Defense Newsは27日「防衛装備庁が採用を決めたTerra B1はTerra A1の日本向けバージョンだ」と報じ、テラドローンの徳重徹氏も「3Dプリンティング技術は製造コストを削減するだけではなく日本の防衛産業をより迅速で、より柔軟で、より強靭な生産モデルに変革する可能性を秘めている」と語った。
参考:Japan approves mass production of 3D-printed interceptor drones
総力戦の備えにおいて「高価で高性能な兵器システム」が不要になったわけではなく、量という質を支える低コストで調達性に優れた兵器システムとは補完関係
防衛省は迎撃ドローン早期取得プログラムの実施を6月5日に発表し、この中で「昨今の安全保障における攻撃型の無人航空機及びそれに対する迎撃ドローンの役割の飛躍的な向上を踏まえ、自衛隊ではより迅速に、より実効性のある迎撃ドローンを獲得し、駐屯地、基地、艦艇等の防御能力向上への寄与度等を確認するため、令和8年7月に迎撃ドローンを用いた実証試験を計画している。本事業の実施にあたり装備品等に関連する実績、知見、能力を有する民間企業者のうち、迎撃ドローンに関する提案を行う意思のある企業を広く募集し、7月の実証試験のための迎撃ドローンを調達することを想定している」と言及。

出典:防衛装備庁
防衛装備庁は7月15日「迎撃ドローン早期取得プログラムの一環として、本年6月30日~7月6日まで海上自衛隊より実証試験に向けた公募を実施し、本日7月15日、 4つの区分全てについて実証試験を受託する企業が決定した」と発表し、タイプ1にBeyond VisionのBVQ404、タイプ2にQuantum SystemsのQS INTERCEPTOR 、タイプ3にTerra DroneのTerraB1、タイプ4にDZYNE TechnologiesのIonStrikeを選定、そして8月25日「迎撃ドローン早期取得プログラムの一環として海上自衛隊が企業に委託する形で4つの機種の実証試験を実施し、その結果を踏まえテラドローンと量産調達契約を締結した」と発表した。
テラドローンも「防衛装備庁が実施する迎撃ドローン早期取得プログラムにおいてTerra B1が実証試験を通過し、次の段階である量産段階へ進んだ」「実証試験を通過したTerra B1はシャヘド型をはじめとする長射程自爆型UAVへの対処を想定した国産迎撃ドローンだ」「防衛装備庁の募集要件では飛行性能だけでなく、有効射程、飛行時間、飛行距離、最高速度、巡航速度、誘導方式、同時管制機数、射出・回収要領、他機器との連接、安全対策、運用実績、契約から納品までの期間など実運用と量産調達に直結する項目が確認対象とされていた」と発表したが、Terra B1が何なのかについては説明がない。
有望な迎撃ドローンをいち早く部隊へ届けるため、6月上旬より「迎撃ドローン早期取得プログラム」をスタート。実証試験の結果を踏まえ、本日(8月25日)、TerraDrone(株)と量産調達契約を締結しました。
募集開始から契約締結まで約3ヶ月という、これまでにないスピードで調達を進めています。… pic.twitter.com/bulHtmvff1— 防衛装備庁 (@atla_kouhou_jp) August 25, 2026
Defense Newsは27日「防衛装備庁が迎撃ドローンを早期取得するためTerra B1を選定した」「これは国内最大手のテラドローンが開発したもので、今年初めにウクライナに配備されたTerra A1の日本向けバージョンだ」と報じ、今回の決定の意義についても「これは防衛ニーズを満たすため3Dプリンティング能力を強化したい日本政府の意向も反映されている」と指摘した。
テラドローンの徳重徹氏はDefense Newsの取材に「3Dプリンターを使用することで設計および試作段階が簡素化され、短縮され、これによりTerra B1は可能な限り迅速に量産体制へ移行し、契約要件を満たすことができる」と語り、Terra B1の生産拠点も複数の場所に分散させ、将来的には地元の印刷工場にも拡大する計画だと説明し「シャヘド型ドローンなどのシステムによって生産拠点が攻撃を受けても、この分散モデルならサプライチェーン全体が混乱するリスクを大幅に軽減できる」と述べている。

出典:Leidos
昨年から防衛分野における3Dプリンティング技術について何度も取り上げてきたが、もはや「量よりも質」「少数精鋭」「最高の能力だけを追求する」という聞こえの良いフレーズは冷戦終結後の軍縮をもっともらしく見せるためのものでしかなく、その前提は少なくとも「一部地域を除いた大陸で主権国家同士が総力戦を戦うことは二度と起こらない」というもので、ウクライナ侵攻で平和の配当が過去のものになると「総力戦を前提にした備え」が始まり、その中心にあるものは量という質だ。
この量という質を体現するのは低コストで調達性に優れた兵器システムだが、ただ同じものを延々と大量に作ればいいという訳ではなく、低コストの兵器開発サイクルは年単位ではなく月単位で、戦場の脅威も月単位で変化してくるため同じスピードで適応して変化しなければならず、量という質を担保するには「秘匿性が高い軍事技術ではなくデュアルユース技術の採用」「調達先が限られる高価な特注部品ではなく市場で大量調達が可能な商用部品の採用」「3Dプリンティング技術など新しい生産技術の導入」「民需向け生産ラインで生産可能な設計」など従来とは異なる発想や柔軟性が必要になる。
さらに量という質に適応していくなら装備品の能力をハードウェアではなくソフトウェアで定義しなければスピードについていけず、特に3Dプリンティング技術は兵器開発サイクルを驚くほど圧縮させ、どうしてもゼロにはならないハードウェア側の変更にも柔軟に対応でき、専用の生産施設が必要なくなるため分散化や秘匿性にも優れ、もし攻撃を受けて破壊されても市販の3Dプリンターなら補充が容易だ。
徳重氏も「3Dプリンティング技術は単に製造コストを削減するための技術ではないと考えており、日本の防衛産業をより迅速で、より柔軟で、より強靭な生産モデルに変革する可能性を秘めている」と、Defense Newsも「防衛装備庁がTerra B1を採用したことは日本の防衛産業にとって大きな転換点を示している」「従来の生産モデルに留まれば高市政権が進める防衛装備品の海外輸出政策や世界的な需要の高まりに対応できないだろう」と指摘している。
ウクライナやロシアだけでなく欧米では小型ドローンや低コスト兵器への3Dプリンティング技術採用が進んでおり、特に米国の低コスト巡航ミサイルはDivergentの3Dプリンティング技術(アルミニウムと独自の特殊合金を積層していく独自技術)でエアフレームを製造されており、しかもDivergentの3Dプリンター1台で年間数百発分のエアフレームを製造できるという。
Divergentは2027年からトマホークの中央胴体を3Dプリンティング技術で生産する予定で、Divergentがカリフォルニア州ロングビーチにオープンさせた新生産施設=Factory 2は国防総省のニーズに応じて「年間3万発以上のミサイル構造物」もしくは「6万発以上の弾頭ケース」を製造でき、Divergentは「今回の生産能力の増強によって防衛・民生両分野の顧客向けに年間生産量を8倍に拡大できる」と述べている。

出典:U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Jennifer Nesbitt
ちなみに総力戦の備えにおいて「高価で高性能な兵器システム」が不要になったわけではなく、量という質を支える低コストで調達性に優れた兵器システムとは補完関係にあるものの、とびきり高性能な兵器システムが戦争の行方を左右するというロマンは現実的ではなく、少なくと「高価で高性能な兵器システム」と「低コストで調達性に優れた兵器システム」の重要性は総力戦の備えにおいて等価値であり、この重要性を軽視すれば酷い目にあうだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:TerraDrone





















これを機に国産で手の出しやすい価格帯の3Dプリンターが沢山出て来て欲しい
少なくともフィラメントは持続的に国産化して欲しいな
ぶっちゃけ量産化に繋がるかは解らんが、手軽に設計、試作の経験を積めるのが3Dプリンターの魅力だから、もっと流行って欲しい
国産で手の出しやすい3Dプリンターなんて沢山出てこないでしょう。何かあればすぐに価格に吊られてしまう購買者が大半です、そして海外製の3Dプリンターは安かろう悪かろうも有るが機能の割には安い物も有る。そんな海外製を相手に機能も上げて利益を得る体制を構築するリスクを取れる企業がどれ位有ると思いますか。
フィラメントにしても同じ話です国産だから高品質のなのか保証は無いし防需だけに依存せず民需でも一定のシェアを確保出来るのかの見通しが付くのか分からない。
3Dプリンターの有効活用に関しては、その素性を理解した上で使えるかどうかを判断する必要があるし手軽に設計と試作の経験が積めると言っても、精度や強度が出無い物を作るばかりだと果してその効果が有るのか疑問です。
社用だからお高い3Dプリンタの活用として重要寸法測定用の治具を作られて、最終的に元々の精度経年劣化による変化なのか分かりませんが精度が出ていない話になって自分が全く悪くないのに苦労させられた。結局は加工が面倒で高かろうが鉄の治具に逆戻り。
樹脂製品は通常の射出成形で強度に関わる充填密度が高くても収縮とかで変形するから、複雑にならないよう形状だって注意しなければならないと思います。
個人の偏見になりますが安心して作れるのは100円ショップで売るような製品位、寸法精度が出る高級プリンターと機能性が高い樹脂フィラメントでどこまで行けるかですがそれでも複雑な形状というのは躊躇します。
ウクライナでどんなプリンターとフィラメントを活用しているかは寡聞にして知りませんが、コストを考えた大量生産で長期保存を考えないで製造している可能性はあると思っていて耐候性や吸水性は最低限、形状に関しては複雑にしていないと想像します。
テラドローンがどのような活用をしているかは実際に見てみない事には分かりませんが、日本の高温多湿で長期保存するとなると保管状況次第では数年後に問題が起きないかが心配になってきますね。
金属3DプリンターでトップのVELO3Dや樹脂プリンターでトップのマークフォージドは防衛・航空宇宙分野でもう使われてるから精度は大丈夫でしょ
VELO3DはスペースXも使ってるし
ただロケットや航空機のような大量生産じゃないものや部品が複雑形状のものなら3Dプリンターが役に立つと思うけど
そこまで複雑じゃないドローンを生産するのに3Dプリンターにそこまで意味があるとは思えない
開発期間が短くなっても結局大量生産する必要があるわけだから
防衛省の言ってる3Dプリンティングは樹脂の3DPではなく金属3Dプリンティングです。上のyoutubeの動画ではPBF方式の金属3Dプリンターが紹介されてますが、これは金属の粉末にレーザーを照射してレーザーの当たったところだけを固めて複雑な形を造形する方式です。
金属3DPの装置と原料粉は日本もそこそこ強いですが、EUのメーカーのほうが強い印象です。
産業用3Dプリンターは、上位5社ほとんどを米国企業が占めてきましたが、中国企業の追い上げがすごいようです。
日本企業の強そうな分野なので、なかなか寂しいわけですが、今後に期待したいですね…。
大型のハイエンド金属3Dプリンターは工作機械系の日系企業が割と頑張ってる方だと思いますが、問題なのは低価格の樹脂3Dプリンターの方ですよね
テラドローンのウクライナ前線にある工場でも使われていたのは中華系のBamboo lab製樹脂3Dプリンターでしたし
ドローンも3Dプリンターも出世しましたねえ
一部から「戦場の過酷さに耐えられない」と馬鹿にされたのに
今のミサイル生産のボトルネックって、ガワとかよりモーターとシーカーだと思うんだけど
そこはなんとかならんのかね
モーターとシーカーは人の手でまだまだ作らんといかんので急な増産は無理でしょうな。
結局テラドローンはどうやって量産するつもりなんだろうか
大規模な生産設備を自前で持ってるわけでもないし…。
調べてもいまいちよくわからない会社なんだよなぁ、株価ばっかり上がってるけど
そりゃ工場作るんじゃないんでしょうかね?呉でも追浜でも、可能なら国内に分散して地下化したいところ
可能性として
独裁的で社会主義の人口10億人の国があって労働人口の40%のうち10%の失業率があります。(4000万人)
その失業者の90%がドローンの生産と輸送に従事し10%がドローンオペレーターを担った場合、毎日2昼夜問わず400万機程度は敵対国へ飛来する可能性を考慮する必要がないですか。
それらのドローンがウクライナやイスラエル、日本へ飛来する可能性を想像すると恐ろしい。(空の人海戦術)
素人が思いつくのだから、カノ国は想定してるでしょう。
想定はしてもさすがに実行はしないでしょうね。
いや、カノ国では習近平の鶴の一声で実行自体は可能でしょうが、
実行したら毛沢東の大躍進政策以来の愚行という事になりましょうな。
日産400万機となると、モーターなりシーカーなり爆薬なり推進薬とかで市場の調達や増産で間に合わないボトルネックどこかに生じてくる可能性は高いですわな。そうなると未完成機体が1日ごとに400万機積みあがってくるわけで。
それに4000万人のうちほとんどは別にドローンの生産と輸送やオペレーターをやりたかったのにやれなくて失業していたのではなかったわけで。現在失業していると理由で強制的に割り当てれば、4000万人の不満分子を抱えるのと同義ですね。
日本人があれだけ誇ってた「職人による世界一の手作業技術」って一体何だったのだろうか
もはや伝統工芸になってるという・・
職人による世界一の手作業技術をそんなに誇ってましたっけ?
TVなんかで良く取り上げられてたのはそれこそ宮大工とか伝統工芸系であって産業競争力の源泉として扱われてることはほぼなかったような。
光学レンズとか
オートメーション化される前の(職人気質という言葉に代表されるように)責任をもってちゃんと作ることによる品質全般だと思うけど