イラクがパキスタンからJF-17BlockIIIを12機購入すると報じられており注目を集めている。
参考:Iraq To Acquire JF-17 Fighters
参考:Iraq Signs Contract with Pakistan for Purchase of JF-17 Block III Aircraft
これが事実ならイラク空軍はF-16IQに見切りをつけたという意味なので非常に興味深い
イラク戦争後に再建されたイラク空軍は2014年までに米国製のF-16IQ×34機(C/DBlock52相当で単座26機+複座8機)を取得してISISとの戦いに投入されていたのだが、2020年末にイラクのニュースを専門に取り扱うIraq Oil Reportは「空軍のF-16IQはもはや満足に飛行できる状態にない」と報じて注目を集めた。
Iraq Oil Reportは「イラク空軍が保有するF-16IQの平均稼働率は20%を切っており安全リスクの懸念なく飛ばせる機体は7機しかなく、飛行できない機体から供給されたパーツによる共食い整備で辛うじて飛行状態が維持されている」と指摘、さらに別のメディアは「34機中10機は完全に飛行できない状態で保管されており、何とか飛べる機体もレーダーやアビオニクスが機能を停止しているため西側基準で言えば飛行停止状態と同じ」と述べており、この状態を引き起こしている原因は資金不足とメンテナンス支援を請け負っているロッキード・マーティンが治安悪化を理由にイラクから引き上げてしまったことにある。
原油価格に左右されるイラクの国家予算が減ると国防支出が削減され高価な米国製兵器の維持を難しくさせており、すでにイラクはF-16IQとM1A1エイブラムスを維持するための資金として米国から27億ドルの融資を受けている状況だが、資金不足はイラク空軍の日常的な活動にも影響を及ぼしていてパイロットは訓練時間が削減されたため戦闘任務や夜間飛行など特定任務の資格を喪失、さらに通常4人で構成されるF-16IQの地上支援要員は1人に減らされ飛行後のF-16IQを固定することすら困難で整備車輌との衝突事故を招いたらしい。
この最悪な状況に止めを刺したと言われているのがカタイブ・ヒズボラのソレイマニ司令官殺害によるイラク国内の治安悪化で、メンテナンス支援を請け負っていたロッキード・マーティンは2020年1月に安全確保が確保できないため請負企業をイラクから引き上げさせ、治安状況が落ち着いた同年7月に「イラクとの契約を守る」という理由で請負企業を戻し始めたがバイデン大統領がイラク駐留米軍の完全撤退(大使館などを警備する部隊やイラク軍を指導する要員は引き続き駐留)を実行に移したため再びロッキード・マーティンが撤退するだろうと噂されている。
イラクは昨年末にクウェートに対する賠償金(524億ドル/約6兆円)の支払いを終えたため軍の立て直しに着手しており、アル・ジュブリ国防相は先月に「パキスタンから航空機を調達するための契約を締結した」と明かしたため主要メディアは「以前から交渉が進められていたJF-17BlockIIIの取得契約だ」と一斉に伝え始め、現地メディアは「正式な契約への署名は来月にイスラマバードで行われ、JF-17を12機購入するために6億6,400万ドル(1機あたりの調達コストは5,533万ドル)を投資する」と報じている。
これが事実ならイラク空軍はF-16IQに見切りをつけたという意味なので非常に興味深い。
関連記事:米国の対ロシア制裁の影響、イラクの防空システム導入候補に仏製と韓国製が浮上
関連記事:イラク、導入したT-50IQのサポート契約を3年間約400億円で韓国と更新
関連記事:イラクがバイラクタルTB2調達契約を締結、同機の総生産数は343機以上に拡大
※アイキャッチ画像の出典:Public domain パキスタン空軍のJF-17
お知らせ:記事化に追いつかない話題のTwitter(@grandfleet_info)発信を再開しました。 |
これはアメリカそのものに見切りをつけつつあるという示唆かな、今までの成り行きを眺めたら、イラクにはアメリカ信者を続ける理由なんて一つもないもんな
いっそ、パキスタンと物々交換すればいいのに
あっちもF16持っているから、部品取りにでも使えるのでは
あるいはトルコがイラクのF16を引き取るかな?
記事を見る感じ、運用と所有権自体はイラクが持っているが、この間の東ドイツの中古を再販するのに、ドイツの許可が必要なように、イラクがF-16を勝手に物々交換というのは出来ないだろう
かといってアメリカに許可する理由もないが
トルコなら良いのではないか。
引き取る気があるかどうかは別にして。
まぁわざわざアメリカ製兵器を維持する必要性もないしね
テロリスト相手なら無人機でいいと思うしわざわざJF-17を選ぶ辺り政治的メッセージをアメリカに向けてると思う
パキスタン、トルコ、インド、韓国など、新興のプレーヤーが世界に兵器を拡散させていく。
これに伴い、紛争も続いていくのだろうね。
本当に核兵器は抑止力になるのだろうか、と疑問に思う。まぁ、核兵器も拡散しているけど。
その内、ゲリラまでもが新兵器開発する時代が来そうな予感がする。どんな未来になるんだろう。
アナハイムとかいう名前の私企業が、敵味方考えず無節操に売りつけていくとか。
「見切りを付けた」というのはまぁ意味的には合ってるんだけど、
それより「身の丈に合わせた」選択としてJF-17にした
という方がしっくりくるかな。
なんかもう米兵器は「高いうえに使えねー(政治的に)」とされつつあるようなw
一応、さらに軽量なFA-50を買ったばかりなんで、それを買い増しするっていう方法もあるんじゃないだろうか?
その上で、なぜJF-17っていう選択肢が出てきたのかは疑問は尽きない
本当にJF-17が採用されたとなったら、米国の中東政策の失敗をさらに印象付けることになりそう
>その上で、なぜJF-17っていう選択肢が出てきたのかは疑問は尽きない
アメリカに「なんとかしないとこっちが転ぶぞ」と言いたいのでは?
アメリカに対して反発することをリスクと考えなくなったの?
ってことだからなぁ
だから、中東政策の失敗をさらに印象付けることになりそうだと推測しました
隣国が助けてくれるさ。
F-16IQ自体がAMRAAMが使えなかったりと能力制限版になっている。イスラエルへの配慮でアメリカ製の兵装があてに出来ないなら、選択肢は限られるからなあ。
たしかに、英語版ウィキペディアによるとF-16IQは一応ブロック52ではあるものの、運用可能な兵装は「AIM-9L/MサイドワインダーとAIM-7スパロー空対地ミサイル、AGM-65マーベリック空対地ミサイル、およびペイブウェイ誘導爆弾」との記述で、AMRAAMは使用できない様ですね
そうなると、そりゃあ制限無しで撃ちっぱなし式の視程外空対空ミサイルを運用可能な機材を探し始めますよね……
世界がアメリカから孤立して行く!!!
と言うのは置いといてJF-17は中華戦闘機としてはJ-10の次に好きな機体なので頑張って貰いたい
かと言って中国製もオーストラリアへの経済報復を見るに地経学的なリスクを背負う事にはなりそう
これからの武器輸出には物言わぬサプライヤーと言う振る舞いも重視されそうですね
地経学的に考えれば、中国がイラクやパキスタンに配慮していますね。
中国は石油の陸路輸送を増やすために中東諸国との関係を深めていますし、パキスタンは対インドの重要な同盟国。
オーストラリアとは違って中国も強くは出れません。
自国の軍需産業のためとはいえ、高度な整備が必要な機体と燃料バカ食い戦車を再建途上の国に引き渡すアメリカもマゾだね。
(イラク戦争から20年経っても治安安定しないって状況も頭痛いけど)
M60を捨てた後だったからな。
精鋭部隊に配備のM1をT90に入れ替えとかしてるからロシア製が相性が良いのかも。
逆にイランがアメリカ製の物を執念レベルで維持しているのをみると相性はあるんだと思う。
FA-50の稼働率もどうなってるんだろう?
以前の検討ではラファールじゃなかったっけ?
フランス機ファンとしては残念である。
リンク
アメリカにHi-Lowの更に下にポジショニングする機体がないのがな。。。
一昔前のF-5に相当するような機体をT-7ベースで開発して西側butお金がない国にばらまけばいいのに。
(FA-50?なんかヤダ)
F-5の近代化再生産モデルで良いのでは?
双尾翼化しそうなのが、個人的に嫌だなぁ
つ「サエゲ」
請負企業が出ていくってどこかで見たような光景なんだが………
モンキーのF-16IQは中距離AAMが未だにスパローでAMRRAMが使えないし運用は結局請負企業に左右されるとなれば、そりゃJF-17買うよね。いろいろ制約を受ける米国製のIQより性能は良くて維持費も高コストではないし。
イラクの占領政策を振り返った時に
非バアス政策とかいうガイジ政策よく実行できたよな。
おかげで失業者だらけで警察はろくに機能せず…
対イランを考えたときに、不安定かつシーア派多数派の国作って何がしたかったの…イランが付け入るだけだろ…
普通にフセインをシリア辺りに追放して、バアス体制はそのまま残しとけよ…
アメリカ製兵器と相性が悪い体質かも。
フランスと韓国が入り込んで来そう。
フランスは昔の繋がり。
韓国は逞し過ぎる商魂で。
ミリレポさんでフィンランドの予備役用に韓国製造のAKMを輸出とかあったので古い物、簡単な物なら韓国製のロシア規格の武器を輸出しそう。