回路は同時に電源IC内部で生成するリファレンス電圧のノイズを増幅する仕組みにもなっています。
そして無線やセンサー系だと、使用電源のノイズが信号に重畳するので、低雑音系の電源IC使用が性能確保のためには必要となっています。
半導体不足はジャンルによるのですが、
その最たるものはFPGAなどのロジックの中枢デバイスと共に、上記の低雑音電源ICがあります。
ゲーム機の再利用とかだと、低雑音電源ICの供給源としては望み薄な筈です。
ロジック系も、古い石だと開発環境の面で難があるかと思います。
標準ロジックの類いだと、そもそも供給難になっていない筈なので、新規購入した方が製造上優位な筈です。
ゲーム機などからのIC再利用は、効果は限定的だと思います。
知りませんでした。
知識をありがとうございます。
一度実装した部品の抜き取りと再利用に保証出来ないのであまりお勧めは出来ないです。
習近平が軍事的に台湾統一を急がせても、人民解放軍幹部達は中華人民共和国政府成立(1949年)の百周年の2049年というタイムリミットまで時間的余裕があるので、台湾の軍事的統一は15年以上後にすべきだと進言するはず。
現時点では台湾軍の飛行場の滑走路に大量の短距離弾道ミサイルを撃ち込めば人民解放軍が台湾本島上空の制空権を獲得できる可能性は高いものの、上陸地点に向けて台湾側がクラスター爆弾をロケットランチャーから打ち込めば人民解放軍兵士の大半が死亡する。
しかし、2040年には中国本土経済のGDPがアメリカを抜き、無人化兵器大量生産できるので容易に上陸・制圧できる。それどころか、圧倒的軍事力の差から無血上陸・占領できるはず。あせる事は無いと意見するだろう。(人民解放軍幹部の将官は「戦わずして勝つ」が上策だという孫氏兵法くらい知っているだろう。)
逆に、台湾からすれば、習近平後を見据えて中国本土が完全な民主化をすれば平和統一に応じると表明すれば、民主化に応じる者が北京政府の国家主席になる可能性もある。中国共産党幹部政治家の中にもソフトランディングできるなら民主化に応じても良いと考える者が相当数いるはずだからだ。
2035をピークに急激な少子高齢化が始まるので、人口オーナスが働く前に動くっていう意見もあるよ
生存性の高い防空・対艦ミサイルシステムの拡充などは積極的にやっていくべきと素人目にも思いますが、台湾侵攻が現実になった時に人民解放軍がロシア軍のZ部隊のような不手際を連発してくれるとは思えないのですよね。あらゆる意味で人民解放軍は今が過去最高の状態ですし、これからも毎年強くなっていくでしょう。
台湾の防衛戦略は地対空ミサイル/地対艦ミサイルによる制空権・制海権の拒否を第一弾とし、それが失敗した後は沿岸上陸阻止、西側の市街地での防衛戦、そして東部山岳地帯でのゲリラ戦と推移していくと見られています。しかし人民解放軍の組織規模や火力をもってすればゲリラ戦を主体とした時間稼ぎの抵抗すら程なくして終わってしまうのではという気がするんですよね。
太平洋戦争中の沖縄戦において帝国陸軍は県民をあらゆる分野で徴用して戦闘支援にあたらせ、結果として民間人に壮絶な巻き添え被害を出しました。そういうレベルの戦いを今から指向するよりは、せめてもっと前半部分の戦いに供する兵器類の拡充に注力するのが常道のような気がするんですよね。全国民一丸となって国を守る気持ちは立派ですが…
潜水艦を、今一所懸命に建造中の潜水艦も忘れないでください。
各国企業からの資材調達が、戦争の影響で協力を得やすくなって楽にあるといいのだが。
台湾はTSMCを筆頭に半導体サプライチェーンの圧倒的なシェアを人質に
「これが無くなればどうなるか?」と言う点で訴求していけばアメリカも動かざるを得ないか?
アメリカや日本への工場建設は、その問題への対応な側面もあるのだっけ?
>>追記
(有)罪無(能)省に聞かせてやりたいね。
Z省は粛正しなきゃ(使命感)
会計検査院さえ有れば問題無いでしょ
Z省の7万人とKYTNには、自分たちの言い分を証明すべくウクライナで対戦車道してもらいましょう。ジャベリンも足りないから、梱包爆薬でね
タコツボに潜んで貰って敵戦車が真上に来たら対戦車地雷の信管をトンカチで叩くバイトをZ省やK某にやってもらいたい。
それか横一列に並んでもらって最前列で突撃。
数十円のタマで⚪されて正しいカネの使い方をZ省上級国民に勉強させる。
非対称戦云々ではないと思います。先日台湾国防省から発表があったようにアメリカがウクライナ優先となっているため台湾の武器調達スケジュールに遅れが出ていることの方が深刻です。中国の兵器の近代化を考えると今のままではさらに先が見通せない状況になるのでしょう。