インド太平洋関連

状況は悪化するばかり? インド軍と中国軍が投石や棒で殴り合う動画が流出

インド軍と中国軍の兵士がジャンムー・カシミール州ラダック地域にあるパンゴンツォ湖北岸で衝突、投石や棒で殴り合う動画がSNS上に流出して注目が集まっている。

参考:Counter-productive Twitter war erupts as Indian & Chinese soldiers remain locked in actual confrontation in Ladakh

一気に拡散したインド軍と中国軍の衝突動画、インド軍は信憑性がないと否定

現在、インドと中国は未確定な国境沿いで軍が対立しており、特にジャンムー・カシミール州ラダック地域(インドが実行支配している地域ではあるが中国も自国領であることを主張している地域)では中国軍が約5,000人以上の兵士を派遣、さらに16両の戦車(タイプ不明)や榴砲など機械化された部隊を移動させたりギャルワン渓谷から約300km後方にあるガリ空港の拡張工事を行って、ここに中国空軍の戦闘機J-11もしくはJ-16を展開させるなど戦力増強が続いてる。

出典:Tyg728 / CC BY-SA 4.0 99式戦車

これに対しインド側も軍を増強して対応していると言われているが、現時点では武力排除ではなく外交交渉による問題解決を優先させているため軍に中国軍を挑発するような行為を控えるよう指示してインドと中国の2ヶ国間交渉で問題を解決する構えだ。

両国間の交渉は連日連夜行われているが、中国は軍を撤退させる条件にインドが同地域のインフラ開発を中止することを挙げているのに対しインド軍は現状維持のまま両軍が軍を撤退させること主張しているため交渉は何の結果も出せていない。

そんな中で突如、両軍が衝突している動画がSNS上に流出して注目が集まっている。

この動画(撮影時期不明)はジャンムー・カシミール州ラダック地域にあるパンゴンツォ湖の北岸で両軍の兵士が投石や棒で殴り合った際のもので、動画は1人の中国軍兵士と軽装甲車両がインド軍の手に落ち、中国軍はそのまま逃げ去ったと説明している。

インド軍は流出した動画は信憑性がなく現在国境沿いで対立している状況に関連付けさせようとする試みは悪質だと語り、現時点で両軍の物理的な衝突は起きていないと回答しているが、一度ネットに流出した動画はたちまち拡散されインド国内だけでなく世界中がラダック地域で両軍が衝突したと報じている。

この動画が本当に現在の状況とは無関係なのか、それとも2ヶ国間交渉の障害になるので無関係を装っているだけなのかは不明だが、明らかにインド軍側から撮影された動画なのでインド側が意図的に流出させたことだけは確かだ。

果たして、この動画の真意はどこのあるのだろうか?

世界的な同情や共感を得るためにインド側が意図的に流出させたのか、それともインド軍兵士が中国の悪行を非難するための流出させたのか本当に謎だ。

関連記事:緊張感が高まる印中、中国がインド領に居座らせている部隊に戦車を配備

関連記事:中国軍がインドとの国境に兵士1万人以上を動員、一部は既にインド領へ侵入

 

※アイキャッチ画像の出典:Public Domain インド軍兵士

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コメント

    •  
    • 2020年 6月 01日

    銃で撃ったら本物の軍事紛争になってしまうから、石や棒や拳で戦うというね

      • 匿名
      • 2020年 6月 01日

      石や素手でも充分殺人が出来る

      1
        • 匿名
        • 2020年 6月 01日

        戦国時代、武田信玄の配下にも投石部隊が合った位だからね。

        • 匿名
        • 2020年 6月 01日

        来週は核戦争かも目が離せんな

    • 匿名
    • 2020年 6月 01日

    アインシュタインのいう第四次世界大戦やんけ

    1
    • 匿名
    • 2020年 6月 01日

    中共軍の車列を見るにかなりの規模が侵攻しているように見える・・

    • 匿名
    • 2020年 6月 01日

    しかし両方の動画のタイトルに「インド軍が中国軍に暴行」と書いてあるから、とてもインド軍の正当性を示せる証拠にはならないはず…

      • 匿名
      • 2020年 6月 01日

      編集の仕方でどうにでもなるからなぁ。

      1
    • 匿名
    • 2020年 6月 01日

    中国だと少林寺とか太極拳とかの伝統武術を連想するけど、インドだと何か対抗馬あるのかな?

      • 匿名
      • 2020年 6月 01日

      カラリパヤットとかなんちゃらヴェーダとかになるのかねぇ?
      ちなみに太極拳とか実戦になると多分役に立たないかと
      K-1とか総合格闘技の実際当てて優劣決める競技じゃ中国武術は通用してないし
      そういう大会で通用する武術を目指して散打とか始めたけど今どうなってるのやら…?

        • 2020年 6月 02日

        実戦向きの陳式太極拳とかあるよ。
        もっとも文化大革命でどこの流派も粗方指導者おっちんだみたいだけど。八極拳の動画見てると結構実戦で使えそう。CQCなんて滅多に現代戦じゃなさそうだけどさ。対テロ? でもそうすると組打ちとかのがより有効なんかなとも。

    • 匿名
    • 2020年 6月 01日

    中国側から仕掛けたやらせにしか見えない
    今のタイミングでは国内の不満を外に向けさせたいのはどの国も一緒だし、難しいな

    • 匿名
    • 2020年 6月 01日

    カラリパヤットVS中国憲法か
    暇だねぇ……

      • 匿名
      • 2020年 6月 01日

      全面核戦争よりマシ
      中国問題はウチらも他人事ではない

    • 匿名
    • 2020年 6月 01日

    むしろここまで緊張が高まってるのに、よく石や棒で殴り合う程度で済んでるな。

    • 匿名
    • 2020年 6月 01日

    火種をもつシナが、内陸で幾つもの国境問題を持つとシナはもたない訳だ
    ますて、ロスアが穀物の宝庫である東北部(満洲)を手に入れるいいシナ金欠のいい機会だ
    穀物市場を独占できる

    東北部(満洲)も、シナより自由を確保できる
    内陸部は、不満を持つ反乱のいい機会
    おいそれと中共は動けない

    • 匿名
    • 2020年 6月 01日

    インド塀の盾に「POLICE」ってあるけどなんで?
    警察から借りたのかな?
    それとも軍隊を出していると何かと面倒になりかねないから警察ってことにしているのかな。

      • 匿名
      • 2020年 6月 01日

      「盾なんて銃相手には役に立たんから軍の装備としては持ってないけど
      石や棒相手なら十分役に立つから警察から借りてきた」んですかねえ?

    • HY
    • 2020年 6月 01日

    おそらくインド側は現時点で紛争を望んでおらず、それを見越した中国側が軍事圧力を強めているのだと思います。そしてその動画はその現状を伝えようとした勇士によるものでしょう。10年前の尖閣漁船事件を思い出します。

      • 匿名
      • 2020年 6月 01日

      そういう蚕食を許さないだけの力があるからなんとかなってるけど
      無いとジワジワ浸透されるんだよなぁ…
      尖閣だって巡視船が体当たりして押し出したりしてるんだからやってることは変わらんよ

    • 匿名
    • 2020年 6月 01日

    今もめ事起こしても中国に味方する国はごく少数だから、インドにとって好機なのは間違いないでしょう。

      • 匿名
      • 2020年 6月 01日

      イタリアみたいに斜め上な反応示す国もあるから。
      世界は広いと呆れ返っています。

        • 匿名
        • 2020年 6月 02日

        イタリアで世論調査すると一番の友好国は中国だそうです。

    • 匿名
    • 2020年 6月 01日

    実戦経験皆無な自衛隊だったら投石されただけでも全滅するねこりゃ
    旧軍も無双を誇ったのは「パールハーバー騙し討ち」と非武装の市民相手にしか出来なかったからね

      • 匿名
      • 2020年 6月 02日

      おっと韓国さんの悪口はそこまでだ。真珠湾じゃほとんど民間に被害出てないのは周知の事実だ。やってたらもう少し被害が出てた。日本は民間人をころさないようにしたがアメリカはホイホイ民間人をころした。戦争の作法がなってない野蛮な国だ。

      2
    • 匿名
    • 2020年 6月 01日

    コロナで海外からの評価がどん底に落ちたから開き直ってよい機会と思ってインドに攻め込んでるということだ。
    もう国際社会などゴミとしか考えてないようだがそれが是か否かこれでわかるだろう

    1
    • 匿名
    • 2020年 6月 02日

    負傷した兵士を置き去りにした中国
    昂ぶった兵士が砂をかけに来るも冷静なインド兵が倒れ込んだ中国兵を庇ってる。銃器ならこうはならないだろう

    1
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