タイとカンボジアの国境沿いでカンボジア軍兵士1人が死亡する衝突が発生、両国は緊張緩和を約束してきたもの、タイのプームタム国防相は7日「カンボジア側が軍事力を強化してきたため状況が悪化した」と、タイ軍も「カンボジア側が武力行使の明確な意図を示している」と主張し緊張が高まっている。
参考:Thailand and Cambodia reinforcing troops on disputed border after May skirmish, Thai minister says
参考:Thai army takes control of border checkpoints
参考:Military to take lead at border
だんだん無視できなくなってきたタイとカンボジアの軍事的緊張、タイ軍はカンボジア側が武力行使の明確な意図を示していると主張
タイとカンボジアはダンレク山地のプレアヴィヒア寺院地域の領有権を巡って対立が続いており、2008年7月にタイ軍兵士がプレアヴィヒア寺院地域に侵入し、カンボジア国連大使は「寺院から約300m離れた地点までは自国領だ」と、タイ側は「寺院に隣接する地域の国境線は未確定だ」と主張したものの、当該地域は国際司法裁判所が1962年に下した判決でカンボジア領と認定している。

出典:International Court of Justice
同年8月までに国境を巡る争いはプレアヴィヒア寺院から西に140km離れたタ・モアン寺院周辺まで拡大し、2011年4月に砲撃戦で死亡者12人を出す事態に陥ったものの、両国は同年12月に紛争地域から部隊を撤退させる事で合意、国際司法裁判所は2013年11月「1962年に下した判決に基づき、タイはプレアヴィヒア寺院地域に駐留する軍の部隊、警備隊、警察を撤退させる義務がある」と宣言したが、寺院から北西約3km地点のプノン・トラップの丘に対するカンボジアの領有権主張は却下し、この丘に対する領有権については明確な判断を下していない。
この国境が未確定の地域で先月末、両軍の小競り合いが発生してカンボジア軍兵士1人が死亡し、両国は冷静な声明を出して緊張緩和を約束してきたが、タイのプームタム国防相は7日「カンボジア側が軍事プレゼンスを強化してきたため国境沿いの緊張が悪化した」「そのためタイ政府は追加措置を講じて軍事態勢を強化する必要があると判断した」と発表、タイ軍も8日「カンボジア軍兵士と民間人が繰り返しタイ領に侵入した」「これらの挑発行為と軍の増強は武力行使の明確な意図を示している」と述べ、軍が国境沿いの全検問所を掌握すると付け加えた。
ทบ.ออกคำสั่งมอบอำนาจ ผบ.กองกำลังบูรพา และ ผบ.กองกำลังสุรนารี ในการควบคุมจุดผ่านแดนแนวชายแดนไทย–กัมพูชา ตามมติ สมช.
วันนี้ (7 มิถุนายน 2568) ที่กองบัญชาการกองทัพบก พลตรี วินธัย สุวารี โฆษกกองทัพบก เปิดเผยว่า พลเอก พนา แคล้วปลอดทุกข์ ผู้บัญชาการทหารบก… pic.twitter.com/GpguvE79Ek
— กองทัพบก Royal Thai Army (@armypr_news) June 7, 2025
Reutersは「両国の現政権は良好な関係を維持しているものの、それでもタイでは国家主義的な感情が高まっている。タイ軍は金曜日に『主権に対する如何なる侵略にも対抗するため高レベルの作戦を開始する容易がある』と発表した。一方のカンボジア側は「国境の紛争を国際司法裁判所に付託する」と発表してタイ側に協力を求めている」と、Bangkok Postも「プームタム国防相は主権侵害に対する政府の立場を再確認し、カンボジア側が紛争地からの部隊撤退を拒否したため防衛力を強化する発表した」「タイ軍は国境地域を固め始めた」と報じている。
タイメディアの報道を見る限り両軍はウボンラーチャターニー県とスリン県の4つの寺院周辺で対峙しており、まだ対立は致命的なほど悪化していないもののタイ側の報道は「カンボジア側が主権を侵害し、緊張緩和を約束しておきながら国境沿いの戦力を増強している」という論調で、メディアが状況を煽りすぎれば軍が強硬になる恐れがある。
関連記事:タイの戦闘機入札でF-16Vが敗れた理由、グリペンのオフセットが強力すぎ
関連記事:フィリピンはFA-50 Block20を12機、タイはグリペンE/Fを12機導入
関連記事:タイの戦闘機導入を巡るスウェーデンと米国の戦い、空軍はGripen取得を推奨
関連記事:タイ空軍のF-16後継機、韓国航空宇宙産業がFA-50Block20を提案
関連記事:タイ空軍はF-35Aの調達を米国に断られ、F-15EXとF-16Vを提示される
関連記事:タイ空軍が米国にF-35A売却を打診、米議会の回答は来年の夏頃になる予定
関連記事:タイ議会がF-35A調達資金を来年度予算から除外、空軍は予算復活を訴える
関連記事:米空軍、タイにF-35Aを運用できるか調査するためチームを派遣
関連記事:ロッキード・マーティン、タイ空軍のF-35A調達話は公式のものではない
関連記事:8,200万ドルなら手が届く、タイ空軍がF-5Eの後継機としてF-35A調達を検討中
※アイキャッチ画像の出典:Royal Thai Army
インド・パキスタンの次はタイとカンボジアですか・・・
こりゃヨーロッパや中東に続いてアジアもだんだんと戦火が広がってますね。
・・・ていうかもう事実上の第3次世界大戦じゃ無いですかね?
どの辺が…?
第二次世界大戦は現在まで終結していないとの説もありますね。
確かに日本の降伏後も世界の何処かで戦火は起こり続けており、その多くで直接·間接は別として米国が関与しています。
タイに毎年行ってるタイ好きで、前回の国境線紛争の時の事も知ってます。
普段は結構なあなあで友好的な両国なのに、まだ火種はそのまま燻ってたんだなぁと。
寺院を巡っての争いなんで国境線というよりは文化・観光資源の取り合い的な意味の方が強いんだろうけど(紛争になってる寺院は別名「天空の寺院」と呼ばれる景勝地)、別に宗教対立問題が有る訳でも無いんで早急に停戦して欲しいものです。軍事力で言えば圧倒的にタイ側の方が上ですが。
スリンは知り合いのお姉ちゃんの田舎だから気になるんだよなあ。
タイ人口7100万人、カンボジア人口1700万人ですが、GDPは10倍以上の差があるんですよね。
ベトナムが急速に経済成長していまして、人口も1億人いまして、TPPに加盟してたり生産拠点としても注目されています。
タイは、ASEAN内での生産拠点競争が激しくなっているため、カントリーリスクを上げるような事にならない方が得策なわけですが難しいんでしょうかね。
タイの色んな有名なものに対してカンボジアが起源主張するのでタイ人のカンボジアの印象はメッチャ悪いです
と言うよりは、基本的にタイ人はカンボジア人を自分達より下だと見てます。
歴史的にも文化的にも。
ついでに言えば、まだはっきりとはインドシナ半島での国境線が定まっていなかった第二次大戦直後のゴタゴタの時期に、タイは東北部の地域今のイサーン地方を自分たちの領土に組み入れた経緯があり、タイの地方語であるイサーン語はカンボジア語とは方言レベルの違いしか無いので普通に会話できる程度にはカンボジアとの関係性が深いです。
やるなら火器は禁止にして剣で戦えば
インド中国の係争地を参考に石と棒でいいと思う
それかムエタイとかの国技で格闘だけとか
不謹慎な話ではあるが両国ともガチガチの攻撃型UAVなんて保有してないと思うので衝突したら最近のUAVがすごく活躍する戦闘ではなく旧来の兵器が中心の昔ながらの最後の戦闘になるんだろうなぁと思ったりする。
小規模な武力紛争に発展しても両国共に関係が深い中国が仲裁するんだろうね
トランプ政権は干渉しない
自国の生産力を上げたいトランプ政権的には、新興工業国同士が紛争でダメージ喰らう方が美味しいでしょうし…🙄
先週あたり中国が作った国際調停院でなんとかしろよって思ったけどタイが加盟してなかったとほほ
力ある国は武力を背景に事実上の支配圏を広げ、劣勢な国は第三者による司法介入を求めると
古今東西を問わずこの力学は不変なんだな
私、2008年の衝突時にたまたまカンボジアに駐在していたんですが、現地の新聞にお坊さんがカンボジア兵に弾丸避けのお守りを渡している記事が載っていたのが印象に残っています。
お坊さんは「効果無いと思うけど兵隊さんの気持ちが楽になるなら……」とコメントしていました。
このプレアビヒア寺院、タイ側からは容易にアクセス出来るのにカンボジア側からは断崖を登らないと辿り着けない地形なんですよね。
たとえ政権同士の関係は良好でも、
現場の兵士レベルでは人が死ぬレベルの小競り合いを
慣例的に続けなきゃいけなかったりもするのでしょうか?
いつもの恒例行事ですね死者が出てしまったことは残念ですが一人となると今回は大分小規模だったのでしょうか。やっぱりこういう小競り合いは軍のガス抜きとして必要なんでしょうかね?