Kongsbergは19日「防衛省と空自向けのJSMに関する追加契約を締結した」「これで日本からのJSM関連契約は5件目になり日本との関係がさらに強固になった」と発表したものの、相変わらず「F-35AにJSMの運用能力が備わっているのか」については言及しなかった。
参考:Japan orders more Joint Strike Missiles from KONGSBERG
参考:METEOR missile and F-35A one step closer to operational capability
個人的にはF-35AにJSMの運用能力はまだ備わっていないと予想している
ノルウェーはF-35プログラム出資国の立場を活かし、Kongsberg Defence&Aerospace製のNSMから派生したJoint Strike Missile=JSMのF-35統合を計画、JASSMやLRASMはF-35のウェポンベイに収まるサイズではないためステルス性を犠牲にして機外搭載しなければならないが、JSMはF-35A/Cのウェポンベイに収まるためステルス性を維持したまま遠距離攻撃ができ、ノルウェー、オーストラリア、日本、米国、ドイツがF-35A向けの巡航ミサイルとして調達を決めている。

出典:Forsvaret
ノルウェー政府は今年4月「計画されたF-35A(52機)の全てを引き渡された初めて国となった」「さらにKongsberg Defence&Aerospaceからも初めてJSMが納品された」「オーランド空軍基地でJSMの備蓄作業が開始される」「JSMはF-35のウェポンベイに搭載可能な同クラスのミサイルとして唯一の存在で、ノルウェーの他にもオーストラリア、日本、米国も調達を予定している(この時点でドイツはJSM調達を未発表)」と発表したものの、問題はF-35AにJSMの運用能力が備わっているかどうか不明な点だ。
F-35への統合作業は2020年に開始され、F-35AのウェポンベイからJSMを安全に切り離すため模擬投下テストを地上で行い必要なデータを収集、2021年にF-35Aベースの特殊試験機=AF-01を使用して飛行中の機体からJSMの投下(切り離し)に成功したのだが、JSMの運用能力は「開発中のBlock4に関連している」と言われており、今のところF-35AがJSMの初期運用能力=IOCを獲得したという公式のアナウンスはなく、具体的なIOC獲得時期も明かされていない。

出典:Royal Air Force. UK Crown Copyright
英国もMeteorやSPEAR-3のF-35統合を進めているものの、IOC獲得時期は当初「2020年代半ば」と報告していたが、2022年2月には「早くても2027年頃になる」と、2024年1月には「2020年代末」と遅延を繰り返しており、米空軍のシュミット中将が2024年4月「Block4で予定されている多くの能力は2030年代まで実現しない」「そのためBlock4自体を再構築することになった」と述べてたため「MeteorやSPEAR-3のF-35統合遅延はBlock4の開発遅延に関連している」と噂されてきた。
英国のイーグル防衛装備担当閣外大臣も2025年5月「Block4へのSPEAR-3統合は2030年代初頭と見込まれている」と、6月「F-35BへのMeteor統合はF-35ジョイント・プログラム・オフィスによって推進されており、現時点での運用開始時期は2030年代初頭と見込まれている」」明かしたため、MeteorやSPEAR-3統合時期は2030年代初頭に再び遅延した格好で、これはシュミット中将の発言にもリンクしているため「Meteor統合もBlock4の完成とリンクしている」と解釈でき、F-35Aに統合されるJSM、JASSM、LRASM、JAGM、SiAWのIOC獲得も「同じ状況なのではないか」と考えるのが妥当なところだ。

出典:Kongsberg Defence&Aerospace
Kongsbergも19日「防衛省と空自向けのJSMに関する追加契約(8億ノルウェー・クローネ以上)を締結した」「これはJSMプログラムにとっても大きな節目だ」「これで日本からのJSM関連契約は5件目になり日本との関係がさらに強固になった」と発表したが、F-35AがJSMのIOCを獲得したのかどうかには言及がない。
因みにNaval Newsは今年3月「Lot15のF-35BとF-35CにはLRASMの統合、GBU-53/Bの早期運用能力=EOC、Sidekickの搭載が含まれる」「米海軍はAARGM-ERのような長距離攻撃兵器との互換性もLot15の機体に搭載される予定と述べたが、Lockheed Martinや米海軍が統合テストを完了させたのか、そもそもテストを開始しているのかも不明だ」「Lockheed Martin、米海軍、F-35JPOの何れもAARGM-ER統合に関する発表を行っていない」「GBU-53/BはEOCに最も近く、2025会計年度の第2四半期までにEOCの宣言が行われる見込みだ」と言及していたが、GBU-53/BのEOCが宣言されたというニュースは未観測だ。

出典:Kongsberg Defence&Aerospace
勿論、安全保障に関わる話なので「関連情報が必ず公開(発表)されるわけではない」という視点も忘れてはいけないが、これまで登場した断片的な情報は「Block4開発遅延が全ての予定を狂わせている」という不快な兆候を指し示しており、ノルウェー国防省の高官もJSM初納品について「必要なソフトウェアが供給されるまでの間、備蓄を積み上げる機会が得られ迅速な運用の基盤が築かれる」と述べているため、個人的にはF-35AにJSMの運用能力はまだ備わっていないと予想している。
追記:MBDAは今月2日「F-35AとMeteorの地上統合試験を数回実施して同機への統合に関するマイルストーンを達成した」「英国はF-35Bへの、イタリアはF-35AへのMeteor統合を支援している」「地上統合試験は空中試験を開始するための重要なステップだ」「エンジニアは今回の試験を通じて収集されたデータを精査し、F-35AのウェポンベイからMeteorの安全な収納・射出を確認し、機体のステルス性能が維持させることも実証された」と発表。

出典:Lockheed Martin
F-35Aのウェポンベイに搭載されたMeteorは様々な周波数の振動を与えて構造的応答が調査され、空中試験に進むためには地上統合試験をあと1回行う必要があるらしい。
MBDAの発表は「F-35BだけでなくF-35AへのMeteor統合も行われている」「F-35Bへの統合作業はF-35Aの統合作業をスキップさせるものではない」「F-35BとF-35AへのMeteor統合試験が完全に別物」と示唆しており、一般人に「空中プラットフォームへの兵器搭載(空中での切り離しを含む)の安全検証にどれだけ手間と時間が懸かっているのか」をうかがい知るのは本当に難しい。
関連記事:3度目の遅延、英国が要求したMeteorのF-35統合は2030年代初頭
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※アイキャッチ画像の出典:Kongsberg Defence&Aerospace





















10数カ国で共同開発すると武器の種類もふえてすぐこれだ。GCAPは断固として日英伊の3カ国にしぼって統合する兵器も厳選しないと偉いことになる。ドイツ加入なんて以ての外
機体は2035年に飛んだが各主兵装の統合は2040年代です、なんてなったらシャレにならない。
仰る通りです。
日本が対中国を見据えれば、ドイツのように安全保障上の時間的な余裕がないんですよね。
金出せば、3カ国の次に最優先で統合してあげるとするのも一つだとは思いますが。
導入国が増えれば、各種ミサイルへの統合要求が出てくるのですから、その中でも、開発段階で金出した国には、日英伊の次に最優先に要望を聞く特典を与えるとか。(一般市民で言うところのクラファンのように、出資者には特典付きみたいな。)
結局、英伊(特に伊)の金次第でしょう。
なんにせよ、3カ国で決める「条件」が発表されるまで待ちましょう。
Block4の開発遅延はNSM統合のせいではないのだから、それは違うのでは…
『30分間も!』中国海軍艦載機が、自衛隊のF-15にレーダー照射したことが衝撃を与えています。
日本と南方のシーレーン・航空路も破壊するような、中国海軍及び艦載機の航路(訓練海域付近)だったわけで、かなり厳しい場所なんですよね。
戦闘機1機でも多く稼働できることが求められる中で、そもそも装備が使えるのかどうか分からないというのは、なかなか辛いものだなあと感じています…。
>空中プラットフォームへの兵器搭載(空中での切り離しを含む)の安全検証にどれだけ手間と時間が懸かっているのか
燃料の燃焼計算一つ取っても専門の人が試算と検証を重ねるので、構造計算や動作テストまで含めたらそら年単位でしょうな……
「こんなこともあろうかとF-2とF-15とP-1にJSMを搭載できるように改造をしておいた!」
とかだったらカッコいいけど、実際は、「この防衛費爆上げのビッグウェーブで買い溜めておこう」くらいなんだろうなあ。
ステルスじゃないんで
その3機種はデカイ対艦ミサイルを対地に改造すればよいんじゃないの??
P-1ならウェポンベイにJSM収まるだろうから、空力的悪影響なく、外から分からない状態で常備できるのは結構メリット大きい様な。
成程、目視でのステルスかー
使い方次第てところですな
今以上にキナ臭くなって来た時に、通常任務で常時JSMを数本腹に抱えてられればマーベリックよりは心強いかと。
そんな状況で翼下にこれ見よがしに23ASMやらハープーンやらズラズラぶら下げて哨戒任務するのもどうかと思いますし。
あと低空低速で長時間飛びたい哨戒任務だと外装ミサイルによる抗力はかなり痛いと思います。
F-2に12式地対艦誘導弾能力向上型を搭載予定なんで、F-35の打撃力アップくらいにしかならないですね。
パイロンにぶら下げれるなら12式地対艦誘導弾能力向上型の方がやりやすいですし。
JSMはASM-2より軽いから、F-2だとおそらく4発積んでまともに飛べるんで、
そこから500km先を撃てるのは手数とリスクのバランス的に悪くない気がします。
JSI改修でハードポイントのランチャーさえ対応していればハープンは撃てるとは思うよ。>F-15
システム上ハープンとして認識されるらしいASM-1/2も撃てるだろうし
というか国産のP-1とF-2はさておきF-15はアメリカとボーイングまちになるな
>F-15はアメリカとボーイングまちになるな
レイセオンが火器管制レーダーのAN/APG-82(V)1の製造に手間取っているとのニュースが流れています
レイセオン待ちだと思います
新型のAN/APG-82(VX)にライン移動するんじゃあない?
日本の納品どうなるか知らないけど
F-15はアメリカおよびメーカーの許可がないと無理
発注して翌日入荷する様な品物じゃ無いんだから、前もって注文しておかないと手に入らないからじゃないのかね?
なんか本当にきな臭くなってきたな
極東のゼレンスキーは誰が演じるんだろ
電気信号や物理特性の問題のほかにミッションシステムへの統合と最新鋭機への兵器統合は「やることが多い」ですね。
F-35はA型、B型、C型で同じソフトウェアが載るので「物理的な兵器統合はなくてもソフトウェア統合試験は3タイプとも実施」が必要なのも面倒なことになっていると思われます。
こんだけ面倒だと、統一機種による統合運用が果たして正解だったのかどうか疑問になって来ますね。
ミサイル一つ載せるのに10年かかるようでは、これだったらそれこそ1からミサイル投擲専用機を設計して運用しても時間も手間も大差無いような。
P-1哨戒機に巡航ミサイルを対応させて、F-35にエスコートさせた方が早そう(小並感)
F-35にとってJSMは換えのきかないスタンドオフ兵器だし少なくとも切られることは無いだろうから、仮に統合済んで無くても今のうちに買い溜めしておくってのはアリじゃろう
裏でマイルストーン自体は共有されてるかもしれんし
性能を100%発揮出来なくても、一応発射は出来ると信じたい。
実際のスケジュールは、アメリカ製ミサイル優先になりそうだけど。
台湾有事勃発までにJSMの運用能力は何とか確保して欲しいですね