日本の防衛省が研究開発を進めている「島嶼(しょ)防衛用高速滑空弾」について当初予定していた離島防衛用=対地攻撃目的だけでなく、空母など水上艦を攻撃することも視野にいれた性能向上案を検討していると毎日新聞が報じ、海外メディアもこれに注目している。
参考:Japan reviewing deployment of missiles in East China Sea
日本が開発中の島嶼防衛用高速滑空弾は空母攻撃に転用可能になる
日本の防衛省が研究開発を進めている「島嶼(しょ)防衛用高速滑空弾」は、ロケットにより打ち上げられた弾頭部分が超高速滑空しながらGPSで目標に誘導される兵器で、敵の迎撃を困難にさせるため複雑な軌道で目標に接近することができるが、専守防衛という縛りから射程は500km以内に抑えられる。
防衛省はこの兵器を2026年までに装備化する「早期装備型」と、より性能を向上させるため装備時期が2028年以降に設定されている「性能向上型」に分けて研究開発を進めているが、離島に上陸した敵(地上目標)に対する攻撃にだけ使用するのではなく、海上を移動する艦艇に着弾させられるようセンサー部分の性能を向上させ、空母の飛行甲板を貫通可能な新型弾頭の開発を検討していると毎日新聞が報じた。

出典:防衛省 島嶼防衛用高速滑空弾の研究
毎日新聞の報道に反応して海外メディアも日本が空母を攻撃可能なミサイルを東シナ海に配備すると報じており、2028年以降に装備することを目標としている「性能向上型」は高速滑空に適した「リフティングボディ(機体全体で揚力を発生させることが出来る形状)」に進化すると見ており、島嶼防衛用高速滑空弾の速度と射程が向上するだろうと指摘している。
中国は最近、空母「遼寧」に続き国産空母「山東」を就役させるなど軍事的なプレゼンスを高めており、このような戦力強化が尖閣諸島付近=東シナ海の軍事バランスに影響を及ぼすことは確実だ。これに対して日本はF-35B運用可能な「いずも型護衛艦」の空母化、島嶼防衛用高速滑空弾の性能向上、巡航ミサイル「Joint Strike Missile(JSM)」導入、次期戦闘機「F-3」開発を進めることで防衛力を強化しようとしている。

出典:財務省 令和2年度防衛関係予算のポイント
ただ中国海軍の規模(300隻超え)は米海軍を抜き去っており、艦艇の質に関しても米海軍のタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦をも上回る中国版イージス艦「055型駆逐艦」や、米国のワスプ級強襲揚陸艦(満水排水量約40,000トン)に匹敵する「075型強襲揚陸艦」が就役するなど量と質の面で侮れない存在となっている。
関連記事:世界最大の米海軍超えを達成した中国海軍!空母を筆頭に艦艇300隻を有する大海軍へ変貌
関連記事:中国初の強襲揚陸艦「075型」が進水、驚異的な建造速度で米海軍を追い上げ
さらに国産の第5世代戦闘機J-20やステルス爆撃機H-20の開発、空母にも搭載可能なステルス無人攻撃機GJ-11、超極音速で滑空する弾頭部分を搭載した中距離弾道ミサイル「DF-17」などの圧倒的な開発スピードで新兵器を実用化してくるため、日本もさらなる対抗手段の検討や開発を進めなければ中国の軍事力に押し切られることになるかもしれない。
関連記事:日本に対抗策は?中国、超極音速滑空弾「DF-17」やステルス無人攻撃機「GJ-11」初公開
世界的に見ても各国の軍事力は無制限の拡大期を迎えており、日本が専守防衛に囚われて国防力強化に乗り遅れれば、逆に地域の軍事バランスが崩れ軍事衝突を誘発する原因になるかもしれない。
これは管理人の個人的な見解だが、少なくとも島嶼防衛用高速滑空弾の射程は1,000km以上必要ではないだろうか?
※アイキャッチ画像の出典: stepdeck / stock.adobe.com
日本国内のどこからでも発射できるように、3000km以上の射程は必要だろう。
東京から小笠原諸島まで1000キロ以上あるから、やはり射程距離1000キロ以上必要だと思います。
鹿児島から宮古島までも1000キロ弱だし
500キロという数字は何を根拠に出て来たんでしょうかね?
九州から魚釣島もやっぱり1000kmですね。
まさしく500kmだと緊急時の当初防衛には役立たず。対空母となれば尚更。
逆に「計画的に攻撃する」つもりなら事前に対馬に配備しとけばソウルを500km圏内に捉えられる訳で、
専守防衛の名の下に中韓に配慮、というなら500kmでも長過ぎます。
本当何を根拠に定めた数字なのか不明ですね。
いっそそれらの島嶼に配備するってなら「うっかり奪われても本土攻撃には使われない」利点にはなりますが。
九州沿岸からソウル
沖縄本島から与那国島
石垣島から大陸
が大体それくらいなので
平時から配備可能な所から数えて相手に攻撃の口実を与えないような距離なのでは
500kmなら沖縄本島から台北付近を狙えるね。
専守防衛って結局、一度殺されかけてからスタート前提の本土決戦というあまりにも馬鹿げた考え。
そろそろこれを辞めるようにしないといけないのだが、左派や中韓の影響を受けたマスコミがうるさいのは何とも。
全くもってそのとおりです
公明党に頼らなくても単独過半数を取れるほどに自民党を支持すれば問題無い。むしろ専守防衛の破棄と軍備増強を迫るべき
そもそも、射程900km級の巡航ミサイル導入が決定しているのだから、影響力も弱くなっているのだろうけど
中国に配慮してコロナを日本国内にばらまく奴なんか支持する奴がいるか?
いざとなっても敵に配慮して自衛隊がやられるだけ
民主党のことかな?
民主党政権の時は自衛隊も出動させずに全滅するんじゃないかと本気で怖かった。
ほとんどの日本人がこれを感じたから今の安倍政権の支持率が何としても下がらない。
中国に配慮してとか妄想が酷いな。
沖縄にミサイル部隊を新規に増やしたり巡航ミサイルの購入を決めたのは安倍政権なのだが?
射程を伸ばしてもターゲットに当たらなければ無駄だと思います
中間誘導、最終誘導とかがキモなのでは?
その意味では中国、ロシアの超・長距離ミサイルにも疑問が・・・
確かにそうですね。
どうやって誘導しているのでしょう。
グロナスにそこまでの性能があるのか疑問です。
昔、当たらなければどうということは無いってセリフがありましたね。
日本だと、日米共同研究の「画像ジャイロの研究」から発展した、次の様なシーカーの研究が行われている様です。
>将来の対艦誘導弾等に用いる誘導装置を想定し、衛星測位システム妨害環境下においても、島しょ部に停泊・展開中の艦船等の赤外線放射量が少なく背景との温度差が少ない低コントラスト目標への誘導を実現する技術を確立する。
>中間誘導→画像を用いた情景照合
>目標誘導→データベースの特徴量を用いた目標照合
リンク
日米共同研究の「画像ジャイロの研究」から発展した、次の様なシーカーの研究が行われている様です。
>将来の対艦誘導弾等に用いる誘導装置を想定し、衛星測位システム妨害環境下においても、島しょ部に停泊・展開中の艦船等の赤外線放射量が少なく背景との温度差が少ない低コントラスト目標への誘導を実現する技術を確立する。
>中間誘導→画像を用いた情景照合
>目標誘導→データベースの特徴量を用いた目標照合
射程900km級の米国製巡航ミサイル導入を推進しているので専守防衛云々はノイズの可能性が大でしょう。
文字通り島嶼防衛用なら揚陸のために近づく艦艇を狙えれば十分なので500km級でも十分でしょうし必要なら射程延伸型が開発されるだけのことかなと。
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公式発表で射程500kmでも実際にはそれ以上飛ぶのだろう
相手の持ってるもんはこちらだけ遠慮する意味無いから
お互い対等なのが国家の建前でしょ
核でもミサイルでも自由にやらないとな
>専守防衛という縛りから射程は500km以内に抑えられる。
射程500km以下って、公式にアナウンスされていましたっけ?
防衛装備庁によると、性能向上型のブロック2では、速度がマッハ5を超える極超音速の様です。
マッハ5超で射程500km以下と短めだと、リアクションタイムを削る方向を意図しているのかな?
防衛に徹するということに囚われすぎてはいけないと思います。
日本へ向けて今まさに発射されようとしているミサイルもほぼ同時に破壊できる能力をも正当防衛として保持しておくべきで、距離には拘らずその時々の攻撃対象との距離で対応できるようにすれば良い。つまり、500km.1,000km.1,500km.3,000km.の超音速ミサイル滑空弾があれば十分な抑止力となる。
キンジャールよろしく空中発射型を用意すれば射程を地上発射型の2、3倍に延伸出来るのでは
その手もありますね。
発射母機は何になりますか?
物がモノだけにそれなりの大型機になるのではないでしょうか。
F-15に対艦任務を付与するとスクランブル任務が手薄になりそうです。
F-2に搭載できるサイズだといいのですが。
そこで潜水艦発射型にするとか!
専守防衛()とか本当に馬鹿馬鹿しい
時代遅れの冷戦左翼思考は完全に捨て去るべきだが、左翼が多い今の60代70代がいなくなり始める20年くらいは待たないといけないな
そこまで時間はかからんぞ、あと10年経てばおとなしくなる
あとは死ぬだけw
いずもってプラモですらF-35のせるの前提にしてませんでしたっけ
最良の対潜空母を、中途半端な軽空母にするのは勿体無いので、
軽空母などは別枠で早めに用意して欲しいです。
1,000㎞にすると単純に倍の大きさになるので、搭載が困難になる
衛星を破壊されると誘導出来ないから、護衛艦や航空機での発見誘導が必要になると見ているんじゃないかな
日本では、GPSが使えなくなった際の誘導手段として、「画像ジャイロの研究」から発展した技術が研究されている様です。
中間誘導は、画像を用いた情景照合を利用
目標誘導は、データベースの特徴量を用いた目標照合で、停泊中の艦船の様な低コントラスト目標への誘導を実現する
との事です。
防衛装備庁「ええー、500kmまで伸ばしても良かったのですか!?」
中露の後追い、何処まで行けるか見物ですね
ロシアは過去の遺産で食ってますが人民解放軍は名実ともに世界第2位
侮れません
いや侮れないは失礼か、最早コチラが挑戦者側なのだから
日本は、経済規模の割に、研究開発費が少なめかも知れませんね。
防衛費が少ないので仕方ない部分もありますが。
まだまだ中国が挑戦者側だ
1000kとか、中国の対艦弾道弾すかw
そもそも1000k先の目標をどうやって捕捉する気なのでしょうか?
AESA化したアドバンスホークアイでも海上艦の索敵範囲は300k程度何ですけど
ブロック2ではマッハ5超の極超音速なので、移動時間は数分で艦艇だと大きく移動する事は出来ないのと、目標選別はAI利用して高速滑空弾が勝手に判断し、IR誘導の発展型で標的に突っ込むので、
出だしは、潜水艦なり無人機なり衛星なりからの「ここら辺にターゲットがいる」との大雑把な情報を元に打ち出し、後は高速滑空弾が自己判断で標的の選別・照準・誘導とするのでしょうね。
ついでに、停泊中の艦船の様な低コントラスト目標の選別は、NGFの先進統合センサ・システムに適用されてる「赤外線画像の高解像度技術に関する研究」が応用されてるかも。
発射の為にはまず捕捉しないと駄目なんですよ
陸上の固定目標じゃ無いんだから
現状捕捉するためには、最低でも300k程度は接近しないと駄目だと言う現実が有るわけです
つまりは1000kなんて射程は無駄なんですよ
海上艦なんで発射前にロックオンは必要有りませんけども、索敵距離の3倍とかの射程は無駄に大型化と高調達価格を招くだけでしょう
特徴量のデータベースと、シーカー画面を自動照合し、対艦誘導弾が自力で目標誘導する技術を日本は開発している様です。
なのでこの技術を実装したら、発射の段階で補足する必要は無いかと。
リンク
2波長赤外線センサでは、太陽光クラッタ低減処理の他に、
①特徴量分類処理
②2波長差分処理
という既存技術がある様です。
①は、遠赤外線輝度と中赤外線輝度の2波長相関マップを利用して、背景雑音の中から目標を抽出する技術です。
②は、遠赤外線画像と中赤外線画像の特性の相違を利用して、背景雑音を低減するとともに、2波長の放射特性の差を際立たせる技術です。
その延長線上で、
(1) シーカ映像の特徴量を分類
(2) データベースのイメージと照合
(3) 目標を識別し誘導
といった感じの処理を行うAI技術が研究されているのでしょうね。
そして、②の2波長差分処理により、より低コントラストな目標でも対処が可能、
といったところでしょうか。
データベース内のイメージとシーカ映像とのAI照合処理﹙研究中﹚が入りますが、
要はAAMのLOAL(発射後ロックオン)みたいなものかと。
対艦ミサイルだとBOL方式、
中間誘導で指定位置まで移動した後
終末誘導の方式に応じて索敵を行い
発見した目標へ誘導・突入
というのは結構古くからある技術ですよね。
ミサイルに比べ鈍足な艦艇相手だから、古くから可能だったのかな?
それが、速度が極超音速になった事で、対応範囲が数百kmになり、
また日本の場合は、停泊目標﹙赤外線放出が乏しく且つ背景雑音も大きい目標﹚でさえ赤外線誘導で対処可能になるのと、その対処が「データベースの照合処理」で、人を介さずに可能な点が特徴だと思います。
皆さん最終誘導の話ばかりですやん
対艦は対象が航空機ほと高速でかつ3次元移動しませんからロックオンは必要有りませんが、最終誘導時にシーカーが捕捉し誘導可能位置にミサイル本体を飛ばさないとならない訳です
結局は索敵が必要な訳なんですよね
それが早期警戒機でも300k
陸上からなら数10km
射程1000kなんて陸上固定目標でもなきゃそんなに使いどころ有りません
そんな物にリソース割いてどーすんの?って思いますね
>それが早期警戒機でも300k
>陸上からなら数10km
>射程1000kなんて陸上固定目標でもなきゃそんなに使いどころ有りません
記事の500kmでも管理人が希望した1000kmでも、その論だと同じに成りますよ。
あと、目標のおおよその位置を把握する手段と、「島嶼防衛用高速滑空弾」の発射地点は、別に近くにある必要は無いと思います。
例えば、攻められてる島の防衛部隊とか、使い捨ての無人機とか、衛星とか。
上記からの情報は、目標をシーカーの視界に収められる程度のおおよその位置を取得出来たら良い訳ですが、
シーカーの視界を広げる努力を並行で行えば、「目標のおおよその位置」の所要精度を下げる事が出来るかと思います。
赤外線センサーの場合なら、より低コントラストの標的の識別は、それにも該当するでしょう。
背景雑音の大きい状態での停泊標的を識別する技術を磨く事は、背景雑音の小さい状態の移動標的をより遠距離で識別する事に通じると。
「目標のおおよその位置」の所要精度が、防衛装備庁が開発中の「広域な海空域を監視するための見通し外レーダーシステム」の複数使用で賄える程度になれば理想的ですね。
射程500kと1000kで調達価格や重量等が同じなら同様ですけどねー
航空機で300k手前で索敵が出来たとして、陸上や艦艇からミサイル発射するなら射程500kは意味も充分有りますよ
>航空機で300k手前で索敵が出来たとして、陸上や艦艇からミサイル発射するなら射程500kは意味も充分有りますよ
そうですね。
標的の位置を把握する手段と、発射媒体の位置関係は切り離して良いので、
索敵手段の一つの視野300kmを理由に、それ以上の射程を全否定するのは、根拠として乏しいと思います。
いったい中露の高速ミサイルや滑空弾頭はどのように誘導命中させるシステムなんですかね
この西側の疑問に答えるだけの根拠が見つかってないなかに、脅威論が先走りしすぎてるように見えます
本当ははったりに過ぎないって知っていて煽ってますよね?
日本が弾道弾持っても驚異にはならないだろう。あちらはそれ以上にもぅて常に狙える状態にしているんだから。
盾と鉾の両方を持ち、相手に各々の対応を強いる事が大事だと思います。
「相手が適切な盾を持ってるから」というなら分かるけど「相手が同じ武器を持ってるから」こちらの武器が脅威にならない、という理屈がまるっきり意味不明。
技術獲得後の将来像
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「広域常続的警戒監視の各種アセット及び衛星通信網を活用し﹙以下略﹚」
「極超音速誘導弾用光波シーカー:極超音速飛翔に伴う空気熱に対する耐熱性を有し、光波画像取得と目標識別を実現」
「電波画像誘導:電波シーカーにより取得したドップラー情報を画像化し、全天候下でステルス艦船等の艦船目標識別を実現」
スタンド・オフ防衛能⼒の取組
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