インド太平洋関連

崖っぷちの韓国防衛産業、生き残れるかは海外輸出の成否次第?

韓国メディアによれば国内防衛装備製造企業10社の売上高は2016年をピークに減り続け、営業利益率の面でも最悪の状況に陥っていると報じている。

参考:몰린 방산기업… 탈출구 없이 허덕

韓国防衛産業界が生き残るには海外市場の攻略以外になし?

韓国の防衛産業界によれば国内の防衛装備市場は文在寅氏が大統領に就任して以来、縮小傾向だと口を揃えて指摘している。

出典:Cheongwadae 会談当時の韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩委員長

文大統領は就任当初から北朝鮮との関係改善を進めるため、野外で行う各種軍事訓練の規模を縮小しコンピューターシミュレーションによる指揮所演習への切り替えを進めたため実弾を消費する機会が大きく減ってしまい、長距離攻撃を行う自走砲やロケット砲などの訓練が行える国内唯一の射撃訓練場も南北合意によって閉鎖、さらに米韓軍事演習も中断・縮小が続いたため一定した需要が見込めた弾薬やミサイルなどの補充が大きく減少してしまった。

さらに朴槿恵政権時に進められていた国内での武器開発計画も関係改善を謳った南北合意後、開発の中断や先送りが続き国内の防衛産業界にダメージを残した。

海外への武器輸出も不振に喘いでいる。

出典:KAI / CC BY-SA 2.0 T-50高等訓練機

韓国の防衛装備輸出を主導してきた軽攻撃機/訓練機「T-50(FA-50)」の輸出は右肩下がりで、一発逆転を狙った米空軍の次期訓練機「TX」事業やフィリピンへの輸出が失敗に終わり、海外からの受注残も切れたため昨年の輸出実績はついに「0」になってしまった。

もちろん海外輸出のための努力は続いているが、運用開始から15年経過しているにも関わらず、これまで一度も大規模な近代改修が行われていないため競合機種に劣り、海外輸出をより一層難しくさせている。

しかし、全く希望が無いのかと言えばそうでもない。

昨年、インドネシアに1,400トン級潜水艦3隻の追加輸出(約1,100億円)が決定した。

さらに、日本が参加を断ったインドの潜水艦調達プロジェクトに韓国が招待され、オーストラリアが進めている次期歩兵戦闘車調達プロジェクト(400輛調達予定で推定総事業費約1兆円)の最終候補に、ドイツのラインメタルが提案した「Lynx」と韓国のハンファが提案した「REDBACK」が選ばれている。

出典:Simta / CC BY-SA 3.0 K-2ブラックパンサー(黒豹)

ポーランドはドイツとフランスが共同開発する「陸上主力戦闘システム(Main Ground Combat System:MGCS)」への参加を拒否されたため、次期主力戦車に韓国の「K-2」を採用する可能性が高いと言われており、インドにも主力戦車「K-2」と複合防空システム「K-30 SAM」の売り込み中だ。

このあたりの海外輸出が決まれば韓国の防衛産業界にとって恵みの雨となるのだが、米韓防衛費分担金交渉の結果次第では文大統領が国内の防衛装備需要を米国に献上する可能性が出てきており、状況は更にひどくなるかもしれない。

韓国側は米国が要求する防衛費引き上げ額を直接的に負担するのではなく、米国製防衛装備を今以上に購入することで間接的に負担する案を提案していると言われており、もしこの案でまとまれば米国からの装備輸入が増え国内調達が減り、韓国の防衛産業界は窮地に追い込まれることになる。

果たして、生き残りを掛けた海外市場の攻略に韓国は成功するだろうか?

 

※アイキャッチ画像の出典: Republic of Korea Air Force / CC BY 2.0 離陸中のFA-50

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 1月 18日

    確かに韓国防衛産業の今は良くない状況だけど、最初からビジネスとして成り立ってない日本とは比べ物にならんし遥かに進んでいる
    努力していくつも結果を出してる韓国の心配よりも、結果ゼロで国から仕事貰ってなんとか生きながらえてる日本の防衛産業を心配した方がいいな

    1
    • 匿名
    • 2020年 1月 18日

    インド、オーストラリア、ポーランド。
    どこもクセというかアクの強い国ばかりで何だかな。
    ただこの3か国は韓国の様な国とは民族性の相性が良さそうだから商談もまとまりやすいのだろうな。
    インドへの防空システムの件は、ロシアから色々言われてたような?

    • 匿名
    • 2020年 1月 18日

    以前から思うが政情不安というか、ことが起これば一気に崩壊する可能性が高い国からうよく輸入するなぁという疑問。
    仮に製造・販売国が崩壊してサポートや情報0でも既存購入分は維持管理出来る確証でやってるんだろうか。
    あと第1候補希望が無理だからk国から買うってパターンが散見される気が。

    しかしT-50が売れてるのに近代改修で儲けないのは謎ですね。技術が無いのかな?
    にしても、国の主要産業の1つである軍事輸出が増えないとまずいですね。

      • 匿名
      • 2020年 1月 18日

      国産とは名ばかりな実質ロッキードマーチンの製品で、何をするにもアメリカの許可が必要で、やりたくてもやれない・進められないってことでは?
      輸出に成功した数も少ないですし、商業的に割に合うかも疑問で、そもそもやる気自体無くなっているかもですが

      最近じゃ本邦向けもライセンス管理が厳しくなって、F-15JSIにAAM-4が統合させられるか?とか問題になってますし(故にF-3での本邦主導要求)

        • 匿名
        • 2020年 1月 18日

        T50→TA50→FA50と一応アップデートしたのでしたっけ?
        TA50とFA50の関係が今一わかりませんが。
        あと、これらのアップデートにLMがどう関わったかも。

          • 匿名
          • 2020年 1月 19日

          別機種、
          T-50:練習機、コンピューターはLMが開発
          FA-50(TA-50):COIN機(軽攻撃機)、コンピューターさんはイスラエルのITAかな? レーダーはイスラエル:ELTAのパルスド・ドップラーレーダー、KAIはS/Wは国産だと言ってる

          T-50、FA-50、いずれもアップデートは無い
          (アップデートしないのは韓国の伝統、KF-16/F-15K、海軍のKDX-3/KDX-2/KDX-1、独島艦もアップデートしてない)

    • 匿名
    • 2020年 1月 18日

    兵器輸出を頑張る韓国兄さん、あとで強烈なしっぺ返しを受けるかもね。あ、品質が良い悪い、ビジネスとして成功失敗、とかの話じゃなくて。つうか、既に受けているとも言えるのですが。

    • oominoomi
    • 2020年 1月 18日

    韓国の国防費は過去5年間で年5%ずつ増加、今後5年間はそれを年7.5%に引き上げるというのに、どうしてそんなに防衛産業が苦しいんでしょうか?
    1%増で毎度毎度「過去最高の防衛費」とマスコミが騒ぐ隣国から見れば羨ましいばかりなのに…

    なお日本が武器輸出に成功していないことを揶揄する人が多いですが、途上国案件を焦って取りに行くよりも英米などとの共同開発を進める方が賢明だと思います。

      • 匿名
      • 2020年 1月 19日

      国防予算は日本とほぼ同等なんですよね、装備品の購入に回せる金額は韓国の方が多い?

      儲かってる会社(発注を貰ってる)は文句は言ってないのでは?
      「韓火」レーダー、ミサイルの会社

      文句を言ってるのは陸軍の車両/戦車などを担当してる平昌市に集中してる会社とKAIでは? 2020~2022年のK-2の104両が終わったら仕事が無い(56両/Batch-3)の生産計画はあるけど、2022年以降

      KAI(韓国航空宇宙産業)は収入が無い。K-FXの設計、スリオン/マリオンの問題解決って仕事はある、政府から雇用を押し付けられた(ムン大統領の故郷の巨済島の大宇造船海洋/サムスン重工業をリストラされた人を200人ぐらい採用させられた)

    • 匿名
    • 2020年 1月 19日

    T-50の上方からの写真を初めて見ましたが
    スケールの異なるF16とF18のプラモデルの機首とボディをぶった切って無理やりくっ付けたようなデザインですね

    • 匿名
    • 2020年 1月 19日

    日本は韓国と違って国策で武器輸出を推進してないし、その気もないでしょう
    ビジネスなってないって言われてもそのための法改正ではなく、あくまでも共同開発のためのもの
    武器輸出で日本がビジネスにしたいなら商社と組んで政府と軍とスクラムを組むくらいしないと

      • 匿名
      • 2020年 1月 19日

      NATOのRHAは、SNCM439レベルの様ですね。

      一方日本の戦車用特殊鋼だと、旧式のYM﹙90式で使用﹚の頃でさえ、民生超強力鋼﹙例えば日立金属のYAG300級﹚程度では眼中に入らず伸びを3倍以上引き上げて漸く、と言われる程のレベル差があるとか。
      耐弾の要求レベルがCal.50程度の場合、YMでは薄くなり過ぎて捻り剛性を確保出来ず、態々旧式のBK﹙74式世代の鋼板﹚を使用して厚さを確保、
      との話しもあります。

      鋼板一つ取っても、簡単には扱えなさそうですよね。

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