中東アフリカ関連

エジプトと韓国がT-50/FA-50の現地製造で合意、アラブ工業化機構が協定に署名

エジプト空軍が導入を進めていた高等練習機/軽攻撃機を巡り韓国とインドが争っていたが、アラブ工業化機構は韓国航空宇宙産業とT-50/FA-50の現地製造で合意して協定に署名したと発表した。

参考:الصفحة الرسمية للهيئة العربية للتصنيع

まだ合意内容が不明なのでよくわからないがインドのLCA-LIFTが敗れたことだけは確実だ

エジプト空軍が導入を進めていた高等練習機/軽攻撃機の導入は詳細(情報源によって内容に差がある)がよく分かっておらず、韓国(T-50/FA-50)とインド(テジャスMK.1ベースのLCA-LIFTやテジャスMK.1A)が争っているということだけは把握していたが、アラブ工業化機構(AOI)は韓国航空宇宙産業(KAI)とT-50/FA-50の現地製造で合意して協定に署名したと発表した。

出典:الصفحة الرسمية للهيئة العربية للتصنيع

この合意はエジプト空軍の需要だけでなくはAOIで生産されたT-50/FA-50をアラブ諸国に輸出することも視野に入っており、エジプトが現地製造するK9のエジプト陸軍仕様K9A1EGYと同じものだと思われる。

エジプトが韓国が締結した16.5億ドルの契約にはK9のエジプト陸軍仕様K9A1EGY、弾薬補給車輌K10、エジプト陸軍の要望で開発されるK10ベースの射撃統制車輌K11の現地製造が含まれ、モルシー軍需生産相は「エジプトが製造するK9は自国軍のニーズを満たすだけでなく中東・アフリカ諸国へ輸出を望んでおり、世界で最も新しい自走砲システムを入手したいと考える中東諸国やアフリカ諸国と既に2ヶ国間交渉を始めている」と言及していた。

出典:Photo by ROKAF/ CC BY 2.0 FA-50

つまり韓国はT-50/FA-50の現地生産に協力することで中東地域に同機の製造・保守拠点を確保、エジプトは中東諸国やアフリカ諸国への影響力を生かしてT-50/FA-50の売り込みを担当するという意味だだろう。

高等練習機/軽攻撃機に対するエジプト空軍の需要は100機前後になるという事前情報があるものの、まだ合意内容が不明(飽くまで導入の枠組についての合意で本契約ではない)なので断定できないが、インドのLCA-LIFTやテジャスMK.1Aが敗れたことだけは確実だ。

関連記事:K9を製造するエジプト、中東・アフリカ諸国への輸出交渉を開始
関連記事:インド、エジプトに国産戦闘機「テジャスMK.1A」の現地生産を提案か
関連記事:インドの国産練習機LCA-LIFT、豪空軍のHawk127後継機争いに敗れる

 

※アイキャッチ画像の出典:한국항공우주산업

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コメント

    • 兵長
    • 2022年 12月 02日

    大韓民国を馬鹿にしてた日本は完全に遅れて下になってしまったな…
    まさか清谷氏の言ってる事が現実になるとは…

    25
      • 匿名11号
      • 2022年 12月 02日

      そうかな?

      清谷君の主張は、完成品輸入だろうが技術移転がゼロだろうがとにかく安けりゃいいというものだから、技術移転による現地製造やオフセット契約上等の韓国製装備品とはそもそも相性が悪いと思うがねえ。

      8
      • TA
      • 2022年 12月 02日

      清谷の記事は自衛隊下げばかりだから嫌ってる人が多いみたいだけど、別にそこまで突拍子のない話だとも思えんのだよね

      7
    • α
    • 2022年 12月 02日

    相変わらずエグい売り方しているなぁ。韓国メーカーの兵器自体の商品価値は時宜を得て上がってるのにこんな薄利多売する意味が分からん。
     韓国メーカーに納入する海外メーカーはニコニコだろけど、競合する国は怒髪天を衝いてるだろ。
     ただでさえ主要なコンポーネントを海外メーカーに依存さているのに、現地製造を軽々と許して韓国にいくら入るんや?
     自衛隊の装備の単価を下げる目的で輸出するのなら、日本は真似はしていけないし、韓国と競合する分野は避けないと韓国に荒らされた市場ではどうあっても目的は達成出来ない。

    22
      • 朝風呂
      • 2022年 12月 02日

      エグ売り方って言うけど、米国流の制限の多い売り方を真似た日本は全く売れてないのにどうしろと?

      管理人さんが書いてたけど韓国防衛産業の海外輸出の利益率は15%で、日本の防衛産業よりも全然良いぞ。

      33
        • α
        • 2022年 12月 02日

        目的を見失ってないか?売るのが目的をじゃない。利益を得るのが目的なんだ。儲けが見込めないのに販売する意味が無いだろ。
          FA-50を例にすればポーランド仕様はレイセオンの技術でパワーアップした分、単価に対する利益は更に下がっていると見るのが当然だろう。
         別に完成品じゃなくても、兵器転用出来る部品、部材、製造装置は幾らでもあるのにそれを売らない日本が商売下手なだけで、アメリカのせいにするような発言はどうかと思うが?

        11
      • 幽霊
      • 2022年 12月 02日

      生産国を増やすのはリスク管理の上では良い事だと思いますよ
      韓国の場合朝鮮戦争が再開した時国内の製造設備が打撃を受ける可能性は高いですが、海外にも生産能力があるならそこから購入する事が出来ますからね。

      21
      • 寒い
      • 2022年 12月 02日

      現地生産だから利益率はもっと低いと思います。このままFA-50の生産国が広がると韓国製と他国製が販路で競合するって展開になるんでしょうかねぇ

      9
        • Kenny
        • 2022年 12月 02日

        全く競合の心配がないとは言わないが、ライセンス生産の条件次第じゃないの?全く自由に販売して良いのか、地域や対象国を限定するか、事前の許可が必要か、その辺は交渉次第。

        3
        • 7c
        • 2022年 12月 02日

        それこそKF-21の販売先と被るだよねぇ。

        KF-21は「F-35Aを買えない国」をターゲットにしてるけど、そんな国が買うのは実績、兵装間違いなしのF-16V。それさえ買えない国はFA-50を買うと思われ。
        KF-21より、多分FA-50PLの方が売れる。

        7
          • 通りすがり
          • 2022年 12月 02日

          もう韓国が気に食わないから売れて欲しくないってシンプルに言ったら?

          ミリオタの韓国製兵器の○○は△△だから売れない理論は外れてまくってるから信用できん

          14
            • 7c
            • 2022年 12月 03日

            は?
            「FA-50は売れるようになった」のは間違いないだろ?

            亜音速とは言われたものの、兵装が貧弱で、戦闘行動半径も狭い機体、アプデ絶望視されて機体売れると思った?
            それが今じゃAIM-120打てて、安くて、現地生産出来るんやで?F-16Vまでは手が出ない国からすりゃ買いやろ。
            設計はLMなんやし。

            一方でKF-21は韓国の最新鋭戦闘機だから現地生産は出来なさそうだし、兵装はバラバラ感あるし、お値段もFA-50に勝てんだろ。だから、KF-21の敵はFA-50じゃないかってことだよ?
            お値段気にしない国ならタイフーンやF-16VやF-15、ステルス買えるならF-35、FCAS、テンペスト、NGADと戦わなきゃいかん。お値段気にするところは中国製やトルコ製と戦わなきゃいかんが。

            5
    • ななし
    • 2022年 12月 02日

    エジプトってトルコと仲が悪いんだっけな
    韓国は両方に武器売る事になるからホント死の商人ムーブしてるわ

    10
      • 幽霊
      • 2022年 12月 02日

      こう言う意見が日本で主流になるなら日本政府が武器輸出を推進しても失敗するでしょうな。

      13
      • トーリスガーリン
      • 2022年 12月 02日

      買い手からすればそういう国家間のあれこれを無視して売ってくれる面倒が少ない国ともいえるからな
      買う前も買った後も縛りが多い高性能品より必要な性能を満たしていて手に取りやすい商品の方が売れるって感じですかねぇ

      19
    • 戦略眼
    • 2022年 12月 02日

    ロッキードが許可したということは、アメリカが許可したのか。

    12
    • 似非市民
    • 2022年 12月 02日

     ロッキードがT-50系を米軍に納品するのを諦めていないのが全てなんやわね。
    T-50系が駄作であるのならロッキードがとっくの昔に見放しており、エアバスも販売商戦に乗っかってくることなんかないんですわ。 特にエアバスは同じEC圏で競合機のM-346に「お前は潰す」っと言ったも同然なんで。 ロッキードとエアバスがけつ持ちについているのに正面からやりあうなんてのは、ボーイングくらいしか西側陣営にはおりませんって。(と言うか、ロッキードとエアバスが組んでT-50系を売るのならボーイングは商売上対抗しないとジリ貧に陥いる)

     安かろう悪かろうを否定する人が多いんですが、安かろう悪かろうが売れなくなったことなんか人類史上一度も無いんですわ。 直ぐに売れなくなるのは“高いけど大した性能が無いモノ”で、高いけど凄い性能のモンも売れてます。

     仮に装軌式自走砲を購入しようとしている国に99式を売り込むのに値段を除外しても、99式を採用しても儲かるのは日本だけになってまう可能性が大なりってとこがネックでんね。
     利点と欠点は表裏一体でK9を採用すると。
     第一に、K9は採用国でのライセンス生産を推奨しており採用国に経済的メリットがある。
     第二に、世界中の一級品部品を使用しているので、採用は部品提供国にメリットがある。(これはK2に敗れてもエンジン等が売れるのでドイツにもメリットがないわけでは無いので諦めもつくわけや)
     第三は、おんなじようなモンやけど、欠点が見つかったら関連する世界中の部品メーカーが自社製部品を売るために改良に加わる。

     ポーランドでライセンス生産のK9が一両完成すると、韓国・ポーランド・部品を供給する各国に銭が落ちるんですわ。
     そやから、英国でAS90の後継にK9が立候補すると英国内の部品メーカーが販売協力にゾロゾロ乗っかってくるわけですな。

     因み今回のポーランドのような短期納品大量発注はメーカーにとっては爆弾を抱えるのにひとしいんですわ。
     日本のように30年かけて生産して、最終納品が時代遅れの新品の骨董品を許す軍は他に見当たらず、ポーランドは五年以内の納品を希望しているわけです。 もし全両を韓国内で生産するとなると最終組み立て工場並びにライセンス部品工場の増設に各工場での工員の増員をするしかなく、同規模の受注が続かない限りは五年後には韓国内で関連する全企業が経営破綻待ったなしになるわけですわ。
     ポーランドがK9のライセンス生産をすると、韓国は工場等の増設をせずにパテント料をもらうだけですみ、ポーランド国内のK9生産工場の後をどうするかはポーランド政府におまかせできるんですな。(そのためにポーランド製K9の第三国販売を許可しているわけだす)

    19
      • 7c
      • 2022年 12月 02日

      T-50は駄作機ではないけど、コスパが悪かったんよね。最初F-35は練習機を使わない、って言ってたし。
      んでFA-50にしてもアビオと兵装が貧相だった。
      ポイポイ堕ちてたし。
      韓国政府もKF-21に目が行って、アプデしない感じだった。

      でも潮目が変わったのはF-35に練習機が必要になった、F-16Vが売れ過ぎたけど生産が追いつかなくなったこと。そして最大の要因がポーランドのライセンス生産が決まり、アビオと兵装のアプデが行われて、一線級のミサイルキャリアになったことやね。

      でも日本にはイラン。

      6
    • けい2020
    • 2022年 12月 02日

    韓国の武器輸出は以前から手段は選ばないって事は多かったけど

    >T-50/FA-50をアラブ諸国に輸出することも視野に入っており
    ここ数年の全技術移転して現地生産、現地から輸出権利も付与、資金も政府融資関与とか
    実績づくりもあるんだろうが、自国の互換ライバルを増やしまくる方針の目的がさすがに分からん

    ポーランドは生産・輸出体制整えば、韓国の輸出需要を全部もっていく可能性も十分あるし
    製品サイクルが短い民生品ですら、これと同じことなんてほぼない

    韓国政府も関与してるし、国家方針なんだろうが、目指してるものがわからんな

    7
      • 幽霊
      • 2022年 12月 02日

      ポーランドやエジプトが販売しても韓国にはパテント料などは入ってくるでしょうし、ライセンス生産を認めたとしても全ての部品を作れる訳でもないでしょうから韓国企業の部品なども売れるでしょう
      それに兵器が売れて他の国が購入ではなく自国生産を望むなら韓国と契約なければいけないので販売を許可して運用国が広がるのは韓国にとってもメリットだと思いますよ。

      8
      • G
      • 2022年 12月 03日

      T-50/FA-50のエンジンはアメリカ(F404-GE-102、韓国はパーツ生産できずキット購入したものを組み立て)、レーターはイスラエル(EL/M-2032)(ブロック20はアメリカ(PhantomStirke)になる可能性大)、アビオニクスはアメリカ(lockheed martin Avionics)、照準器はアメリカ(AN/AAQ-33)、兵装はアメリカ(サイドワインダーやマーベリック、JDAMなど)、

      など軍用機としての主要構成部品の大半が輸入品かライセンス生産品であるため、韓国の権限で移転可能な技術は非常に限定的な上、もともと売れても純利が出にくい機種なのでライバルとなっても損失額は許容範囲内と見たのではないかと

      なので主目的は自国の生産ライン稼働期間を多少なりとも延ばすことや、契約をきっかけに相手国と深いパートナー関係を築いて他の兵器を売ることだと思います

      4
    • 折口
    • 2022年 12月 02日

    そういえば空自の初等練習機T-7(ボーイングのやつじゃなくてプロペラ機のほう)と中等練習機T-4が同時に更新のための調査発注を出してましたね。初等練習機はともかく、中等のほうは実施T-50とT-7(ボーイングのほう)の一騎打ちでしょう。幸いこの2機種は超音速飛行にも対応しており、懸案だった高等練習機不在問題もある程度解消するでしょう。
    韓国の大手メディアでもT-50を日本へ売り込みすべきという主張を時々目にしますが、一世風靡の韓国兵器産業に顧客として接する機会というのも日本にとり貴重な体験でしょう。もっとも空自と関係の深い米軍がT-7を採用しているなど、必ずしもT-50優位ではないですが。

    2
      • あばばばば
      • 2022年 12月 02日

      おーい、イタリアのM-346を忘れるなよ
      イタリアとはテンペスト計画(日本の次期戦闘機計画を含む)で関係の近しい関係になっているし、イタリア空軍に高等訓練の委託を始めている事もあり、購入するとすれば、T-50よりも可能性は大きいのではないだろうか
      (アメリカの政治的圧力でT-7一択という可能性もあるし、高等訓練をイタリアに委託するので日本での購入はない可能性もある)

      10
        • 折口
        • 2022年 12月 02日

        イタリアの事すっかり忘れていました。米空軍への航空留学にせよイタリアのパイロットスクールにせよ、「ものを売るなら使う場所も一緒に提供しろ」を体現しているゆえの強さがあるのは良いですね。

        2
      • 匿名希望係
      • 2022年 12月 02日

      とりあえず。T-50は政治的にないと思う。
      あとF-35のパイロット育成プログラム対応しているか否かが不明なんでそっちの対応待ちだろうな(どっちにしても当て馬)
      T-7Aは納期に不安しかない
      M-346が相対的にマシだと思う。

      4
    • 月虹
    • 2022年 12月 02日

    >高等練習機/軽攻撃機に対するエジプト空軍の需要は100機前後になるという事前情報

    エジプトは高等練習機のL-39とL-59を97機保有しているので置き換え対象としては妥当な機数だと思います。ただ軽戦闘機のJ-7(Mig-21の中国ライセンス生産機、74機を保有)をFA-50で置き換えることも考慮しているのであれば発注機数は増えるでしょう。

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