日本はもがみ型護衛艦のインドネシア輸出を再推進しようとしているが、Babcockは21日「インドネシアにアローヘッド140フリゲート2隻を追加売却する」と発表、これでインドネシア海軍はアローヘッド140×4隻、イスタンブール級×2隻、PPA級哨戒艦×2隻を確保した格好だ。
参考:Babcock signs initial agreement under Indonesia Maritime Partnership Programme
参考:Babcock announces agreement with Indonesia for two more Arrowhead 140 frigates
日本製の戦闘管理システムやレーダーを採用するもがみ型護衛艦の入り込む余地があるのか?
日本、イタリア、英国はインドネシア海軍の艦艇調達を巡って競合し、日本はもがみ型護衛艦8隻の輸出を目指して2021年3月にインドネシアと防衛装備品・技術移転協定を締結したものの、この調達を巡る戦いは複雑かつ情報も非常に少ないため、管理人でも断片的にしか状況を把握できていない。

出典:Marina Militare
Fincantieriは2021年6月「インドネシア国防省とカルロ・ベルガミーニ級フリゲート×6隻建造とイタリア海軍が運用中のマエストラーレ級フリゲート×2隻の売却に関する契約を締結した」と発表したもの、この取引は資金供給が確保出来なかった可能性が高く、2024年3月「インドネシア国防省とパオロ・タオン・ディ・レヴェル級哨戒艦(PPA)供給に関する契約を締結した」「この契約額は11億8,000万ユーロになる」と発表、納期を短縮するため建造中だったイタリア海軍発注のPPAを移転し、2025年7月と12月に引き渡しが完了した。
Babcockは2021年9月「インドネシア国営企業=PT PALとアローヘッド140フリゲートのライセンス契約を締結した」「PALはアローヘッド140フリゲートの設計をカスタマイズするためドイツ企業とトルコ企業に作業を依頼した」「PALはアローヘッド140フリゲートを国内で2隻建造してインドネシア海軍に引き渡す」と発表、こちらは資金供給が確保できたため1番艦と2番艦の建造が始まり、1番艦が2025年12月に進水。

出典:PT PAL
日本の売り込みについて複数の現地メディアは2021年9月「駐インドネシア日本大使の金杉憲治氏が防衛駐在官(1海佐)を伴いプラボウォ国防相や国防省の高官と会談した」「この席で三菱重工業(MHI)からフリゲートを取得するための契約プロセスについて議論が行われた」と報じたものの、こちらも資金供給の確保が問題になって進展が見られず、Japan Timesが2025年4月「日本とフリゲート艦の共同開発・建造に関する協議が続いている」「この議題は石破首相や中谷防衛相が訪問時も議論された」と駐日インドネシア大使の話として報じたものの、2025年7月にトルコからイスタンブール級フリゲート2隻の取得が決まってしまう。
小泉防衛相は2025年11月、外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)のため来日したシャフリ国防相を横須賀基地に招いてもがみ型護衛艦を視察、その際「インドネシアとの防衛面での連携と協力を、スピード感を持ってこれまでにない高みに引き上げたい」「シャフリ大臣と自衛隊視察の中で相当数の質問を含む議論を行い説明を行った」「日本が防衛装備品を移転しなければ他の国が売るわけだ」と述べたため、もがみ型護衛艦の輸出を再推進すると解釈されているが、日本が積極的に動かなかった間にチャンスはどんどん小さくなっている。
本日、シャフリィ・インドネシア国防大臣に防衛省へお越しいただき、日インドネシア防衛相会談を行いました。… pic.twitter.com/hW8VrjDikd
— 小泉進次郎 (@shinjirokoiz) November 17, 2025
Babcockは21日「インドネシアと40億ポンド相当の海洋パートナーシップ計画に基づく初の契約を締結した」「アローヘッド140フリゲートのライセンスを追加で2隻売却する」と発表、これでインドネシア海軍はアローヘッド140フリゲート×4隻、イスタンブール級フリゲート×2隻、パオロ・タオン・ディ・レヴェル級哨戒艦×2隻を確保した格好で、Scorpene Evolved-Full LiBの現地建造も2026年6月に開始される予定、伊空母ガリバルディの取得も協議が進んでおり、もがみ型護衛艦を売り込む余地があるのかどうか謎だ。
因みにPALが建造したアローヘッド140フリゲートの戦闘管理システム、レーダー、センサー、VLS、ミサイルは全てトルコ製で、取得が決まったイスタンブール級フリゲートのことまで考えると「日本製の戦闘管理システムやレーダーを採用するもがみ型護衛艦の入り込む余地があるのか」と思えてしまう。

出典:海上自衛隊
さらに言えば日本の売り込みが停滞し、イタリア、英国、トルコの売り込みが成功したのは「政府系金融機関による融資パッケージの提供」が大きく、もがみ型護衛艦のインドネシア輸出を再推進するならJBICを通じた融資パッケージ(武器輸出に特化した迅速な融資)の提供が必要になるのかもしれない。
関連記事:インドネシア海軍が伊空母ガリバルディの取得を計画、TB3との組み合わせ?
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関連記事:イタリアがインドネシアからPPA級哨戒艦を受注、契約額は11.8億ユーロ
関連記事:インドネシア国防省、もがみ型護衛艦×4隻調達に必要な資金要求案を提出か
関連記事:インドネシアへの護衛艦輸出に新たな動き、両国が契約プロセスについて議論か
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※アイキャッチ画像の出典:Babcock





















状況的に厳しいですが東南アジアの国に売れるのは今後のセールスにも影響しいてくるので何とか成功させて欲しいですね。
インドネシアは戦闘機も購入国がバラバラなのでシステムの統合にそこまで熱心じゃない印象あります。
そこに日本製システムの入りこむ余地もあると思いますので官民連携で上手やって欲しいです。
日本は一にも二にも実績積まないいけないですからね。
誤字だらけで読みづらくて申し訳ないです。投稿前によくチェックするようにします。
ここって投稿の削除機能って無いですよね?
オーストラリア目線なら
潜在的敵国のインドネシアに、もがみ型が採用されるのは面白くないんじゃないかな
まあ今はそれよりはるかに強大な潜在的敵国が出現してますが
時系列的にインドネシア側が豪州の改もがみ型採用に隔意を生じた可能性も有りかと。
インドネシア目線でも
仮想敵の使っている装備は使いたくないでしょうね
今でも豪州とインドネシアって仮想敵なの?
去年か一昨年に安保条約結んで共同訓練とかもしてなかったっけ?
もはや仮想敵ではないですね。
昨年11月に両国間の「共通安全保障に関する条約」交渉を完了し今月中に署名する意向とのことです。
同条約は中国を念頭に置き「脅威発生時に首脳・閣僚レベルで協議し、個別または共同での対処(軍事演習、情報共有等)を検討する」としています。非同盟政策をとるインドネシアに配慮したものですが、情勢次第で進展は流動的という観測もあるようです。
「仮想敵でない=仲良し」ではないという事だから
政府の対応はともかく、国民感情はお互い、正直まだまだよくないと言っても良いレベル
更にややこしいことに、インドネシアの急激な軍拡がオーストラリア側に警戒感を呼び起こさせてる
インドネシア自体が、端的に言うとお行儀のよくない国だから、過去の所業を踏まえて余計にごうしゅぐ側を警戒させるし、国民感情も…といった感じ
インドネシア国民側は、上から目線で接してくる豪州が気に入らないっていうのは確実にある
近年発展著し『かった』(失速気味)インドネシアとしては、過度に自信を持ってるので(もともと民度や教育水準が高くないので簡単に激高する)国民感情・民族感情が燃え上がりまくってるのもあって余計にとんがった反応しがち
インドネシア的には自前の造船所に仕事をあげたり国産化したいんだろうけど、受注を受けたとて建造能力に限界があるわけで
今回このインドネシアの31型はトルコ製のシステムを詰めるそうだから、船だけ外国で作ってシステムはトルコ製みたいなのはありそうな?
既に(自国軍からの受注で)パンクしてたり
フィリピンから受注して建造中の揚陸艦の納期、のらりくらりと言い訳しながら伸ばし続けていて、フィリピンの軍関係者やその手の事情に詳しい人達からの感情が悪化してる
最後まで粘って欲しいしこれで失敗しても次の成功に繋げて欲しいものだがインドネシアだからなぁ。
お隣さんもKF21で色々痛い目みてるから心情的に複雑だがこれも自国の安全保障やら政治が複雑に絡む商売である以上仕方ないか。
いつもの。
とはいえ、オフセットや技術移転など売り方を勉強しなきゃならんのはそうなんだけど、選ばれなかったからといって諦めなかった国とメーカーが今に残っているワケで。ロシア製兵器なんて何度名声が地に落ちたことやら。
インドネシアは汚職や腐敗がすさまじい国家(ただしインドネシア内基準では「この程度では汚職に入らない」が非常に多いので、世界ランクから見たらまあ…ってなる)
なので、大事なのはオフセットや技術移転ではなかったり
大事なのは、賄賂接待などの寝技と、だれを対象に寝技を仕掛ける(多民族・多諸島国家のため、その時々で担当の派閥や出身派閥が頻繁に変わる)か
これが一番大事
そういう意味で、地道に付き合いがあり、その手の裏工作も得意なロシアが強いのも道理
さらに言えば、西側より東側寄りの姿勢の政財界の人間が結構多い
これは貧富の差が激しい途上国の富裕層や権力者層が、(建前であっても一般国民重視の)民主主義国家と(権力者に有利な)独裁国家のどちらに親近感を持つかという、実に人間臭いレベルの話が絡むのでどうにも…
新興国との技術的格差が縮まってきたのだから、さらなる法改正の暁には防空装備や駆逐艦などの共同開発計画を主導するくらいはやってもらいたいな。
経験上、インドネシア社会の汚職体質は相当根深いですから、受注出来たとしても突如としてひっくり返される事もありますし、政府も警戒してるんじゃないでしょうかね。
何とか上手にやって欲しいものですね。
インドネシアへの過去現在の民間投資投資・ODAなどを考えれば、さすがに日本の方が、イタリア・英国・トルコよりは多いでしょうし。
イタリア・英国のようなG7加盟国が、(賄賂に近しい?)グレーな売込みはそもそも考えにくいでしょうからね。
インドネシア10年債利回り6.3%(!)のようですから、管理人様の仰る通り金融面での低利融資(仮に)2%未満で提供したとしてもメリットは物凄い大きいでしょうね。
小規模な海軍だと新型FFMの細い船体よりも31型アローヘッド140みたいな太い船体のほうが好かれそうだよね
ニュージーランドはどっちを選ぶのか楽しみ
将来的に重要性が増すマレーシアに売り込みをかけるのはどうですかね