日本経済新聞は17日「三菱重工業が防衛ドローンの開発を急いでいる。迎撃ドローンの量産試作機を開発し、防衛省への提案も視野に入れる」と報じ、資金力や従来の防衛装備品開発で培ってきた技術力をもつ三菱重工の参入は防衛スタートアップ企業にとって脅威だろう。
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参考:テラドローン、固定翼型迎撃ドローン「Terra A2」も長距離自爆型攻撃用無人機「シャヘド」の迎撃成功
参考:テラドローンの子会社Unifly、欧州最大級の防衛企業MBDAとパートナーシップ契約を締結
参考:テラドローン、欧州防衛事業の拠点としてエストニアに新会社「Terra Defense Europe」を設立
参考:テラドローン、ウクライナの迎撃ドローン企業アメイジング・ドローンズ社を連結子会社化
参考:テラドローン、ウクライナの固定翼型迎撃ドローン企業ウィニーラボ社を連結子会社化
参考:テラドローン、ウクライナの固定翼型UAVメーカーベソマー社と偵察用ドローンを提供するJV設立準備開始と「Terra C1」を発表
参考:Unifly and MBDA Sign Partnership Agreement
テラドローンにとって三菱重工の迎撃ドローン分野参入は脅威だが、ウクライナを含む欧州での事業展開は違いを作り出すのに一役買うかもしれない
防衛省は5月27日、沿岸防衛体制シールドに含まれる「レーダーサイト防衛用UAV」の情報・提案要求書を公開し、この中でレーダーサイト防衛用UAVについて「敵のUAVを探知・識別し、これを迎撃UAVにより対処することでレーダーサイト等を防護し得るシステム=迎撃UAVシステム」と定義し「製造・販売に関連する実績又は技術的な知見、能力等を有する企業等から情報・提案を広く募集し、今後、企業等から提出された情報・提案の内容を踏まえ、その早期装備化に向けて事業の具体化を行っていく」と説明。

出典:防衛省・自衛隊
迎撃UAVシステムの概要については「レーダーサイトやその付近に展開し、遠方から飛来する長射程自爆型UAVの同時多数攻撃に対し、発射した迎撃UAVにより有効に対処するために運用できるもの」と説明、そして「レーダー、指揮統制及び迎撃UAVが連接されたシステム」「迎撃UAVのカメラ映像を見ながら地上要員が迎撃UAVを操縦する仕様ではなく、地上装置から自動誘導される迎撃UAV」「システムの展開後は2名以下の要員で防空戦闘が実施できるもの」「維持整備について故障診断、部品交換、定期整備等を部外委託できるもの、それが困難な場合は専門的知見を有しない要員により維持整備し得る簡易性を有するもの」を要求。
さらに「諸外国軍隊等で既に運用され、シャヘド136等の長射程自爆型UAVを撃墜している実績を有しているもの」「他社のレーダー、エフェクター等と短期間で連接運用し得る拡張性及び適応性を有するシステム」も要求し、装備化までの望ましいスケジュールについては「令和9年度又は遅くとも令和10年度とする」と記述しており、2027年度もしくは2028年度までに迎撃UAVシステムを装備化したいらしい。

出典:防衛省・自衛隊
防衛省は迎撃ドローン早期取得プログラムの実施を6月5日に発表し、この中で「昨今の安全保障における攻撃型の無人航空機及びそれに対する迎撃ドローンの役割の飛躍的な向上を踏まえ、自衛隊ではより迅速に、より実効性のある迎撃ドローンを獲得し、駐屯地、基地、艦艇等の防御能力向上への寄与度等を確認するため、令和8年7月に迎撃ドローンを用いた実証試験を計画している。本事業の実施にあたり装備品等に関連する実績、知見、能力を有する民間企業者のうち、迎撃ドローンに関する提案を行う意思のある企業を広く募集し、7月の実証試験のための迎撃ドローンを調達することを想定している」と言及。
防衛省は迎撃ドローンについて「概ね高度18,000ft=5,486m未満、速度250kt=463km/h程度で飛行する無人航空機(重量600kg以下)、特に長射程自爆型UAV(例えばシャヘド型やHARPY型等)に対処する無人航空機=米軍基準のGroup3以下の無人機に相当」「遠隔管制装置及び搭載装置(ソフトウェア及びハードウェア)の操作指示により遠隔操縦が可能な飛行体」と定義しており、迎撃UAVシステムで要求した「地上装置から自動誘導される迎撃UAV」とは異なり「カメラ映像を見ながら地上要員が操縦する仕様」の迎撃ドローンかもしれない。

出典:Wild Hornets
令和8年7月上旬までに実証試験に用いる迎撃ドローンを選定(複数機種を選定する可能性有り)し、令和8年7月下旬~8月上旬までに迎撃ドローンを取得して実証試験を実施、令和8年8月下旬までに量産調達契約を締結して令和8年9月の納入を予定しているが「実証試験の結果によっては量産調達契約を実施しない」とも言及している。
日本経済新聞は17日「護衛艦やミサイルなどの印象が強い三菱重工業が防衛ドローンの開発を急いでいる。迎撃ドローンの量産試作機を開発し、未公表だった攻撃型の存在も小泉進次郎防衛相のSNS投稿で明らかになった。ウクライナや中東の紛争で主要な役割を担うドローンの開発が日本でも本格化する」「三菱重工の伊藤栄作社長は『カウンター(迎撃)ドローンを研究所と事業部門が連携して3カ月で開発した』と明かした」「飛来してきた敵ドローンを味方のドローンで撃ち落とす『迎撃ドローン』の量産型試作機を開発し、防衛省への採用を目指し提案することも視野に入れる」と報じた。
三菱重工の皆さんからはミサイルだけでなく、様々な種類のドローンについても説明を受けました。日本も年間100万機を超える生産能力を持てると自信を深めました。防衛産業で働く皆さんにも日頃の感謝を伝えることが出来たことも嬉しかったです。ありがとうございました! pic.twitter.com/kNtSo9wfJD
— 小泉進次郎 (@shinjirokoiz) May 20, 2026
三菱重工が開発した量産型試作機の迎撃ドローンがレーダーサイト防衛用UAVの迎撃UAVシステム向けなのか、迎撃ドローン早期取得プログラム向けなのかは不明だが、日本の防衛プライムが迎撃ドローン分野に参入してきたことは「従来の防衛装備品開発だけではニーズに対応できない」と強く示唆しており、同時に資金力や従来の防衛装備品開発で培ってきた技術力をもつ三菱重工の参入はテラドローンやJISDAなどといった防衛スタートアップ企業にとっては脅威だろう。
テラドローンは15日「Terra A1に続き固定翼タイプの迎撃ドローン=Terra A2がウクライナでシャヘド迎撃に成功した」「Terra A1を開発するウクライナ企業のアメイジング・ドローンズを当社の連結子会社とした」「Terra A2を開発するウクライナ企業のウィニーラボを当社の連結子会社とした」「テラドローンの子会社であるTerra Inspectioneeringを通じてウクライナ企業のベソマーと偵察用ドローン(Terra C1)提供を目的とした合弁会社(JV)の設立に向けた準備を開始した」と発表し、ウクライナでの実戦経験と現地での開発体制を強化することで三菱重工との違いを作り出そうとしている。

出典:Terra Defense
さらに「テラドローンの子会社=ベルギー企業のユニフライが提供する国家航空向けに警戒管理システム(UTM)は同市場でNo.1のシェアを保有しており、MBDAと対象空域内の不審ドローンに対して警戒・識別・対処を一気通貫で行うカウンタードローンプラットフォームの実現に向けたパートナーシップ契約を締結した」「Terra A1およびTerra A2とユニフライのUTMを活用したカウンタードローンプラットフォームを実現させることでテラドローングループが提供するソリューションの競争力をさらに高めていく」と発表したが、注目すべきはテラドローンがEUの資金を狙って欧州防衛事業の直接的な拠点を設立したことだろう。
EUは欧州再軍備計画の一環として「加盟国の再軍備を加速させる融資プログラム=Security Action for Europe」を立ち上げ、これに大きな注目が集まっているのは「トリプルAに格付けされるEU債券を通じて再軍備に必要な資金を調達できる」「財政状況が厳しい加盟国にとってソブリン市場よりも有利な条件(推定金利3.3%/10年間の元金返済猶予/最長45年返済)で資金を調達することができる」という点で、トリプルAに格付けされていないEU加盟国にとっては「SAFE融資を活用すれば資金調達コストを大幅に削減できる」という意味だ。

出典:European Commission
欧州委員会は現在までに16つの加盟国が申請したSAFE融資計画を承認、これをEU理事会も承認して申請国への資金供給(16つの加盟国への融資額は約1,120億ユーロ=約20兆円)が始まっているが、SAFE融資の資金は最低でも加盟国2ヶ国が共同購入するもの、購入する装備品が欧州域内で製造されていること、構成部品の域外調達が装備品価格の35%以下であること、装備品の設計権限がEU域内にあるか移転されることなどを満たしたものにしか使用できない。
テラドローンは15日「欧州防衛事業の拠点としてエストニアにTerra Defense Europeを設立した。同社を欧州防衛事業の中核拠点と位置づけ、ウクライナ企業との連携を通じて展開するTerra A1、Terra A2、Terra C1をはじめとした防衛用途の無人アセットについて欧州域内での事業開発、供給、保守・運用支援体制の構築を進めていく」と発表。

出典:Terra Defense
“現在、欧州では安全保障環境の変化を背景に防衛能力の強化と域内防衛産業基盤の拡充に向けた取り組みが進んでいる。EUでは共同調達や防衛産業の生産能力強化を目的とした「SAFE」により最大1,500億ユーロの融資枠が設けられ、防衛産業の生産能力拡大や安定供給を目的とする「EDIP」も進められている。これらの枠組みでは欧州域内の産業基盤や現地パートナーとの連携が重要性を増している”
“一方で、防衛用途の無人航空機および関連システムを国際的に展開する上では各国・地域の制度や安全保障上の要請を踏まえた体制構築が不可欠だ。高度な防衛装備品の国際移転には各国の輸出管理制度に基づく審査・調整プロセスが伴い、実運用までに一定の時間を要するケースもある。こうした環境を踏まえ、テラドローンは日本からの直接的な供給モデルに加え、需要地に近い欧州域内に事業基盤を構築することで防衛用途の無人アセットの事業開発、供給、保守・運用支援、ロジスティクス管理を一体的に担う体制が必要であると判断した”

出典:European Commission
“Terra Defense Europeは欧州防衛市場における事業開発、現地パートナー連携、顧客対応を担う拠点として、欧州防衛基金(EDF)や欧州防衛産業プログラム(EDIP)をはじめとする欧州の防衛関連プログラムへの参画可能性を高めることも目的としている。EDFやEDIPでは欧州域内企業を中心としたコンソーシアム形成、研究開発、量産・供給能力の強化、ウクライナ企業との協力などが重視されており、現地法人および欧州防衛プライムとの連携が重要になる”
“こうした背景を踏まえテラドローングループは、欧州防衛プライムの中でもレーダー、防空・監視システム、電子戦(EW)、指揮統制(C4ISR)領域で高いプレゼンスを有するスペインのインドラとの提携可能性について検討を開始した”
三菱重工の皆さんからはミサイルだけでなく、様々な種類のドローンについても説明を受けました。日本も年間100万機を超える生産能力を持てると自信を深めました。防衛産業で働く皆さんにも日頃の感謝を伝えることが出来たことも嬉しかったです。ありがとうございました! pic.twitter.com/kNtSo9wfJD
— 小泉進次郎 (@shinjirokoiz) May 20, 2026
子会社のユニフライを通じたMBDAとの事業パートナーシップ、さらにはスペインのインドラと提携することを模索しており、この徹底的な現地化と欧州企業との協力は韓国企業が欧州市場に参入するアプローチと同じで、資金力や従来の防衛装備品開発で培ってきた技術力だけで見れば三菱重工の迎撃ドローン分野参入はテラドローンにとって脅威だが、ウクライナでの動きまで含めた欧州での事業展開から得られる経験やノウハウは三菱重工との違いを作り出すのに一役買うかもしれない。
ちなみに、日本経済新聞は「小泉防衛相が5月に愛知県にある三菱重工の施設を視察した際、Xに投稿した写真にこれまで未公表だった攻撃ドローンや低コストの大量生産型とみられる小型機体が映り込んだ」と報じているが、手前に映る攻撃用UAVはどうみてもポーランドのWB Groupが製造している徘徊型弾薬のウォーメイトだ。
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※アイキャッチ画像の出典:小泉進次郎





















テラドローンの株価が下がって、重工の株が上がったのはそういう背景もあったのか
イチ投資家として言わせて貰えば、そこまでの影響は無いと思う。先週金曜日にH-3打ち上げ成功でそこまで吹き上げって無いのにドローン絡みで目に見えて上がるかと言えば疑問。今週上がっているのはホルムズ海峡問題が楽観レベルにまで改善したのが1番大きいでしょう。
三菱重工上昇は主に3つあると思っていて、石油の影響は三菱重工本体にもその製品群を必要とする顧客の購入意欲にも影響するからインパクトは比較にならない。次に原発関連銘柄が上昇している。
最後に6/12時点で信用売り残が増えて信用買い残が減っていて下がる方に掛けていた奴がかなり居たので、月曜のグッドニュースで空売りの買い戻し(ショートスクイーズ)が発生したからじゃないかな。
やっぱり石油調達の見通しが明るくなったのが主要因か
それにしても重工が軍事へ本気でリソース割き始めたのは、頼もしさがある
工業力を持つ大企業の参入は一国民としては頼もしく思う
でも競争がなくて値上りしたら意味ないから、テラドローンのようなスタートアップ企業も頑張って欲しい
三菱重工自身、自社オンリーに拘らずに国内のスタートアップ企業に研究開発設備を提供したり技術提供したりもしてるらしいので、従来よりかなり柔軟に動いてる感じみたいですね
一昔前を考えるとびっくりですわ
株主の立場ではないため、気軽に言えてしまいますが、
MSJやアイーダ・プリマ/ペルラ他で巨額損失になっても、三菱重工自身が「自社が得意なもの・足りないもの」に気付き、適応を始めているのであればヨシとするべきなんでしょうね。
非対称戦最強のドローンはコスパが重要視されるけど図体デカい三菱重工が最も苦手にしてるとこじゃないか?世界のドローン企業見ても発想が柔軟なベンチャーや中小企業のほうが向いてると思うけどな。
昭和の頃なら、フェアレディZやPC-98などの創造秘話みたいな動きも期待出来ただろうけど、
令和の大企業だと厳しそうな印象だよね。
相乗効果で良いんじゃないの
テラドローンは重工には持ち合わせないフットワークの軽さや
しがらみなど縛られない自由さが戦場には合致しそうだし
いやードローン後進国だった日本にもようやく光明が見えてきた
まあ三菱重工もウクライナ企業に投資して
実戦ノウハウ手に入れるだろうし
なんならテラドローンも買収
テラドローン経営陣見りゃ文系だらけで
とても三菱重工と自前技術で戦うとは思えない
ウクライナ戦で話題のドローンを単体セールスとかかなあ
テラドローンは測量業でDJIのドローンをベースに仕事してるから工場持ってないのよね。
個人的にはドローン産業は今は小規模だけど最終的には巨大工場でギガプレスで生産されると思うから重厚長大産業になるだろうなと。
(テラドローンが勝ちに行くなら数百億かけて工場建てる所からかなっと。)
テラドローンは開発サイクルが日単位・週単位で1周回らないと死ぬウクライナの実情を知ってる企業なので、三菱にはないフットワークで戦時下運用を提供できるポテンシャルを持ってると思う。しかし日本は今平時なのでどうしても腰を据えた開発に馴染んでる防衛省のウケが良くなる可能性は残るだろうな。
テラドローン経営陣て
みんな文系コンサル臭が
anduril然りベンチャー起業がみんな持ってる青臭さではなく?
三菱の参入は既定路線でしょうね。この手の物は競争原理が働かないと碌な事にならないので、各社で切磋琢磨して良い物を提供して欲しいですね。
基本特許が取れる様なモノじゃないので、パチモン作ってナニが悪いって噺ですよね。写り込んでる「シャヘドの様なモノ」とか。
当然、他にも「の様なモノ」シリーズがあるんじゃないかな。
>迎撃UAVシステムで要求した「地上装置から自動誘導される迎撃UAV」とは異なり
>「カメラ映像を見ながら地上要員が操縦する仕様」の迎撃ドローンかもしれない。
さっそくもうポシャる未来しか見えないんだが
数が物言うドローン戦略で一人一台とか正気か
要求仕様を見て、これはこの世に存在しない。三菱辺りが開発する出来レースだとは思ってましたがね。
でも、お高いんでしょう?となってしまうでしょうね。
高級仕様を三菱重が開発するとしても、スタートアップにも廉価版の発注をした方が長い目で見てよいと思います。
しかし小泉大臣よ、SNSに三菱の社員さんの顔を出してしまって大丈夫か?
無人機の画像ならいくらでもウェルカムですが
爆薬を使った国内テストを行う場合、法律面のノウハウが豊富な三菱が有利かもしれませんね。
どうせプロペラ機にするなら、零戦型にしてほしいw。
零戦の姿に似たものが敵に突っ込んでいくような
絵は見たくありません…。
じゃあ震電型か(三菱関係なくなる)
テラドローンの戦闘機型がAで偵察機型がCって型番は意識してやってるんですかね。水上機型がEだったら確定かも。
前方のセンサーとかを阻害しないために双発機にするとかお尻にプロペラ設けるしかないんじゃ…
プレデターとかは衛星通信アンテナが頭や背中にあるから尾翼を下に、プロペラも可能な限り下に、足も長くって姿になったそうだし
小泉防衛大臣の地元横須賀市にある日産自動車の追浜工場は2027年度末に生産を終了するので、跡地をドローンの開発・生産拠点にしたらよい
テラドローンは動きのゆっくりな防衛省仕事(それでも早くはなったけど)はあまり重視していない印象
もちろん食い込めるならするでしょうけれど最優先ではないかと
エストニアに拠点作ったりIndraやMBDAとの提携の動きからも主戦場は欧州中東だよね
ウクライナの実戦環境下での開発会社を傘下にするなど三菱にはできないのでは
何にしても作るメーカーはあればあるほどいい
小型ドローンはテラドローン。大型ドローンに関しては三菱。という感じで住み分けさせた方がいいと思う。