日本関連

F-35を選択しなかったドイツを日本は見習うべき? トーネード後継機問題の真実

現代ビジネスが日本のF35追加導入に対して非常に的はずれな内容の記事を報じている。

参考:日本がF35を「爆買い」のウラで、米軍はF15の大量購入を決めた

F-15EX導入は、今の所、決定されたものは何一つ無い

記事の内容を一言で言えば日本には欠陥機で問題のあるF-35を「105機」も追加で「爆買い」させておきながら、米国は日本が退役させるF-15の最新型F-15EXを5年間で80機も購入する。ドイツは老朽化したトーネードの後継としてF-35を選択肢から外し、F/A-18E/Fとユーロファイターの2機種に絞ったドイツ政府を日本政府は見習えという話だ。

非常に酷い内容の記事だ。

まずトランプ大統領は米空軍がF-15EXを購入することを知りながら、日本にF-35を「105機」も追加で「爆買い」させたと言うが米国が一体、何機のF-35を導入するのか知っているのだろうか?

米国では空軍、海軍、海兵隊の3軍が計2,443機(機体の取得費用だけで約48兆円)ものF-35を「爆買い」することが予定されているため、日本が105機を追加導入したことを「爆買い」したとはこれぽっちも思っていないだろう。

トランプ大統領が話したように「日本は同盟国の中で最大規模のF35保有国」と言うのが正直な感想ではないだろうか?

出典:ボーイング F-15EX

次に米国は日本が退役させるF-15の最新型F-15EXを5年間で80機も購入すると記事にあるが、これは2020年の予算要求で8機の導入を要求しているだけで議会が予算案を承認したわけでもなく、あくまで空軍が要求しているという話だ。

最新の報道によれば米国議会は空軍がF-15EXについて調達プログラム戦略、調達プログラムのコストとスケジュール、試験評価に関する基本計画、ライフサイクルに関する維持計画など詳細データを提出しない限り、要求予算を認めないと言い出している。

しかもF-35支持派の下院議員99人による超党派グループが、F-35を少なくとも24機追加購入するよう求めている。2020年予算要求では78機(A型48、B型10機、C型20機)のF-35を要求しているので24機(A型12機、B型12機)追加購入すると合計108機のF-35を2020年に購入することになり、その財源は当然、同じ用途であるF-15EXの購入予算と衝突することになるだろう。

米国のF-15EX導入は今の所、決定されたものは何一つ無いというのが正しい。

ドイツ政府に、一体何を学べというのだろうか?

そして最も的外れなのはドイツ政府を日本政府は見習えという話だ。

ドイツのトーネード後継機問題が、どれだけ酷い状況になっているのが分かっていないのだろうか?

出典:pixabay

ドイツ空軍は運用中の攻撃機「トーネード」93機を2030年まで運用するには約88.6億ユーロ(約1兆1000億円)が必要になると報告した。費用の内訳は1983年に導入されたトーネードの機体維持のために56.4億ユーロ、旧式化した部品交換のために16.2億ユーロ、保守部品調達のために15.8億ユーロ等だ。

トーネードをあと10年運用するために1機あたり9500万ユーロ(約120億円)が必要な計算だ。これは新たな航空機を導入する方が遥かに安上がりな事を示している。とにかくドイツは急いでトーネードの後継機を選定して導入しなければトーネードの維持のため莫大な費用を垂れ流すことになる。

そのドイツはトーネードの後継機候補からF-35を候補から除外し、ユーローファイター・タイフーン(以下、タイフーン)とF/A-18E/Fの2機種に候補に絞ってしまった。

F-35が候補から外れたのはライフルコストが高価だと言う理由(他にも、ブラックボックスの塊なのを嫌ったという説もある)のためだ。欧州航空産業界からはタイフーンもしくは両機種を同時採用することを期待されているがドイツはどちらか1機種に絞り込むつもりだ。

出典:pixabay

しかし、F-35を候補から外したことで大きな問題が浮上してきた。

ドイツはNATO加盟国としてニュークリア・シェアリングの義務を果たす必要がある。

ニュークリア・シェアリングとは:
核兵器の共有という北大西洋条約機構(NATO)の核抑止における政策上の概念である。NATOが核兵器を行使する際、独自の核兵器をもたない加盟国が計画に参加すること、特に加盟国が自国内において核兵器を使用するために自国の軍隊を提供することが含まれている。

ドイツはニュークリア・シェアリングによって提供される核兵器の運搬義務を果たさなければならず、現在その任務はトーネードが担っている。その後継機として既に同じ義務を抱えているオランダや、ベルギー、イタリアがF-35を採用したのはNATOがF-35の核兵器の運搬能力について承認済みな為だ。

出典:pixabay

タイフーンは核兵器の運搬能力がないので、新たな費用を掛けて核兵器の運搬能力を付与しNATOの承認を受けなければニュークリア・シェアリングの義務を果たせないし、F/A-18E/Fは米軍の戦術核兵器「B61」の運搬能力を持っているがNATO加盟国での使用例がなく、これも新たに承認を受けなければならない。

今直ぐにでも退役たせなければ莫大な維持費用が要求されるトーネードを最も短期間で更新できる可能性があったのは核兵器の運搬能力が承認済みのF-35だけだったのにドイツは自ら、そのF-35を候補から外してしまったのだ。

S-400導入問題でキャンセル間近のトルコ向けF-35(100機)を取得してしまえば早い話、2019年中にもF-35を受け取れる可能性すらあったというのはオーバーな話かもしれないが恐らく、発注してから一番早く受け取れるのはF-35で間違いない。

タイフーンやF/A-18E/Fは、これから発注し実際に受け取れるのは恐らく5年以上は掛かるだろう。

タイフーンの生産ラインは現在、中東諸国向けの製造で埋まっている。F/A-18E/Fの製造ラインは米海軍からの新規発注分とオーストラリア向けのEA-18Gで当分の間は埋まってる。ドイツの機種決定の決定が遅れれば遅れるほどトーネードの莫大な運用コストは膨らみ続ける。

このような愚かな決定を行ったドイツ政府に、一体何を学べというのだろうか?

 

※アイキャッチ画像の出典:Public Domain

F-35Bと小型空母・強襲揚陸艦の組合せが人気!オーストラリアのF-35B導入議論前のページ

F-15EXは超短期間で納入可能? ボーイング、2020年に米空軍へ2機納入可能と発表次のページ

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コメント

    • 匿名
    • 2019年 6月 08日

    半田滋:お笑い軍事評論家の一人ですね

    • 匿名
    • 2019年 6月 08日

    >このような愚かな決定を行った、ドイツ政府に、一体何を学べというのだろうか?

    平和ボケに気を付けよう、という教訓

    1
    • 匿名
    • 2019年 6月 08日

    惨いのは当たり前。
    書いたのが東京新聞(中日新聞)の半田滋だもの
    反日って結論ありきの記事だから

    3
    • 匿名
    • 2019年 6月 08日

    ドイツを見習えは韓国の口癖
    そっち系の息のかかったお話し…

    2
    • 匿名
    • 2019年 6月 08日

    この記事をYahoo!ニュースで読んで、内容が偏ってるんで記事署名を確認したら半田滋で虚脱したよ

    2
    • 匿名
    • 2019年 6月 08日

    野党に雇われて、安倍政権を批判する為のネタを頑張って持ってきたのかな?そうとしか思えない。本気で記事の通りに書いているなら軍事専門家でもなんでも無くただの無知な人だね。もしくは文在寅に雇われているのか?

    1
    • 匿名
    • 2019年 6月 08日

    軍事素人の自分ですら現代ビジネスの記事読んで変な内容の記事だなと思ってしまうのだから
    詳しい人からすると噴飯ものなんでしょうね

    1
    • 匿名
    • 2019年 6月 08日

    まあゲンダイだし

    1
    • 匿名
    • 2019年 6月 09日

    管理人さん、胸のすく記事をありがとうございます。
    現代ビジネスの記事は、まさに管理人さんが仰る通り、酷い内容でした。
    先ず、なぜ米空軍がF-15EXが現代戦に貢献できるのかその背景を探っていないし、技術的にどこがF-15より進んでいるかも掘り下げてもいません。
    読者諸氏の皆様ご存知の通り、第5世代戦闘機はそのステルス性を追求した結果、形状の制約から内蔵できる兵器に制限が多く、ロングレンジ空対空ミサイル、極超音速空対艦ミサイルといった比較的大型となった兵器の搭載数に制限があります。F-35のセンサー、ネットワーク機能、電子線能力を活かして、第五世代戦闘機をアウトレンジからミサイルを発射する母機として運用する形が出来つつあります。
    ソース: リンク

    次に現代ビジネス、読売新聞だけに限ったことではありませんが、戦闘機の名称は正しく記載して欲しいものです。F-35、F-15EXが正しいです。

      • 匿名
      • 2019年 6月 09日

      失礼いたしました。訂正・加筆させてください。

      誤: 第五世代戦闘機をアウトレンジからミサイルを発射する母機として運用する形が出来つつあります。
      正: 第五世代戦闘機を攻撃指揮機、第四世代戦闘機をアウトレンジからミサイルを発射する母機として運用する形が出来つつあります。

    • 匿名
    • 2019年 6月 09日

    そもそもドクトリンも違うしな。
    ドイツの陸海空軍の正面装備の稼働率見りゃ
    参考になるかならないかくらいバカでもわかる
    この記事書いた奴はクソバカだからわからないのかね。

    1
    •  
    • 2019年 6月 09日

    全く同意。ここの記事でもJSF氏の記事でも書かれてるが、
    現代ビジネスの記事は全く恣意的な内容と思った

    あと例の「トランプの言いなりで安倍の爆買いガー」も、プロパガンダでしか無い
    本気で言ってる頭の悪い左翼90%と、知ってていちゃもんを付けてる左翼10%

    ・老朽化したF-4+F-15PreMSIPの150機分の更新事案でしかなく、
     安倍が専権できる訳も無い規定事項
    ・国産化しろと言うならまだ分かるが、単なる軍事アレルギー
    ・国産の場合、防衛費は遥かに膨らむが、そんな事までは考えない知的レベル
    ・F-35が約1.2兆円、アショアが約3000億円レベルだが、
     アノ人達は軍需産業に異常に妄想を持ってるんだよな。
     日本はコンスタントに対米黒字が毎年平均約6兆円だが、それは視野に入らない

      •  
      • 2019年 6月 09日

      JSF氏のツイートはここの記事の紹介でしたね。
      失礼しました

    • 匿名
    • 2019年 6月 09日

    ドイツを見習えが広く通用したのは数年前まで。今では脱原発政策や移民政策など、当時のドイツが下した決断の的外れっぷりが露呈している。

    1
      • 匿名
      • 2019年 6月 10日

      ドイツ空軍の稼働率知らなさそう。
      あと、F35は、まだ2,3機しか落ちてないけれど、F/A18、ユーロファイターなんてよく落ちてんじゃん。特にF/A18は顕著だよな。

      1
    • 匿名
    • 2019年 6月 09日

    ドイツの稼働率知らなさそう

    • 匿名
    • 2019年 6月 09日

    岩波「科学」の記事

    「自衛隊は,高性能のCH-47ヘリを55機も持っていて,オスプレイの2倍の搭載量があり,速度もオスプレイには及ばなくても相当に速いのです。かつてのゼロ戦よりも速いので,狭い日本では十分です。ですから,自衛隊はオスプレイを必要だとは考えていませんでした。」(『科学』1月号)

      • 匿名
      • 2019年 6月 10日

      元々、陸自は、オスプレイは要らないと言っていた。維持費が掛かり過ぎる。
      ゲームチェンジャーのF35Bと同列には扱えない。

    • 匿名
    • 2019年 6月 10日

    日米のお金ない話は現代のお金を知らない人が騒いでいるだけですけど
    ギリシャのように破綻する可能性があるドイツを引き合いに出されてもね

    • 匿名
    • 2019年 6月 10日

    そもそもF-15の非近代化機を新型戦闘機で置き換えるのはトランプ政権誕生以前の2014年頃から検討されてたし
    その機体として自衛隊が導入してる中でも最新鋭だったF-35が選ばれるのは
    トランプの思惑と関係なく将来性も含めて性能的に当たり前なんだよなぁ
    半田は大統領になる前のトランプと安倍政権が密約でも結んだと言いたいんだろうか

    1
    • F-15大好き
    • 2019年 6月 10日

    F-15J Pre-MIPSに、機体寿命が先に尽きるF-2の機材を移植出来ないだろうか。
    MIPS化改修なら実績もあるし、国産FCSの開発継続にも繋がる。
    コンフォーマルタンクとミサイルドカ積みのF-15Jを見てみたい。

    • 匿名
    • 2019年 6月 11日

    F-15JのCFT装着にはMSIP改修機に付いてる統合電子戦装置「IEWS」アンテナの移設が必要です。
    ミサイルキャリアー化には総合改修でIEWSごと入れ替える、またはCFT抜きでミサイル積めるだけ積むか、ですね。
    F-35にB61を積むにはB61をJDAM化したMod 12の開発とF-35ブロック4ソフトウェアの両方が完了してからなので、あと1年程度はかかりそうです。

    • 匿名
    • 2019年 6月 16日

    なるほど、半田滋って人の記事は信用できない、と。
    こうやってプロパガンダ記者の名前が共有されるのは良いことだよ。
    下らない記事を読む前に判別できるのはとても助かる。
    時間だって有限だからね。

    1
    • 案山子
    • 2019年 6月 24日

    独空軍、、、今現在のトーネードとタイフーンの稼働機どれくらい残ってるのやら、、、10機以下?
    こんな有り様で最新鋭機を導入するほどドイツ人はギャブラーじゃないだろ、むしろF-5かF-16のblock32あたりじゃなくてビックリだわ。
    今の独空軍でスパホ運用維持出来るの?

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