日経新聞は2025年6月「日本政府がGolden Dome構想への協力を検討している」と報じていたが、読売新聞は13日「日本政府がGolden Domeへの参加を伝える方向で調整に入った」と報じ、19日に高市首相がホワイトハウスでトランプ大統領と会談する際に参加を表明するらしい。
参考:米ミサイル防衛構想「ゴールデン・ドーム」参加、日米首脳会談で表明へ…中露への対処力向上狙い
Golden Dome参加で何を受け取れるのか、費用負担はどれぐらいになるのか、出資に見合うだけの雇用や産業界への恩恵が確保されるのか
トランプ大統領は2024年の選挙戦で「我が国の上空に誰も見たことがないアイアンドームを建設する」「最新鋭のミサイル防衛システムを全米に建設したい」と述べ、政権樹立後「The Iron Dome for America(イスラエル製防空システムを連想させるため現在はGolden Dome for Americaに名称を変更)」という大統領令に署名し、弾道ミサイル、極超音速ミサイル、最新の巡航ミサイル、その他の次世代航空攻撃から国土を守る壮大な計画が動き出した。

出典:The White House
この大統領令は「弾道・極超音速ミサイルを追尾可能な宇宙センサー層の展開加速」「上昇段階の迎撃が可能な宇宙配備型迎撃ミサイルの開発と配備」「対価値戦略を打ち破るための下層・末端での迎撃能力配備」「全ての脅威に対応可能な非運動能力による迎撃手段の開発と配備」を要求しており、米議会予算局は「大統領が要求するGolden Domeを実現するには今後20年間で数百億~数兆ドル規模(宇宙層だけで1610~5420億ドル)」の費用がかかる」と見積もっているが、そもそもGolden Domeを構成するシステム要件が決まっていないため、予算局の見積もり額も空想上の産物に過ぎない。
トランプ大統領は2025年5月「Golden Domeの初期費用として250億ドルを支出する」「これが完成すれば世界の何処からミサイルが発射されても迎撃できる」「Golden Domeは任期満了前までに完全稼働する」と発表したものの、未だに「Golden Domeとは何なのか」「どのような多層式防空レイヤーを構築するのか」「そのために必要なシステムは何なのか」「ここにエア・リトラル=Air Littoralで繰り広げられる対ドローン防御を統合するのか」など決まっておらず、トランプ政権も国防総省もGolden Domeにかかる費用を把握してない。

出典:The White House
最初にGolden Dome参加を要請されたカナダの首相事務所は「ミサイル防衛に関して両国は何年も協議を続けてきた。トランプ大統領ともGolden Dome構想について直接議論したし、北朝鮮、ロシア、そして中国からの脅威に備えるのは良い考えだ。問題はカナダが単独でミサイル防衛システムを構築するのか、それとも米国と協力して構築するのかだ。カナダは半世紀に渡って米国との関係、安全保障と二ヶ国間経済の統合を着実に深化させてきたが、もはや統合をさらに深化させるプロセスは終わりを告げ、今後は必要に応じて協力を行い、もう無条件で協力する気はないという立場だ」と説明。
“我々は欧州再軍備計画の完全なパートナーとなることを目指したEUとの協議、F-35A契約の継続的な見直しを進めており、これが「米国以外の選択肢」を模索している実例だ。今後はパートナーシップ、安全保障、経済の面で過去とは非常に異なる状況が見られるだろう。はっきりさせておきたいのは米国と協力、米国の関係、特に弾道ミサイルに対する防衛のようなケースについてカナダの利益、これが最善の利益になる場合、最善の選択肢になる可能性があれば協力するかもしれない”

出典:Mark Carney
カーニー首相は「これまでの対米関係に対する発言とGolden Domeにおける協力の可能性は矛盾しない」「変化したのは将来の協力を妨げる溝ではなく統合に対する深化だ」と述べ、Golden Dome参加で得られる利益とは「ミサイル攻撃に対応する軍事的能力」だけではなく「出資に見合うだけの雇用や産業界への恩恵」「カナダの政治的立場や今後強化していく自立性との兼ね合い」を意味し、現在もGolden Dome参加について明確な決断を下してない。
要するに「Golden Domeが何なのか明確に定義されていない、プログラムコストが幾らかかるのか判明もしていないため、カナダが受け取れるミサイル攻撃に対する防衛力や出資に見合うだけの雇用や産業界への恩恵を計算するのが困難」という意味だ。

出典:首相官邸
日本では日経新聞が2025年6月「日本政府がGolden Dome構想への協力を検討している」と報じていたが、読売新聞は13日「日本政府が米国が進める次世代型ミサイル防衛構想=Golden Domeへの参加を伝える方向で調整に入った」「迎撃ミサイルの共同開発や衛星網の構築で連携し、中国やロシアが開発を進める極超音速滑空兵器などへの対処力を向上させる狙いがある」と報じ、19日にホワイトハウスでトランプ大統領と会談する際に参加を表明するらしい。
日本はバイデン政権時に極超音速滑空体に対抗するための専用迎撃弾=GPI開発への参加で合意し、防衛省は2024年11月「日本が開発を担当する部位(第2段ロケットモーター、第3段姿勢制御装置、キルビークルのロケットモーター、操舵装置、シーカーウインドウ)について三菱重工業に契約を授与した」と発表したが、GPIの実用化は予定よりも3年ほど遅れる見込みだ。

出典:防衛省
2024会計年度の国防権限法はMDAに対して「2029年末までにテスト用のGPI×12基以上の供給」「2032年末までにGPIの完全運用能力獲得」を義務付けているものの、MDAはDefense Newsの取材に「GPIが直面している主な問題は資金調達だ。今後3年から5年の間に解決しなければならない技術課題もあるが、そのために必要な(産業界の)リソース調整の問題がある。我々は計画全体のリスクを増加させることなく、開発スケジュールを2032年まで回復させることが出来ると信じているが、これはMDAが出来る最速のペースだ」と述べ、GPI実用化は資金と産業能力の不足によって3年遅れるかもしれないと示唆した。
さらに「衛星網の構築」についても米国の小型人工衛星群=コンステレーション計画との連携を表明済みで、読売新聞が説明するGolden Dome参加の狙いは過去の協力(GPI開発参加とコンステレーション計画との連携)をなぞって「中国やロシアが開発を進める極超音速滑空兵器などへの対処力を向上させる」と書いているだけで「Golden Domeの内容」には全く触れておらず、日本はGolden Domeに参加することで何を受け取れるのか、そのための費用負担はどれぐらいになるのか、その出資に見合うだけの雇用や産業界への恩恵が確保されるのか謎だらけだ。
日本のGolden Dome参加を批判したいわけではないが、せめて参加を伝える前に「Golden Dome参加が日本の防衛力向上に繋がるのかどうか」を「ふんわりとしたイメージ」ではなく、きちんと国会で議論したほうがいい。
このままでは誰も参加することでどうなるのか具体的に説明できないが「なんか凄い米国の計画に日本も参加する」という状態だ。
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※アイキャッチ画像の出典:首相官邸





















まあ日本としてはトランプ大統領に媚びを売らなければいけない立場ですから、ゴールデンドーム計画に参加しないという選択肢は無いでしょうね。
ゴールデンドームって米本土を守るシステムで、日本が参加するには米本土とは距離が離れすぎている様な気がしますが…?
この計画に日本が参加して何を得て、何をやるんでしょう、北海道に巨大イージスアショアでも置くんですかね
ゴールデンドームの本質は単なるミサイル防衛ではなく、マルチドメイン統合とHGVに対応するための宇宙でのセンサー層の整備なので充分に意味はありますね
RybarなどのOSINTも繰り返し宇宙ー大気圏層の防衛を訴えてますが、ここ自体はまともだと思います。
あまりにもトランプネームなのとシステム全体像がイメージでしか上がってこないのが疑問視される原因…
まあトランプはともかく軍はまともで、冷戦の開発競争中のように隠蔽と実態以上の大きなイメージを広げる情報統制を敷いてると思いたいですね
米に打つ国が日本の隣にしかないからね
米のミサイル防衛の強化は日本の防空能力の強化にも繋がる
身も蓋もない言い方をするなら、日本を巨大なレーダー空母にしたいんですよ
まだミサイル防衛の幻想にすがっているのか。呆れてしまう
貴殿がクビ切って浮かせた分のカネも使われるんですよねコレ…
何を作るか計画して、どのくらいの予算かが分からいないと、費用便益の判断はどうしようもないなあと…。
日本(極東)が置かれた、非常に厳しい安全保障環境を考えれば、対米外交の判断としてやるしかないのでしょうね。
既存のミサイル防衛システムは、かつての懸念であった「在庫と生産ペース」「コスト比」による消耗戦耐性に加えて飽和という弱点も実証された以上
このままではいられませんからね
しかし飽和攻撃に対処する為の同時処理能力と、消耗戦に耐え得るコストの両立は果たして可能なのか
裏方は今まさにGolden Domeのシステム要件書き直してる真っ最中でしょうね…
私には今のところ、トランプの金ピカ像に出資させられるのとどちらがマシかというイメージしかありません。
…せめてもう少しこっ恥ずかしくない名前になりませんかね?
管理人も書かれている通り「説明せぇ」ですけど、そもそも今誰か説明できるんですかねコレ?
総理から、トランプ本人すら「そこまでは言うとらん」ことがぶちまけられるのだけは本当にご勘弁…
昔を知ってるオジサンからするとスターウォーズ計画を思い出させますねGolden Dome構想。あれも結局実現しませんでしたが。
防空ミサイルの共同開発(輸出において韓国勢とバッティングしない日本の強み)や衛星網の構築の重要性はわかりますが、おそらく直近で必要になってくる中低空域のドローン対策の方が重要なのではと思ってしまいます。
前大戦の影響で戦後は軍、武器、安保=悪みたいな風潮が長らく続いたせいで政府側が国民に安全保障についての理解を期待していない面があって、こと安全保障については広報不足ですよね。
財政厳しい中、防衛費は上げざるえない状況になってるのでもっと情報公開、国会での議論、広報活動をしっかりやって欲しいです。
SDI自体は、実現しませんでしたが、要素技術は現代の兵器体系にいろいろ生かされているので、Golden Domeも何かしら、役に立つ技術がでてくるのでしょう(ふわっと)。
具体的な計画は不明ですが、新型迎撃ミサイルに使用される高性能電子部品など、日本が期待されている分野があるように思えます
トランプの壊滅的ネーミングセンスのせいで残念な感じに聞こえますけど、つまりはBMDのアップデートですから日本が加わらない理由は安全保障面では存続しないと思います。後は上手いことワークシェアを獲得してくれれば‥
青天井の開発費に数十兆円〜規模で出資させられて、肝心のシステムはブラックボックス、迎撃弾の生産はまたアメリカの都合に左右される(PAC-3MSE弾やSM-3のように)とかだったらごめんけど反対だな
逆に言えばそこがクリアできるなら大賛成なんだけど
対中朝だとイランと違って超音速滑空弾の雨が降るんだよなぁ
嫌すぎる。対抗するには核武装しかないように思える
言ってる事は大袈裟ですが、任期満了までに稼働するという事は既存システムのネットワーク化を進める程度でしょう。
今からだと、防空ミサイルの補充すら出来るかどうか分かりませんよ。
米メディア「何処にそんなカネが?」
トランプ「来週私のところに来るじゃないか」
断れない話ですし大金は動くでしょうからチャンスでもあるのでしょうが…
ふわふわしてて実現も疑問視な計画というのを置いておいても…絶賛批判だらけな戦争中にこれが発表されるのは間が悪い…
11月になればトランプ大統領がレームダック化するから
あまり変な約束する必要はないのでは?
というか皆さんマジレスしてるけどこれモノにはならんと思うわ
今回のイラン戦争の見通しの甘さとかトランプ自身の口から出てくる軍事知識の浅い浅い発言見るに、戦略的に組み立てられたプロジェクトには到底思えない
要求要件も開発費も定まってないのにあと3年ちょいで稼働を予定とかいう無茶振りもそうだし、自分が残したレガシーがとりあえず欲しいっていう思惑が見え見えやんけ
ゴールデンドームはオバマ政権の地域ミサイル防衛→第一次トランプ政権の中露に対する対応→バイデン政権のミッドコース段階への拡大の延長線上なんですよね
んで、実はゴールデンドームの構想自体も右派シンクタンクのヘリテージ財団が2022年に発表したプロジェクト2025で提唱されているので、計画自体は単なるトランプの思いつきではないと思います
というかGPIや衛星コンステレーションへの参加は前々からある話ですし
既存の計画に名前つけただけだと思いますよ
というかどうやっても中国との距離が近すぎる日本じゃあ、
撃ち漏らした弾道ミサイル降りそそぐのは避けられない思うだな。
迎撃と並行して、
基地や備蓄倉庫の分散、バンカーの整備とかも本気で取り組んでほしいな。
せっかく山岳だらけの国土でいくらでもトンネル掘れるんだから。
ホントにそう
防衛司令部は飛騨山脈の地下とかに造ればいいと思う
一時期の韓国みたいに、新築のビルには地下防空壕の設置を義務化とかしたら、エライことになるだろうなあ。
でもBMDよりかはマシな対策なんですけどね。実際。
名前から既に失敗兵器臭がするのはどうにかならないんですかね…