日本関連

中谷防衛相がトルコ訪問、ギュレル国防相と無人機を含む産業協力を協議

日経は19日「防衛省がトルコ製無人機の採用を検討している」「採用候補はBaykarのTB2やトルコ航空宇宙産業のAnkaだ」と、トルコメディアのDailySabahも「中谷防衛相がギュレル国防相と防衛産業協力について協議した」「まだトルコ製無人機に関する合意は予定されていない」と報じた。

参考:自衛隊、トルコ製ドローンの採用検討 ウクライナ軍で実績
参考:Turkish, Japanese defense ministers discuss cooperation

AnkaもTB2やAkinciの規格外な成功と比較しなければ「非常に人気の高い無人機」と言える

防衛省は令和5年度予算の中で「情報収集機能に加えて火力及び電磁波による攻撃機能を効果的に保持した多用途UAV」と「侵攻部隊等の情報を収集し即時に火力発揮可能な攻撃用UAV」の取得に言及し、朝日新聞は「2023年度に試験導入を検討している無人機にMQ-9とTB2が含まれる」と、共同通信も今月12日「政府は防衛用無人機を大量配備するため1,000億円以上の調達費を来年度予算に計上する方針だ」「政府高官は『大方針は質より量で、まずは数で優勢を確保する戦略になる』と述べた」「海外から比較的安価な無人機を購入する方針で、ウクライナが使用したトルコ製の低価格無人機の取得も視野に入れる」と報じた。

日経も19日「防衛省がトルコ製無人機の採用を検討している」「採用候補はBaykarのTB2(約7億円)で海自が調達するMQ-9B(約120億円)と比べて大幅に安価だ」「トルコ航空宇宙産業のAnkaも有力候補でマレーシアやインドネシアが導入を決めている」「防衛省は8月末までにまとめる2026年度予算の概算要求にドローン購入計画を盛り込む予定だ」「無人機導入にはトルコ製以外にも米国、英国、オーストラリア製が候補にあっている」と報じ、トルコメディアのDailySabahも中谷防衛相のトルコ訪問を報じている。

“中谷防衛相がギュレル国防相と会談し、トルコ製無人機の購入を含む防衛産業協力について協議した。関係筋によれば両国はトルコ軍と自衛隊の部隊レベルによる交流拡大も目指しており、中谷防衛相はトルコ訪問中にトルコ航空宇宙産業、Baykar、イスタンブール海軍造船所など防衛関連企業を視察する予定だ。トルコ国防省は「中谷防衛相との協議には防衛産業協力も議題に上がる予定で、ドローンに関する視察も行われるが合意は予定されていない。まだ合意に達するに時期尚早だ」と述べた”

TB2は日本でも知られた存在だが、トルコ航空宇宙産業のAnkaも海外輸出に成功しているMALE(中高度を長時間飛行できる無人機を指すカテゴリー)タイプのUCAVで、武装可能なAnka-A、合成開口レーダーを追加したAnka-B、衛星通信に対応したAnka-S、双発化して大型化したAnka-I、Anka-Sを双発化したAnka-II、もはやAnkaシリーズの原型を留めないジェットエンジンを搭載したステルスUCAV=Anka-IIIの開発が進められている。

恐らく防衛省が導入候補に挙げているのはAnka-A、Anka-B、Anka-S辺りで、トルコ軍、チェニジア軍、チャド軍、カザフスタン軍(共同生産)、マレーシア軍、パキスタン軍が採用し、総生産数も3桁に到達している可能性が高く、TB2やAkinciの規格外な成功と比較しなければ「非常に人気の高い無人機」と言えるだろう。

Baykarとトルコ航空宇宙産業に共通するのは「技術移転」「現地生産」「サプライチェーンへの参入」に寛容な点で、防衛省が望めば「日本国内での生産や組み立て」「日本企業による保守」「当該システムのサプライチェーン参入」も実現すると思われ、この辺りの自由さは欧米企業にはないメリットだ。

因みに「トルコ政府が第5世代戦闘機=カーン開発計画へのエジプト参入を承認した」「エジプトは共同生産者の立場でカーン計画に参加することを望んでいるらしい」というニュースも登場したが、この話題がトルコで報じられていないため本当かどうか分からない。

追記:トルコと対立しているギリシャも「中谷防衛相のトルコ訪問」「日本とトルコの防衛産業協力」「日本がトルコ製無人機を購入する可能性」を報じている。

関連記事:イタリアとトルコにとってメリットだらけ、AkinciとTB2の欧州生産を発表
関連記事:現代戦において必要性が浮き彫りになったUCAV、フランスも単独開発を発表
関連記事:ポーランドがTB3取得を検討中、導入したTB2が十分な成果を上げている
関連記事:NATO加盟国のクロアチアがTB2を選択、6機の調達コストは約1億ドル
関連記事:インドネシア軍がトルコ製UCAVを調達、アジア諸国のAnka導入は3ヶ国目
関連記事:トルコが狙うアジアの無人機市場、マレーシアもトルコ製UCAVを選択
関連記事:来日中のトルコ外相、UCAVを含むトルコ製装備品の導入を日本に提案か
関連記事:カザフスタン、MQ-1Cに匹敵するUCAVアンカをトルコと共同生産

 

※アイキャッチ画像の出典:Ivan Anušić

ドイツは2026年度に約8.2兆円、2041年までに約69兆円を防衛装備品調達に投資前のページ

ロシア軍はシヴェルシク方面で成功を収め、ポクロウシク方面で停滞次のページ

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コメント

  • コメント (27)

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    • リンゴ
    • 2025年 8月 20日

    何かとライセンスとか制限が多い欧米より、柔軟で良い感じの相手だな
    ただ、商習慣とか大分違うだろうからその辺りは大変かも
    東シナ海を飛ぶバイラクタルは見てみたい気がする

    17
    • DEEPBLUE
    • 2025年 8月 20日

    今の政権で一番働いているのは赤沢ではなくこの人だろうな。

    26
    • LL
    • 2025年 8月 20日

    ちょうど今日このあたり国産対応できないのかとか調達状況とか調べてた。国内生産するとなったらどこが生産することになるんだろう?

      • 中村
      • 2025年 8月 21日

       スバルじやないですかね。軽飛行機の類だし、無人ヘリ屋ではあるし、車屋としては水平対向の会社だし。

       より小型の機体も含めて考えると川崎以外のバイク屋を絡ませたい気もするけど。

      3
    • せい
    • 2025年 8月 20日

    軍事だけでなく、民間でもドローン活用の場を広げられんかなぁ
    農業や漁業、山間部での害獣監視何かを産業に組み込めれば、いざという時のドローンオペレーターを平時から育成できると思うんだけど

    17
      • Mr.R
      • 2025年 8月 20日

      野菜や果物泥棒にAGMを叩き込んで怖がらせましょう!

      42
      • kitty
      • 2025年 8月 20日

      ファクトチェックとして、日本では民間のドローン利用が諸外国に比べて遅れているという事実はなにかあるのでしょうか?
      別にこれに限ったことでは無いですが、素人が考えているようなことは、大抵、プロはとっくに検討しているという事例が多いので。

      10
        • 匿名希望係
        • 2025年 8月 20日

        電線に引っかかる可能性や普通にテロに使われる可能性が高いから規制対象になってるんですよねぇ。
        あと航空法も新しくする必要がある。

        10
          • kitty
          • 2025年 8月 20日

          気になって調べたことがあるんですが、ドローン業者の方のブログなどで、勉強するとことさら日本の規制が厳しいわけではないという話なんですけどね。
          ただし、国土の広さが違うので、規制を受けないエリアが段違いに広いという話で、その意味では「飛ばしやすい」環境なんですが、重要施設や人口密集地などの規制エリアの区分や届け出などはそれほど変わらないとか。

          11
        • 負け惜しみは誰だ
        • 2025年 8月 20日

        電波法や航空法の規制があり、使える周波数帯や出力や飛行高度に制限があり、無線操縦のドローンの行動範囲が極めて制限されています。要するに、法整備が遅れていて本格的に飛ばせないんです。

        7
        • せい
        • 2025年 8月 20日

        プロは考えてるとかじゃなくて、素人や学生がドローン飛ばせる仕事とは?って考えたときにぱっと思い付く仕事が自衛隊しかないのが問題だと思うんだよ
        あなたが言うとおり、エリア分けで飛ばせる広さが狭いわけではないが、その飛ばせる場所で飛ばす理由が薄い
        その辺りを、例えば大規模な山林の管理は国がやってるんだからドローンを活用して、それを周知させてもっとドローンを使う一般的な仕事を増やしていこうぜって事
        今の時代、プロが考える事を即座に世間に周知する事だって出来るんだから

        3
      • 2025年 8月 20日

      地元の田舎でドローンで農薬(もしくは肥料?)散布してるの見かけたよ、出会えないだけで案外浸透してるものかもしれない

      6
        • kitty
        • 2025年 8月 20日

        クアッドコプタータイプは、ペイロードがイマイチで、昔ながらのガソリンエンジン・ラジコンヘリの方が実用性は高いとも聞きます。
        とくに農薬散布はダウンウォッシュの量も重要らしく、なかなかエンジンタイプのラジコンの優位は揺らがないとか。

        10
        • Mr.R
        • 2025年 8月 20日

        他にもルンバみたいな感じの芝刈りUGVもありますね

        3
    • hogehoge
    • 2025年 8月 20日

    大型UAVから小型ドローンまで、もはや全ての組織・全ての部隊はこれらを避けて通れません
    まずは全部隊にそれらを経験させ、それらがある前提での行動規範を再定義する必要性があります
    であるからして、安いものを大量に買って、とにかく経験させる・・・というプロセスを素早く実行しましょう
    物が揃わないとホント何も始まらないです。いきなり実戦から経験したくないのであれば

    17
      •  
      • 2025年 8月 20日

      本当にその通りで、正直実戦で運用しているウクライナやロシアならともかく、今の日本では本当に欲しい能力が何かがそもそもはっきりとわかるわけがない以上、少数配備から始めて、とにかくいろいろ試して問題が出てから本格的に日本向けモデルの発注や自国での開発促進には入るべき。もちろん0スタートの開発自体は歓迎すべきだけども、いきなり正解を選べるわけはないのでまず試すところから。

      11
    • Mr.R
    • 2025年 8月 20日

    この手のUAVは当然必要として、supercam的なとにかく数を用意できる偵察機や徘徊型弾薬も欲しいなぁ

    7
    • 無印
    • 2025年 8月 20日

    Ankaは安価
    なんちゃって

    正規輸入したAK-47が、実際は高い言われた89式より高かった、って事があったらしいので、
    安い無人機が、変なカラクリで高価にならなきゃいいけど…

    11
      • 山田さん
      • 2025年 8月 20日

      この手の無人機って、陸海空どこへ配備し、どう使うんでしょうね?
      南西諸島で使う以上、SATCOM対応は必須と思いますが、きらめきの通信帯域に対応しているのかとか、そもきらめきの通信容量にそこまで余裕があるのかとかが気になってしまいます(笑)

      また、日本が現地改修した場合、耐空証明の問題もありかなり面倒なのですが、そこまで利益があるわけではないこの手のUAVをどこがラ国するんだろうとか。

      5
        •  
        • 2025年 8月 20日

        正直でかいのからちっこいのまで、全てのドローンが陸海空の全ての部隊に必要だと思う。もちろん、配備量は部隊ごとに差がでて当然だけども。運用の模索という面もふくめて、もはやドローン無しの戦場はあり得ない。コスパの面で利益が大きい海自か空自に優先的に大型ドローンを配備して、哨戒任務とかでお試し運用しつつ運用ノウハウの蓄積やや新たなドクトリンの模索をするのが安牌か。

        2
    • p-tra
    • 2025年 8月 20日

    対艦ミサイルのターゲッティングに欲しいよね。
    米海兵隊はNMESISにMQ-9とjump-20を用意するっぽいが
    MQ-9は高価で数が揃わなそうだから、そこらへんマシなやつ
    を調達してほしい。
    紅海の戦いで安価なドローンに高価な対空ミサイルが!って話が
    問題になっているがけど1基1億円のTB2でも対空ミサイルに
    コスパで勝ちきれないのでもう少し安価なUAVを用意してほしい所。

    6
      •  
      • 2025年 8月 20日

      誘導砲弾含めて、GPS誘導に限界が出てきてる以上、ビームライダー方式が1番良さそうではある。とはいえ、対空自走砲の需要の伸びがあるように、低強度の迎撃手段が確立されればまた別のものが必要になるのかもしれないけど。

      2
      • 寒い
      • 2025年 8月 20日

      たぶんお高いですが、防空網を突破して強行偵察を行う目標観測弾を令和8年度まで開発中です。あとは同じく開発中の戦術無人機あたりですかね

      1
    • PAC3
    • 2025年 8月 20日

    いつ決定するのか不明のようでがおそらくは石破政権以降の案件でしょうが、陸上自衛隊の軽装甲機動車(LAV)後継候補にトルコ製Ejder Yalçınが選ばれていたので、(性能の良し悪しは知りませんが)
    それも交えた日本の製造業にも利益のある交渉も進んでいると良いですよね。
    ラ国して納期やコストの大幅な増大を伴うとお辛いですが。
    素人は展開を見守るのみですね。

    1
    •  
    • 2025年 8月 20日

    兵站に無理のない範囲で複数種類の同じジャンルの兵器を導入するのは今とても大事な気がする。微妙な違いのどこがが意外に有効であったり弱点になりもするのは今回の戦争でよくわかる。とはいえ、部隊レベルでは同じ装備に揃えるべきとは思う。結局必要数が必要な場所に必要な時に揃えられる事が1番大事で、それが確保できた上での選択肢があるべき。

    5
    • 名無し
    • 2025年 8月 20日

    陸自のFCCSに連接して収集した情報をリアルタイムで共有できるのか気になる

    1
    • ななし
    • 2025年 8月 20日

    流行り物に飛びつくんじゃなくて
    地に足をつけたような軍備増強してほしいなぁ
    備蓄弾薬とか掩体壕とか

    8

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