日本関連

開発中止になった陸自「新型装甲車」計画が再び動き出す!国内開発を諦め海外から調達か?

英国のジェーンズは、日本の防衛装備が、陸上自衛隊が装備している96式装輪装甲車に代わる、新しい装甲車の購入計画を再開したと報じている。

参考:Tokyo resumes plans to replace JGSDF’s Type 96 armoured vehicles

白紙化した96式装輪装甲車の後継装甲車調達計画が再び動き出す

日本の防衛省傘下の防衛装備庁は、96式装輪装甲車の後継として、被輸送性や機動性を有し、防護力等の向上を図った装輪装甲車 (改)の開発を小松製作所が行い、試作車を2017年1月10日に納入した。

出典:防衛装備庁 装輪装甲車(改)

しかし、試作車の防弾板等に不具合があるとして、開発期間の延長を発表したが、その後2018年6月、開発計画が白紙になったと発表し、7月には正式に開発計画の中止が発表になった。

開発の中止の表向きな理由は、小松製作所が要求性能を満たせなかったためとされている。

今回、ジェーンズが報じた内容は、防衛装備庁が5月14日、96式装輪装甲車の後継装甲車(現在でも装輪装甲車 (改)と呼ばれているのか不明)の試作車を提案可能な企業を探すための説明会を開催した。防衛装備庁の広報担当者は、ジェーンズの取材に対し、「手続きの公正さ」を理由に、説明会の詳細を明らかにすることを拒否したという。

防衛装備庁は、1月15日に後継装甲車に関する情報提供を呼びかけていた。その際、挙げた条件は以下の通りだ。

  1. 装輪装甲車に関する研究、開発、製造等の実績を有する企業
  2. 装輪装甲車の開発又は製造等に関する知識及び技術を有することを証明できる企業
  3. 日本国内において装輪装甲車の輸入・販売に関する権利を保有する企業又は権利を獲得できる企業

防衛装備庁が挙げた条件に、国内開発といった条件がなく、これは、後継装甲車の国内開発を諦めたとも読み取れる。

上記の踏まえて予想する場合、今回開催された後継装甲車に関する説明会は、海外の装甲車企業向けの説明会だった可能性が高い。

果たして、96式装輪装甲車の後継装甲車計画に応募する海外の装甲車企業はどこだろうか?

出典:public domain

出典:public domain ストライカー装甲車

管理人が推察するなら、政治的にも、軍事訓練や共同作戦の都合上から考えても、米陸軍が採用している装甲車「ストライカー」が一番可能性が高そうだ。

補足:ストライカーとは、スイスのモワク社で開発された装輪式装甲兵員輸送車「ピラーニャ」をベースに開発されたのが、米陸軍が採用するストライカー装甲車だ。兵員輸送用から、105mm砲を備えたもの、迫撃砲を備えたものなど、様々なタイプが作られている。因みにピラーニャを開発したモワク社は、現在、米国のジェネラル・ダイナミクス社の子会社になっている。

 

※アイキャッチ画像の出典:陸上自衛隊 96式装輪装甲車

推進用プロペラで高速飛行!Advanced AH-64 Block 2 をボーイングが発表前のページ

レア映像!飛行中の「F-22ラプター」&「F-35ライトニングⅡ」コックピット映像を公開次のページ

関連記事

  1. 日本関連

    海自の新型護衛艦「30FFM」2番艦が19日に進水、1番艦は建造遅延で未定

    海上自衛隊は10日、岡山県玉野市で建造されている新型護衛艦「30FFM…

  2. 日本関連

    日本政府、イージス・システム搭載艦に国産巡航ミサイルを搭載する方向で調整中

    読売新聞は17日、政府はイージス・アショアの代替案として取得するイージ…

  3. 日本関連

    空自、伊空軍の国際飛行訓練学校に戦闘機パイロットを派遣して高度な訓練を実施

    航空自衛隊は26日、イタリア空軍と空自パイロットの教育訓練を委託する取…

  4. 日本関連

    共同通信、防衛省は陸上偵察のみのRQ-4導入を中止して海上監視用UAVを熱望していた

    防衛省は運用・維持コスト高騰が予想され陸上偵察にしか使用できないRQ-…

  5. 日本関連

    日本人大使館員はドバイに無事脱出、協力関係にあったアフガニスタン人は現地に置き去り

    日本政府は日本大使館や国際協力機構の事務所で働いていたアフガニスタン人…

  6. 日本関連

    豪軍の衛星通信プログラム、三菱電機が参加するTeams AUSSATは受注を逃す

    オーストラリア軍の衛星通信を巡る戦いに日本の三菱電機も「Teams A…

コメント

    • カキピー
    • 2019年 5月 18日

    ドイツのボクサー装甲車なら、搭載兵器も自由に改良出来るし、良いと思うが。
    てか、PKOや威力偵察以外あんまり国内で使い道無くないか?
    兵士の、輸送なら銃撃や地雷から身を守れるブッシュマスターとかそっち系の方が、国外で積極的に活動しない自衛隊には使いやすそう。

    2
    • 匿名
    • 2019年 5月 18日

    ストライカーは車幅と車長が大きく日本国内で訓練する際大きな制約となりうる上道路交通法にも抵触するため小型でないといけないらしいですね

    1
      • カキピー
      • 2019年 5月 20日

      そこのとこは法改正しもらいたいですよね。

      1
        • 匿名
        • 2019年 5月 23日

        先日の舞鶴グリーンフェスタで機動戦闘車が展示されていたのですが、普通に四国から高速を走ってきたとのこと(現地の陸自隊員談)
        インフラ的に幅3m未満ならば問題無いでしょうし、それ以上だと法改正しようがインフラ的に無理が大きいでしょう(物理的な車線幅)
        まあ、96式後継やその他装輪装甲車ファミリーは機動戦闘車の車台ベースになるでしょう。趣味的には面白くない人も居るでしょうが、確実で開発費等の観点からも効率的です

        1
    • 匿名
    • 2019年 5月 19日

    さらにグダグダになったところで三菱が案件を引き取り、それなり以上の車輌を開発して、丸く収まった事にする、

    って流れになると予想

    3
    • 匿名
    • 2019年 6月 18日

    実際は三菱が開発済みの16式ベースの八輪装甲車の採用が既定路線なんでしょう。
    そして一応形として海外製を検討するわけです。それで「総合的に比較した結果当事業(16式ファミリー装甲車)に優位性が認められる」とかお役所表現でやるわけですよ。
    小松改だって本当は採用に足る良い装甲車だったんじゃないですかね。でもすぐファミリー化構想が出てきたから開発タイミングが最悪になってしまったのではと。

    2
    • 匿名
    • 2019年 7月 21日

    ストライカーが一番良いですね。
    アメリカ軍向けに4,466両納入されてるし、なによりアメリカ軍には、ストライカー専用部隊である、「ストライカー旅団戦闘団(Stryker Brigade Combat Team: SBCT)」(兵員4,500人、ストライカー300両以上)がある。
    ストライカーがあれば、「日本版ストライカー旅団戦闘団」も作れる。
    信頼性、価格優位性、部品・武器の汎用互換性、追加装甲などのアタッチメントや、迫撃砲型など派生タイプの豊富さ、アメリカ軍との共同訓練のしやすさ、どれをとっても、世界中で、ストライカーに勝る装甲車はないですね。

    1
    • 昔兵隊
    • 2020年 1月 08日

    攻める気が無いならば国産がよいでしょう?トランプの押し売りで買うのかな?狭くて川だらけの地形の我が国に、デカくて重くて軟弱地盤の作戦行動に制約が掛かるのは使えないでしょうよ?状況に合わせて鉄板一枚被せりゃ済むんだしさ…

    2
    • 案山子
    • 2020年 1月 08日

    コマツは、96装輪設計の参考にする為にストライカーのベースになったピラーニャのライセンスをモワク社から購入してるからラ国するのは簡単だろうが…
    逆に言えば【ピラーニャをラ国出来る環境にあったコマツが出した結論が96装輪】だったあたりを考えてみるのも面白い

    1
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  2. 米国関連

    米海軍の2023年調達コスト、MQ-25Aは1.7億ドル、アーレイ・バーク級は1…
  3. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  4. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
  5. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
PAGE TOP