NATO加盟国は国防支出の新基準として「総額5.0%」を受け入れる予定で、米国はオーストラリアにも「早急に国防費を3.5%まで増額すべき」と要求していたが、Financial Timesは21日「米国が日本にも国防費を3.5%まで増額するよう要求した」と報じた。
参考:Japan scraps US meeting after Washington demands more defence spending
日本政府にとって3.5%の要求が「寝耳に水」でないことを祈りたい
NATOは6月末の首脳会談に向けて加盟国の国防支出=2.0%基準の見直しを進めており、ルッテ事務総長は3.0%以上を提案したもののトランプ大統領は5.0%を要求、最終的にルッテ事務総長も「総額5.0%(国防支出3.5%+軍事インフラとしても活用できる分野への投資1.5%)という高い目標で合意できるだろう」と表明、ドイツ、オランダ、スウェーデン、イタリア、ルーマニア、ブルガリア、ハンガリー、チェコ、スロバキア、ポーランド、エストニア、ラトビア、リトアニアも総額5.0%を支持。

出典:Nicușor Dan
これを受けて国防総省のコルビー政策担当国防次官は「NATOは5%の国防費目標を達成するため非常に強いコミットメントを示した」「これは世界中の同盟国、特にアジアにとって新しい基準となるだろう」と言及、ヘグセス国防長官もシャングリラ会合で「この地域の安全を保証してきた米国の役割に頼るのではなく、米国の同盟国はより大きな軍事負担を受け入れる必要がある」と発言。
Defense Newsは「ヘグセス国防長官は国防費を増額している欧州の例を参考するよう促した」「オーストラリアや日本など米国の同盟国は国防費の増額を発表しているものの、国防総省はこうした国防費の増額が現実の脅威に見合っていないと考えている」「コルビー国防次官もNATOの5.0%基準がアジアの同盟国にとっての新基準だと述べた」と報じ、国防総省は1日「ヘグセス国防長官とマールス国防相と会談し、米豪同盟の主要優先事項について協議した」「この中でヘグセス国防長官は『出来るだけ早く国防費をGDPの3.5%まで増額すべきだ』と伝えた」と明かした。

出典:DoD photo by U.S. Navy Petty Officer 1st Class Alexander Kubitza
これを受けて豪国営放送のABC Newsも「米国はオーストラリアの国防費を年間400億豪ドル=約3.7兆円増額するよう要求してきた」「2.0%水準の国防費を3.5%に引き上げるには年間400億豪ドルの追加支出が必要だ」「これは年間の高齢者介護費用と同額だ」と、9newsも「これまでもヘグセス国防長官はオーストラリアに国防費増額を求めてきたが、これまで具体的な額を明かしてこなかった」と指摘し、オーストラリアは3.5%という数字に驚いているが、これはNATOが受け入れる総額5.0%の「国防支出分=3.5%」と同じ数字だ。
この基準をオーストラリアに要求しているということは「日本にも3.5%を要求している」と考えるのが妥当で、Financial Timesは21日「米国が日本にも国防費をGDPの3.5%まで増額するよう要求した」「日本政府の高官は『この増額要求を受けて7月1日に予定されていた日米外務・防衛担当閣僚協議を中止した』『この決定は自民党が議席を失うと予想されている7月20日の選挙にも関係している』と述べた」「対日関係の専門家=クリストファー・ジョンストン氏は『協議を選挙後に延期したのは対米関係の見通しに強い不安を抱いていることを示している』と指摘した」と報じた。

出典:Photo by Scott Swofford
オーストラリアのアルバニージー首相は「米国が要求する国防費の増額は不要だ」「国防投資の額は自分たちで決める」と一蹴して見せたが、国防総省は「AUKUSの見直しを開始した」と発表して露骨な圧力を加えており、もし「米国製システムの供給」や「在日米軍の削減・撤退」をチラつかせ圧力を加えてくれば、安全保障政策を日米安保に依存している日本に他の選択肢はないだろう。
というよりも、欧州のNATO加盟国が総額5.0%を受け入れ、オーストラリアに総額5.0%の「国防支出分=3.5%」と同じ数字を要求しているのを見れば、日本に何が要求されるのかなど容易に想像がつくはずで、日本政府にとって3.5%の要求が「寝耳に水」でないことを祈りたい。
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※アイキャッチ画像の出典:DoD photo by U.S. Navy Petty Officer 1st Class Alexander Kubitza
アメリカから逃げても、世論を説得するという政治家の責務から逃げても、現実から逃げられるわけではない。
政権はきちんと日本の世論に真正面から訴えるべきです。
自由主義陣営では3.5%+1.5%の5%が新しいスタンダードになった、と。
日本も自由主義陣営のメンバーであるならば、それを受け入れる必要がある、と。
やはり踏み絵が来ましたね、アメリカにとっては日本は対等だとは思っているはずも無く文句言わずに要求を飲みアメリカ製の装備大量に前金で買い納期は気にするな以上だという所でしょうから厳しい局面ですね。
で、その増額分はどこからねん出しましょうか?
消費税を、今の10%から20%に上げますか。あるいは、所得税を2倍にするとか。
結局、増額分は、国民が負担するということです。
そりゃ反発するでしょう。覚悟決めて金出せばなんとかロシアに対抗できる欧州とは訳が違う。
今の中国軍は「質」は米軍に並び、「量」も太平洋では米軍を超えている。加えて巨大な無人機戦力と対無人機兵器も大量に保有。
GDP比3.5%だろうが5%だろうが、日本単独では中国に対抗する事は不可能であり、米軍の直接参戦が必須。
それなのに肝心の米国が引きこもりつつあるんだから、日本としては今まで以上の何らかの「確約」が欲しいでしょう。
でないと金出しても結局勝てないんだから出し損になる
・・・よし、大国の覇権争いの影響が及ばない静かな国に引っ越すとしますか。
遅かれ早かれ日本はもう終わりだ。
・・・無理だろうけど。
その条件に合うの、欧米主要国はどこも無理だし第3世界の中小国は地域紛争があるし、英仏の海外領土かスイスくらいじゃね?
選挙前に言われちゃったね自民党からすれば参院選の前に防衛費が話題になるのは勘弁してくれと思っているだろう
てか選挙までは防衛費の話は黙っててくれって根回ししてなかったんだな
防衛費を「安全保障に係る全ての分野」と拡大解釈して、例えば農作物の補助金に充てるなんていかがでしょうか。昨今のコメ価格の高騰も減反政策によるものなので、減反を止めてコメを増産する→売れ残ったコメを政府が「防衛費」で買い取り農家の赤字を補填するようにすれば食料自給率は上がり、消費者も安定した価格で食料を買えるメリットを享受できる。
ルカシェンコかな?
トランプとプーチンを愛して止まない佐藤優が週刊プレイボーイで提案していたものです。
防衛上重要な離島での農業従事者への補助金を優先すべきだと思います
それって屯田兵にでも作らせる?いつの時代の話だか。
緊急時のF35B着陸用にも使えるよという触れ込みで一部強度を上げた地方の高速道路を整備してみるとかね。
空港や港湾なんかは自衛隊の緊急時使用を前提にもう現実的に動いてますよね。自衛隊基地強靭化もインフラ名目で早急にすべきでしょう。
問題は3.5%の方でさすがに反対意見で内閣潰れるのでは。
トランプのことですから実際にはそこまでは求めてない可能性が高いかなとは思ってますが。
>「米国製システムの供給」や「在日米軍の削減・撤退」
仮にこれをやったらもう米国など誰も信頼しないでしょう。米国製武器の市場シェアも激減すること確実なので軍需産業から間違いなく米政府に圧力かかるでしょうね。
ただ在日米軍の削減は多少なら全然いいと思います。特に海兵隊はまじでいらん。
韓国や台湾が行う軍備強化は合理的だけど、日本やオーストラリアに直接的な軍事力がそこまで必要なのか?
やるにしても韓国や台湾、ウクライナへの支援やそれらの国に対する政治工作に重点を置くべき
トランプ政権が長続きしない可能性や、ロシアや中国が今後不安定化する可能性だってあるんだから、
なんとなく実行するフリをしてアメリカが言うことを変えるのを待つのが賢明じゃないのか?
何言ってるんですか。
これは、台湾有事や朝鮮半島動乱が起きたら、日本もアメリカ軍の指揮の下で一緒に戦え、という意味の規模の増額という意味ですよ。
もちろん、アメリカ軍の指揮の下です。でないと、日本有事の際に助けてもらえない。
国是の専守防衛は、さっさと骨抜きにするか憲法改正しとけ、とも水面下で言われてると思いますね。
あなたの言っていることは正論です
でも実際異国の地で戦うってのは政治的にも国民感情的にも無理じゃないかなぁ…
軍事にも利用できるとして地方の第三セクター鉄道を再国有化して欲しい
俺は軍事にも利用できる寝台列車とフェリーとオランダみたいなサイクリングロード、あと登山道がもっとほしいね
確かに宣戦布告もなくいきなり攻撃してくるような危ない国家に備えるのは必要だろう。
所でイスラエルの言い分を是とするならば、12SSM能力向上型を沖縄含む沿岸地域に配備した場合、周辺他国の加害能力を持つ事になるわけで、相手からすれば先制攻撃の理由に出来るだろう。
標的となる様な基地などの周辺だけでも住民避難をする為の防空壕もないし、配備の始まったばかりの12SSM能力向上型はもちろん弾数が少ないし、これからも備蓄が低調に終わるだろう。(ちょうかい改修が今年完了すると言われているが、トマホーク納入は進んでいる?)
20年以上備えていたイランは、根強い攻撃能力を備えてしぶとさを見せているのだから見習った方がいい。
安倍首相=トランプ大統領は、2019年7月の参議院選挙前に日米貿易交渉が波風立たないように、話をつけていたのではないかと言われていましたね。
当時のように上手なコミュニケーションができるわけでもないですが、先日のG7を見ていると、なんだか仕方ないのかなと感じてしまいます…
(2019年5月26日午後1:39 @realDonaldTrump X)
C-17爆買いしそうだなこの総理
GDP比2%を目指している今でさえその財源が決まっていない有り様なんだから、それよりも多い3,5%は厳しいというより政治的に不可能と言っていいと思いますね。
裏技として莫大な社会保障費を国民の安全保障のためと称して防衛費扱いとすれば余裕で達成できそうですけど、流石にそんな無茶苦茶はアメリカが許さないだろう。
欧州とか他の国はどうやってこの問題をクリアしたのか
他の分野でしわ寄せとかありそうだけど
粗暴で下品なトランプ政権のいつものやり口だろ
あっちが政権交代するまでのらりくらりやり過ごせばいい
イランは核開発していないという自国の諜報機関の調査が出たにも関わらず
先制攻撃を仕掛けたイスラエルの主張をすべて信じているトランプ
イラク戦争の根拠となる大量破壊兵器の情報は恐らくモサドからもたされたもの
イスラエルに攻撃したフセインを倒すのはイスラエルの悲願だったし、戦争好きのネオコンと利害が一致した結果がイラク戦争
イランがウランをすぐに核兵器転用できるってのも恐らくモサドの盛った情報だろう
また同じ過ちを繰り返すのか 懲りない国だな
アメポチのままでは日本はウクライナのように対中国の捨て石にされるだけだろう
個人的に中国人は好きじゃないが日本がネオコンの食い物にされるのはもっと嫌だ
核配備は許されんだろうし、政治能力的に無理っぽいんで、本気で中国に対抗するんならどうするんだろう。重点的に予算かけるとして研究開発費かなぁ。トランプの時代には結果も出なさそう。。
NATOには米国抜きでも核があるのが大きい。中国に対抗する日豪には核無いんだが。
そもそもな話として
米国からほしいものが現時点で存在してないのがね。
しいていうならE-2Dぐらい?