日経新聞は30日「日英防衛相が次期戦闘機開発で連携と一致 2035年までに量産機配備へ」と報じたが、日経新聞の英字版=Nikkei Asiaは「英国はGCAPプログラムを巡り懸念とタイムリミットに直面している」と報じ、現在の開発作業に対する資金供給は今月末に切れるかもしれない。
参考:日英防衛相、次期戦闘機開発で連携と一致 35年までに量産機配備へ
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仮につなぎ契約が切れて資金供給が滞るとGCAP開発作業はどうなるのかだが、BAEシステムズは確保している人員の配置転換を行う以外にないという
防衛省は30日「シャングリラ会合出席のためシンガポールを訪問中の小泉防衛大臣はヒーリー英国防相と会談を実施し、日英防衛協力の着実な進展を歓迎するとともに次期戦闘機共同開発プログラム=GCAP を含む日英防衛協力のさらなる強化に向けて、今後も緊密に連携していくことを確認した」と発表し、日経新聞も「小泉防衛相が英国のヒーリー国防相と会談し、日英伊で取り組む次期戦闘機の開発に向けて緊密な連携を続けると申し合わせた」「2035年までに量産機の配備を目指す」と報じたが、日経新聞の英字版=Nikkei AsiaはGCAPの状況について辛辣に報じている。
5月30日、シャングリラ会合出席のためシンガポールを訪問中の小泉防衛大臣は、ヒーリー英国防相と会談を実施し、日英防衛協力の着実な進展を歓迎するとともに、次期戦闘機共同開発プログラム( #GCAP )を含む日英防衛協力のさらなる強化に向けて、今後も緊密に連携していくことを確認しました🇯🇵🤝🇬🇧… pic.twitter.com/Me4HPqspDz
— 防衛省・自衛隊 (@ModJapan_jp) May 30, 2026
Nikkei Asiaは31日「英国は日本とイタリアと共同開発している次世代戦闘機=GCAPへの資金提供を早急に承認するよう圧力を受けている」「ドイツやカナダといった同盟国もGCAP計画への参加を検討しているからだ」と報じ、日本メディアにしては珍しく「GCAP本格開発に向けた複数年契約が締結できない原因=国防費増額と国防投資計画(DIP)の問題」に詳しく言及している。
“英国の対応が遅れている理由の一部にはリーブス財務相が高騰する借入コストの抑制を目的とした「厳格な財政規律の維持」を自身の責務としている事情がある。英政府は3月、6月末までの設計およびエンジニアリング作業を維持するため6億8,600万ポンドのつなぎ資金拠出を承認した。これにより約60億ポンド規模に上ると報じられている長期契約合意に向けた時間を確保した。中国の覇権拡大を背景に燻るインド太平洋地域の緊張状態、そして既存戦闘機の更新という喫緊の課題が「GCAP配備目標=2035年」を死守しようとする日本の姿勢を一層強硬なものにしている”

出典:Edgewing
“国際戦略研究所(IISS)の日本安全保障研究シニアフェローであるロバート・ウォード氏は「インド太平洋地域の安全保障環境が悪化の一途を辿るなか、日本は英国のDIPの遅れによって次期戦闘機の2035年配備目標が先送りされることを危惧している」と述べた。GCAP計画は2035年の配備目標に向けて急ピッチで進められるなか、複数のアナリストは「英伊日の3カ国がスケジュール遵守と新たな技術的・財政的協力が得られる新規パートナー国の受け入れとの間でバランスを取る必要に迫られるだろう」と分析している”
“英シンクタンク=Council on Geostrategyのベネディクト・バクセンデール・スミス氏も「これ以上の開発遅延は日本の将来戦力にギャップを生じさせる恐れがある」「新たなパートナーの参加は開発分担の見直しや各国の独自技術統合交渉による混乱を招き、さらなるスケジュール遅延を来すリスクがある」「それでも機体の量産化に漕ぎ着けられれば新たなパートナー国の参加=調達規模の拡大という極めて合理的なメリットがある」と指摘した”

出典:UK Ministry of Defence
“ロンドン大学キングス・カレッジのアレッシオ・パタラーノ教授も「問題の所在は、GCAP計画が今後10年間を対象とした包括的な財政支出見直しの一部に組み込まれている点にある」「そのため政府が直面している困難は、単一のプログラムに対するコミットメントを確保することではなく、多種多様な防衛プログラムへの予算配分のバランスをどう取るかという点に集約される」と指摘した”
スターマー政権による国防費増額(180億ポンド)と国防投資計画の5月中発表は不発に終わり、現在は7月7日~8日にトルコで開催されるNATO首脳会談に先立ち「国防費増額と国防投資計画を同時に発表する」と予想されているものの、スターマー政権は国防費増額と国防投資計画の財政的裏付け=財源確保を巡って財務省と対立し、大敗した選挙戦の後始末、労働党内からの批判、党首選への圧力にも晒されて「政治的には国防費増額と国防投資計画について議論している場合ではない」となるが、NATO首脳会談も控えているためGDP比3.5%への道筋も示さなければならない。

出典:UK Prime Minister
仮につなぎ契約が切れて資金供給が滞ると「GCAP開発作業はどうなるのか」だが、BAEシステムズはFinancial Timesの取材に「仮に契約が切れ資金流入が途絶えれば、産業界としてはコストを抑制するため人員(英国国内だけで4,000名以上/BAEシステムズ単独でも1,800〜2,000名)の配置転換を行う以外に選択肢がない」「このリスクについては関係するすべての当事者が明確に理解している」「我々はそのような事態に陥ることを決して望んではいない」と述べたことがある。
ちなみに英国防省は2023年「今後10年間で負担しなければならないGCAP開発費用は120億ポンド(英国負担分のみ)に達する」と、イタリアのクロゼット国防相は2026年1月「GCAPの研究・開発フェーズ1~2(概念評価、予備設計、本格開発)の費用負担として186億ユーロ(イタリア負担分のみ)と見積もっている」と報告し、英伊日が研究・開発フェーズ1~2で負担する総額は10兆円を超える可能性が高く、ここにプロトタイプの開発、テスト飛行、サブシステム統合にかかる費用が含まれているのかどうかも不明で、もちろん完成したGCAPを取得して維持していくコストもここに含まれていない。

出典:Edgewing
仮にGCAPの調達単価が200億円で100機調達すると2兆円、戦闘機の運用・維持コストは取得コストの2.5倍~3倍と言われるため、日本が次世代戦闘機の開発、取得、運用に投資する資金=ライフサイクルコストは単独で10兆円に近い数字になるかもしれないが、ここには段階的なアップグレード、無人戦闘機や搭載兵器の調達コストなどは含まれておらず、GCAPを中心とした第6世代戦闘機のファミリーシステム全体に幾らかかるのかは誰にも分かっていないはずだ。
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※アイキャッチ画像の出典:GlobalCombatAir




















もうBAEのエンジニア大量に引き抜くか、買収しない?
そしてGCAP+αの負担で経営破綻したところを安く買い戻される未来が見えます
英レオナルドの人員もいるだろうからやるにしてもイタリアと折半だろう。
なにが悲しゅう手レオナルドの文まで尻ふく必要があるのかと
ウクライナ戦争で高価値目標がドローン攻撃で損失を受けていってる現状を鑑みると、このような高級資産をドローン管制機として使うのはだいぶリスクよなぁ。
最終的に管制母体が航空機ですらなくなる可能性も無きにしも非ず。
固定の地上施設はもっと脆弱だし車両はサイズに限界があるし、洋上プラットフォームはもっと高額なので…
要するに「なんでもいい」ということです。
別に無理に航空機じゃいけないことはないという。
戦闘機に限定されず、状況によって船でも基地でも車両でも前線指揮所でも、柔軟に管制母体を変更できる。そういうの。敵からすれば「どれが管制母体なのか分からない」となるし、一つ叩けても別が引き継いでくる。
一種類の戦闘機でしか管制できないというのはお値段以上に同機種の価値を引き上げるので、最終的にこういう形になるんじゃないかなぁと。
大型通信装置を背負った装甲歩兵→機能強化した装甲倍力服→“ATサイズのキュベレイ(デザインは地味)”希望。
「戦闘機に限らない」には同意します。R/EC-2やP-1でのCCA運用の可能性とかは少し前に私もここに書いてますし。
ただ「航空機以外」となると生存性、キャパシティ、展開能力を考えてかなり厳しいと思うんですよね。
展開する必要のない防空系はまた話が別ですが。
P-1やC-2を母体にするのは無人機の管制能力的にありだと思うのですが、早期警戒管制機の二の舞でハブの部分を狙われそうで怖い気持ちもあります。
戦闘機は管制能力は低いですが、ステルス性と機動性で生存性が高く、万が一の撃墜時にも人的コストがマシなので。
bladeさんの言う航空機以外だと、イランのミサイル発射機の生存性の高さから、車両タイプもあってもいいかもしれません。(沿岸部のトンネル整備とセットで)
ミサイル発射機の生存性はシュート&ストークありきだと思うんですよね。前線UAVとの見通し線を確保したい管制車に同等の生存性は望めないんじゃないかなぁ。
管制車両から中継機挟んでCCAでも無理ですかね…
輸送機ベースだと乗員損失や撃墜時コストが大きそうでこわいんですよね。
自国領の海岸線に近い山で待ち伏せなら何とか……って何台要るんだって話ですね
ウクライナ、ロシア双方がドローンをひたすら撃ってるけど一向に先に進めてないのが答えじゃないかな
どうにもならなければ日本がイギリスの分を拠出して、イギリスに利子付けて返済させるとかするのだろうか。
F-2後継は待った無しどころか、前倒しにできるならいくらでもしたほうが良いくらいだし。
企業はもちろん英伊政府だってGCAP遅延は歓迎しないだろうし。
GCAPについては高市総理のイギリス・イタリア訪問、G7サミット、7月のNATO会議のいずれかで情報出てくるでしょうからそれまでは待ちたいですね。BAEもそれまでは開発チームを動かす事ないでしょうから。
連携無人機も次期中距離空対空誘導弾も2035年配備を目途に開発してますから、日本としては技術面ならともかく政治的理由でのスケジュールの遅延は許容出来ないですよね。
追記
共同通信の記事
7月末のファンボロー国際航空ショーに合わせて日英伊防衛相の会談予定、ここでカナダのオブザーバー参加が正式に認められるそうなので、一連の予算問題もこの辺で動きがあると思います。
日本が対中国の最前線に対して、イギリスは対ロシア(?)としても緩衝国が大量にありますから、危機感が全然違うだろうなと。
スターマー政権、ずっと支持率10%台+地方選挙ボコボコに負けてしまい、レームダックすぎて指導力を期待するのは時間の無駄と思いますよ。
もし2035年に間に合わなかった場合の日本のプランBはあるんだろうか…実は裏で単独開発に向けて色々動いてたりしてくれたりしてないかしら(単独開発が現実的かはともかく)
日本政府、その手の『プランB』が苦手な印象があります。
言霊ではないけど、過去の発言や計画に縛られ過ぎて、融通が効かない印象。
単なる印象論ですけど。
F-35の熟成も遅々として進まないし、F-2は時間切れが迫っているし、『プランB』を用意して欲しい所ですが。
日本が低金利でイギリスに貸し付けて資金確保させるしかなんじゃないかな?
ワークシェアとは別に資金で発言権を買うというか。金出さないなら、金を出す日本のこと聞けって感じで。
舌が何枚あろうが実弾の前には役に立たないでしょ。
英国が資金調達に苦労している理由は、信用がなくなってしまったからです。
つまり日本が貸すにしても、結局貸し倒れのリスクはかなり高いですよ。
それに、英国に貸すには日本が国債を発行することになりますが、その国債発行は限界に達してますのでもう無理です。
ガソリン補助とやらに3兆円の国債を発行するとかしないとかで揉めてます。
それなら英国債を日本が引き受けたら解決しません?外貨準備高いまだ西側1位ですし資金だけの問題だから逆に日本が有利になりそう
BAEやレオナルドの技術やノウハウが使えてイギリスやイタリアの資金を肩代わりしたら貸し倒れている状態の方が良いまであるかもしれない
懸念は肩代わりするに当たってどれぐらい有利な条件を引き出せるかとこれから開発費がどれぐらい追加で必要になるかとかでしょうか
トータルコストの展望について精査し、実現できるものと必要なコストについて可能な限り明確化する必要があると思います。
F-3計画当時と比較して、どういう内容が増えたのか。なぜ総コストが当たり前のように爆増しているのか。
説明する必要はあるのではないでしょうか。
英国もイタリアも予算限界がすぐそこに見えている状況ですし、運用終了までのライフサイクルコストを予想して、財政的に許容可能なプロジェクトなのかどうか吟味し、現実的な範囲に計画を縮小することも考慮するべきではないでしょうか。
リンク
コストダウンの努力はしているものの……これはまた日本が英国に圧をかけたところでどうにかなる問題ではなさそうですな。
> 開発には加わらないものの、購入に関心を寄せる国を想定
つまりワークシェアとか技術アクセスより早期の調達を優先する国、ということですね。
ワークシェアの再配分等による遅延の原因にならない上、早期開発への圧力になりますから、日本としてはこの状況では受け入れざるを得ない、というかむしろ歓迎でしょう。
問題はそんな条件に合致する国カナダ以外にちょっと思いつかず、カナダの導入規模はたかが知れてることですが。
日本は今後GIGOの範囲内で調整出来る国ならオブザーバー参加を認めていく感じですかね。
記事の感じだとカナダが第1弾となっているので複数の国が候補に上がってるとは思います。
前から名前の上がっているサウジアラビア辺りはどうなんでしょうね。導入規模も期待できますが。
>つまりワークシェアとか技術アクセスより早期の調達を優先する国
オブザーバー参加国は通常「少額の参加費用」を支払い、将来に下す決定のため「プログラムの具体的な情報」や「ある程度の機密情報」にアクセスできるようになるだけで、オブザーバー参加国の段階で「開発資金の拠出」や「完成した機体の購入」は何も約束されません。
そして100%断言できるのは「開発資金の拠出」を伴う計画参加をする国は必ず出資に応じたワークシェアを要求してきます。開発には加わらないものの購入に関心を寄せる国は「見返りのない未完成の機体購入」に先払いはしませんし、開発にもサプライヤーに加われない機体の購入申し込みは機体が完成し、運用実績や評価を見極めてからで十分です。
開発やワークシェアに口を出さず金だけ出してくる国、まだ姿も形もない機体購入の確約だけしてくれる国など、英伊日にとって都合がいい国など存在しないので「現状の問題=資金不足や負担分散」を現実的に解決するにはワークシェアの再分配=プログラム遅延は避けられないと思いますよ。