日本関連

日本企業がウクライナ企業に約16億円を出資、迎撃ドローンのグローバル展開を目指す

日本のテラドローンは3月31日「ウクライナ企業のアメイジング・ドローンと資本業務提携契約を締結して戦略的な出資を実施した」「両社は迎撃ドローン=Terra A1の発売を行い、ウクライナでの事業の拡大に加えてグローバル展開に向けた事業加速を推進していく」と発表した。

参考:テラドローン、ドローンが防衛のゲームチェンジャーとなる時代に、防衛装備品市場へ本格参入~次世代防衛システムを構築に向け、米国法人「Terra Defense」設立を推進~
参考:テラドローン、ウクライナの迎撃ドローン企業アメイジング・ドローンズ社に戦略的出資と迎撃ドローン「Terra A1」を新たに発売~「低コスト×大量化」時代の防衛インフラ構築へ~
参考:Japan’s Terra Drone Enters Ukraine’s Drone War With $3K Interceptors
参考:Ukraine–Japan Drone Alliance Builds a $2,000 Answer to a $2 Million Air Defense Problem
参考:Японська корпорація Terra Drone інвестує в українські дрони-перехоплювачі
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SkyRiderやTerra A1が実戦を通じて有効性を示すこと願っているが、テラドローンの防衛装備品市場=無人機分野への本格参入は容易ではない

日本のテラドローン株式会社は3月23日「防衛装備品市場への本格参入を決定した」「国際的な防衛アセットの最適供給とロジスティクス網の構築を目的とし、2026年度内を目途に米国法人のTerra Defense設立を進めていく」と発表し、無人システムのポートフォリオとしてFPVドローン、ロケット型迎撃ドローン、固定翼型迎撃ドローン、ジェットエンジン搭載型迎撃ドローン、偵察用ドローン、無人ボート、政府安全保障能力強化支援を通じて供給される防衛・警備に特化した日本製の機体を挙げて「日本、ウクライナ、NATO諸国、米国、その他の市場への段階的な展開を行っていく」と言及。

出典:Terra Drone

3月31日「ウクライナにおいて迎撃ドローンの開発・製造を行うAmazing Drones(アメイジング・ドローン)と資本業務提携契約を締結して戦略的な出資を実施した」「アメイジング・ドローンと迎撃ドローン=Terra A1の発売を行い、ウクライナでの事業の拡大に加えて同国で培われた技術知見の実用化やグローバル展開に向けた事業加速を推進していく」と発表し、日本メディアも大きく注目している。

テラドローンは実用化された製品(FPVドローン、ロケット型迎撃ドローン、固定翼型迎撃ドローン、ジェットエンジン搭載型迎撃ドローン、偵察用ドローン、無人ボート)をもっておらず、テラドローンが提携したアメイジング・ドローンの実力も未知数で何と言って良いのか良くわからない。

出典:Terra Drone

エンジニアと兵士の2人で2023年に設立されたアメイジング・ドローンの主力製品は「7~10インチまでのFPVドローン=HUMMEL」と「迎撃ドローン=SkyRider」で、後者は米陸軍の迎撃ドローンテストに用いられたことがあるものの、マクシム・クリメンコ最高経営責任者は迎撃ドローンの生産率について「作業員1人が1日2機組み立てられる程度」と明かしており、実戦経験や供給量においてWild HornetsのSTING(2025年5月以降に約3,900機のドローンを撃墜)やSkyFall’sのP1-SUN(運用開始から1,500機以上のShahedと1,000機以上のドローンを撃墜)とは比較にもならない。

テラドローンとアメイジング・ドローンが共同で発売するTerra A1はSkyRiderの派生バージョン(Terra A1とSkyRiderの外見上の違いは姿勢安定板を2枚付け足した感じ)だと思われ、日本とウクライナは防衛装備品及び技術の移転に関する協定を未締結で、ウクライナ政府も企業が海外に工場を建設して迎撃ドローンを販売することも含めて「迎撃ドローンの海外輸出」を禁止しているため、テラドローンとアメイジング・ドローンがどのようにビジネスを展開していくのかも未知数だ。

出典:UNITED24

UNITED24によればアメイジング・ドローンに対するテラドローンの出資額は1,000万ドル=約16億円で、UNITED24は「この資金援助はウクライナの現状においてまさに命綱だ。ウクライナでは成功を収めている防衛関連のスタートアップ企業でさえ銀行融資を受けるのに苦労しており、仮に融資を受けられたとしても金利は20%前後で、テラドローンは金利が2%前後で推移する日本資本を活用するで大きな成長の可能性を切り開いている」と指摘している。

テラドローンの投資はアメイジング・ドローンの迎撃ドローン開発と量産規模拡大に投資される予定で、SkyRiderやTerra A1が実戦を通じて有効性を示すこと願っているが、Shahedを迎撃可能と謳っているTerra A1の最高速度はSTINGやP1-SUNよりも遅く、2,500ドル~3,000ドルと公表された調達コストも競合と比べて安くなく、450km/hの速度で標的と交戦できるP1-SUNの調達コストはたったの1,000ドルだ。

出典:SkyFall

果たしてテラドローンは本格参入する防衛装備品市場=無人機分野でシェアをどう確保していくのか注目されるが、迎撃ドローンに限って言えば1,000万ドルの投資がTerra A1開発を加速させ、量産規模の拡大につながり、ウクライナ軍が十分な数のTerra A1を使用して結果を残せるかどうかにかかっている。

ウクライナで結果が残せなければ競争が激しい無人機分野市場でTerra A1が生き残るのは相当難しいだろう。

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※アイキャッチ画像の出典:Terra Drone

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コメント

  • コメント (17)

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    • AKI
    • 2026年 4月 04日

    技術というより、現場で育てたノウハウの吸収が目的か。

    21
    • たむごん
    • 2026年 4月 04日

    テラドローン年間の赤字額を、他国に出資とは大胆ですね…。

    本業の業績が冴えない中で、『他国』『軍事分野』ともなれば、なかなかハードには感じます。

    11
      • SB
      • 2026年 4月 05日

      いやまあ先行投資段階なので別に赤字は当たり前なんですけどね
      運行管理事業が赤字なのはいただけませんが

      14
        • バーナーキング
        • 2026年 4月 05日

        運行管理事業こそ先行投資段階なのでは。

        そしてUTM技術は防空技術にも直結する訳で、今回の迎撃ドローンが「格安MANPADS」ではなく、「広域防空システムの最下層SAM」として機能するのだとしたらそれなりに魅力的に見えてきます。

        2
        • たむごん
        • 2026年 4月 05日

        今後に、期待したいと思います。

        2
      • nachteule
      • 2026年 4月 05日

       防衛分野では無いがここの海外展開なんて幾つもあるんだから他国だけと言うのがハードルになる事は無いでしょうよ。オマケに世界トップレベルの運航管理システムを開発している拠点だってあるんから。サウジ拠点は出資を受けた側で、従来の測量・点検に加えて施設防衛が加わわってトータルでサービス提供とか全然有り得る話。

       少なくとも国内防需需要だけに甘んじて温い環境で利益を得る訳でもなく世界に打って出る為に、今まで無かった米国拠点を作っているのは評価出来るでしょう。コモディティ化も進んでいくだろうし機体性能や運行能力で何かしら抜きん出た物を作るつもりがなければ生き残りは難しいのは目に見えて分かる事だから何かしらの勝ち筋はあるんでしょう。

       国内需要なら円安で海外製仕入れるならコスト面で優位になりうるし、海外にしても数が売れるなら為替差益が期待出来る。日本ならメーカーが許せば自動車用のレーダーや各種性能のカメラも選び放題だし、使い捨てで無いドローンには高価なパーツを使用するとかの棲み分けもするでしょう。

      1
        • たむごん
        • 2026年 4月 05日

        日本の新興市場、上場ゴールに懐疑的な視線が集まっていたのですが、ここは防衛産業というテーマで再注目されたんですよね。

        日本の防衛を考えれば、国産ドローン生産・ドローン企業が増えるのは歓迎ですから、これからも飛躍していくことを願っています。

        1
          • バーナーキング
          • 2026年 4月 05日

          TERRA Dolphinの初期から防衛用途を前提に官民協力して進めてればなぁ、と思わないではありませんけどね。
          まあ遅まきながらでも防衛に参加してくれるのはありがたい。

          2
            • たむごん
            • 2026年 4月 05日

            仰る通りです。

            何らかの商機を掴めたかもしれないわけですが、今後に期待したいと思います。

            • バーナーキング
            • 2026年 4月 11日

            テラ・ラボ別企業なのは理解してたけど関係すらなかったのね…orz

    • 中村
    • 2026年 4月 04日

     要はクアッドコプター型のドローンに風防と主翼を付けて垂直離陸と水平飛行を両立させた機体ですから誰でもマネできるんでしょう。

     前に連隊だか大隊ごとに町工場と契約してみたいな記事を読んだし、今頃はウクライナ中がパチモンであふれかえってるのでは?

    9
    • T.T
    • 2026年 4月 04日

    偏見だけど、なんか怪しくて汚職の匂いがする。

    30
    • ガテマヌ
    • 2026年 4月 04日

    なかなかないことだから応援したい

    3
    • 田中太郎
    • 2026年 4月 04日

    ハードルは高いだろうが、一つ確実に言えるのは何もしないよりかはずっと良いだろう。

    12
    • バーナーキング
    • 2026年 4月 04日

    対シャヘド136(縦横3m前後)相手に肉眼で見えるのは10kmかそこら。
    射程30kmの迎撃手段を有効活用するには何かしらのF2T2手段が必要な訳で、数倍、数千ドルのコスト差はその辺との連接能力次第で覆る可能性はあると思う。
    あとウクライナが迎撃ドローンの海外輸出を制限してるからこそ、共同開発だか日米烏三店方式だかでウクライナの知財をグローバル展開できたら金になる、という面もありそう。
    まあ誰かが誰かに騙くらかされてる可能性も否定はできませんが。

    10
    • nachteule
    • 2026年 4月 05日

     コストは初期ロットなら高くなるのは当たり前で量産が軌道に乗れば価格は下がっていくだろうし。迎撃ドローンとしては高価かも知れないがロシアのゲランに対してだってかなり安く済む状態なのは間違いない。より小型で安価なドローンに対しては機体のコストで判断するのではなく受けたはずの損害に対して比較するならペイはするでしょう。

      性能に関しても今公表されているのが本当の実力かは疑問なので、性能だけを比較して判断しても良いのかとは思いますねモーターだから電力があればいくらでも速度調節が出来る。戦闘機が最高速度で最大航続距離を飛ぶとか誰も思いません、アフターバーナー使用すれば10数分ともたないでしょう。
     WikiのP1-Sunのデータが概ね正確で戦闘半径が15kmなら最大距離はその2倍でTerra A1の下限30kmに近い。P1-Sunが最高速度しか出せないなら飛行可能時間は4分で言われている15分とはほど遠い。単純に航続距離と飛行可能時間を考慮するなら最大航続距離30kmを狙う場合だと巡航速度は120km/h位でしょう、性能は近い物があるんじゃないかと思うし猛ダッシュかけたら300km/hをはるかに超えるんじゃないですかね。

     確かに速度が重要な面はあるが、そこはミサイル防衛と同じで標的の未来位置を正確に予想して先回りして迎撃に動き低速を補うとかあるだろうし、速度優位で後追いして撃墜したいのであればもう何十万か高価な物にするとか選択肢になるでしょう。安くても長期保管に向かないとか命中率が下がって使える人も少ないよりは、高くても長期保管しても問題が起きづらく命中率が高くユーザーフレンドリーな物を作って差別化でも良いんじゃないだろうか。
     日本の環境は外車の例もあるように劣悪であって日本環境で長期運用可能、後は極寒や灼熱地域でのテストして改善すればセールスポイントになるんじゃないですかね。P1-Sunは作るそばから消費して長期保管の実績なんて無いし保護に関してはどこまでの耐久性があるかは不明です。
     カメラ認識にしたって環境によって光の屈折で甘くなるとかあるだろうし、ランクルやタフブックみたいに色々な環境で最高のパフォーマンス発揮出来ますからプレミア付けますでも良い気がする。

    1
      • バーナーキング
      • 2026年 4月 05日

      P1-Sunは迎撃失敗して帰還することなんて考えてないと思うので戦闘半径15kmはそのまま有効射程とほぼイコールじゃないかなぁ。

      1

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