読売新聞は、海上自衛隊の艦艇に搭載する無人ヘリ「MQ-8C ファイアスカウト」を20機導入すると報じている。
護衛艦で無人ヘリ運用を検討中の日本政府、尖閣諸島地域での警戒監視に活用
読売新聞は日本政府関係者の話として、中国との対立が激しい尖閣諸島地域での警戒監視活動を強化するため、無人ヘリコプターの導入を検討しており、2020年に導入機種を選定し、2023年から無人ヘリの導入を開始する予定だ。
導入する無人ヘリは、米海軍が運用中の「MQ-8Cファイアスカウト」が有力だと言われている。
米海軍のMQ-8にはB型とC型があり、MQ-8Bは「シコルスキーS-434」をベースにした無人ヘリで非常に小型だが、270kgの搭載量を持ち、5時間以上の哨戒飛行が可能で、海上監視用レーダーの「AN/ZPY-4」は、最大200個の目標を追跡でき、小型艇の接近や、非対称な脅威から艦を守るために米海軍のインディペンデンス級沿海域戦闘艦や、フリーダム級沿海域戦闘艦に搭載され運用中だ。
MQ-8Cは、MQ-8Bの「シコルスキーS-434」よりも大型の有人ヘリ「ベル407」をベースに、遠隔操作システムを搭載した大型の無人ヘリで、1.3トンの搭載量を持ち、最大15時間の哨戒飛行が可能で、自律的な離着陸機能を備えている。
MQ-8Cに搭載されているレーダー類は、無人機のMQ-1プレデターや、MQ-9リーパーと同じAN/ZPY-1が採用され、偵察・監視能力が強化されている。さらに大幅に増えた搭載量を活かし、APKWS(誘導ロケット弾)ポッドを携行し脅威の対象に対する攻撃や、艦への物資輸送にも使用可能だ。
日本が導入を検討しているのは、このMQ-8Cの方で、空母化が決定しているいずも型護衛艦や、ひゅうが型護衛艦、現在建造中の3900トン型護衛艦等に搭載して運用することを検討している。
海上自衛隊は護衛艦で哨戒対潜ヘリのSH-60Kを運用中だが、無人機のMQ-8Cを導入するメリットに挙げられるのは、やはり長時間の哨戒・監視飛行が行える点だろう。MQ-8Cは、MQ-1プレデターなどと同じ、ある程度自動化された人間による遠隔操作によって運用され、長時間の哨戒・監視飛行中でも運用者の交代が容易なため、有人のSH-60Kでは難しい長時間の運用が行える。
1機のMQ-8Cと同じ哨戒・監視飛行を、SH-60Kで行う場合、複数機のSH-60Kと人員が必要になるため、省力化を進める海上自衛隊にとって、導入不可欠な装備なのかもしれない。
MQ-8Cの機体単価は米海軍向けで1,800万ドル(約19億円)程度と言われているが、日本が購入する場合、恐らくはFMS方式による購入になるので、FMSの手数料や、保守サポート費用、遠隔操作装置の初期導入費用も必要になるため、非常に高額になるだろと予想される。
一番の問題は、MQ-8Cを遠隔操作するための装置や施設を、運用する護衛艦にそれぞれ設置するのか、陸上に集中的に整備するのかだ。
米海軍がどの様に運用しているのかの記述が見当たらないため、これは推測の話になるが、恐らく搭載艦艇側ではMQ-8Cの機体運用のみで、操作などは地上にある施設から遠隔操作を行うことで、設備や人員を効率的に運用していると思う。
もし各艦にMQ-8Cを遠隔操作するための設備を設ければ、馬鹿にならない費用と、固定された人員を配置することになり、無人機のメリットが死んでしまう気がする。
果たして海上自衛隊は、どのようなシステムでMQ-8Cを運用するのか興味が尽きない。
※アイキャッチ画像の出典:public domain MQ-8Cファイアスカウト
F-3の開発もいいけど、こういう無人機こそ国内開発でノウハウを蓄積するべきではないだろうか
無人偵察機も購入で済ましてしまったし、このままでは無人戦闘機も購入で済まさなければいけなくなる
無人で完全な安全性を必要としない無人機は短いスパンで開発を進めるのに適しているのではないかとも思うし、積極的に開発してほしい
で、MQ-8の話題に戻ると、多分船内にオペレーター用のコンソールがあるのでないだろうか
陸上から長距離通信するのは、平時はよくとも戦時はラグやECMなどに対する信頼性の面で劣るでしょうから
OH-1の無人型なんて夢視てしまいますなぁ。
オールドファン(自分もその仲間入りしつつありますが)なら、往年のDASHを思い出すのではないでしょうか?
当時の鉄人28号式リモコンでは操作が難しかったらしく、米海軍では機体の喪失が多く早々と引退してしまいました。
一方海上自衛隊では結構上手に使いこなしていたそうで、MQ-8を導入しても日本人らしい器用さを見せて欲しいものです。
あーやっとこの記事があった。 これ全然話題になってないね。
わりと重要なのに・・・・
FFOSで自衛隊のヘリ型無人機は終わってしまうのかな