インド太平洋関連

タイがMQ-1CクラスのDP-20Aを発表、BZK-005のライセンス生産か

タイ企業がバンコクで開幕した防衛装備の見本市で国産UCAV「DP-20A」を発表、耐空証明を取得するための試験が行われていると明かして注目を集めている。

参考:Defense & Security 2022: ATIL unveils DP-20/A MALE UAS
参考:D&S 2022: Thai-Chinese joint venture unveils DP 20-A UCAV

DP-20AはBZK-005Cのライセンス生産だという指摘もあるが、中身まで同一なのかは不明

タイ海軍は海上監視と戦術的任務の強化・支援のためヘルメス900を導入すると今年7月に発表したばかりだが、タイ国防技術研究所、タイ企業、中国企業の3者で設立されたAero Technologyは29日、バンコクで開幕した防衛装備の見本市Defence & Security 2022で国産UCAV「DP-20A」を発表した。

DP-20AはMALE(中高度を長時間飛行できる無人航空機のこと)タイプのUCAVで、EO/IRセンサーを活用した情報・監視・偵察(ISR)、目標への照準、戦場評価に加え、機外に合成開口レーダー、SIGINT機器、戦術通信の中継機器、対地攻撃の兵器なども携行することが出来るらしい。

Aero Technologyの関係者は「DP-20Aの開発自体は完了済みで耐空証明を取得するための試験が行われている。DP-20Aと関連システムの約80%は国内で製造される」と述べており、恐らくタイ軍は国内で製造されるDP-20Aを導入するつもりなのだろう。

出典:Weibo BZK-005E

ただDP-20AはAero Technologyが開発したオリジナルのUCAVではなく、日本周辺にも飛来し始めた中国製UAV「BZK-005」の武装バージョンで、機体の名称をBZK-005CからDP-20Aに変更しただけ(ライセンス生産という意味)という指摘もあるが、BZK-005CとDP-20Aの中身まで同一なのかは不明だ。

因みにインド太平洋地域では武装可能なUCAVの開発や共同生産が次々と始まっており、中国を除く国で進められて計画(管理人が把握してもの)は以下の通りだ。

戦闘機随伴タイプではない武装可能なUCAVの開発や共同生産
韓国MUAVMQ-9を上回る大型UCAV2023年に量産・配備予定
台湾騰雲II型MQ-9クラス2023年~2024年頃に量産開始予定
パキスタンShahpar-2TB2クラス実戦配備済みで海外市場に売り込み中
インドネシアBlack EagleMQ-1Cクラス地上走行試験中
インド名称不明大型UCAV開発中
カザフスタンアンカMQ-1Cクラストルコとアンカを共同生産
タイDP-20AMQ-1CクラスBZK-005Cのライセン生産

追記:パキスタンがトルコ製UCAV「バイラクタルAkinci」を導入済みだと最近判明している。

関連記事:タイ海軍、イスラエルからヘルメス900×7機を1.2億ドルで導入
関連記事:カザフスタン、MQ-1Cに匹敵するUCAVアンカをトルコと共同生産
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関連記事:台湾製UCAV「騰雲II型」が順調にテストを消化、2023年に量産開始
関連記事:国産UCAVの開発が完了した韓国、量産を開始して2025年までに実戦投入
関連記事:米メディア、中国軍の無人機は電子情報を収集しながら空自の戦闘機にダメージを与える

 

※アイキャッチ画像の出典:Defense and Security 2022

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コメント

    • TO
    • 2022年 8月 31日

    タイに遅れを取る日本
    絶望的な決断力の遅さ、先見性の無さが招いた結果といえる

    31
      • 匿名
      • 2022年 8月 31日

      日本政府に決断力が無いのはない。憲法9条が邪魔をしているのだ。専守防衛を規定している日本の法律に抵触してしまう恐れがあるから、日本政府はUCAVの生産や輸入に消極的なだけだ。
      憲法9条さえなければ、今ごろ日本はもっと攻性の正規軍を保有していたはず。日本政府とてUACVの有用性は理解しているはず。ただ「専守防衛」という法の壁を乗り越えられないだけなのだ。
      だから、「決断力が無い」として責を負うのは日本政府ではなく、憲法9条を撤廃する決断ができない「日本国民」なのだ。

      3
        • TDNトーシロ
        • 2022年 8月 31日

        日本のドローン導入が遅れてるのは憲法の問題というよりドローン規制法の問題なんでは?
        確か人口密集地帯での完全自立運用の規制が解除されるのは今年中だったはず。航空祭や基地祭に行ったら分かるけど自衛隊基地って大抵住宅地や工場地帯に囲まれてるんだよね。
        なのでドローンの本格導入が進むのは来年以降になるんでは?

        3
        • どろん
        • 2022年 9月 01日

        自衛隊がドローンを導入できないのは、航空法と電波法の規制に抵触するからですよ。

        決して政府や自衛隊が消極的なのではなく、導入したくてもできないのです。

        これから導入されるシーガーディアンは、どのようにしてこれらの規制をクリアしたのか興味あります。

        3
    • 58式素人
    • 2022年 8月 31日

    以下は妄想です。
    こういうUAVを墜とすのは高高度迎撃用ミサイルは高価で勿体無いので、
    複数回使用できる極く小さな遠隔操縦の単発ジェット戦闘機を妄想しています。
    武装はM2ブローニング×2丁で充分かと。
    火薬カタパルトかRATOで発進し、エマージェンシーネットで回収、
    高度2万mまで上がれて、行動時間は1時間くらい。亜音速。
    支援装備を10t車1台で持ち運べる大きさで。小型艦でも運用可能。
    どなたか、こんなものを作ってくれないかと妄想します。
    操縦ははゲーマー(!!)の方にお願いするということで。

    4
    • 匿名
    • 2022年 8月 31日

    パキスタン
    洪水被害が凄いようですが軍へのダメージはどうなんでしょうね

    1
    • 新・にわかミリオタ
    • 2022年 8月 31日

    本邦も国産で1から作るよりも、ライセンス生産や技術援助を受けて開発する方が手っ取り早くていいですね。
    今から調査、分析、検討、(技術研究)、計画立案、開発、実践配備していたら、一体何年かかるのかわかりません。
    無人機に関してはやる気のある企業が沢山ありましたが、防衛省の判断があまりにも遅過ぎました。

    9
    • 無無
    • 2022年 8月 31日

    試しに少数の導入を働きかけて、タイがどう反応するか見たいな
    中国が黙認するか、あるいはしたたかなタイが商売人に徹するか
    手に入れたらかまわず分解しまくる

    1
    • tsr
    • 2022年 8月 31日

    日本ほどの海洋面積があるなら、無人機を国産開発してもペイできるほどの官公庁需要があるはずなんだけどなぁ。
    技術力・資金力は十分あるはずだから、もう本当に意思の問題か。

    4
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