中東アフリカ関連

イランの弾道ミサイルが再びサウジ基地に着弾、米空軍の空中給油機が複数損傷

Wall Street Journalは27日「イランのミサイルがサウジアラビアのプリンス・スルタン空軍基地を攻撃して複数の空中給油機が損傷を受けた」「この攻撃には無人機も関与していた」と報じ、イランの弾道ミサイルとShahed-136による協調攻撃が基地を保護する防空網を再び貫通した可能性が高い。

参考:10 U.S. Troops Injured in Saudi Air Base Strike

KC-135やF-35の損傷、プリンス・スルタン空軍基地で損傷した空中給油機の損害まで加わると損害額は10億ドルを超えるかもしれない

米国とイスラエルは2月28日にイランへの大規模な共同攻撃を開始し、約4週間の戦いで米軍は約3.7億ドル相当の有人航空機を失っており、3月1日にはクウェート空軍のF/A-18がAIM-9を使用して米空軍のF-15E×3機を撃墜する友軍誤射が発生、元F/A-18のパイロットは「どうしてこんなミスが起こるか全く理解できない。手順上のミスがあったのかもしれないが、それでもほとんどあり得ないことだ」と述べていた。

出典:Photo by Staff Sgt. Taylor Drzazgowski

12日にはエピック・フューリー作戦に参加中のKC-135が墜落し、米中央軍も「墜落したKC-135に搭乗していた6名全員が死亡したことを確認した」と発表、本件に関与していた2機目の航空機=KC-135Rはイスラエルのベン・グリオン空港に緊急着陸し、垂直尾翼上部が大きく欠けている鮮明な画像も登場。この限られた情報と垂直尾翼の損傷から2機のKC-135が空中で接触した可能性がある。

13日にはWall Street Journalが「米当局者によるとサウジアラビアのプリンス・スルタン空軍基地において地上に駐機していた給油機5機が攻撃を受け損傷した」「当局者らによれば、これらの空中給油機はここ数日の間に行われたサウジアラビアの基地に対するイランのミサイル攻撃の際に被弾したという」「当局者の1人は給油機は損傷したものの完全には破壊されておらず、現在は修理中であると述べた」「この攻撃による死者は報告されていない」と報じ、ReutersもWSJの報道を引用して「米空軍の空中給油機5機が攻撃を受けて損傷した」と報じた。

この報道に対してトランプ大統領は「報道は嘘だ。空中給油機1機が修理可能な損傷を受けたが間もなく任務に復帰する。残りの4機はほぼ損傷がない」と述べたものの、それでも「イランの弾道ミサイルがプリンス・スルタン空軍基地を保護する防空網を貫通した」という事実は覆らず、19日にはF-35が被弾したというニュースまで登場する。

CNNは19日「米中央軍のティム・ホーキンス報道官が『イラン上空で戦闘任務を遂行中のF-35が緊急着陸を余儀なくされた』『航空機は無事着陸してパイロットの容態も安定している』『事件は調査中だ』と語った」「この件に詳しい2人の関係者はF-35がイランによるものとみられる攻撃で被弾したと明かした」と報じ、War Zoneも「国防総省に問い合わせ、イラン上空で戦闘任務を遂行中のF-35Aが中東の米軍基地に緊急着陸をしたと確認した」と報じ、F-35はレーダー誘導式地対空ミサイル、目視観測員、電気光学センサー、赤外線センサーを組み合わせたパッシブ方式の防空システムで攻撃された可能性が高い。

そして27日にWall Street Journalは「金曜日にイランのミサイルがサウジアラビアのプリンス・スルタン空軍基地を攻撃し、10人の米軍兵士が負傷し、そのうち2人が重傷を負った。また複数の空中給油機が損傷を受けた」「これは今回の攻撃に詳しい米当局者およびサウジ当局者からの情報で、この攻撃には無人機も関与していた」と報じ、恐らく「イランの弾道ミサイルとShahed-136による協調攻撃がプリンス・スルタン空軍基地を保護する防空網を貫通した」という意味だろう。

どちらにしても米軍はエピック・フューリー作戦中にF-15Eを3機とKC-135を1機失うことで約3.7億ドルの損害を被っているが、KC-135が垂直尾翼上部を失い、F-35もパイロットが負傷するほど損傷し、ここにプリンス・スルタン空軍基地で損傷した空中給油機の損害まで加わると有人航空機が被った損害は10億ドルを超えるかもしれない。

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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force

米軍は対イラン戦でトマホークを850発以上消耗、現在の発注率換算で14年分前のページ

スイスはパトリオット購入の支払いを停止、米国はF-35A購入資金を勝手に流用次のページ

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コメント

  • コメント (35)

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    • たむごん
    • 2026年 3月 28日

    詳細は不明ですが、イランの攻撃量・攻撃回数が減っている事を考えれば。

    『飽和攻撃と呼べない』ような攻撃で着弾している可能性があり、迎撃に限界がある事をやはり感じます。
    100%迎撃する事は不可能であり、航空基地を含めて着弾する事を前提に対処していくのも重要なのでしょうね。

    日本目線で考えれば、航空基地の掩体整備が遅れていると言われてきたわけですから、ドンドンお金を使って掩体整備も進めて欲しいなと感じています。

    40
      • 名無し
      • 2026年 3月 28日

      一般論としては禿げ上がるほど同意なのですが、今回の件においては、旅客機サイズをミサイル/ドローン攻撃から護る強化掩体壕は存在しないので、
      本気で空中給油機を防護したければ、シャヘドの航続距離である2500キロ以内に空中給油機基地を置くことをやめなければなりませんね。

      そして、空中給油機がざっくり往復5000キロ、燃料と時間を掛けて進出して作戦しなければならないということは、非常に遠いイランへの航空攻撃量を、7割とか8割とかの規模で削減しなきゃならないということです。

      見かけは地味な「ローキック」ですが、イランは結構ガチで、米空軍の急所中の急所を突いてる感ある。

      45
        • たむごん
        • 2026年 3月 28日

        仰る通りですね。
        B-52が近しいサイズと思いますが、前線近くに超大型掩体作ってたらキリがないというのもあるかもですよね…(いい感じのデコイで対処できたらなあと…)

        補給線狙うのは常道ですから、イランもきっちり狙ってきてるのでしょうね。
        空中給油機2機の衝突事故、タンカー同士の給油(Tanker-to-tanker refueling)という説もあるようですから、かなり無理してるのだろうなと…。

        キングファハド空軍基地(ペルシャ湾岸)ならびに、サウジアラビアが領空解放したわけですが、距離が近くなる反面・攻撃を受けやすくなるわけですから、今後どうなるのか見守りたいと思います。

        6
      • 一般人
      • 2026年 3月 28日

      >100%迎撃する事は不可能
      もう一歩踏み込んで、いくらか後方が消耗するのも勘定に入れるべきでしょうね。

      3
        • たむごん
        • 2026年 3月 28日

        仰る通りで、正論と思います。
        迎撃ミサイルの保有数に、一定の掛け目(損失想定)を入れておくのが、戦訓としてもう不可欠ですね。

        日本は専守防衛を掲げてますから、アメリカよりも極めて高い掛け目(損失想定)になるのも、ほんと厳しいなと感じてしまいます…。

        5
    • m
    • 2026年 3月 28日

    スタンドオフ攻撃能力は超大国に一方的な攻撃を許さないというお手本がまた増えましたね。防衛省が慌てて整備してきたのもよく分かります。

    50
    • 名無し
    • 2026年 3月 28日

    なぜ攻撃を受けた前例があるのにまだこんな近場に駐機してるんだ

    23
      • 朴秀
      • 2026年 3月 28日

      舐めプの代償としてタンカー五機破損は間抜けとしか
      足が短い戦闘機なら分かりますけどそんなところになぜタンカー?

      19
      • 名無し
      • 2026年 3月 28日

      後方に下げれば下げるほど、空中給油機の給油可能量が下がってくる。
      絶対に安全なエリアまで下げると、米空軍作戦機によるイラン攻撃が継続不可能になるんじゃないですかね。
      イランはそれをわかっていて、わざと戦闘機じゃなくて空中給油機を、手持ちの攻撃資産(弾道ミサイル、ドローン)で狙い撃ちしている疑惑。

      イランはレッドストーム作戦始動を熟読している可能性がある。

      43
        • 優位性
        • 2026年 3月 28日

        世代でないのでトムクランシーはよく知りませんが、米国の敵対者たちは冷戦末期の軍事研究の集大成である湾岸戦争・イラク戦争という先例をよく研究しているでしょうし、空中給油機の破壊は意図的でしょうね

        26
      • 優位性
      • 2026年 3月 28日

      ロシアも同じように損傷してそんな感じで散々馬鹿にされたけど軍用機が運用できる空港なんてそうそうないからまあ難しいんだよね

      49
    • あばばばば
    • 2026年 3月 28日

    中東諸国の米軍基地が空襲を受けて、司令部が民間のホテルなどに退避してそこもまた狙われる。
    ディエゴガルシア島に向けたミサイルの発射もあるから、ちゃんと届く距離飛ぶならば、スペイン辺りまで射程に入る事になる。
    (イランは偽旗を主張、実際に撃ったのがイランとしても敵地攻撃能力を持つのは自衛権として正当だろう)
    中東で戦争を続ける為のアメリカの限界は案外近いかもしれない。

    36
    • YF
    • 2026年 3月 28日

    損害額より複数の空中給油機が損傷を受けたって事の方が作戦遂行上の影響大きいですよね。
    イランも当然、給油機狙って攻撃してるんでしょうから、この基地への駐機を含めて迂闊な感じがしますね。

    37
    • モップ
    • 2026年 3月 28日

    日本はこの状況を、しっかりと見定めてお手本にしなければならない
    イラン側に立った場合、アメリカ側に立った場合とね
    どちらにの立場にも成りうるからね。

    36
    • あさり
    • 2026年 3月 28日

    これもう完全に泥沼でしょ
    中間選挙で共和党大打撃受けそう

    26
      • たむごん
      • 2026年 3月 28日

      カリフォルニア州知事選挙で、民主党が負ける可能性があるという話しがでてまして。
      民主党の大統領候補にもなる出世コースという事になれば、野心ある方々の調整は難しいんだろうなと。

      予備選 6月2日 共和党2名 民主党系が乱立(現職が多選規定で出馬できないため)
      本選 上位2名のため民主党候補がでられないリスクが浮上

      中間選挙も仰る通り大打撃でしょうし、首長~地方幹部(司法長官など)まで、こういった可能性のある微妙だったところもどうしようもなくなりそうですね。

      4
    • 匿名
    • 2026年 3月 28日

    これで間もなく地上戦するの?

    8
      • 理想はこの翼では届かない
      • 2026年 3月 28日

      地上戦、やるんですかね?
      現状では交渉のためのブラフだと思います
      やって死傷者が大量にでたらそれこそ撤兵せざるを得なくなるでしょうし

      21
        • 匿名
        • 2026年 3月 28日

        (どこまで本当か知らないけど)中東の米軍基地も結構損傷していて、補給・休息も難しいのに。空母フォードもギリシャあたりの基地まで後退でしたっけ。

        14
        • 無名
        • 2026年 3月 28日

        素人意見だけど、今更地上戦して効果あるんですかね?
        なんとなく手遅れ的な感じが…
        トランプの考えることは理解できませんけど
        もし仮に地上戦に踏み切ったらアメリカ軍はおしまいな気がします。

        25
      • 名無し
      • 2026年 3月 28日

      一方的にレバノンに空爆してから南部に地上軍を送り込んでるイスラエル軍が、ヒズボラの反撃でわりかしダメージ食らってるらしいところを見るに米地上軍送り込んでも相当な損害被るでしょうね

      22
      • イーロンマスク
      • 2026年 3月 28日

      馬鹿馬鹿しくはあるが地上戦やらないとケリがつかないんだろう
      アメリカもまけを認められない

      6
        • 匿名
        • 2026年 3月 28日

        △ アメリカが
        ◯ トランプが

        15
      • たむごん
      • 2026年 3月 28日

      ゲシュム島1500㎢>沖縄本島1200㎢、とにかく広いんですよね。

      (犠牲少なく)短期制圧も大変でしょうし、水・食料の補給どうするのかなあと。

      噂レベルでは、現地の切り崩し工作してるという話しもあるようですが、(地上戦を想定して)戦前に本来やっとかないとしんどいよなあと感じています。

      8
    • cosine
    • 2026年 3月 28日

    「議決なくば60日までと規定する法に素直に従うならば」あり得ない…はずですけど。
    イラン側に何らかの異変が生じてか急に折れるのでない限り、
    分岐は理論上は以下のどれかであろうと。
    ・おとなしくTACOる
    ・議会がGO出して兵の犠牲の共犯になる
    ・国内法すら平然と違反する暴君になる

    ベトナム戦争の反省による法を、ベトナム戦争から逃げたと揶揄されることもある大統領が違反するならば、それこそ中間選挙を待つ必要すらもない弾劾理由であって然るべしなんですけどね…
    もっとも、割とグダる法とのことですが。

    30
    • 黒丸
    • 2026年 3月 28日

    弾道ミサイルだけでなくドローンもセットで攻撃ですか
    これで米軍も駐機中の機体の上にタイヤを載せるようになるのかな?

    20
    • Kaeru
    • 2026年 3月 28日

    CoDで勉強した歴史と違くて驚いてそうアメリカ人

    18
    • トーリスガーリン
    • 2026年 3月 28日

    対イラン戦でこれなら対中戦役時の国内・グアムはどうなるのかと考えると…
    まともな掩体整備も進んでいない現状ではCSISの予測すら生温い打撃を開戦劈頭に受けることになりそうですね(白目

    15
      • 優位性
      • 2026年 3月 28日

      CSISの予想を超えたペースで強大になるPLAを相手にCSISの予想を下回るペースで産業力基盤の崩壊が進みつつ残る物資もウクライナとイランで消耗している米軍にCSISの予想したような勝ち目があるのだろうか

      6
        • 匿名
        • 2026年 3月 28日

        中国は中国で習近平が汚職一掃の名目で軍幹部を大量粛清してたような。(クーデターでも起きそうだった?)

        2
    • cosine
    • 2026年 3月 28日

    イスラエル側からの発表ですが、フーシ派からミサイル飛んできたとのこと。
    事実であればサウジの上空かすぐ近くかを飛んでったのであろうわけで、イスラエルだけでなくサウジもまた択を突き付けられたことになるでしょう。

    サウジとしては、イスラエルとイランが両成敗的に衰弱するのが理想。一方、片側でも両側でも「最終手段」の行使に至ることだけは避けなければならない…という舵取りになるのだと思われます。

    もっとも、真に避ける必要があるのはトランプに梯子を外されることなのでしょうけど。

    5
    • 名無し
    • 2026年 3月 28日

    空中給油機だけじゃなくてE–3も1、2機吹き飛ばされたんじゃないかってOSINTの中で話題になってますね…

    13
    • cosine
    • 2026年 3月 28日

    それにしても、米兵から醸し出されるのが「上役がぶち上げるトンデモな目標・納期に擦り潰されるリーマンのごとき悲哀」になろうとは。
    …いやそれどころか目標自体が朝令暮改という。

    一貫しているとすれば、「会長と御友人の不始末隠し案件」であることくらいか。

    11
      • 匿名
      • 2026年 3月 28日

      米軍の物的な潤沢さはよく持て囃されるけど、実際に最前線に立つ米兵らは生身の人間なんだから、いつだって上からの無茶振りなのは変わらないっしょ。

      4
    • 暇な人
    • 2026年 3月 28日

    イランに請求された賠償金満額払ったほうが絶対戦争続けるより安くつくけど、
    アメリカというかトランプはそれを選べないだろうな
    損切りできる性格じゃねーし

    16

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