シンガポールは2025年3月「Fokker50の後継機にP-8AとC295を検討している」と、9月「ピート・ヘグセス国防長官にP-8A購入を伝えた」と発表していたが、米国務省は20日「シンガポールにP-8A×4機を推定費用約23億ドルで売却することを承認した」と発表した。
参考:Singapore – Maritime Patrol and Reconnaissance Aircraft P-8A and MK 54 Lightweight Torpedoes
輸出市場にまともな競合が存在しないP-8Aの生産ラインは当分閉鎖されることはないだろう
シンガポールのウン・エンヘン国防相は2025年3月「海上哨戒機と運用しているFokker50が更新時期を迎えた」「後継機としてP-8AとC295(C-295 MPAのこと)を検討している」と、シンガポール国防は9月「チャン・チュンシン国防相がピート・ヘグセス国防長官にP-8A購入を伝えた」と発表していたが、米国務省は20日「シンガポールにP-8A及びMK.54軽魚雷を推定費用23億1,600万ドルで売却することを承認し、国防安全保障協力局は議会に通知する必要な証明書を提出した」と発表。

出典:Boeing
米海軍は2020年までにP-3CからP-8Aへの更新を完了(136機受領/未受領3機)し、海外からの受注が途切れると生産ラインがいつ閉鎖されてもおかしくない状況だったのだが、オーストラリアが2機追加発注、カナダが14機発注、ドイツが11機発注し、ここにシンガポールが最大4機を発注するため、ボーイングはP-8Aの生産ライン(月1機)を最低でも2年以上は維持できる格好だ。
さらにデンマークがP-8A取得を検討中、インドも6機の追加発注に向けて交渉中、モロッコやトルコでも海上哨戒機の導入に向けた動きがあるため、この辺り需要を取り込むことが出来ればP-8Aの生産ラインは当分閉鎖されることはなく、P-8Aの競合になると期待されていたAirbusの新型海上哨戒機(MAWS)開発もドイツ海軍のP-3C早期退役によって実現困難になり、日本のP-1は「海上哨戒機の検討に関連して名前が上がるだけ」で「真剣な検討候補」と言えない。
ポーランド空軍のノワク少将はDefence24の取材に応じた中で「我々は軍用輸送機について軽量タイプ=C-295、中量タイプ=KC-390もしくはC-130J-30、重量タイプ=A-400Mを検討しており、C-17の生産ラインは2016年に閉鎖されたためA-400Mに競合相手はいない」と述べ、Defence24は「川崎製のC-2もあるがA-400Mより積載量が少なく、エキゾチック(防衛装備品として市場での実績が未知数)な機体だ」と指摘。
ノワク少将も「C-2は日本でしか運用されていないのが問題だ。我々は『装備の維持管理が可能か』他にどれだけの運用国があるのか』『そのプラットフォームの将来性にポテンシャルがあるか』といった点を重視している」と述べ、要するにC-2は実績のなさ、未知数な機体の将来性、運用国の少なさが問題でA-400Mの競合として認知されていないという意味であり、この評価はP-1にそのまま当てはまってしまう。

出典:U.S. Navy Photo by Mass Communication Specialist 1st Class William Sykes
海上哨戒機の導入を検討する国の性能要件をP-1が満たせるのかどうかは不明だが「日本国内の評価や自衛隊による運用実績だけでは輸出市場で評価されない」「武器輸出において性能は判断材料の1要素に過ぎない」というのが現実で、日本の武器輸出において最も欠けているのは「武器輸出と産業協力や雇用創出は表裏一体でビジネスとして展開できるかどうか」「武器輸出を通じて防衛装備品のエコシステムを拡張して価値や魅力を高められるかどうか」「潜在的な顧客にプラットフォームの将来性やエコシステムに参加することで得られる利益を説明できるかどうか」という視点だ。
例えばカナダへの潜水艦輸出に日本の名前が上がった際、日本経済新聞は「次期潜水艦の候補国の中で長期間の航行能力、潜航能力、静粛性において極めて高い性能を有している日本のたいげい型潜水艦が特に有望視されている」「海上自衛隊は世界で初めてリチウムイオン蓄電池をそうりゅう型(11番艦と12番艦のみ)とたいげい型に採用し、鉛蓄電池に比べて2倍以上のエネルギーを生み出せる上に寿命も長く、維持管理も容易など利点が多い」「さらに潜水艦の運用と建造の伝統も日本の強みだ」と報じており、日本メディアの武器輸出に関する報道はピントがズレていると言わざるを得ない。
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※アイキャッチ画像の出典:U.S Navy photo by Personnel Specialist 1st Class Anthony Petry





















航空機の使用期間、非常に長いですからね。
P-8Aの母機となる、ボーイング737(800?)は旅客機として生産終了しているようですが、2014年生産終了とまだ浅いなと。
ベストセラーの機体で航空機の寿命を考えれば、まだリース市場・中古機市場に出回っているでしょうし、エンジン・部品の生産調達面でも強いのかなと感じています。
日経新聞は、日立=三菱重工の合併スクープなんかも報道してたのですが、株式市場だけを賑わすような記事もちょこちょこ出ますからね…。
まあオリジナル機体のP-1はP-8と比べるとどうしても維持管理費用は高くつくでしょうね。
アレはエンジンの耐久性がヤバいみたいなので、同等スペックの実績あるエンジンに代替すればワンチャンあるかも。
エンジンを変えても整備部品の調達しやすさもP-8の方に軍配が上がるとは思いますよ。
エンジンの耐久性がやばいのではなく、予算が無く保守部品が買えないため交換修理できないのです。そのため、飛べないとなり稼働率がとても低いということです。
なので、エンジンを交換しても保守部品が買えなければ、同じ問題が起きます。
いや、会計検査院の報告でも海上を低空飛行するとエンジンの部品が腐食する問題があると指摘されてましたよ
それも開発時の試験でも腐食の発生が認識されていたのに、IHIが発生確率の低い偶発事象だから対応の必要はないと報告を上げていたのです
予算不足と言うのも、当初計画時の想定で予算を組んでいたら、実際には部品が余りに寿命が短いから予算不足の様に見えていただけなんじゃないかと疑っています
具体的に「同等スペックの実績あるエンジン」とは?
そのエンジンは海面上を超低空飛行するという運用条件で耐塩害性が高いことが求められます。そもそも海面上を超低空飛行するという運用に伴う弊害なんで、耐塩害性をこれ以上高めるのが技術的あるいはコスト的に困難ならば、運用法を変えるかメンテナンスのワークロードを増やすしかない。
P-1はP-8より低空飛行での運用が多いのと4発だという物理学上どうしようも無い仕様上の問題があるので、エンジン変えたとて、商品力としては勝負にもならないでしょうね。
実績ある737NGベースのP-8でさえスペアパーツ不足で稼働率低いから、そもそも低空で長時間飛ばすこと自体がジェット機には過酷すぎて抜本的な解決方法は存在しないと思う。
それにつけてもボーイングの生存能力よ。
ソニーがTV部門をTCLに売り払ったニュースを聞いた直後だと尚更、感嘆する。
工員に投資するよりロビー献金した方が効率的だとお分かり頂けただろうか
まあ武器輸出だけでなく商品を売るなら相手のニーズにどれだけマッチするかでしかないですからね。
このニーズと言う言葉において、性能と言うのは要素の1つに過ぎないと言うのは当たり前の話です。
P-1は塩害仕様の問題による稼働率低下以前に国産エンジンによる4発機という自衛隊特化仕様なんでそもそも輸出に適した機体じゃないですからね。
P-8と比較して性能がほぼ一緒なら運用、メンテナンス性で劣るって事ですし、さらに実績がないんじゃ売れないのも当然かと。
ただ日本企業も長年自衛隊だけに納入してきたので仕方がない部分もあると思います。
日本の陸上戦闘車両ってほとんどIED対策してませんが、平和憲法下の日本だと陸上戦闘は国内に限定されるのでほぼ舗装された道路でIEDの危険性ってそこまで大きく見積もらなくても大丈夫だからです。
しかし海外で売るならIED対策は必須なわけで、今後日本も設計の段階から海外市場も考慮していかないといけないでしょうね。
エアコンが付いていないなんて論外ですが…
この記事の主題はそういうスペックの話だけが売れない理由ではないということでは?
記事の内容充分理解した上で言いたかったのはスペックの話じゃなくてニーズの話ですね。
いくら自動車工場作ります、社会インフラ整備に投資しますって言ってもそもそもその国の欲しい物を作ってなければ検討の俎上にも上がらないわけで
じゃあ今の国産兵器で海外のニーズに合った物を作ってるんですか?って話です。
造ってない、というかそもそも市場調査自体を本気でやっているのかと疑いたくなるのが現況……
口と頭と手足がバラバラに動いてるんじゃないかと思うくらいだ
本気でやるなら憲法改正からやって見せろよと思うけども
P-1の後継機をどうするかという話も出てきているようだし、国内開発するなら輸出まで視野に入れて双発でエンジンも選べるような機体に仕上げてほしいですね。
P-8の引き合いに出てるけどc295MPAってソノブイ積めるんだっけ?
昔MPAは対艦ミサイル搭載した洋上哨戒用で、対潜哨戒用のASWは別に作るみたいな報道あったけど間違いかな
たんに一応他の機種がないだけでは?>C-390
あと候補になりそうなのがC-130にP-3のシステムとか乗せたやつあたりでしょうし。
年12機程度しか作ってくれないのでは購入希望国が実機を手に入れられるの何年後なんですかね・・そりゃ無人機に流れますよねえ。他の記事でもありますが諸外国全部合わせても米国の半分にも満たない購入数って米軍の桁違いさが際立ちますね。
P-1はエンジンの問題ばかりが言われてるけど会計検査院の指摘によればアビオニクスの方にも問題があるようだからな
エンジンが万全でも電子機器に不具合が起きてる機体は飛べないので、そういうのも稼働率の低下に関わってる
P-8はいい加減手作業のソノブイ積むの改善してあげて…
C-2がA400Mより積載量が低いて記事間違えてるよね
積載量はC-2の方が上だし
元記事ではそのような記述がありますし、現にA400Mは容積の面で上回っています。
貨物室全長:A400M 17.71m、C-2 15.7m
貨物室容積:A400M 340m³、C-2 252m³
463Lパレット:A400M 9枚、C-2 8枚
最大積載重量は同程度。
A400Mの公式サイトに書かれてる340㎥って多分貨物室の物理的な容量だと思うの、17.70×4.0×3.85 ≒ 272.6 m³で明らかに計算が合わない
まあそれでもC-2より広いけど
4.0mは床面幅でしょう。
C-2も床面幅ですし写真を見れば分かりますがA400Mの貨物室はほぼ長方形ですよ