中東アフリカ関連

イラン軍がウクライナ旅客機を撃墜? 墜落現場で対空ミサイルの残骸が発見される

イランの首都テヘランにあるエマームホメイニ空港を離陸した直後に墜落したウクライナ国際航空のボーイング737型機は、イラン軍の対空ミサイルによって撃墜された可能性が出てきた。

参考:Ukrainian passenger jet crashed after being hit by Iranian Tor-M1 missile

イランで墜落したウクライナ旅客機は、イラン軍の対空ミサイルで撃墜された?

イランが、イラクに駐留する米軍基地に対し弾道ミサイルで報復攻撃を行った同じ日(8日)に、イランの首都テヘランにあるエマームホメイニ空港を飛び立ったウクライナ国際航空のボーイング737型機は、離陸してから数分後に墜落し、搭乗していた乗員乗客176人の全員が死亡した。

イラン政府やイラン国営テレビは、同機の墜落原因はエンジンの故障によるものだと発表している。

しかし、墜落現場に飛散したボーイング737型機の残骸から、ロシア製の短距離ミサイル「9M331」と思われるノーズコーンと姿勢制御のフィンが見つかった。

このミサイルはロシア製の自走式防空システム「SA-15ガントレット(ロシア名:Tor-M1)」に搭載されているもので、この防空システムは墜落現場に近いイラン軍の軍事基地に配備されているという。

さらに、墜落した737型機の最後の瞬間を捉えた動画がネット上にアップされ、この動画には機体が燃えながら降下し、地上に墜落する前に爆発をした様子が映っており、エンジンの故障による墜落ではなく、空中で機体自体が破壊された可能性を示している。

通常、旅客機にエンジントラブルや燃料不足、火災や急病人など不測の事態が発生した場合、パイロットは管制官に「緊急自体を宣言(着陸に関する優先権を要求)」行うのだが、墜落まで数分時間があったにも関わらず、同機は緊急自体を宣言していないとエマームホメイニ空港の関係者が証言している。

出典:Vitaly V. Kuzmin / CC BY-SA 4.0 Tor-M1防空システムの9A331

このような状況証拠をつなぎ合わせると、同機はイラン軍の短距離ミサイル「9M331」に直撃され、機体のコントロールだけでなく通信もできなくなるか、コックピットを直撃されパイトットが死亡し、緊急自体を宣言できないまま墜落した可能性が考えられる。

本来なら機体に搭載された「ブラックボック(コックピットの音声を録音したボイスレコーダーとフライトレコーダーのこと)」を解析すれば、より詳しい内容が判明するのだが、イラン当局は墜落した737型機のブラックボックを米国に引き渡すことを拒否している。

米国のCBSニュースも、イランがウクライナ国際航空のボーイング737型機を誤って撃墜したと報じ始めた。

CBSはウクライナのボーイング737型機が爆発する前に、イランが対空ミサイルを2発発射したのを米国の軍事衛星が確認したと報じ、CBSの記者がTwitterで「米国の情報当局は、照射されたレーダー信号を探知していおり、イラン軍のSA-15ガントレットが発射した短距離対空ミサイル(ロシア製の短距離ミサイル「9M331」)を2発発射した際の赤外線を衛星が探知し、その直後、別の爆発による赤外線を探知した」と述べている。

イラン側はこれを強く否定し、米国の陰謀だと指摘している。

果たして、737型機が墜落した原因は技術的問題によるものなのか?

それとも、ミサイルの残骸が示すようにイラン軍のミサイルによって撃墜されたのか?

どちらにしても、同機に搭乗していた乗員乗客176人の命は、もう二度と戻ってこない。

 

※アイキャッチ画像の出典:@AshkanMonfared_がtwitterに投稿した画像

実用レベルのレーザー兵器が遂に実用化! イスラエル、レーザーベースの迎撃システム発表前のページ

在韓米軍は韓国に配慮? 韓メディア、米海軍の公式発表に文句をつける次のページ

関連記事

  1. 中東アフリカ関連

    またエアバスが不正? クウェートに売りつけたタイフーンの価格が問題に

    クウェートでは現在、戦闘機「ユーロファーター・タイフーン」調達に関する…

  2. 中東アフリカ関連

    リビアに対する禁輸措置はジョーク? トルコ軍に屈服するEU派遣の欧州海洋部隊

    EUが派遣した欧州海洋部隊はリビアに向かうトルコの輸送船に対して国連の…

  3. 中東アフリカ関連

    イスラエルがウクライナへの防空システム提供を拒否、非殺傷装備なら幾らでも

    イスラエルのヘルツォーク大統領は防空システムをウクライナに提供できない…

  4. 中東アフリカ関連

    実用レベルのレーザー兵器が遂に実用化! イスラエル、レーザーベースの迎撃システム発表

    イスラエルの国防省は8日、同国が開発した防空システム「アイアンドーム」…

コメント

    • 匿名
    • 2020年 1月 10日

    bellingcatなるサイトにも似たような動画(こっちは爆発の瞬間)が上がってたりするし
    複数ソースで上がってるってことは・・・イラン、やっちまったな

    • 超優秀副操縦士ボナーン
    • 2020年 1月 10日

    メーデー民は騙されないゾ♡
    どうせチャイナエアライン611便と同じ感じだろ。

      • 匿名
      • 2020年 1月 10日

      燃えながら滑空して落ちてるし、対空ミサイルで撃墜された感じじゃ無いよねー
      燃え上がったパーツが空中で分離してる感じもしないし。
      副機長の体内からミサイルの破片が摘出されたら信じる

        • 匿名
        • 2020年 1月 11日

        今どんな気持ちなのかスゴく気になりますねぇ…

    • 匿名
    • 2020年 1月 10日

    機体のあちこちに開いた小さな穴や現場に残されたミサイル先端部分
    いくらイランが否定しようが明白な証拠が残りすぎ
    アメリカの陰謀?イラン国内でアメリカが地対空ミサイルを発射したとでも?
    日本のタンカーへの攻撃もイランの仕業かもね

    • 匿名
    • 2020年 1月 10日

    >それとも、ミサイルの残骸が示すようにイラン軍のミサイルによって撃墜されたのか?

    これね、ニューヨークタイムズがミサイルが旅客機に向かって衝突する動画をスクープしたので共有します。
    カナダのトルドー首相が触れた軍事機密以外にも証拠について少しづつ出てきている。

    Video Shows Ukrainian Plane Being Hit Over Iran
    リンク先:
    リンク

    • 匿名
    • 2020年 1月 10日

    機体に搭載された「ブラックボック(コックピットの音声を録音したボイスレコーダーとフライトレコーダーのこと)」を解析すれば、より詳しい内容が判明するのだが、イラン当局は墜落した737型機のブラックボックを米国に引き渡すことを拒否している。

    で、イランはやってないアメリカの陰謀だ!って? バカじゃねーの?やってないなら公開するだろ

    2
    • 匿名
    • 2020年 1月 10日

    マレーシア航空17便撃墜事件を思い出すね
    まあ当事者の片方はウクライナだからある種の奇縁を感じる

    • 匿名
    • 2020年 1月 10日

    イランはB-737を何と誤認したのかね?

    B-52やAC-130はイランには使わないだろうし。

    • 匿名
    • 2020年 1月 11日

    ソ連製地対空ミサイルのモンキーモデルにはIFF(敵味方識別装置)未搭載があるシリア軍が友軍のロシア軍機を撃墜している、が今回はIFF搭載しているはずなのに。

  1. ようやくイランが誤って撃墜したと認めたけどしらを切り通せると思っていたのかね?

    破片みたらミサイルの部品やら無数の小さな穴やら証拠が揃っているのに。

    • 匿名
    • 2020年 1月 11日

    イラン、誤射認めた。
    流石に誤魔化すの諦めたのかな。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  2. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  3. 米国関連

    米海軍の2023年調達コスト、MQ-25Aは1.7億ドル、アーレイ・バーク級は1…
  4. インド太平洋関連

    米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を…
  5. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
PAGE TOP