米国防長官はアジア諸国に「国防費を増額している欧州の例を参考にするべき」と促し、国防総省は1日「豪州に出来るだけ早く国防費を3.5%まで増額するよう要請した」と発表、豪国営放送は2日「国防費を3.5%に引き上げるには年間400億豪ドル=約3.7兆円の追加支出が必要だ」と報じた。
参考:Readout of Secretary of Defense Pete Hegseth’s Bilateral Meeting With Australia
参考:US demands Australia lifts defence spending by $40b a year ‘as soon as possible’
参考:Trump official tells Australia to lift defence spending to 3.5 per cent of GDP
参考:Anthony Albanese brushes off US defence funding increase request
オーストラリアに3.5%基準を要求しているということは、日本にも3.5%が要求されていると考えるのが妥当だ
NATOは6月末の首脳会談に向けて加盟国の国防支出=2.0%基準を見直し、ルッテ事務総長は3.0%以上を提案したもののトランプ大統領は5.0%を要求、最終的にルッテ事務総長も「総額5.0%(国防支出3.5%+軍事インフラとしても活用できる分野への投資1.5%)という高い目標で合意できるだろう」と表明、これ受けて国防総省のコルビー政策担当国防次官は「NATOは5%の国防費目標を達成するため非常に強いコミットメントを示した」「これは世界中の同盟国、特にアジアにとって新しい基準となるだろう」と言及。

出典:DoD photo by U.S. Navy Petty Officer 1st Class Alexander Kubitza
ヘグセス国防長官もシャングリラ会合で「この地域の安全を保証してきた米国の役割に頼るのではなく、米国の同盟国はより大きな軍事負担を受け入れる必要がある」と発言、Defense Newsは「ヘグセス国防長官は国防費を増額している欧州の例を参考するよう促した」「オーストラリアや日本など米国の同盟国は国防費の増額を発表しているものの、国防総省はこうした国防費の増額が現実の脅威に見合っていないと考えている」「コルビー国防次官もNATOの5.0%基準がアジアの同盟国にとっての新基準だと述べた」と報じた。
シャングリラ会合前にヘグセス国防長官と会談したマールス国防相は「国防費増額を話し合う用意があると伝えた」「具体的な数字は挙げないものの『国防費の増額が必要である』とヘグセス国防長官も指摘してきた」と明かし、豪国営放送のABC Newsも「トランプ政権は少なくとも国防支出を3.0%まで引き上げるよう圧力を加えてきている」と報じたが、アルバニージー首相は「我々がやることは国防政策を決定することで、最近だけでも100億ドルの追加投資を行った。我々がやることは能力と地域との関係に投資を続けることだ」と述べ、豪メディアは「米国が要求してきた国防費の大幅増額を一蹴した」と報道。

出典:DoD photo by U.S. Navy Petty Officer 1st Class Alexander Kubitza
国防総省は1日「ヘグセス国防長官とマールス国防相と会談し、米豪同盟の主要優先事項について協議した」「この中でヘグセス国防長官は『出来るだけ早く国防費をGDPの3.5%まで増額すべきだ』と伝えた」と明かし、豪国営放送のABC Newsも2日「米国はオーストラリアの国防費を年間400億豪ドル=約3.7兆円増額するよう要求してきた」「2.0%水準の国防費を3.5%に引き上げるには年間400億豪ドルの追加支出が必要だ」「これは年間の高齢者介護費用と同額だ」と報じた。
9newsも「これまでもヘグセス国防長官はオーストラリアに国防費増額を求めてきたが、これまで具体的な額を明かしてこなかった」と指摘し、オーストラリアは3.5%という数字に驚いているが、これはNATOが受け入れる総額5.0%の「国防支出分=3.5%」と同じ数字で、この基準はオーストラリアに要求しているということは「日本にも3.5%が要求されている」と考えるのが妥当だ。

出典:Photo by Scott Swofford
これまで「国防費増額の圧力に苦悩していたNATO加盟国の姿」は他人事だったものの、遂にアジアの同盟国も同じ圧力に晒されることになり、これを受け入れると日本も予算上のトレードオフか増税を選択しなければならなくなるだろう。
因みにトランプ政権は「同盟国が増額した国防予算の資金が米防衛産業に流れ込む」と期待している可能性が高く、特に日本は「防衛産業に対する負のイメージ」が強すぎるため「防衛産業に対する投資が産業基盤の強化や比較的高収入の雇用創設の結びつく意識」が弱く、対日貿易赤字を削減するため無秩序に米国製システムを買い込めば「各国の防衛産業企業が膨大な投資に支えられて飛躍する流れ」から取り残されるかもしれない。

出典:Anthony Albanese
追記:アルバニージー首相は米国の要求について「野党が選挙期間中にやったようなことは絶対にやらない。彼らは資金の額(国防予算3.0%増額)だけ発表し、その資金がどこからやって来るのか、その資金を何に使うつもりなのか説明できなかった。こんなことは意味がない。我々に必要なのは実際に我々の安全を守ってくれるもので、それこそ我々が提供したいと思っているものだ」と述べ、ヘグセス国防長官が要求した国防費引き上げを再び一蹴した。
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※アイキャッチ画像の出典:DoD photo by U.S. Navy Petty Officer 1st Class Alexander Kubitza
日本が国防支出分=3.5%を現実的に受け入れられるかというとほぼ不可能で、現在の日本財政は国債の利払いと社会保障費で大半を使ってしまっていますし、社会保障費は半ば聖域で他の予算を削ってでも社会保障費維持というか自然増を補おうとしてる中で2%の防衛支出だって財源いまだ未確定なんですから不可能だと思います。
特にこれから既存の高齢者+氷河期世代が高齢者入りするわけで、氷河期世代救済の為にさらなる社会保障費が高騰するのは目に見えてる。
既存の防衛支出の枠の維持さえ怪しい限りで、軍事費よりも社会保障ってスローガンが日本では有権者相手に最強だから政治家も国民も社会保障を削ってでも軍事費に廻すインセンティブが存在しない。
人口オーナス・少子高齢化は、本当に厳しいですね。
無理な制度維持のために、現役世代の余力をずっと削り続けてきたわけですが、どういった反動がでるのかなあと。
今まで官民揃ってアメリカの軍事力に甘え続けて怠け続けたツケがいよいよ回ってきたね。
完全に手遅れになれば日本が生き残る道は2つ。
1・主権を完全放棄してアメリカの51番目もしくは52番目の州になるか。
2・中国の属国になるか。
のどれかしか無くなる。
現状の日本だと1のアメリカに吸収されたほうが未来もあるし、殆どの国民は賛同するのでは…
州にしてくれというワガママは言わない、準州でもいいから併合してくれと考えます。
勿論アメリカはお断りでしょうが…
日本がアメリカの新しい州になるとアメリカの2億4000万人の有権者数に対して1億500万の有権者が誕生することになるので、538人の選挙人中224人が日本州(仮)に割り当てられることになり、実質的にアメリカが日本に乗っ取られますね……
>『完全に手遅れになれば日本が生き残る道は2つ。
1・主権を完全放棄してアメリカの51番目もしくは52番目の州になるか。
2・中国の属国になるか。
のどれかしか無くなる。
なぜ2択なのでしょう?我が国の国力と地政学的要因を見れば、
トルコのような蝙蝠外交は十分に可能です。
アメリカか中国どちらかに従属しなければいけない理由はありません
出来るならそうした方が良いと思うよ。
でもね・・・戦後80年、自立した国防ビジョンや外交ビジョンを持たず常にアメリカに媚びり続けて自分達で生き延びる努力を怠り続けたチキン国家にそんな器用な事出来ると思うかい?
無理でしょ。
中国がアメリカの一極覇権に挑戦して2大国が凌ぎを削る
アメリカの威信は確実に揺らいでいる。そんな今こそ
敗戦国として80年の屈辱的な靴舐め外交から脱却できる
絶好のチャンスだと思いませんか?
これまでできなかったからこそ、ここから始めるべきでしょう
我々国民の自覚次第です
上のツリーと合わせると、軍事費のために社会保障費維持が難しいから、アメリカの51番目の州になると、アメリカのクソみたいな医療保険制度と社会保障を受け入れることになるんですよ。
まだ、後期高齢者への高度医療・延命措置禁止とか、胃瘻の禁止とかの方が現実的。
ホールドマンの「終わりなき戦い」では、人口過剰になった社会では70歳以上には医療が提供されないという時代が描かれていました。
こないだのウクライナのドローン攻撃により、基地駐機中の機体の脆弱さがよくわかったので
各自衛隊にシェルターや防空壕の設置・ドローン迎撃装置の開発・設置をするための費用は必要かと。
後、呉の製鉄所跡地と日産の横須賀の工場跡地買収と基地化の費用も国防費にはいるかと。
贅沢を言えば、潜水艦用のシェルタードッグも欲しい。
アメリカの思惑にはまらず国内基盤強化にうまく費用を向けられるといいのですが
そうすれば日本の土木建築産業の強化にもなり、防災力も向上すると思うので。
ただ、ドローン迎撃装置ぐらいは米国から購入してもいいかもです、日本じゃ実射試験も難しいので。
シェルタードッグも間違いではないんですけ、そこはブンカーと言ってほしかったw。
アメリカもしつこいわけですが、豪州も冷静に見ると大きく環境が変わったなと。
最近オーストラリアも、中国軍艦がオーストラリア本土周辺を、軍事演習しながら航行しており。
オーストラリア最大貿易国は、中国でありながらも突然の輸出規制の問題があったり、不動産取得・港湾取得が政治問題になったり難しい舵取りだなと。
東南アジア~パプアニューギニア~諸島群が、重要な防衛ラインなわけですが、ここも中国の影響力が非常に高まっていますよね。
民間のサイバー防御を各企業に任せるのは予算的にも技術的にも厳しい。防衛省に新しくサイバー自衛隊を創設して、公的部門だけでなく民間含めて日本国のサイバー防御を全て一括してお任せする。そのための予算は法人税から徴収する。これなら財源を確保した上で数兆円ほど防衛費を積み上げられそうだけどどうだろうか
DSEI Japanに来てたレオナルドの偉い人が、GCAPの開発にはサーバーセキュリティを含めたフルデジタル化が重要と言っていて、記者が、そりゃBAEとか三菱重工とかレオナルドはできても、傘下の中小企業には無理じゃねというツッコミに、親分大企業が面倒見るとか答えてましたね。
>作るぞ「世界最強戦闘機」! でも“本当に重要なのは…” イタリア代表者幹部が明かす第6世代戦闘機“開発の神髄”とは(前編)
それを国家レベルでやるのは、予算の付け替えという点ではいいアイディアですけど、ものすごい利権での腐敗と、親方日の丸事業特有の硬直化を招きそう。
サイバー部隊は必要なので是非ともやって欲しいです。
記事内容とは違うのですが。
写真の中谷防衛相の背広の襟章?は国で支給したものなのかな?。
議員バッジは判るのだけれど、他のものは何なのだろう。
ちょっとググれば分かることをいちいちコメントしないでください
国会議員記章
北朝鮮拉致被害者の救出に向けた意思表示であるブルーリボンバッジ
大阪万博 EXPO2025 ピンバッジ ミャクミャク
ご教授ありがとうございます。
chrome使ってLens使うといいですよ。
ここで出てくる兵器なんだったっけなとか画像のウクライナ語の透かし文字を翻訳できたり。
なるほど、です。
ありがとうございます。
3.5%で収まるわけもなくこの先5%、7%とどんどん数字が釣り上げられていくでしょうね
色々必要な要素を積み上げて結果3.5ってわけじゃなく
上げた予算でアメリカ製兵器を買わせるための数字ありきなんですから
アメリカ側の主張に引きずられるままにやってたら日本の財布が幾らあっても足りないので
日本の防衛にはこれこれが必要だと全体的に算出して結果この数字になったのでこれで行きますと
自分たちの側からアメリカに積極的に提示して行くしか道はないです
全くその通りですね
問題は日本にとって何がどれくらい必要か?であって
とにかくこの金額までこの金額まで予算を上げろといわれて納得できるわけがありません
空自、海自基地の老巧機材の更新と防御・警備及び抗堪性強化、自衛隊員の待遇・福利厚生の大幅改善、陸自の個人装備及び衛生装備の近代化に金使えば良い。それも防衛費。
基地関係は、金はかかるが国内建設業に恩恵あるし、個人装備は単価は然程ではなくても分母がでかい。
あと
– 戦車や装甲車の対ドローン用装備の開発と取得
– UAV、USV、UUVの研究開発投資、海外製品の取得と評価を金に空かせて推進
– 上記の対抗手段の研究と実験
– 独自のセンサー及び軍事通信衛星網の構築のためのロケットの生産体制と産業基盤強化
防衛費の使い所はいくらでもある。
財界ポチで、権力に執着するだけの国家観も国家戦略もない現官邸には期待はできないけど。
BMD予算の少しでも使ってバンカーや防空壕を整備すればいいのにと思いますよ。
国防費3.5パーセント達成目指して国営工廠運営して兵器開発やりまくって、量産維持のために利益極薄な価格で輸出しまくって米防衛産業圧迫して米国ブチ切れなんて展開を妄想してみます。
ブチ切れられたらあんた達がやれと言うからやったと言っとく。
色んな要因でありえんなあ。
アメリカ製兵器って、結構前からイージス艦とF-35などのステルス機以外はあんまりお買い得感ない気がします。
あとはミサイルの類くらいか。
日本の場合、3.5%だと21兆円
長らくやってきた1%だと6兆円なので15兆円分の追加財源が必要
消費税+1.5%で3兆円、所得税累進課税強化で3兆円、法人税増税で3兆円、総資産税導入で3兆円、国債発行で+3兆円
独立国家として生きていくための経費と思えば…
とはいえ、ここまでやるなら英国並の核武装ぐらいはしないと割に合わない気がします
基地の整備や新設への投資なら土木建設の分野なんで内需への還元も期待できますが…
2%の10兆円程度ならまだ国民の理解も得られるかもしれませんが、20兆円超えとなると理解は得られないでしょうね。
関税の問題もあるんで落しどころ難しいです。