インド太平洋関連

F-16C/Dの近代改修も? インドネシアが2024年までにラファールとF-15EXを導入か

インドネシア空軍の参謀長は今月16日の会議で「2024年までにインドネシア空軍はフランスのダッソーからラファールを36機、米国のボーイングからF-15EXを8機導入する予定だ」と発言して注目を集めている。

参考:Indonesia to boost air force with F-15EX, Rafale jets

インドネシアの発表は直ぐに二転三転するので話半分だと思っておいたほうが良い

インドネシアは空軍近代化のためロシアから第4.5世代戦闘機「Su-35」の調達を進めていたがトランプ政権による圧力(CAATSA発動)によって計画を凍結、韓国と共同で開発を進めている第4.5世代戦闘機「KFーX/IF-X」についても経済状況の悪化を理由に開発費支払いを停止したままだが、2019年10月に国防大臣に就任したプラボウォ・スビアント氏の主導で空軍の近代化計画は大幅に修正が加えられることになる。

出典:Bundesheer Fotos / CC BY-SA 2.0

まず2019年11月に空軍参謀長がF-16Vを導入すると発言、2020年1月にはパリを訪れたスビアント国防大臣はラファール導入に言及、同年7月にはオーストリア空軍が運用中のタイフーンを引き取りたいと言い出して何が本命なのか全く分からない混沌とした状況が続いていたが、フランスからラファールを48機導入する交渉が進んでいると昨年末に報じられF-16Vとタイフーンは脱落濃厚だと思われた。

しかしインドネシア空軍の参謀長は今月16日の会議で「2024年までにインドネシア空軍はフランスのダッソーからラファールを36機、米国のボーイングからF-15EXを8機導入する予定だ」と発言、さらに既存の戦闘機に対するアップグレード計画や輸送機C-130Jや無人戦闘機なども調達すると明らかにして注目を集めている。

出典:mashleymorgan / CC BY-SA 2.0

因みにインドネシアがF-15EX導入に言及したのは今回が初めてで、ラファールとF-15EXを参謀長の言及通りに導入すると推定115億ドル(約1.2兆円)もの費用が必要となり、既存のF-16C/Dを最新のV仕様にアップグレードするに少なくない費用がかかると思われるのでインドネシアとしては相当な投資と言えるだろう。

気になるのは韓国と共同で開発を進めている第4.5世代戦闘機「KFーX/IF-X」についてだが、韓国側はインドネシア側との協議は継続して行われていると公式に発表したばかりなのにインドネシア空軍の参謀長はKFーXについて一切触れていないため、韓国側の発表とは裏腹にインドネシア空軍の近代化構想からKFーXは除外されているのかもしれない。

どちらにしてインドネシアの発表は直ぐに二転三転するので正式な契約発表が行われるまで何が起きても不思議ではないが、降って湧いたようなF-15EX導入話については話半分だと思っておいたほうが良いだろう。

関連記事:契約成立が間近? フランス、インドネシアとのラファール購入交渉は順調
関連記事:インドネシアの戦闘機調達はカオス、突然浮上したタイフーン購入に国内騒然
関連記事:オーストリア、インドネシアへの戦闘機「タイフーン」売却協議に応じる

 

※アイキャッチ画像の出典:ボーイングF-15EX

中国資本の侵入を許した英防衛産業界、F-35やAH-64などの製造に中国が関与前のページ

怪しくなってきたF-35プログラム、米空軍が新しい非ステルス戦闘機の開発に言及次のページ

関連記事

  1. インド太平洋関連

    韓国がK2の4次量産を決定、国産パワーパックやAPSを採用する可能性

    韓国防衛事業庁は25日「2028年までにK2を約150輌調達する4次量…

  2. インド太平洋関連

    印メディア、海軍は艦載戦闘機にF/A-18E/FではなくラファールMを選択

    インドメディアは9日「海軍がヴィクラント向けの艦載戦闘機にラファールM…

  3. インド太平洋関連

    米軍需要が韓国から台湾へ? 台湾、米国と共同でF-16メンテナンスセンターを設立

    台湾の「自由時報」は17日、アジア・太平洋地域初となる戦闘機「F-16…

  4. インド太平洋関連

    止まらない台湾の米国製兵器調達、MQ-9リーパーやハープーン調達を計画中

    米国政府は潜水艦で使用する大型誘導魚雷Mk48 Mod6を台湾へ売却す…

  5. インド太平洋関連

    豪メディア、AUKUSの協力関係を活かせばB-21の導入も不可能ではない

    オーストラリアのディフェンスメディアは原潜導入が実現したAUKUSの協…

コメント

    • 匿名
    • 2021年 2月 19日

    こんな計画二転三転して予算とかってなりとってるんかいな。

    13
      • 匿名
      • 2021年 2月 19日

      自分の就任期間中にポッケナイナイできればいいんだから、それが自国の予算でも他国からの賄賂でも大きければ大きいほど都合がいいいんでしょ

      6
    • 匿名
    • 2021年 2月 19日

    インドネシアとつきあう方法って本を探してます、

    10
      • 匿名
      • 2021年 2月 19日

      既製品の現金一括前払いオプション無し。

      7
    • ソソソナス
    • 2021年 2月 19日

    インドネシア空軍関係者一同でそれぞれの国や企業に気を持たせることを言って賄賂を貰ってるんじゃないかな?

    27
      • 匿名
      • 2021年 2月 19日

      大統領のトップダウンまでに稼げるだけ稼いでおこうという連中と、そこに袖の下を運んでくる連中
      みにくい喜悲劇のギャラリーに徹するのもいいもんだ

      3
    • 匿名
    • 2021年 2月 19日

    まともに相手にするだけ無駄だと思うんだけど、
    ボーイングさんが藁をも掴んじゃいそう。

    15
    • 匿名
    • 2021年 2月 19日

    インド空軍並に混沌としてきましたな。
    それにしてもF-15が8機ってどういう運用なんだろ?

    11
      • 匿名
      • 2021年 2月 19日

      それな

      1
        • 匿名
        • 2021年 2月 19日

        マレーシアはF/A-18D導入は8機でしたぜ。

        2
      • 匿名
      • 2021年 2月 19日

      米国への顔つなぎでは? 今後ともよろしく、ということで。
      いまはフィリピンの立ち位置がはっきりしないので、意味のあるアクションかと。

      1
    • 匿名
    • 2021年 2月 19日

    現実問題としてちうごくに対抗するために最新鋭機が必要なことは事実。そうなるといずれは現実的な選択肢に落ち着くと思うけど、節操がないからなあ…

    2
    • 新・にわかミリオタ
    • 2021年 2月 19日

    IFXは見限ったか・・・

    3
      • 匿名
      • 2021年 2月 19日

      引っ掻き回して良い条件を引き出そうともとらえる事も出来るけど、その方向性が負担金の減額や調達数を減らす事ばかりで、ここに至ってまだやってるからもう興味は他に移ってるだろうな。

      3
        • 新・にわかミリオタ
        • 2021年 2月 19日

        やっぱりそうか

        3
    • 匿名
    • 2021年 2月 19日

    コメしようと思っていた内容がすでに中見出しになっていた件

    >インドネシアの発表は直ぐに二転三転するので話半分だと思っておいたほうが良い

    5
      • A
      • 2021年 2月 19日

      まさにその通り。
      下手にかかわらない方がよい。

      4
      • 匿名
      • 2021年 2月 19日

      インドネシアって小企業のワンマン社長が現場にあれこれ口出しするイメージ。
      簡単に計画が撤回される。
      付き合わないのが吉。

      3
    • 匿名
    • 2021年 2月 19日

    >>米国のボーイングからF-15EXを8機導入する予定だ

    秘密口座にボーイングからの入金を確認しましたってお知らせかな

    3
    • 匿名
    • 2021年 2月 19日

    ラファールにF-15EXの導入ってインドネシアの整備環境どうなってんだ?

    1
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  2. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  3. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
  4. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
  5. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
PAGE TOP