インド太平洋関連

NZ海軍のアンザック級フリゲート後継艦、日本のもがみ型と英国の31型を検討

ニュージーランドはアンザック級フリゲートの後継艦に「日本の護衛艦を導入する意欲」を伝えたが、防衛市場の動向を報じる英国のShephardは2026年1月「Babcockもアローヘッド140を提案済みだ」と報じ、ペンク国防相も日本のもがみ型フリゲートと英国の31型フリゲートに注目していると発言した。

参考:New Zealand begins discussion with Australia, Britain on replacing frigates | Reuters
参考:New Zealand Eyes Japanese or UK Warships as Frigate Replacements
参考:As Indonesia doubles up its order, who else is looking at the Arrowhead 140 frigate design?

西側諸国の防衛装備調達に関する競争入札はほぼガチンコで、あらかじめ調達機種が決まっている「見せかけの競争入札」などは訴訟まみれになるだけだ

日本はオーストラリア海軍向けのフリゲート艦入札でドイツを破って勝利し、三菱重工業は100億豪ドル規模とも言われるフリゲート艦調達の優先交渉権を獲得したが、日本経済新聞は2025年10月「日本を訪問しているニュージーランド海軍のゴールディング司令官は中谷防衛相と会談し『日本の護衛艦を導入する意欲』を伝えた。ニュージーランド政府内で新しい海軍の資産になると提案していると述べ、中谷防衛相も謝意を示した」と報じ、この発言にはオーストラリアが採用した改良もがみ型フリゲートが念頭にあると指摘。

出典:小泉進次郎

ニュージーランドのコリンズ国防相と会談した小泉防衛相も「ニュージーランド側がフリゲート艦の更新に関してもがみ型護衛艦への関心を示した」「今後も緊密に意思疎通をしていく」と述べ、Janesは2025年11月「三菱重工業はニュージーランドとの協議の焦点はフリゲート艦の能力と購入の可能性にあると回答した」「ニュージーランド海軍の報道官も政府高官の間でもがみ型護衛艦について協議が行われたが、まだ決定されたことは何も無いと説明した」「両国はもがみ型護衛艦がニュージーランド海軍の要件をどのように満たすかについて政府間協議を開始した」と報じたが、もがみ型護衛艦が唯一の選択肢ではない。

防衛市場の動向を報じる英国のShephardは2026年1月「ニュージーランド国防省は2019年の国防能力計画において近代的な水上戦闘艦の調達が必要だ発表した」「これは2030年代半ばに退役時期を迎えるアンザック級フリゲートを代替するものだ」「ニュージーランドは比較的限られた国防予算しかないため特定任務に特化した艦艇ではなく柔軟性に富んだ多用途艦を求める傾向が強い」「そのため複数の選択肢が現実的な候補として浮上している」と言及し、以下のように指摘した。

出典:NZDF/CC BY 4.0

“報道される最有力候補は三菱重工業の改良もがみ型フリゲートで、これはオーストラリア海軍の汎用型フリゲートとして既に選定済みだが、Babcockが主導するコンソーシアムもBabcock Australasiaを通じてアローヘッド140を提案済みだ。Babcockは既にニュージーランド国内で強固な防衛プレゼンスを確立しており、2022年には海上艦隊維持サービス(MFSS)協定の下で7年半の追加契約を締結し、ニュージーランド海軍の長期パートナーとして選定されている”

BloombergやReutersも「クリス・ペンク国防相が木曜日の声明で『ニュージーランドは老朽化したフリゲート艦2隻の後継候補として日本のもがみ型フリゲートと英国の31型フリゲートに注目している』『この件に関する最終決定はまだ下されていない』『2027年末までに閣議に助言が提供される予定だ』と述べた」「ニュージーランド政府がアンザック級フリゲートの代替検討としてオーストラリア海軍と英海軍と協議を開始した」と報じた。

出典:Babcock

Babcockのアローヘッド140はデンマーク海軍向けのイーヴァル・ヒュイトフェルト級フリゲートをベースに開発され、英国(5隻)、インドネシア(4隻)、ポーランド(3隻)が採用し、スウェーデン、デンマーク、ニュージーランドに提案中で、輸出市場において評判の高い設計に基づくフリゲート艦であり、艦艇の輸出事業においてもBabcockは相当経験が豊富なため「オーストラリアとニュージーランドの関係性だけでもがみ型護衛艦が有利だ」と思っていたら足下をすくわれるかも知れない。

ちなみに日本では防衛装備の入札に関して「当て馬」という表現が使用されるが、西側諸国の防衛装備調達に関する競争入札は「あらかじめ調達機種が決まっている見せかけの競争入札」ではなくほぼガチンコだ。なぜなら海外の競争入札は「選定結果に不服があれば訴訟を起こす権利」が付帯することが多く、入札実施国も程度の差はあっても「どのような項目で選定を行うのか」「何を重視して項目別の点数配分がどうなっているのか」「その結果がどうだったのか」を具体的に公開するため、見せかけの競争入札など訴訟まみれになるからだ。

関連記事:三菱重工業、護衛艦輸出に向けたニュージーランドとの協議開始を確認
関連記事:ニュージーランド海軍が日本の護衛艦導入に意欲、もがみ型護衛艦を想定か
関連記事:豪国営放送、改良もがみ型フリゲート3隻の契約額は推定数十億豪ドル
関連記事:豪州が改良もがみ型フリゲート3隻の建造契約を締結、もがみ覚書にも署名

 

※アイキャッチ画像の出典:Babcock International

トルコは防衛輸出額が年100億ドルを突破、無人戦闘機のインドネシア輸出も実現前のページ

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コメント

  • コメント (39)

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    • たむごん
    • 2026年 5月 07日

    ニュージーランドさん、是非ともよろしくお願いします!

    日本=ニュージーランドの方が貿易金額も多いですし、製造業の発展に貢献できますよ!

    27
      • たむごん
      • 2026年 5月 08日

      追記です。
      イギリス地方議会選挙が開票中ですが、与党労働党がとんでもないことになってますね。

      イギリス政治混乱するでしょうから、日本は今のうちにガンガン攻勢かけて受注を勝ち取りましょう!

      9
        • 英枯盛衰
        • 2026年 5月 08日

        リフォームUKが優勢のようです、この党は国防強化派との認識してますが31型売り込みは頑張るのでしょうか!?(GCAPには良いニュースなのかな?)

        8
          • たむごん
          • 2026年 5月 08日

          仰る点、気になりますね。

          超短期的には、与党内・与野党の政争が激しくなりそうですが、短中長期的にどうなるのか動向に注目したいと思います!

          4
      • NIVEA万能論
      • 2026年 5月 08日

      ニュージーランド海軍はオーストラリア海軍と共通の艦型を採用する事が多いため、もがみ型が最有力候補である事は間違いないと思います。
      31型など他の候補がよほど破格の条件を提示しない限り、もし不採用になれば逆に日本が訴訟を起こしても良いレベルかと思います。

      11
        • たむごん
        • 2026年 5月 08日

        ほんと、どうなるのか見守りたいですね…。

        オーストラリアへの納入・投資が、生きそうですから良い結果を期待したいと思います。

        6
    • 2026年 5月 07日

    イギリスはいい加減26型と31型を就役させてくれ
    26型は2017年から建造していて28年就役と言っている
    31型は2022年から建造していて28-30年就役

    入札も大切だけどいい加減1隻くらい就役してくれ

    52
      • トーリスガーリン
      • 2026年 5月 08日

      31型って2隻就役してなかったっけ?と思ったら進水だったわ(;^ω^)
      その状態でバックオーダー積みあがってるのはすごいというかなんというか…

      32
        • もがみん
        • 2026年 5月 08日

        生き馬の目を抜くと言われる世界市場で、とても高額な買い物を実物が無いのにも関わらず受注が積みあがるというのは、高い営業力があるのでしょう。

        日本企業に、そこまでの能力があるのだろうか。

        13
          • 2026年 5月 08日

          あるのだろうかじゃない、やるんだよ

          27
      • かず
      • 2026年 5月 08日

      別に31型が取っても構わないんですが英国さん納品は大丈夫なんですかと思わんでもない
      日本ももがみ改型の大量建造で余力があるかどうか分からんし

      38
      • コンビニ
      • 2026年 5月 08日

      英軍オタというか英國人の断末魔ヤバい事になってますね…

      アンザック級むらさめとほぼ同期か…

      14
    • 無印
    • 2026年 5月 07日

    31型は26型とのハイローミックスのロー側で無人機も扱える、もがみ型(と新型FFM)とよく似た思想の艦なので、強敵やね
    ましてニュージーランド海軍はオーストラリア海軍ほど予算は用意できないでしょうから、高価な新型FFMは手が出しづらいかもしれない
    31型は対空ミサイルを装備の反面対潜装備は限定的(もがみ型は逆、対空ミサイルが限定的で対潜装備が充実)、新型FFMは汎用艦に近いけどお高い
    ニュージーランド海軍が何を重視するかですけど、コスト重視なら31型、性能重視なら新型FFMですかね?

    20
      • 匿名希望係
      • 2026年 5月 08日

      むしろ実際に供給できるかの差が出ると思うぞ

      25
      • dd4
      • 2026年 5月 08日

      ただニュージーランドは自前で大規模な整備が難しかったりするなど、豪州にある程度頼らないと運用が難しいという現実が
      豪州と似たような軍備にしてるののも、基本的に豪州に頼る部分が大きいから
      運用コストを考えた場合は、豪州とそろえた方が良いから新型FFMだろうが、単価や政治工作の値段次第で31型…
      いや、どうだろうなぁ…
      豪州も自国生産分をニュージーランドに勝ってほしいと思ってるだろうしなぁ
      政治工作なら豪州自体もかんできそうな気がするしなぁ

      7
      • ななし
      • 2026年 5月 08日

      もがみ型はESSMに対応できるから対空ミサイルも31型以上でしょ
      31型のCAMMは弾体重量99kgでRAMブロック2の90kgと誤差レベルで中間指令誘導+アクティブレーダーだからシーかーで重量食ってる筈
      CAMM-ERなら166kgと倍近いが今度はESSMの300kg半分程度でしかなくなるし

      8
      • YF
      • 2026年 5月 08日

      コスト面に関しては日本がオフセットで何を提供出来るかによって変わってくると思うんですけどね。

      10
      • 寒い
      • 2026年 5月 08日

      一番重要な事は、アンザック級の退役までに就役できる事だと思います。オーストラリアへの輸出を遅滞なく進める事が、日本にとって一番のアピールポイントになるかと。

      13
      • nachteule
      • 2026年 5月 09日

       31型(派生型は考えない)はどちらかと言うとさくら型哨戒艦の方が近くないかな。固定レーダーでは無く旋回式で主砲も57mmで小さいしミサイルにしても対艦ミサイル無し。ソナーも魚雷も搭載しないし、Mk41を搭載したら多少は変ると思うが船体規模の割に装備がしょぼい、幾らでも拡張性があると言えばそれまでだけど。

       コスト重視なら31型とは言うが初期型から今の状態からNZ版アンザックのテ・カハ級レベルまでにするならMk.41・火器管制用レーダー・ソナーの追加が必要で安いかどうかは不明。
       31型の平均建造費がざっくり535億円予定でこれがMk41搭載して火器管制用レーダー搭載した艦の価格も反映しているのかが謎。仮に現時点での31型で535億円だとこれから諸々搭載したらVLS搭載した無印FFMの約590億円にかなり近付くんじゃないだろうか。ESSM用のレーダー搭載と船体規模やセル数と色々あるけど、NZの選択肢としては新型FFMでは無くNZの不要な部分必要な部分を反映した無印FFM改なら互換性の面とコスト的な面で折り合いが付く可能性はある。

      3
    • 名無し
    • 2026年 5月 07日

    逆に現行のもがみ型にオーストラリア向けの戦闘システムを載せたモデルの方が好まれそうな感じに思えるんだよな。

    23
      • YF
      • 2026年 5月 08日

      現行のもがみ型売るなら最低限ESSMは装備出来るようにして欲しいですね。
      その後国内のもがみ型も改修してもらって。

      8
    • aaa
    • 2026年 5月 07日

    テ・カハとテ・マナ退役までに英が引き渡し出来て豪バブコック拠点で整備できるんなら31型フリゲートでいいんじゃないでしょうか。

    12
      • 七面鳥
      • 2026年 5月 08日

      出来ぬと申すか!

      ……出来ないだろうなぁ……

      横合いから失礼しました。

      8
    • YF
    • 2026年 5月 07日

    ここは確実に取りに行って欲しいですね。アジア・太平洋方面でオーストラリアに次ぐ採用国が現われれば今後のセールスにも弾みが付きます。
    性能面、価格面、輸出実績等比較されるでしょうが、日本の最大の強みは納期を守れる製造能力なので、ここを前面に出して勝負して欲しいですね。

    36
    • ななし
    • 2026年 5月 08日

    >「どのような項目で選定を行うのか」「何を重視して項目別の点数配分がどうなっているのか」
    >「その結果がどうだったのか」を具体的に公開するため、見せかけの競争入札など訴訟まみれになるからだ。
    XM8「」
    SCAR「」
    HK416「」

    30
      • バーナーキング
      • 2026年 5月 09日

      公開するったって項目設定も配点も評価も導入国がする訳で、結果ありきの競争は普通に可能ですよね。雑にやれば当然つつかれるでしょうけど。

      1
    • せい
    • 2026年 5月 08日

    VLS搭載のもがみ後期型なのか新型FFMなのかは分からんが、政治、戦略的には日本がガッツリ押せば取れ無くないと思ってる
    日本のフリゲートが環太平洋の防波堤になれることを願ってる

    39
    • HEAT信奉者
    • 2026年 5月 08日

    維持管理コストという点ならシーセプターがあり発電機推進機ともにオールディーゼルの31型が有利かな
    クルーも100人(90人分の余裕あり)だし
    でもなんでニュージーランドはESSMじゃなくてシーセプターにしたんだろ

    4
    • 名無し
    • 2026年 5月 08日

    たくさん作ってる分FFMのほうが調達性は良いけど、英国製で嫌でなければSAMやレーダーシステム一式がついてくるのが31型の良いところかな

    1
    • あうあうあー
    • 2026年 5月 08日

    31型は基本モデルがあまりに軽武装すぎて、既製品をそのまま導入するという選択肢が実質的に存在しないところ、アレコレとオプションを追加して要求を反映させていくと結局は価格が高くなり、「ローエンドだけど信頼性は高く価格は安い」という強みが消えるのではないかと疑っております。(スウェーデンに提案中のアローヘッド140も別に安くないようです)

    もがみ型と新型FFMは、「もがみ型が既に就役して不具合潰しをやっていること」「日豪と共同作戦に有利であること」「豪州仕様そのままを採用すれば(メンテナンスやアップグレードで)スケールメリットが働くこと」など、有利さをアピールできるところは多いのではないでしょうか。

    30
    • 七面鳥
    • 2026年 5月 08日

    兵站の概念から、近隣(豪州)に修理可能というか建造可能なドックができる「改もがみ型」の方が後々色々とお得だとは思えますが、それだけでは決まらない、いろんなセットオプションが付いて回りますから、さてどうなるか……
    個人的には、もがみ姉妹で太平洋を埋め尽くすサマは見てみたくあります。

    34
      • せい
      • 2026年 5月 09日

      リムパックで多国籍な新型FFMが揃い踏みしてるの見れたら感動するやろなぁ

      10
    • 名無し
    • 2026年 5月 08日

    いやいや31型は受注数こそ増えてるが本当に納品できるのか?
    新型FFMを過剰に持ち上げるのはいかんが、納品の確実さでは圧倒的だろう。

    16
    • 匿名希望係
    • 2026年 5月 08日

    最新ニュースで英国向けが30年までに5隻って次点で納期的に無理では?>type31

    9
    • aaa
    • 2026年 5月 08日

    RCNがキングストン級沿岸防衛艦の後継を(対潜を強化した)31型フリゲートにする可能性が高くRNZNが相乗りする場合にだけ新型FFMを推す必要があると考えますが。

    1
    • 名無し
    • 2026年 5月 09日

    いやどう考えてももがみ改一択だとも思うけど
    オーストラリアの次期フリゲートにしたって
    結局要件満たしてるのはもがみ改だけだったし、政治マターでもなんでもない

    納期は要件ではないってんなら話は別だけど

    5
    • 2026年 5月 09日

    正直、RNZN仕様に合わせるのにさほどカネがかからないのなら、改もがみ型の新造よりも現もがみ型を中古輸出の方がそれっぽいスペックと値段ではある
    ほぼ即納でき、中古としては艦齢が若く、改もがみ型の建艦枠を割かなくても済む
    まあESSMの問題を考えると現時点では31型有利とみておいた方がいい、セールスやるならそれを覆しにいく気合で

    5
    • will_vii
    • 2026年 5月 10日

    クラスは違えど新型で信頼度を考えれば、
    45型駆逐艦のイギリスは避けたく成るやも。

    • dl
    • 2026年 5月 12日

    改めて書かれたことで「併せ馬」と「当て馬」をいつの間にか混同していたことに気づきました

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