日本関連

カナダ軍の新たな調達先、日本とカナダが防衛装備品及び技術移転に関する協定に署名

外務省は28日「カナダと防衛装備品及び技術の移転に関する協定に署名した」と、カナダ政府も「カナダ軍にとって新たな調達先が確保されることになる」「カナダはカナダ軍に世代を超えた長期的な投資を行っており、日本のような信頼できるパートナーとの協定はこれまで以上に重要だ」と発表した。

参考:日本国政府とカナダ政府との間の防衛装備品及び技術の移転に関する協定の署名
参考:Minister McGuinty signs an Equipment and Technology Transfer Agreement with Japan
参考:Canada Accelerates Armor Plans To Contend With Growing Threats

今のところ日本に声がかかったのは通常動力型潜水艦×12隻の調達に関連した情報提供依頼書だけ

外務省は28日「カナダのオタワにおいて山野内駐カナダ大使とマクギンティ国防相との間で『防衛装備品及び技術の移転に関する日本国政府とカナダ政府との間の協定=Equipment and Technology Transfer Agreement』に署名が行われた」「本協定は両国政府間の必要な手続の完了後に発効する」と発表した。

“本協定は国際の平和及び安全に資するものを含む共同で決定するプロジェクトを実施するために両政府間で移転される防衛装備品及び技術の取扱いに関する法的枠組みを定めるものだ。具体的には個々の具体的な移転を決定し、確認するための手続、移転される防衛装備品及び技術の適切な使用に関する基本的なルールを規定している。両国間で移転される防衛装備品及び技術について、特に第三者への移転や目的外使用について適切な管理を確保する。本協定により日本とカナダ間の防衛装備品及び技術に関する協力が緊密化し、日本の防衛産業の生産基盤及び技術基盤の維持・向上が促進され、ひいては日本の安全保障に貢献することが期待される”

カナダ政府も「日本と防衛装備品及び技術の移転に関する協定に署名した」「本協定はカナダへの装備品、技術、知的財産の移転を必要とするプロジェクトにおいてカナダと日本の企業が共同開発を行うことを促進するものだ」「両国の企業はより密接に連携し、共に製品を造り上げることで双方の防衛産業を強化することが可能になる。また日本からカナダへの防衛装備品および技術の輸出が認められるようになり、カナダ軍にとって新たな調達先が確保されることになる」と発表。

“会談の中でマクギンティ国防相と山野内駐カナダ大使は防衛装備品および防衛産業協力が成長分野であり、共通の戦略的利益を支えるものであることについて協議した。またカナダ軍と自衛隊の間の軍事協力を拡大したいという意向についても話し合われた。大臣はNATOとインド太平洋地域のパートナー(オーストラリア、日本、ニュージーランド、韓国)との間の協力強化に対するカナダの支持を改めて表明した”

マクギンティ国防相も「インド太平洋地域における安全保障・防衛協力の強化は不可欠であり、将来の課題に対処するために両国が協力していくことが依然として重要だ。ETTAへの署名は両国の防衛パートナーシップにおける重要な前進であり、両国の安定と協力、そして産業と雇用の拡大に向けた共通のコミットメントを強化するものだ。カナダはカナダ軍に世代を超えた長期的な投資を行っており、日本のような信頼できるパートナーとの協定はこれまで以上に重要だ」と述べた。

出典:Hanwha Ocean Polska

カナダは現在、潜水艦、大型砕氷船、無人航空機、水中無人機、空中早期警戒機、地上配備型防空システム、戦車、装甲戦闘車両、自走砲、多連装ロケットシステム、120mm迫撃砲を搭載した戦闘支援車輌、81mm迫撃砲を搭載した軽戦術車輌、徘徊型弾薬などへの大規模投資を検討中だが、今のところ日本に声がかかったのは通常動力型潜水艦×12隻の調達に関連した情報提供依頼書だけで、カナダメディアの取材に日本大使館は「カナダ海軍向けの潜水艦入札に日本企業は参加しない」と回答、複数の関係筋も「三菱重工業はたいげい型潜水艦をカナダに提案する予定はない」と語り、この入札の最終候補はドイツと韓国に絞られている。

カナダは米防衛産業への依存を引き下げるため欧州との関係強化を進めている最中で、韓国も大規模な防衛装備の売り込みを行っており、日本がカナダ軍の新たな調達先になれるのか謎だ。

出典:Lukas1325/CC BY-SA 4.0

因みに防衛市場の動向を報じるShephardは26日「カナダは新しい戦車の調達を2030年までに開始して完全運用能力を2037年までに獲得する」「カナダは新しい装甲戦闘車両の調達プロセスを加速して2029年~2031年までに250輌以上を入手したいと考えている」と報じた。

War Zoneは新しい装甲戦闘車両の調達について「過去、歩兵戦闘車の要件を満たす候補としてBAEのCV90、HanwhaのRedback、RheinmetallのLynxの名前が挙がった。今後、もっと多くの種類の車輌が検討されるかもしれない」と報じ、どうやら新しい装甲戦闘車両とは歩兵戦闘車のことらしい。

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※アイキャッチ画像の出典:外務省

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コメント

  • コメント (31)

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    • たむごん
    • 2026年 1月 28日

    日本の防衛産業が、他国にもっと食い込めることを期待しています。

    カナダ相手は、総合的判断で上手くいかなかったかもしれませんが、トライ&エラーで積み重ねていく事が大事ですから少しずつでも前に進んでいけばいいですね。

    29
      • さだを
      • 2026年 1月 28日

      まあGCAPが一番可能性のあるものでしょうなあ

      27
        • たむごん
        • 2026年 1月 28日

        仰る通りですね。

        開発の進展・販売先の拡大など、今後の動向を楽しみにしたいと思います。

        6
      • ネコ歩き
      • 2026年 1月 28日

      ニュージーランドは改もがみ型取得の方向で動いてそうです。
      小泉大臣が昨年11月の拡大ASEAN国防相会議の折にニュージーランド国防大臣と会談を行い、同国海軍がフリゲートを更新する意向なのを確認してます。12月に同大臣が防衛省を訪問た際の会談では、両国間で物品役務相互提供協定及び情報保護協定が署名されることが示されました。この流れからいくと次は移転協定締結の可能性有りです。

      5
        • たむごん
        • 2026年 1月 29日

        情報ありがとうございます。

        是非とも販路拡大していくことを願っています。

    • 無印
    • 2026年 1月 28日

    日本からカナダへ売れる物って何があるんだろう
    護衛艦?

    7
      • 匿名希望係
      • 2026年 1月 28日

      まずはオーストラリアに出した護衛艦やフィリピィンなど同様にレーダーや対空ミサイルあたりですかねー
      このあたりはオーストラリアやフィリピィンにすでに出しているから日本視点で他国に売りやすいってのはあるし。

      3
      • まさし
      • 2026年 1月 28日

      車両とか?
      非公式で流れてるの改造した、
      テクニカルにした民間のト◯タ車とか紛争地で見かけるみたいですし。

      1
    • YF
    • 2026年 1月 28日

    最近何かと話題のカナダに我が国の名前が出てくるとは…。
    長期的にはGCAP導入を検討はしてるでしょうけど、艦艇辺りですかね?
    せっかくのビジネスチャンスですから韓国の商機奪うくらいの覚悟で取り組んで欲しいですね。

    34
      • たむごん
      • 2026年 1月 28日

      仰る通りですね。

      チャレンジしていくのは素晴らしい事ですから、ドンドンやっていくことを期待しています。

      13
      • さだを
      • 2026年 1月 28日

      発電用艦載ガスタービンなんかも輸出できたらいいなと

      15
      • バーナーキング
      • 2026年 1月 28日

      「カナダ製の空中早期警戒機」にも一枚噛めるかと。
      グローバルアイなら機体は半ば日本製みたいなもんですし、搭載機器を国産化する手伝いもできるでしょう。

      5
        • kitty
        • 2026年 1月 29日

        主翼胴体が三菱製といってもカナダ生産に移管しているんですね。
        空洞化と言うより避けられないオフセットなんでしょうけど。

          • バーナーキング
          • 2026年 1月 30日

          開発からがっちり噛んでて利益はしっかり入ってくるので十分かと。
          というかその程度でないと現状SAFE利用に支障が出そう…

    • いなば
    • 2026年 1月 28日

    トランプさんのおかげで、アメリカの帽子のままでいるのが嫌になったのしょうね。

    8
      •  
      • 2026年 1月 29日

      まあ、陸軍は元々アメリカ製の装備をぜんぜんどうにゅう

    • ネコ歩き
    • 2026年 1月 28日

    わお! 水面下で交渉を進めてたんですかね。
    トランプの侮辱的恫喝に腹を括ったんでしょうか。それとも先の電話首脳会談で何らかの和解条件を共有したか。
    カナダは(豪州と同じく)国内生産した武器を第三国に輸出する可能性は低く、日本にとっては組み易い移転事業相手国です。米国との関係は取りあえず脇に置いといて、軍事協力枠組を強化することは将来的に双方の利益になるはずなんですが。

    11
      • 匿名希望係
      • 2026年 1月 28日

      カナダもLV3相当のF-35の開発権持ってるんですよねー
      共同開発でAAM-6(仮)のF-35搭載とか出来るかもしれない

      8
    • 寒い
    • 2026年 1月 28日

    一時テンペスト計画に参加意向を示していたスウェーデンとも締結していますから、GCAPに関心がある国とは事前に締結しておく方針なのだと思います。他にカナダへ売れそうな装備品、意外なところでは砕氷船ですかね。

    17
      • 匿名希望係
      • 2026年 1月 28日

      リストの中だと地上配備型防空システムとか?

    • AH-X
    • 2026年 1月 28日

    AFVがカナダも含めて爆発的な需要がありますね。正直ほんの数年前には予想も出来なかったですが日本も10式や16式の生産ラインはまだ動いてるのでもっと陸上装備も売り込みできればと思います。

    17
    • あうあうあー
    • 2026年 1月 28日

    高額なリバー級の調達数を減らし、新型FFMを導入するよう働きかけるのです。

    7
    • u
    • 2026年 1月 28日

    日本がカナダに防衛装備を供給するとしたらレーダーや通信機、艦艇用ガスタービンとディーゼルといったパーツですかね
    完成品はちょっと難しいのではないかと思います
    カナダ軍が欲しい兵器と自衛隊が望むものは相当に異なると思いますので部材供給が現実的かなと

    22
      • kitty
      • 2026年 1月 28日

      日本の半導体産業の生き残り具合を見る限り、生産財とかそっち方面ですよねえ。
      部品すら輸出できなかった時代が長すぎた。

      8
      • バーナーキング
      • 2026年 1月 29日

      後はロケットモーターや小型ターボファン/ジェットとか炭素複合材部品とか、共同開発案件であれば色々ありそうです。

      1
    • あばばばば
    • 2026年 1月 28日

    何かしらの有事の際に装備を提供する為の予備的なやり取りだと思う
    日本で生産できるものでカナダに需要のあるものは、ライセンス生産品のパトリアAMVくらいしかないでしょ

    6
    • pop84
    • 2026年 1月 28日

    オフセット契約の話が他記事でも出ている為に中々商売が難しそうに思えますが、協定をしたという事は何頭の商談が期待できるのでしょうね。購入の話が出ているグリペン導入ならばそれ用にASM-2や12式地対艦誘導弾とかならオフセット契約なしでも購入してくれそうな気がします。

    • Z
    • 2026年 1月 28日

    とにかく、一歩づつ前へ進めていくことが大事。

    2
    • Kaeru
    • 2026年 1月 28日

    なんと今なら日産がついてお値段据え置き!

    1
    • タルト
    • 2026年 1月 28日

    私が、外務省ホームページ内を検索したところ、締結国は以下の通りだそうです。(締結順で)
    英、豪、仏、印、独、マレーシア、伊、フィリピン、インドネシア、ベトナム、タイ、端、シンガポール、UAE、モンゴル、加(New!)、西(実質合意)、バングラデッシュ(実質合意) 、フィンランド(交渉中)

    ヨーロッパ、アジアの国を中心に幅広く結んでいるようです。
    今回の締結が日本の販路拡大に繋がればいいなと思います。
    脱アメリカを目指すなら新たな調達先として日本も選択肢に入ると思いますが、どうでしょう。
    可能性が高いのはGCAP(パートナー国に入る可能性もありますが)。
    水上艦となると、イギリスをはじめとした欧州もいるので難しそう。欧州が作ってない需要にマッチする艦とか、納期だとかで勝負できたらもしかしたら。
    今から7000tぐらいの艦の需要ないかなぁ。

    16
    • おるか
    • 2026年 2月 02日

    カナダの置かれた状況からすると隣国アメリカ、ロシアとの間に問題を抱えていて
    中国に対しても良好とは言えない関係にある。
    カナダ軍は慢性的に予算不足でF-35の導入中止という声もあると聞いています。
    そんな状況で陸海空の主要兵器を一度に導入しようというのは、あまり現実味のある話ではないと思いますね。
    日本の防衛装備品は他国と比べて高価な上、生産能力も自国の分を賄うだけで精一杯の状況(特に潜水艦、戦車含む車両)。
    購入可能なのは退役する潜水艦くらいでしょうが、延命できたとして日本基準だと10年くらいが精いっぱいなものでしょうから、
    カナダが欲しがるかというと謎ですねぇ。

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