共同通信は20日「日米両首脳はミサイル防衛協力の一環としてSM-3 Block IIAの生産を4倍に拡大する方針で合意した」と報じているが、これは米国の増産方針に準じただけであり、SM-3 Block IIAの年間生産数は現在「約12発」ぐらいなので4倍といってもたかが知れている。
参考:日米、改良型迎撃ミサイル生産4倍で合意
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参考:By the numbers | US missile production shortfalls
日米はSM-3 Block IIAの生産を4倍に拡大する方針で合意したと書けば威勢はいいが、、、
共同通信は20日「日米両首脳はミサイル防衛協力の一環としてSM-3 Block IIAの生産を4倍に拡大する方針で合意した」と報じており、ホワイトハウスのプレスリリースにも「ミサイル防衛協力の支援として、両国は日本におけるSM-3 Block IIAの生産を急速に4倍に増加させる」と明記しているが、これは米国のSM-3 Block IIA増産方針に準じただけなので目新しいものではない。

出典:Lockheed Martin
Lockheed Martinは1月6日「PAC-3MSEの生産と納入を加速するため国防総省と画期的な枠組み協定を締結した」「7年間の契約で年間生産能力を約600発から2,000発に増強する」と、1月29日「国防総省とTHAADミサイルの年間生産能力を4倍に強化する枠組みで合意した」「THAADミサイルの生産量は今後7年間で年96発から年400発に増加する」と、RTXも2月4日「Raytheonと国防総省が5つの画期的な枠組みで合意した」「トマホーク、AMRAAM、SM-3 Block IB、SM-3 Block IIA、SM-6の生産能力を大幅に増強して納入を加速させる」と発表。
RTXが国防総省と合意した枠組みはPAC-3MSEやTHAADミサイルと同じ「7年間の枠組み」で、RTXは5種類のミサイルの現生産能力には触れず「トマホークは年1,000発以上、AMRAAMは年1,900発以上、SM-6は年500発以上まで生産能力が増強される」「SM-3 Block IBの生産を加速させる」「SM-3 Block IIAの生産を増強する」「現在と比べて2~4倍になる見込み」と説明し、SM-3 Block IIAの生産を2~4倍に増強するには日本が生産を担当しているノーズコーン、第三段ロケットモーター、上下分離部、第二段ロケットモーター、第二段操舵部の供給量を増強しなければならない。

出典:Missile Defense Agency Photo by Ralph Scott
ただし、SM-3 Block IIAの生産が2027年にいきなり4倍になるのではなく、RTXが国防総省と合意した7年間の枠組みを通じて「サプライヤーの生産設備増強」を行うため、SM-3 Block IIAの生産が4倍に到達するには7年後の話だ。
ちなみに予算文書に記載された数字から推定されるSM-3 Block IBの年間生産数は30.6発前後、SM-3 Block IIAの年間生産数は12発に過ぎず、SM-3 Block IBの調達単価は1発18億円、SM-3 Block IIAの調達単価は1発54億円で、SM-3は「短距離から中距離の弾道ミサイルを迎撃できる」と紹介されることもあるが、SM-3は弾道ミサイルを大気圏外の中間段階で迎撃するため、戦術弾道ミサイルや短距離弾道ミサイルの迎撃は「ロフテッド軌道」で発射されないかぎり迎撃は不可能だ。

出典:米ミサイル防衛局
さらに変則弾道(準弾道軌道)で成層圏上限を這うように飛行するイスカンデルタイプの迎撃も不可能で、これらの脅威については終末段階で迎撃するPAC-3MSEやTHAADミサイルの領分となり、SM-3の用途は「中距離以上の弾道ミサイルしか迎撃できない」「SM-3は最低迎撃高度を下回ってくる中国のDF-17や北朝鮮のKN-23に対しては役に立たない」と認識しておいた方がいい。
追記:豪シンクタンクの米国研究センターが今月18日に発表した報告書(数字で見る米国のミサイル生産不足)の中で「2015年以降のSM-3調達量に関する資料」を掲載しており、2015年以降の数字なのでSM-3 Block IBとSM-3 Block IIAの調達数を合わせた数字で、濃い青グラフが要求数、薄い青グラフが実際の調達数になる。

出典:United States Studies Centre
2015年~2024年の総要求数は403発、同じ期間の総調達数495発になり、1年あたりの平均調達率49.5発で予算文書の数字(約42発)と概ね一致し、日米はSM-3 Block IIAの生産を4倍に拡大する方針で合意したと書けば威勢はいいが、仮にSM-3 Block IIAの生産が4倍に拡大しても「12発」が「48発」になるぐらいなので「中国や北朝鮮が保有する弾道ミサイル」と比較すると焼け石に水かもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:Missile Defense Agency/平成29年度防衛白書





















中距離弾道ミサイルの価格は大雑把に言って射程キロかける一万ドルと噂されてる
つまり、3000から4000kmミサイルなら46から64億円程度
上記のsm3の50億円程度なら攻撃側もコスパは大差ない
射高1000km、射程2500km、低軌道衛星撃墜可能な潜在力ありのミサイルならそれほど悪くない
PAC3MSEの対弾道ミサイル射程は30km程度で単価400万ドルと比較すると尚更
対戦闘機用の対空ミサイルはともかく、対ミサイル用の防衛ミサイルは命中率がそんなによくないし、どうしても攻撃有利になりかねないからその予算で攻撃ミサイルを量産した方がいい気がするなあ。
やはり相互確証破壊が正義
しかしながら今回のイランによる各地への弾道ミサイル攻撃においてトルコに向かい飛翔している中距離弾道ミサイルを地中海に展開中の駆逐艦がSM3で横から迎撃するという事をやっているのでSM3自体の精度は高いと思われます。反面PAC3MSEは今回の迎撃戦闘で雪崩撃ちしているにも関わらず迎撃できずに着弾という事例があるので命中率は確かに怪しいですね。
>やはり相互確証破壊が正義
google先生によると、正義とは以下の概念です。
「個人の道徳観や社会的なルールに基づき、「人間が行うべき正しい道理」や「公平さ」を指す概念です。単に個人的な信念だけでなく、対人関係や社会生活におけるバランス(釣合い)を保ち、安心して暮らすための規範を意味します。 」
さて、相互確証破壊とは、相手国の人民を確実に殺害することも目標のひとつです。それが「人間が行うべき正しい道理」でしょうか?
「○○が正義」というのはネットスラングの一種だよ
王道ないし定石みたいなニュアンスの
相互確証破壊は同じレベルの破壊力を持つ事でお互いの攻撃を抑止する相互抑止の概念なので
戦争を起こさせないという意味ではある意味正義とも言えます。
まぁ実際は上の方が書いている通りですね。
一方、高市政権が1000万人分の地下シェルター整備を目標にするそうですね。
本邦は先進国では極めて例外的に核シェルターが全く整備されておらず、言い方は悪いですが仮想敵国に自国民を人質として差し出しているようなものでしたので、ようやく始まったかという感じです。
相互確証破壊は無敵の人ならぬ無敵の国の「死なば諸共」には効かないからなぁ
有効なのはまともな国同士、大国同士の抑止力だけかと
防空ミサイルも大事ですが、守るだけでは難しい面を感じるなあと。
シェルター整備・避難施設の整備を、2030年までに『人口カバー率100%を目指す』という話しも出てますから、ある意味現実的なのかもしれませんね。
言うて中国の保有するIRBMとMRBMランチャー数が大体200前後だから、年間48発まで増産できたら焼け石に水どころか大分下層での迎撃が楽になりそうな気が…
即席のランチャーはイランでもダンジョンで生産できる
私は、中国が増産していないのは、どうせ必要な時に急速に増やすことができるから、予算を「ミサイル在庫の蓄積」という時間が必要な部分に回しているだけだと思います
「地下工場で」くらいの意味なんでしょうけど、
「ダンジョンマスターになった俺は、現代兵器生産で無双する」
とか考えたなろう脳。
年産12発のままだと10年後の在庫は120発。
仮に今後7年間で等速に生産数が48発まで増えると384発。
当然相手国も在庫を積み上げるから差は全く埋まらないけど印象はだいぶ違うわな。
一般的なSAMの運用として1目標に対して2発撃つのが基本だからそれを守るならとても余裕無いよね
タイムラインやコースにもよるだろうけどSM-3はS-L-Sが基本じゃないかなぁ。
1目標に2発の迎撃ミサイルを撃つのはセオリーですがイスラエルの例だと撃ち漏らして更に3発目を撃つ事もあるようで…
そら足りんくなるわ
生産数が48発って事はだいたい24発の敵の弾道ミサイルを迎撃できる可能性があるわけだけど、24発なんてロシアにしろイランにしろあっという間に生産してるわけで中国北朝鮮も同様だろうから、もっとコスパのいい持続可能な迎撃手段が出てこなきゃ厳しいですね
焼け石に水なのはその通りだけど「じゃあやらない?」と聞かれると「やった方が良い」しかない······
こんなことにお金使いたくはないんだけどなぁ
(仮想敵国が)あるのがいけない! あるのがいけない!
今、戦争やってるわけじゃないですからね。これがそのまま備蓄数になるなら4倍でも増産出来るのは良い事なんじゃないでしょうか。
取りあえず会談前に危惧されてた様な事態にならなくてよかった
防空ミサイルの増産はまあジワジワやってくしかないね
今後もミサイルの共同開発はやってくみたいだし、抑止のためには攻撃用のミサイルも造って欲しいところ
足りないにしてもイージス・システム艦のVLSがカラッポにならずにすみそうなのは朗報かな
正直遅いよな
ウクライナで防空ミサイルの消耗具合をみた時点でもっともっと大規模に作る話になってもいいのに(水面下でいろいろやってたのが今結実しただけだと思うけど量が・・)
記事で指摘されているように、sm-3は中~長距離弾道ミサイル迎撃用だから汎用性が低い。
終末段階で使うPAC-3やsm-6、THAADの方が安いし、極超音速滑空弾に対応できるなどsm-3はVLSを無駄に占拠するミサイルになりかねない問題がある。
結論としては相手に今まで備蓄した弾道ミサイルは効かないぜと圧力をかける以外に役に立ちそうもないから沢山生産する気が無いんだと思う。
北朝鮮なら、自衛隊と在日米軍の在庫分で全弾迎撃可能でしょ
欧米の民主主義国が世界の盟主として振舞っている間
お花畑理論が台頭し軍縮を叫び平和を謳歌している間
ロシア中国イランは虎視眈々と逆転を狙って力を蓄えて来ました
しかしお花畑理論が台頭する時代は終わりました
このミサイル1つが問題なのではなく
ロシア中国イランが世界をひっくり返すための力を蓄えるのを見過ごさないという方向に
方針が変化したという事が重要だと思うのです
これは1つの例に過ぎず、新たな時代の戦争へ向けて備えていく大きな流れの一環でしょう
日本はこれからさらに軍需産業に参入し力を入れていくのだと思います
SM3 BlockⅡAの1発当りの価格が54億円ってイーロンマスクのロケット打ち上げ価格より高額ではないか。段数を3→2段に減らすとか2段目ロケットモーターを回収・再利用できる設計にすれば少し安くなるかな。※ロケット燃料の比推力向上や液体燃料化など克服すべきハードルは高い。
>段数を3→2段に減らすとか
ならSM-6でいいんじゃないですかね。
導入・共同生産の話も進めてるし。
そもそも所要数がどんだけなのわからんのでなんとも
1Bと合わせて年200発なら悪くないと思いますが
元来はアメリカ本土防空用(ICBM迎撃能力なんて他の意味有ります?)なので北朝鮮の火星と巨浪に対応する数だと思えばそんなモノでは?
準中距離弾道弾の戦術的な使用に関してはⅠB使うつもりでしよう。
SM-3のICBM 対応能力は限定的なもので本来はIRBM 対処用だと思ってましたが違いましたっけ
2024年の中国軍のICBM推定保有数が400で、現状のSM3ブロック2AはICBM対策なので、そう思えばそこまで少ない数では無いですよね。極超音速ミサイル対策など他に転用するのであれば足りないですが。
短射程での最小エネルギー軌道のアポジ高度はR/4程度なので、射程300kmだと75km。
SM-3の最低有効射高とされる70km以上を飛ぶ区間は110〜190kmの80km程度で60秒以上。
SM-3をSRBM対処に使えないことはないと思いますけどね。「日本に届く」という前提なら尚更。
「(軌道変更能力を有する)新型SRBM」に対処できない、なら分かるけど。
記事はネガティブな論調に終始してるけどコメントのほとんどは冷静で前進をポジティブに捉えてるのが興味深いね
まあこの世界なんて理想どうりにいかないのは当たり前だしリソースも無限にないのだから仕方ないよね
隗より始めよ。
ゴールデンドームがどうなるかは知らんが、性能据え置きで大量生産できるのが出てくるんじゃないの。多分。